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もころぐ

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第九章 年少船員
(未成年者の行為能力)
第八十四条 未成年者が船員となるには、法定代理人の許可を受けなければならない。
② 前項の許可を受けた者は、雇入契約に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
(年少船員の就業制限)
第八十五条 船舶所有者は、年齢十六年未満の者を船員として使用してはならない。ただし、同一の家庭に属する者のみを使用する船舶については、この限りでない。
② 船舶所有者は、年齢十八年未満の船員を危険な船内作業又は当該船員の安全及び衛生上有害な作業に従事させてはならない。
③ 船舶所有者は、年齢十八年未満の者を船員として使用しようとするときは、その者の船員手帳に国土交通大臣の認証を受けなければならない。
④ 前項の認証に関し必要な事項は、国土交通省令でこれを定める。
(年少船員の夜間労働の禁止)
第八十六条 船舶所有者は、年齢十八年未満の船員を午後八時から翌日の午前五時までの間において作業に従事させてはならない。ただし、国土交通省令の定める場合において午前零時から午前五時までの間を含む連続した九時間の休息をさせるときは、この限りでない。
② 前項の規定は、第六十八条第一項第一号の作業に従事させる場合には、これを適用しない。
③ 第一項の規定は、漁船及び船舶所有者と同一の家庭に属する者のみを使用する船舶については、これを適用しない。
第九章の二 女子船員
(妊産婦の就業制限)
第八十七条 船舶所有者は、妊娠中の女子を船内で使用してはならない。
② 船舶所有者は、出産後八週間を経過しない女子を船内で使用してはならない。ただし、出産後六週間を経過した女子が船内で作業に従事することを申し出た場合において、その者の母性保護上支障がないと医師が認めたときは、この限りでない。
③ 船舶所有者は、第一項ただし書の規定に基づき、妊娠中の女子を船内で作業に従事させる場合において、その女子の申出があつたときは、その者を軽易な作業に従事させなければならない。
第八十八条 船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、妊娠中又は出産後一年以内の女子(以下「妊産婦」という。)の船員を国土交通省令で定める母性保護上有害な作業に従事させてはならない。
(妊産婦の労働時間及び休日の特例)
第八十八条の二 第六十一条、第六十四条から第六十五条の二まで、第六十五条の三第三項、第六十六条、第六十八条第一項及び第七十一条から第七十三条までの規定は、妊産婦の船員については、これを適用しない。
第八十八条の二の二 船舶所有者は、妊産婦の船員を第六十条第一項の規定による労働時間の制限を超えて作業に従事させてはならない。
第八十八条の三 船舶所有者は、妊産婦の船員に一週間について少なくとも一日の休日(第六十二条第一項の規定により与えられる補償休日を除く。)を与えなければならない。
(妊産婦の夜間労働の制限)
第八十八条の四 船舶所有者は、妊産婦の船員を午後八時から翌日の午前五時までの間において作業に従事させてはならない。ただし、国土交通省令で定める場合において、これと異なる時刻の間において午前零時前後にわたり連続して九時間休息させるときは、この限りでない。
(妊産婦以外の女子船員の就業制限)
第八十八条の六 船舶所有者は、妊産婦以外の女子の船員を第八十八条に規定する作業のうち国土交通省令で定める女子の妊娠又は出産に係る機能に有害なものに従事させてはならない。
(生理日における就業制限)
第八十八条の七 船舶所有者は、生理日における就業が著しく困難な女子の船員の請求があつたときは、その者を生理日において作業に従事させてはならない。
(適用範囲)
第八十八条の八 この章の規定は、船舶所有者と同一の家庭に属する者のみを使用する船舶については、これを適用しない。
第十章 災害補償
(療養補償)
第八十九条 船員が職務上負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、その負傷又は疾病がなおるまで、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。
② 船員が雇入契約存続中職務外で負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、三箇月の範囲内において、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。但し、その負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。
第九十条 前条の療養は、次の各号のものとする。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
六 治療に必要な自宅以外の場所への収容(食料の支給を含む。)
七 移送
(傷病手当及び予後手当)
第九十一条 船員が職務上負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、四箇月の範囲内においてその負傷又は疾病がなおるまで毎月一回、国土交通省令の定める報酬(以下標準報酬という。)の月額に相当する額の傷病手当を支払い、その四箇月が経過してもその負傷又は疾病がなおらないときは、そのなおるまで毎月一回、標準報酬の月額の百分の六十に相当する額の傷病手当を支払わなければならない。
② 船舶所有者は、前項の負傷又は疾病がなおつた後遅滞なく、標準報酬の月額の百分の六十に相当する額の予後手当を支払わなければならない。
③ 前二項の規定は、負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、これを適用しない。
(障害手当)
第九十二条 船員の職務上の負傷又は疾病がなおつた場合において、なおその船員の身体に障害が存するときは、船舶所有者は、なおつた後遅滞なく、標準報酬の月額に障害の程度に応じ別表に定める月数を乗じて得た額の障害手当を支払わなければならない。但し、その負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。
(行方不明手当)
第九十二条の二 船舶所有者は、船員が職務上行方不明となつたときは、三箇月の範囲内において、行方不明期間中毎月一回、国土交通省令の定める被扶養者に標準報酬の月額に相当する額の行方不明手当を支払わなければならない。但し、行方不明の期間が一箇月に満たない場合は、この限りでない。
(遺族手当)
第九十三条 船員が職務上死亡したときは、船舶所有者は、遅滞なく、国土交通省令の定める遺族に標準報酬の月額の三十六箇月分に相当する額の遺族手当を支払わなければならない。船員が職務上の負傷又は疾病に因り死亡したときも同様とする。
(葬祭料)
第九十四条 船員が職務上死亡したときは、船舶所有者は、遅滞なく、国土交通省令の定める遺族で葬祭を行う者に標準報酬の月額の二箇月分に相当する額の葬祭料を支払わなければならない。船員が職務上の負傷又は疾病に因り死亡したときも同様とする。
(他の給付との関係)
