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もころぐ

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今回は小児科感染症に登場する用語「癤」、「癰」について分析します。

 

どちらも黄色ブドウ球菌による皮膚病変です。

 

意符はやまいだれ、声符は節(旧字になっている)である。

想定される漢字音はセツ(規則的発音)、テツ(st変換)、ゼツ(清濁)などがあるが、これはそのままセツと読んでよい。

1つの毛嚢を中心とする化膿である。

 

意符はやまいだれ、声符は邑と思われる。

想定される漢字音はユウ(規則的発音)であるが、この読みはヨウ(母音変化型)である。

多数の毛嚢が集合した化膿である。

 

 

癤より癰のほうが難しい漢字ですが、不思議なことに前者はJIS第3水準、後者はJIS第2水準です。癰のほうが若干使用頻度が高い漢字ということになります。

黄色ブドウ球菌による重大な皮膚病変にSSSSがあり、Nikolsky現象陽性が有名です。国試101A6に出題実績があります。

 

この字は「システム」を圧縮して一字としたものである。

この漢字の面白いところは、「システム」というカタカナを部品として用いている点で、会意文字とも考えられ、形成文字とも考えられる。

最近ネットで話題になっている文字であるが、この漢字が新しい漢字として成立するだろうか?

 

字形は「さんずい+会」であるが、似た字形の漢字はすでに存在し、中国語の簡体字で浍がある。

  kuai4 と読み、田畑の用水路、側溝を意味する。

 

この浍という既存の漢字に「システム」という読みを与え、日本国内で利用する可能性を考える。

これには以下の実例を利用できそうである。

 

事例1 既存の漢字に新たな外来語の音を充てる例

 訓読み:こな、音読み:フンであるが、実は「デシメートル」という読みが与えられている。

 

事例2 字形を利用して外来語の音を充てる例

 音読み:フツであるが、「ドル」という読みが与えられている。 字形が$の形に似ていることからこの読みが与えられている。

 

このような例から、浍に「システム」という読みを与え、実用していくことは不可能ではないと思われる。言い換えると、今日から使うことができる。

 

次に新たに上記の「システム」という新字を作る可能性について考える。

上記新字は会の人の部分が「入」になっている。兪ユという漢字と同じであるが、会という漢字で「入」となることは筆者の確認する限りないようである。この点で上記新字を浍とは異なる独自性を持った「国字」として認めることはできそうである。この場合、パソコンで出力できる文字として登録されていないので、手書きでの利用にとどまり、文字としての普及は浍を利用する場合よりも大幅に遅れると予想される。

 

最後に「システム」という漢字が定着した場合、現実に起こりうるシナリオを考える。

手書きよりもパソコンですぐに出力できる浍が「システム」という読みを与えられて日本国内で浸透する可能性はある。

仮にめでたく新字として用いられた場合、「システム」という語彙はIT系でとくに用いられるものであり、一般社会に広く用いられるようになる可能性は低く、限定された業界でのみ用いられる所謂「位相文字」として定着すると思われる。このような漢字には广+K, 广+Oという漢字があり(下図)、この漢字は一般社会ではあまり認知されていないが、慶応大学においてよく用いられた「位相文字」である。

国家的に認められるようなものになる可能性は高くないが、どちらにせよ、一種の「遊び文字」として日本社会の一角で実際に実用される可能性はあり、個人的には実用された時点で一つの漢字としてみなしてよいと考える。

 

規則的発音=規、イ音便=イ、ウ音便=ウ、撥音便=撥、挿入=挿、脱落=脱、mb変換=mb、st変換=st、kr変換=kr、ks変化=ks、母音変化=母、分類不能=不

 

 

瑰麗        かいれい 母

烏鵲        うじゃく  規
解傭        かいよう 規
安佚        あんいつ 脱
胡乱    うろん  不

邏卒        らそつ  規
闃然        げきぜん 規
間隙        かんげき 規
千仞        せんじん 規
蒐集    しゅうしゅう 不