第九十五条 第八十九条から前条までの規定により療養又は費用、手当若しくは葬祭料の支払(以下災害補償と総称する。)を受くべき者が、その災害補償を受くべき事由と同一の事由により労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)若しくは船員保険法による保険給付又は国土交通省令で指定する法令に基いて災害補償に相当する給付を受くべきときは、船舶所有者は、災害補償の責を免れる。
(審査及び仲裁)
第九十六条 職務上の負傷、疾病、行方不明又は死亡の認定、療養の方法、災害補償の金額の決定その他災害補償の実施に関して異議のある者は、国土交通大臣に対して審査又は事件の仲裁を申し立てることができる。
第十一章 就業規則
(就業規則の作成及び届出)
第九十七条 常時十人以上の船員を使用する船舶所有者は、国土交通省令の定めるところにより、次の事項について就業規則を作成し、これを国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
一 給料その他の報酬
二 労働時間
三 休日及び休暇
四 定員
② 前項の船舶所有者は、次の事項について就業規則を作成したときは、これを国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
一 食料並びに安全及び衛生
二 被服及び日用品
三 陸上における宿泊休養医療及び慰安の施設
四 災害補償
五 失業手当、雇止手当及び退職手当
六 送還
七 教育
八 賞罰
九 その他の労働条件
③ 船舶所有者を構成員とする団体で法人たるものは、その構成員たる第一項の船舶所有者について適用される就業規則を作成して、これを届け出ることができる。その変更についても同様とする。
④ 前項の規定による届出があつたときは、同項に規定する船舶所有者は、当該就業規則の作成及びその作成又は変更の届出をしなくてもよい。
⑤ 第一項乃至第三項の規定による届出には、第九十八条の規定により聴いた意見を記載した書面を添附しなければならない。
(就業規則の作成の手続)
第九十八条 船舶所有者又は前条第三項に規定する団体は、就業規則を作成し、又は変更するには、その就業規則の適用される船舶所有者の使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは、船員の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
(就業規則の監督)
第九十九条 国土交通大臣は、法令又は労働協約に違反する就業規則の変更を命ずることができる。
② 国土交通大臣は、就業規則が不当であると認めるときは、交通政策審議会又は地方運輸局に置かれる政令で定める審議会(以下「交通政策審議会等」という。)の議を経て、その変更を命ずることができる。
(就業規則の効力)
第百条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める雇入契約は、その部分については、無効とする。この場合には、雇入契約は、その無効の部分については、就業規則で定める基準に達する労働条件を定めたものとみなす。
第十一章の二 船員の労働条件等の検査等
(定期検査)
第百条の二 総トン数五百トン以上の日本船舶(漁船その他国土交通省令で定める特別の用途に供される船舶を除く。以下「特定船舶」という。)の船舶所有者は、当該特定船舶を初めて本邦の港と本邦以外の地域の港との間又は本邦以外の地域の各港間の航海(以下「国際航海」という。)に従事させようとするときは、当該特定船舶に係る船員の労働条件、安全衛生その他の労働環境及び療養補償(以下「労働条件等」という。)について、国土交通大臣又は第百条の十二の規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録検査機関」という。)の行う定期検査を受けなければならない。次条第一項の海上労働証書又は第百条の六第三項の臨時海上労働証書の交付を受けた特定船舶をその有効期間満了後も国際航海に従事させようとするときも、同様とする。
2 前項の検査は、特定船舶以外の日本船舶(漁船その他同項の国土交通省令で定める特別の用途に供される船舶を除く。)であつて、国際航海に従事させようとするものについても、船舶所有者の申請により実施することができる。
(海上労働証書)
第百条の三 国土交通大臣は、国土交通大臣又は登録検査機関が前条第一項の検査の結果当該船舶が次に掲げる要件の全てに適合すると認めたときは、当該船舶の船舶所有者に対し、海上労働証書を交付しなければならない。
2 前項の海上労働証書(以下「海上労働証書」という。)の有効期間は、五年とする。
3 前条第一項後段の検査の結果第一項の規定による海上労働証書の交付を受けることができる特定船舶であつて、国土交通省令で定める事由により従前の海上労働証書の有効期間が満了するまでの間において当該検査に係る海上労働証書の交付を受けることができなかつたものについては、従前の海上労働証書の有効期間は、前項の規定にかかわらず、当該検査に係る海上労働証書が交付される日又は従前の海上労働証書の有効期間が満了する日の翌日から起算して五月を経過する日のいずれか早い日までの期間とする。
4 前二項の規定にかかわらず、海上労働証書の交付を受けた船舶の船舶所有者の変更があつたときは、当該船舶に交付された海上労働証書の有効期間は、その変更があつた日に満了したものとみなす。
5 次に掲げる場合における海上労働証書の有効期間は、第二項の規定にかかわらず、従前の海上労働証書の有効期間が満了する日の翌日から起算して五年を経過する日までの期間とする。
一 従前の海上労働証書の有効期間が満了する日前三月以内に受けた前条第一項後段の検査に係る海上労働証書の交付を受けたとき。
二 従前の海上労働証書の有効期間について第三項の規定の適用があつたとき。
(中間検査)
第百条の四 海上労働証書の交付を受けた船舶の船舶所有者は、当該海上労働証書の有効期間中において国土交通省令で定める時期に、当該船舶に係る船員の労働条件等について国土交通大臣又は登録検査機関の行う中間検査を受けなければならない。
(海上労働証書の効力の停止)
第百条の五 国土交通大臣は、国土交通大臣又は登録検査機関が前条の検査の結果当該船舶が第百条の三第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合していないと認めたときは、当該要件に適合するために必要な措置が講じられたものと認めるまでの間、当該船舶に交付された海上労働証書の効力を停止するものとする。
(臨時海上労働証書)
第百条の六 特定船舶の船舶所有者は、当該特定船舶について船舶所有者の変更があつたことその他の国土交通省令で定める事由により有効な海上労働証書の交付を受けていない当該特定船舶を臨時に国際航海に従事させようとするときは、当該特定船舶に係る船員の労働条件等について、国土交通大臣又は登録検査機関の行う検査を受けなければならない。
2 前項の検査は、特定船舶以外の日本船舶であつて、前項の国土交通省令で定める事由により有効な海上労働証書の交付を受けていないものを臨時に国際航海に従事させようとするものについても、船舶所有者の申請により実施することができる。
3 国土交通大臣は、国土交通大臣又は登録検査機関が第一項の検査の結果当該船舶が次に掲げる要件の全てに適合すると認めたときは、当該船舶の船舶所有者に対し、臨時海上労働証書を交付しなければならない。
4 前項の臨時海上労働証書(以下「臨時海上労働証書」という。)の有効期間は、六月とする。ただし、その有効期間は、当該船舶の船舶所有者が当該船舶について海上労働証書の交付を受けたときは、満了したものとみなす。
5 第百条の三第四項の規定は、臨時海上労働証書について準用する。
(特定船舶の航行)
第百条の七 特定船舶は、有効な海上労働証書又は臨時海上労働証書の交付を受けているものでなければ、国際航海に従事させてはならない。
(海上労働証書等の備置き)
第百条の八 海上労働証書又は臨時海上労働証書の交付を受けた特定船舶の船舶所有者は、当該特定船舶内に、国土交通省令で定めるところにより、これらの証書を備え置かなければならない。
(再検査)
第百条の九 第百条の二第一項、第百条の四又は第百条の六第一項の検査(以下「法定検査」という。)の結果に不服がある者は、その結果に関する通知を受けた日の翌日から起算して三十日以内に、その理由を記載した文書を添えて国土交通大臣に再検査を申請することができる。
2 法定検査又は前項の再検査の結果に不服がある者は、その取消しの訴えを提起することができる。
3 再検査を申請した者は、国土交通大臣の許可を受けた後でなければ関係する帳簿書類その他の物件の現状を変更してはならない。
4 法定検査の結果に不服がある者は、第一項及び第二項の規定によることによつてのみこれを争うことができる。
(証書の返納命令)
第百条の十 国土交通大臣は、海上労働証書の交付を受けた船舶が、第百条の三第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、当該船舶の船舶所有者に対し、海上労働証書の返納を命ずることができる。
2 国土交通大臣は、臨時海上労働証書の交付を受けた船舶が、第百条の六第三項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、当該船舶の船舶所有者に対し、臨時海上労働証書の返納を命ずることができる。
(国土交通省令への委任)
第百条の十一 法定検査の申請書の様式、法定検査の実施方法その他法定検査に関し必要な事項並びに海上労働証書及び臨時海上労働証書の様式、これらの証書の交付、再交付及び書換えその他これらの証書に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
第十一章の三 登録検査機関
(登録)
第百条の十二 第百条の二第一項の規定による登録(以下単に「登録」という。)は、法定検査を行おうとする者の申請により行う。
2 国土交通大臣は、前項の規定により登録の申請をした者(以下この項及び次項において「登録申請者」という。)が次に掲げる要件の全てに適合しているときは、その登録をしなければならない。この場合において、登録に関して必要な手続は、国土交通省令で定める。
一 次に掲げる条件のいずれかに適合する知識経験を有する者(第百条の十七において「検査員」という。)が検査を実施すること。
3 国土交通大臣は、登録申請者が、次の各号のいずれかに該当するときは、登録をしてはならない。
4 登録は、登録検査機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
一 登録年月日及び登録番号
二 登録を受けた者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
三 登録を受けた者が検査を行う事業所の所在地
四 前三号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項
(登録の更新)
第百条の十三 登録は、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
2 前条の規定は、前項の登録の更新について準用する。
(検査の義務)
第百条の十四 登録検査機関は、検査を行うことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、検査を行わなければならない。
2 登録検査機関は、公正に、かつ、第百条の十二第二項第一号に掲げる要件に適合する方法により検査を行わなければならない。
(登録事項の変更の届出)
第百条の十五 登録検査機関は、第百条の十二第四項第二号から第四号までに掲げる事項を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、国土交通大臣に届け出なければならない。
(検査業務規程)
第百条の十六 登録検査機関は、検査業務の開始前に、検査業務の実施に関する規程(以下この章において「検査業務規程」という。)を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の認可をした検査業務規程が検査業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、登録検査機関(外国にある事務所において検査業務を行う登録検査機関(以下「外国登録検査機関」という。)を除く。)に対し、その検査業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
3 検査業務規程には、検査業務の実施方法、専任の管理責任者の選任その他の検査業務の信頼性を確保するための措置、検査に関する料金その他の国土交通省令で定める事項を定めておかなければならない。
(検査員)
第百条の十七 登録検査機関は、検査員を選任したときは、その日から十五日以内に、国土交通大臣にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。
2 国土交通大臣は、検査員が、この法律、この法律に基づく命令若しくは処分若しくは前条第一項の規定により認可を受けた検査業務規程に違反する行為をしたとき、又は検査業務に関し著しく不適当な行為をしたときは、登録検査機関(外国登録検査機関を除く。)に対し、検査員の解任を命ずることができる。
3 前項の規定による命令により検査員の職を解任され、解任の日から二年を経過しない者は、検査員となることができない。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第百条の十八 登録検査機関の役員及び職員で検査業務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(財務諸表等の備付け及び閲覧等)
第百条の十九 登録検査機関は、毎事業年度経過後三月以内に、当該事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに事業報告書(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項、第百条の二十六第二項第四号及び第百三十三条の二において「財務諸表等」という。)を作成し、国土交通大臣に提出するとともに、五年間事務所に備えて置かなければならない。
2 船舶所有者その他の利害関係人は、登録検査機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号の請求をするには、登録検査機関の定めた費用を支払わなければならない。
(業務の休廃止)