咫尺        しせき 母
稼穡        かしょく 規
刈穫        がいかく 規
仇讐    きゅうしゅう 規

消耗

 

消耗はもともと「ショウコウ」と読むのが正しい読み方だったが、耗の旁に引っ張られて「ショウモウ」となったという話があります。

当サイトの音読み分類表を用いると、耗kouは声符が毛mouであるので、m→kの頻度の低い子音変化に分類されます。対して、誤読の耗mouは規則的発音ということになります。

毛を音符とする漢字 毛・尾・梶・旄・毳・粍・瓱・竓のうち、コウへ変化する漢字は耗だけです。(下記サイトを参考としています)

https://blog.goo.ne.jp/ishiseiji/e/c3eccee72a405470afcb4ed96ee82e3a

個人的に思うのは、耗という漢字が作られた頃は規則に準じたmouという読みで、それが訛ってkouという新しい読みが定着したのではないかということです。それがごく最近mouという読みに戻っただけなのではないかと思うのです。

耗という漢字をはじめてみたとき、多くの人は旁から「モウ」を推測するはずであり、「ショウモウ」はその分合理的な読み方であると思います。

広辞苑第六版によると

【消耗】

(ショウコウの慣用読み)使って減らし、なくすること。使ってなくなること。また、体力・気力などを使い果たすこと。

 

と出ており、あくまでショウコウが正しい読みであるとしていますが、自分としてはショウモウの方が正当な読みであるとさえ考えています。

漸減を「ザンゲン」と読む方がいらっしゃいますが、斬の読みは「ザン」であるため、規則に適った読みをしているため、単純に「誤読」として笑いものにするべきではないと考えます。寧ろ、以後このような読みの回帰を受け止めていくべきではないでしょうか。
 

魯迅の狂人日記は、ある狂人の手記という体で、食人(カニバリズム)に対する恐怖を描いたものである。

本草綱目の「人体」の項目にみられるように、人肉は治療薬の一つとして(結核への適応がある)実際に用いられていたらしく、食人はあながち冗談では済まされないようなものであったと思われる。本草綱目では人肉の活用に関して興味深い記述があり、嫁いだ女性は舅、姑に対し自分の肉を切り取って差し上げることが最大の礼儀であるとされていたようである。

「家族への孝行」はとても儒教らしい考え方であるため、食人への恐怖に託けてこの「家族への礼儀」を旧態依然であるとして批判しているのではないかと考えられる。

 

!注意 この記事は当ブログ管理人の完全オリジナル理論に基づいて書かれています。詳しくは中国語音韻学などに関する成書をご覧になってください。

 

漢字音符字典では、一つの例外的な読み方をする漢字グループを「紅一点家族」、複数の読み方をする漢字グループを「大家族」と名付けて分類しています。

一つの声符に一つの読みが対応していればよいのに、漢字ごとに微妙に読みが異なるため、新しい漢字を覚える際には苦労します。

なぜ一つの声符に複数の読みがあるのでしょうか?

 

声符の音が変化する理由について、高松正雄「日本漢字音概論」などを参考に一つの仮説を立てたので、以下に示します。

 

「折」を声符として持つグループ折、哲、誓、逝を考えます。

この漢字グループは同じ音符を持つにも関わらず、セツ、セイ、テツと3つの読み方に分かれています。なぜでしょうか?

私はこのような歴史的な流れを考えています。

 

1、最初に、テツという音を持つ漢字「折」が誕生。*1

2、これに言を足した「誓」、辶を足した「逝」、口を足した「哲」が作られる。

3、折、誓、逝は長年使われるうちに発音が簡略化されてセツになる。*2

4、誓、逝はさらに発音が簡略化されてセイになる。*3

 

音の変化をまとめると以下のようになる。

 

哲  折  誓  逝

テツ テツ テツ テツ

テツ セツ セツ セツ

テツ セツ セイ セイ

 

*1 実際は中国中古音以前の発音だがここではカタカナで表す。

*2 当ブログでは「子音変化のst変換」と名付けている。子音変化の中では非常に頻度の高い変化である。調音点(発音する際の舌の位置)が類似していることから起こるとされる。