第百条の二十 登録検査機関は、国土交通大臣の許可を受けなければ、検査業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(適合命令)
第百条の二十一 国土交通大臣は、登録検査機関(外国登録検査機関を除く。)が第百条の十二第二項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、その登録検査機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(改善命令)
第百条の二十二 国土交通大臣は、登録検査機関(外国登録検査機関を除く。)が第百条の十四の規定に違反していると認めるときは、その登録検査機関に対し、同条の規定による検査業務を行うべきこと又は検査の方法その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(準用)
第百条の二十三 第百条の十六第二項、第百条の十七第二項及び前二条の規定は、外国登録検査機関について準用する。この場合において、これらの規定中「命ずる」とあるのは、「請求する」と読み替えるものとする。
(報告の徴収)
第百条の二十四 国土交通大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、登録検査機関(外国登録検査機関を除く。)に対し、その業務又は経理の状況に関し報告をさせることができる。
(立入検査)
第百条の二十五 国土交通大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その職員に、登録検査機関(外国登録検査機関を除く。)の事務所又は事業所に立ち入り、業務の状況又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(登録の取消し等)
第百条の二十六 国土交通大臣は、登録検査機関(外国登録検査機関を除く。)が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて検査業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
2 国土交通大臣は、外国登録検査機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消すことができる。
3 前項第六号の検査に要する費用(政令で定めるものに限る。)は、当該検査を受ける外国登録検査機関の負担とする。
(帳簿の記載)
第百条の二十七 登録検査機関は、国土交通省令で定めるところにより、帳簿を備え、検査業務に関し国土交通省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(公示)
第百条の二十八 国土交通大臣は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
一 登録をしたとき。
二 第百条の十五の規定による届出があつたとき。
三 第百条の二十の規定による許可をしたとき。
四 第百条の二十六第一項の規定により登録を取り消し、又は検査業務の停止を命じたとき。
五 第百条の二十六第二項の規定により登録を取り消したとき。
第十二章 監督
(監督命令等)
第百一条 国土交通大臣は、この法律、労働基準法(船員の労働関係について適用される部分に限る。以下同じ。)又はこの法律に基づいて発する命令に違反する事実があると認めるときは、船舶所有者又は船員に対し、その違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
② 国土交通大臣は、前項の規定に基づく命令を発したにもかかわらず、船舶所有者又は船員がその命令に従わない場合において、船舶の航海の安全を確保するため特に必要があると認めるときは、その船舶の航行の停止を命じ、又はその航行を差し止めることができる。この場合において、その船舶が航行中であるときは、国土交通大臣は、その船舶の入港すべき港を指定することができる。
③ 国土交通大臣は、前項の規定による処分に係る船舶について、第一項に規定する事実がなくなつたと認めるときは、直ちにその処分を取り消さなければならない。
第百二条 国土交通大臣は、船舶所有者及び船員の間に生じた労働関係に関する紛争(労働関係調整法第六条の労働争議及び個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条第一項の個別労働関係紛争であつて同法第二十一条第一項の規定により読み替えられた同法第五条第一項の規定により地方運輸局長(運輸監理部長を含む。以下同じ。)が指名するあつせん員があつせんを委任されたものを除く。)の解決について、あつせんすることができる。
(外国における国土交通大臣の事務)
第百三条 この法律によつて国土交通大臣の行うべき事務は、外国にあつては、国土交通省令の定めるところにより、日本の領事官がこれを行う。
② 行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)に定めるもののほか、領事官の行う前項の事務に係る処分又はその不作為についての審査請求に関して必要な事項は、政令で定める。
(市町村が処理する事務)
第百四条 この法律に規定する国土交通大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令の定める基準により国土交通大臣の指定する市町村長が行うこととすることができる。
② 市町村長のした前項の事務(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務であるものに限る。)に係る処分についての審査請求は、国土交通大臣に対してするものとする。
③ 市町村長の行う第一項の事務(地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務であるものに限る。)に係る処分の不作為についての審査請求は、市町村長、都道府県知事又は国土交通大臣のいずれかに対してするものとする。
(船員労務官)
第百五条 国土交通大臣は、所部の職員の中から船員労務官を命じ、この法律及び労働基準法の施行に関する事項を掌らせる。
第百六条 船員労務官は、必要があると認めるときは、船舶所有者又は船員に対し、この法律、労働基準法及びこの法律に基いて発する命令の遵守に関し注意を喚起し、又は勧告をすることができる。
第百七条 船員労務官は、必要があると認めるときは、船舶所有者、船員その他の関係者に出頭を命じ、帳簿書類を提出させ、若しくは報告をさせ、又は船舶その他の事業場に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査し、若しくは船舶所有者、船員その他の関係者に質問をすることができる。
② 船員労務官は、必要があると認めるときは、旅客その他船内にある者に質問をすることができる。
③ 前二項の場合には、船員労務官は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
④ 第一項又は第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
⑤ 船員労務官の服制は、国土交通省令でこれを定める。
第百八条 船員労務官は、この法律、労働基準法及びこの法律に基づいて発する命令の違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察員の職務を行う。
第百八条の二 船員労務官は、第百一条第二項に規定する場合において、船舶の航海の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、同項に規定する国土交通大臣の権限を即時に行うことができる。
第百九条 船員労務官は、職務上知り得た秘密を漏してはならない。船員労務官を退職した後においても同様とする。
(交通政策審議会等の権限)
第百十条 交通政策審議会等は、国土交通大臣の諮問に応じ、この法律及び労働基準法の施行又は改正に関する事項を調査審議する。
② 交通政策審議会等は、船員の労働条件に関して、関係行政官庁に建議することができる。
(報告事項)
第百十一条 船舶所有者は、国土交通省令の定めるところにより、左の事項について、国土交通大臣に報告をしなければならない。
一 使用船員の数
二 給料その他の報酬の支払状況
三 災害補償の実施状況
四 その他国土交通省令の定める事項
(船員の申告)
第百十二条 この法律、労働基準法又はこの法律に基づいて発する命令に違反する事実があるときは、船員は、国土交通省令の定めるところにより、国土交通大臣、地方運輸局長、運輸支局長、地方運輸局、運輸監理部若しくは運輸支局の事務所の長又は船員労務官にその事実を申告することができる。
② 船舶所有者は、前項の申告をしたことを理由として、船員を解雇しその他船員に対して不利益な取扱を与えてはならない。
第十三章 雑則
(就業規則等の掲示等)
第百十三条 船舶所有者は、この法律、労働基準法、この法律に基づく命令、労働協約就業規則並びに協定を記載した書類を船内及びその他の事業場内の見やすい場所に掲示し、又は備え置かなければならない。
② 船舶所有者は、二千六年の海上の労働に関する条約を記載した書類を船内及びその他の事業場内の見やすい場所に掲示し、又は備え置かなければならない。
③ 海上労働証書又は臨時海上労働証書の交付を受けた特定船舶の船舶所有者は、これらの証書の写しを船内及びその他の事業場内の見やすい場所に掲示しなければならない。
(報酬、補償及び手当の調整)
第百十四条 船舶所有者は、給料その他の報酬、失業手当、送還手当、傷病手当又は行方不明手当のうち、その二以上をともに支払うべき期間については、いずれか一の多額のものを支払うを以て足りる。
② 船舶所有者は、給料その他の報酬を支払うべき場合において雇止手当又は予後手当を支払うべきときは、給料その他の報酬を支払うべき限度において、雇止手当又は予後手当の支払の義務を免れる。
(譲渡又は差押の禁止)
第百十五条 失業手当、雇止手当、送還の費用、送還手当又は災害補償を受ける権利は、これを譲り渡し、又は差し押えることができない。給料その他の報酬及び前条に規定する手当をともに支払うべき期間についての給料その他の報酬を受ける権利(これらの手当の額に相当する部分に関するものに限る。)についても同様とする。
(付加金の支払)
第百十六条 船舶所有者は、規定に違反したときは、これらの規定により船舶所有者が支払うべき金額についての次項の規定による請求の時における未払金額に相当する額の付加金を船員に支払わなければならない。
② 船員は、裁判所に対する訴えによつてのみ前項の付加金の支払を請求することができる。ただし、その訴えは、同項に規定する違反のあつた時から二年以内にこれをしなければならない。
(時効の特則)
第百十七条 船員の船舶所有者に対する債権は、これを行使することができる時から二年間(退職手当の債権にあつては、五年間)行使しないときは、時効によつて消滅する。船舶所有者に対する行方不明手当、遺族手当及び葬祭料の債権も同様とする。
(航海当直部員)
第百十七条の二 船舶所有者は、国土交通省令で定める船舶に航海当直をすべき職務を有する部員(第五項において「航海当直部員」という。)として部員を乗り組ませようとする場合には、次項の規定により証印を受けている者を、国土交通省令で定めるところにより乗り組ませなければならない。
(危険物等取扱責任者)
第百十七条の三 船舶所有者は、タンカー又は液化天然ガス等燃料船には、危険物又は有害物の取扱いに関する業務を管理すべき職務を有する者(第三項において「危険物等取扱責任者」という。)として、次項の規定により証印を受けている者を、国土交通省令で定めるところにより乗り組ませなければならない。
② 国土交通大臣は、国土交通省令で定めるところにより危険物又は有害物の取扱いに関する業務を管理するために必要な知識及び能力を有すると認定した者に対し、その者の船員手帳に当該認定をした旨の証印をする。
③ 前条第三項から第五項までの規定は、危険物等取扱責任者及び前項に規定する証印について準用する。
(特定海域運航責任者)
第百十七条の四 船舶所有者は、特定海域(海氷の状況その他の自然的条件により船舶の航行の安全の確保に支障を生じ、又は生じるおそれがあるため、その運航につき特別の知識及び技能が必要であると認められる海域として国土交通省令で定めるものをいう。)を航行する船舶には、海域の特性に応じた運航に関する業務を管理すべき職務を有する者(第三項において「特定海域運航責任者」という。)として、次項の規定により証印を受けている者を、国土交通省令で定めるところにより乗り組ませなければならない。
② 国土交通大臣は、国土交通省令で定めるところにより海域の特性に応じた運航に関する業務を管理するために必要な知識及び能力を有すると認定した者に対し、その者の船員手帳に当該認定をした旨の証印をする。
③ 第百十七条の二第三項から第五項までの規定は、特定海域運航責任者及び前項に規定する証印について準用する。
(救命艇手)
第百十八条 船舶所有者は、国土交通省令の定める船舶については、乗組員の中から国土交通省令の定める員数の救命艇手を選任しなければならない。
② 救命艇手は、救命艇手適任証書を受有する者でなければならない。
③ 国土交通大臣は、左に掲げる者に救命艇手適任証書を交付する。
一 国土交通省令の定めるところにより国土交通大臣の行なう試験に合格した者
二 国土交通省令の定めるところにより国土交通大臣が前号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認定した者
④ 国土交通大臣は、次項の規定により救命艇手適任証書の返納を命ぜられ、その日から一年を経過しない者に対しては、救命艇手適任証書の交付を行わないことができる。
⑤ 国土交通大臣は、救命艇手が、その職務に関してこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、その救命艇手適任証書の返納を命ずることができる。
⑥ 前各項に定めるもののほか、救命艇手及び救命艇手適任証書に関し必要な事項は、国土交通省令でこれを定める。
(旅客船の乗組員)
第百十八条の二 船舶所有者は、国土交通省令の定める旅客船には、国土交通省令の定めるところにより旅客の避難に関する教育訓練その他の航海の安全に関する教育訓練を修了した者以外の者を乗組員として乗り組ませてはならない。
(高速船の乗組員)
第百十八条の三 船舶所有者は、国土交通省令の定める高速船(最大速力が国土交通大臣の定める速力以上の船舶をいう。)には、国土交通省令の定めるところにより船舶の特性に応じた操船に関する教育訓練その他の航海の安全に関する教育訓練を修了した者以外の者を乗組員として乗り組ませてはならない。