*3 当ブログでは「母音変化」と名付けている。正確には韻母の変化とするべきだろうか。

 

一つの推測として、使用頻度の高い漢字ほど発音が簡略化されていき、使用頻度の低い漢字ほど発音の原型をとどめているのではないかと私は考えます。

 

漢字音符字典に記載されている漢字を調べた結果、非常に興味深い傾向がありました。それは、使用頻度の高いものほど不規則な読みをするということです。

 

児(旧字:兒ジ)を声符とする漢字グループを見てみます。

 

ジ:児  ゲイ:麑・睨・猊・鯢・霓・倪
 

児だけが字形、読み両方例外である「紅一点家族」です。このような声符そのものの漢字だけ例外になるような漢字グループは漢字音符字典ではよく現れます。私の推測として、この漢字グループでは、兒はゲイと読むのが本来の読み方であり、麑などはその字形、読みをとどめているが、使用頻度の高い「兒」そのものは両方とも変わってしまったのだろうと考えています。

 

ここで英語の、動詞の活用を例に挙げてみましょう。

 

go(行く)とscrab(こする)を考えてみます。

goのほうが使用頻度が高いのは明白ですが、活用を見てみると

 

go-went-gone

scrab-scrabbed-scrabbed

 

御覧のように、goは非常に不規則な変化ですが、scrabは規則に従った変化をしています。

おそらくgoも長い英語の歴史の中で特によくつかわれる言葉であったが故に当初の発音からかけ離れたものになっていったのでしょう。

漢字の声符にも同じ現象が起こっていると思われます。

先ほどの例では、哲よりも誓、逝のほうが使用頻度が高く、発音の簡略化が進みやすかったものと思われます。

 

古代の人々によって生み出された漢字は、多くの人が使う「ヒット商品」であるほど使いやすいようにその字形・発音を変えていったのです。残念なことにあまり使う人のいなかった漢字でも、当初の発音を正確に残している「生きた化石」のような役割を持っているのかもしれません。

くる病の手関節XPにおいて特徴的な所見がfrayingcuppingです。

frayingはfrayの現在分詞ですが、frayに「ぼろぼろにする」という意味があります。

a frayed coatで「擦り切れた上着」となります。frayingで「ほころび」という意味になります。cuppingは辞書には出ませんが、日本語らしくいうと「お椀状になる」といった意味になると思われます。

骨の縁取りの透過性が高く(fraying)、お椀の状態になっている(cupping)のが特徴的な所見ということになります。

くる病は骨の石灰化障害によりO脚などを来す疾患のことです。

 

くる病は漢字では「佝僂病」と書き

 

ク・まがる 背が曲がっていること

ル・まげる 背を曲げる

 

となっています。

発音について分析すると、佝クは亻が意符、句クが声符であり規則的発音です。僂は亻が意符、婁ル・ロウが声符なので規則的発音です。

「背中が曲がる病気」という意味になります。比較的素直で覚えやすい漢字だと思います。

漢字を覚える際は、クルという音から句婁と書き、人体に関する意味を持つ亻を添えて佝僂と完成させることができます。

関雎は詩経の最初に掲載されている詩であり、非常に有名です。

今回はこの詩を題材として四字熟語を学んでいこうと思います。

 

まず原文を提示します。

 

関関雎鳩 在河之洲
窈窕淑女 君子好逑

参差荇菜 左右流之
窈窕淑女 寤寐求之

求之不得 寤寐思服
悠哉悠哉 輾転反側

参差荇菜 左右采之
窈窕淑女 琴瑟友之

参差荇菜 左右芼之
窈窕淑女 鐘鼓楽之

 

この詩は大きく3つに分かれると思います。

最初に仲睦まじい夫婦のようすが水鳥になぞらえられて歌われます。

 

関関雎鳩 在河之洲
窈窕淑女 君子好逑

ここから回想シーンに入ります。

 