(船内苦情処理手続)
第百十八条の四 船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、船内苦情処理手続(船員が航海中に船舶所有者に申出をしたこの法律、労働基準法及びこの法律に基づく命令に規定する事項並びに船員の労働条件等に関し国土交通省令で定める事項に関する苦情を処理する手続をいう。以下この条において同じ。)を定めなければならない。
② 船舶所有者は、雇入契約が成立したときは、遅滞なく、船内苦情処理手続を記載した書面を船員に交付しなければならない。
③ 船舶所有者は、船員から航海中に第一項の苦情の申出を受けた場合にあつては、船内苦情処理手続に定めるところにより、苦情を処理しなければならない。
④ 船舶所有者は、第一項の苦情の申出をしたことを理由として、船員に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない。
(戸籍証明)
第百十九条 船員、船員になろうとする者、船舶所有者又は船長は、船員又は船員になろうとする者の戸籍について、戸籍事務を管掌する者又はその代理者に対し無償で証明を請求することができる。
(経過措置)
第百十九条の二 この法律の規定に基づき、命令を制定し、又は改廃する場合においては、命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(年金制度、健康保険制度、雇用保険制度その他の社会保障制度及びこれらに関する政府の特別会計、労働関係調整制度その他の労働関係制度並びに罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(国及び公共団体に対する適用)
第百二十条 この法律、労働基準法及びこの法律に基いて発する命令は、国、都道府県、市町村その他これに準ずるものについても適用があるものとする。
(船舶職員及び小型船舶操縦者法の一部の適用除外)
第百二十条の二 船舶職員及び小型船舶操縦者法第三章第五節の規定は、船長については、適用しない。
(外国船舶の監督等)
第百二十条の三 国土交通大臣は、その職員に、日本船舶以外の船舶(第一条第一項の国土交通省令で定める船舶及び同条第二項各号に定める船舶を除く。以下この条において「外国船舶」という。)で国土交通省令で定めるものが国内の港にある間、当該外国船舶に立ち入り、当該外国船舶の乗組員の労働条件等が二千六年の海上の労働に関する条約に定める要件に適合しているかどうか及び当該外国船舶の乗組員が次に掲げる要件の全てに適合しているかどうかについて検査を行わせることができる。
一 千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約に定める航海当直の基準に従つた航海当直を実施していること。
二 操舵だ設備又は消防設備の操作その他の航海の安全の確保に関し国土交通省令で定める事項を適切に実施するために必要な知識及び能力を有していること。
② 国土交通大臣は、前項の検査を行う場合において必要があると認めるときは、その必要と認める限度において、当該外国船舶の帳簿書類その他の物件を検査し、当該外国船舶の乗組員に質問し、又は当該外国船舶の乗組員が同項第二号に定める知識及び能力を有するかどうかについて審査を行うことができる。
③ 国土交通大臣は、第一項の規定による検査の結果、当該外国船舶の乗組員の労働条件等が二千六年の海上の労働に関する条約に定める要件に適合していないと認めるとき、又は当該外国船舶の乗組員が同項各号に掲げる要件のいずれかに適合していないと認めるときは、当該外国船舶の船長に対し、これらの要件に適合するために必要な措置をとるべきことを文書により通告するものとする。
④ 国土交通大臣は、前項の規定に基づく通告をしたにもかかわらず、なお当該通告に係る措置がとられていない場合において、当該外国船舶の大きさ及び種類並びに航海の期間及び態様を考慮して、航海を継続することが人の生命、身体若しくは財産に危険を生ぜしめ、又は海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該外国船舶の航行の停止を命じ、又はその航行を差し止めることができる。
⑤ 国土交通大臣があらかじめ指定するその職員は、前項に規定する場合において、人の生命、身体若しくは財産に対する危険を防止し、又は海洋環境の保全を図るため緊急の必要があると認めるときは、同項に規定する国土交通大臣の権限を即時に行うことができる。
⑥ 第百一条第三項の規定は第四項の場合について、第百七条第三項及び第四項の規定は第一項の場合について、それぞれ準用する。この場合において、第百一条第三項中「前項」とあるのは「第百二十条の三第四項」と、「第一項に規定する事実がなくなつた」とあるのは「二千六年の海上の労働に関する条約に定める要件及び同条第一項各号に定める要件に適合するために必要な措置がとられた」と、第百七条第三項中「前二項」とあるのは「第百二十条の三第一項」と、「船員労務官」とあるのは「同条第一項の規定により立入検査をする職員」と、同条第四項中「第一項又は第二項」とあるのは「第百二十条の三第一項」と読み替えるものとする。
⑦ 第百十二条の規定は、外国船舶の乗組員について準用する。この場合において、同条第一項中「この法律、労働基準法又はこの法律に基づいて発する命令」とあるのは「二千六年の海上の労働に関する条約」と、「船員労務官」とあるのは「国土交通大臣があらかじめ指定するその職員」と読み替えるものとする。
(命令の制定)
第百二十一条 この法律に基いて発する命令は、その草案について公聴会を開いて、船員及び船舶所有者のそれぞれを代表する者並びに公益を代表する者の意見を聴いて、これを制定するものとする。
(手数料の納付)
第百二十一条の二 次に掲げる者(第百四条第一項の規定により市町村長が行う事務に係る申請をする者を除く。)は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納めなければならない。
一 船員手帳の交付、再交付、訂正又は書換えを受けようとする者
二 第八十二条の二第二項の衛生管理者適任証書又は第百十八条第二項の救命艇手適任証書の再交付を受けようとする者
三 第八十二条の二第三項第一号又は第百十八条第三項第一号の試験を受けようとする者
四 第八十二条の二第三項第二号又は第百十八条第三項第二号の規定による認定を受けようとする者
五 法定検査(国土交通大臣が行うものに限る。)を受けようとする者
六 海上労働証書又は臨時海上労働証書の交付を受けようとする者(登録検査機関が検査を行つた船舶に係るこれらの証書の交付を受けようとする者に限る。)
七 海上労働証書又は臨時海上労働証書の再交付又は書換えを受けようとする者
(事務の区分)
第百二十一条の三 第百四条第三項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
(権限の委任)
第百二十一条の四 この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令の定めるところにより、その一部を地方運輸局長に委任することができる。
② 前項の規定により地方運輸局長に委任された権限は、国土交通省令の定めるところにより、運輸支局長又は地方運輸局、運輸監理部若しくは運輸支局の事務所の長に委任することができる。
 

 

(この法律に違反する契約)

第三十一条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める雇入契約(予備船員については、雇用契約。)は、その部分については、無効とする。この場合には、雇入契約は、その無効の部分については、この法律で定める基準に達する労働条件を定めたものとみなす。

(雇入契約の締結前の書面の交付等)

第三十二条 船舶所有者は、雇入契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該雇入契約の相手方となろうとする者(次項において「相手方」という。)に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。

一 船舶所有者名称又は氏名及び住所

二 給料労働時間その他の労働条件に関する事項であつて、雇入契約の内容とすることが必要なものとして国土交通省令で定めるもの

② 前項の場合において、当該雇入契約に係る航海が海上運送法第二十六条第一項の規定による命令によるものであるときは、船舶所有者は、あらかじめ、相手方に対し、その旨を書面を交付して説明しなければならない。

③ 船舶所有者は、雇入契約の内容を変更しようとするときは、あらかじめ、船員に対し、当該変更の内容について書面を交付して説明しなければならない。

④ 第二項の規定は、前項の場合について準用する。

(募集受託者又は船員職業紹介事業者を利用した船員の雇入れの制限)

第三十二条の二 船舶所有者は、次に掲げる者を船員として雇い入れてはならない。

一 当該船舶所有者が、船員職業安定法の許可を受けないで日本国内において募集受託者に行わせた船員の募集に応じた者

二 船員職業安定法の許可を受けて、又は届出をして船員職業紹介事業を行う者以外の者が日本国内において当該船舶所有者に紹介した求職者

三 当該船舶所有者が、外国において、当該外国における船員の募集を適確に実施することができるものとして国土交通省令で定める基準に適合しない募集受託者に行わせた船員の募集に応じた者