男の子がある女の子に恋い焦がれている様子が歌われます。

ベッドの上でその子を想っている様子が描かれています。

参差荇菜 左右流之
窈窕淑女 寤寐求之

求之不得 寤寐思服
悠哉悠哉 輾転反側

 

男の子の恋は成就し、二人は恋人同士になりました。

男の子は女の子を楽しませようと琴や太鼓を演奏します。

参差荇菜 左右采之
窈窕淑女 琴瑟友之

参差荇菜 左右芼之
窈窕淑女 鐘鼓楽之

 

この詩はある仲睦まじい夫婦が出会い、恋人同士となったいきさつを表現したものだと思われます。

関関(カンカン)、窈窕(ヨウチョウ)、参差(シンシ)といった語がリズムを作り、特に音声的に歯切れの良い詩となっています。

 

この美しい詩から、3つの四字熟語が誕生しました。

(※漢字の読み方についてはコチラの記事を参考にしてください)

 

関関雎鳩(かんかんしょきゅう)

夫婦の仲がよいこと。
「関関」は鳥がむつまじく鳴く声のたとえ。
「雎鳩」は水鳥のみさごの別名。
みさごのつがいが、仲良く和らいで鳴き交わしているということから。

syoは分類不能。鳩kyuuは声符九kyuuから規則的発音。

 

窈窕淑女(ようちょうしゅくじょ)

容姿が美しく慎み深い女性のこと。
「窈窕」は慎み深く、言動に落ち着きがあり上品なこと。
「淑女」は善良で気品がある女性のこと。
youは声符幼youから規則的発音。窕tyouは兆tyouから規則的発音。

輾転反側(てんてんはんそく)
なかなか寝付けずに、何度も寝返りをうつこと。
心配や悩みなどで眠れない様子をいう。
「輾転」と「反側」はどちらも寝返りをうつこと。
「展転反側」とも書く。
tenは展tenから規則的発音。

二字熟語についてもまとめておきます。

好逑(こうきゅう)
よいつれあい。よい配偶者。
kyuuは声符「求kyuu」から規則的発音。

寤寐(ごび)
目ざめていることと寝ていること。ねてもさめても。
goは声符「吾go」から規則的発音。寐ビは声符「未mi」からm-b変換であるが未はbiとも読めるため規則的発音とも考えられる。

琴瑟(きんしつ)
琴ことと瑟おおごと。
琴キンは声符「今kon」であるが、今にkinという発音があるため規則的発音とする。瑟situは声符「必hitu」であるため分類不能。
 

【参考文献】

中国名詩選(上), 松枝 茂夫 編, 岩波文庫 

四字熟語辞典オンライン

広辞苑第六版

今回は非常に面白い漢詩を発見したので紹介します。李白の作品です。

 

山中與幽人對酌 李白

 

兩人對酌山花開
一杯一杯復一杯
我醉欲眠卿且去
明朝有意抱琴來

 

両人対酌すれば山花開く
一杯一杯また一杯
我酔うて眠らんと欲す卿且く去れ
明朝意あらば琴を抱いて来たれ

 

李白は市中で生活することを避け、山奥で隠居生活を営みました。

「一杯一杯また一杯」とはユニークな表現です。

李白は「詩仙」と言われていますが、非常に酒好きであったため「酒仙」とも言われています。

 

この作品から、友達と酒を飲み、眠くなったら眠り、琴を弾き、詩を詠む、のんびりとした生活が見て取れます。

いかにも詩人らしい生活ではないかと思います。このような生活では生活資金の調達が問題になると思いますが、おそらく純粋に詩を作ること自体が生計をたてる手段として成立していたのではないかと思います。当時、詩の創作を志した人々にとっては理想的な生活だったのではないでしょうか。

現代社会でいうと、ピアニストとして生きていくようなものではないでしょうか。何かの仕事をしながら趣味としてピアノをやっている方は多くいらっしゃいますが、純粋にピアノで生計を立てることは並大抵ではないものです。李白の生活は、現代の私たちからしても、憧れの生活だと言えるかもしれませんね。

 

【参考文献】

中国名詩選(中), 松枝 茂夫 編, 岩波文庫