四 外国において、当該外国における船員職業紹介事業を適確に実施することができるものとして国土交通省令で定める基準に適合しない者が当該船舶所有者に紹介した求職者

(賠償予定の禁止)

第三十三条 船舶所有者は、雇入契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

(貯蓄金の管理等)

第三十四条 船舶所有者は、雇入契約に附随して、貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。

② 船舶所有者は、船員の委託を受けてその貯蓄金を管理しようとする場合においては、国土交通省令の定めるところにより、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを国土交通大臣に届け出なければならない。

③ 船舶所有者は、船員の委託を受けてその貯蓄金の管理をする場合において、貯蓄金の管理が預金の受入れであるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利率が金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して国土交通省令の定める利率を下るときは、その国土交通省令の定める利率による利子をつけることとしたものとみなす。

④ 船員は、船舶所有者に管理を委託した貯蓄金については、いつでも、返還を請求することができる。

(相殺の制限)

第三十五条 船舶所有者は、船員に対する債権と給料の支払の債務とを相殺してはならない。但し、相殺の額が給料の額の三分の一を超えないとき及び船員犯罪行為に因る損害賠償の請求権を以てするときは、この限りでない。

(雇入契約の成立時の書面の交付等)

第三十六条 船舶所有者は、雇入契約が成立したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を船員に交付しなければならない。

一 第三十二条第一項各号に掲げる事項

二 当該雇入契約を締結した船員の氏名、住所及び生年月日

三 当該雇入契約を締結した場所及び年月日

② 船舶所有者は、雇入契約の内容を変更したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その変更の内容並びに当該変更について船員と合意した場所及び年月日を記載した書面を船員に交付しなければならない。

③ 船舶所有者は、前二項の書面の写しを船内に備え置かなければならない。

(雇入契約の成立等の届出)

第三十七条 船長は、雇入契約の成立、終了、更新又は変更(以下「雇入契約の成立等」という。)があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、国土交通大臣に届け出なければならない。

② 前項の場合において船長が届け出ることができないときは、船舶所有者は、船長に代わつて届け出なければならない。

第三十八条 国土交通大臣は、雇入契約の成立等の届出があつたときは、その雇入契約が航海の安全又は船員の労働関係に関する法令の規定に違反するようなことがないかどうか及び当事者の合意が充分であつたかどうかを確認するものとする。この場合において、国土交通大臣は、必要があると認めるときは、第百一条第一項の規定による命令その他必要な措置を講ずるものとする。

(沈没等に因る雇入契約の終了)

第三十九条 船舶が左の各号の一に該当する場合には、雇入契約は、終了する。

一 沈没又は滅失したとき。

二 全く運航に堪えなくなつたとき。

② 船舶の存否が一箇月間分らないときは、船舶は、滅失したものと推定する。

③ 第一項の規定により雇入契約が終了したときでも、船員は、人命、船舶又は積荷の応急救助のために必要な作業に従事しなければならない。

④ 前項の規定により応急救助の作業に従事する場合には、第一項の規定にかかわらず、その作業が終了するまでは、雇入契約は、なお存続する。船員がその作業の終了後引き続き遺留品の保全、船員の送還その他必要な残務の処理に従事する場合において、その処理が終了するまでの間についても、同様とする。

⑤ 前項後段の規定により雇入契約が存続する間においては、船舶所有者又は船員は、いつでも、当該雇入契約を解除することができる。

(雇入契約の解除)

第四十条 船舶所有者は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。

一 船員が著しく職務に不適任であるとき。

二 船員が著しく職務を怠つたとき、又は職務に関し船員に重大な過失のあつたとき。

三 海員が船長の指定する時までに船舶に乗り込まないとき。

四 海員が著しく船内の秩序をみだしたとき。

五 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。

六 前各号の場合を除いて、やむを得ない事由のあるとき。

第四十一条 船員は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。

一 船舶が雇入契約の成立の時における国籍を失つたとき。

二 雇入契約により定められた労働条件と事実とが著しく相違するとき。

三 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。

四 船員が国土交通省令の定めるところにより教育を受けようとするとき。

② 船舶が外国の港からの航海を終了した場合において、その船舶に乗り組む船員が、二十四時間以上の期間を定めて書面で雇入契約の解除の申入をしたときは、その期間が満了した時に、その者の雇入契約は、終了する。

③ 海員は、船長の適当と認める自己の後任者を提供したときは、雇入契約を解除することができる。

第四十二条 期間の定のない雇入契約は、船舶所有者又は船員が二十四時間以上の期間を定めて書面で解除の申入をしたときは、その期間が満了した時に終了する。

(船舶所有者の変更に因る雇入契約の終了)

第四十三条 相続その他の包括承継の場合を除いて、船舶所有者の変更があつたときは、雇入契約は、終了する。

② 前項の場合には、雇入契約の終了の時から、船員と新所有者との間に従前と同一条件の雇入契約が存するものとみなす。この場合には、船員は、前条の規定に準じて雇入契約を解除することができる。

(雇入契約の延長)

第四十四条 雇入契約が終了した時に船舶が航行中の場合には、次の港に入港してその港における荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで、雇入契約が終了した時に船舶が停泊中の場合には、その港における荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで、その雇入契約は、存続するものとみなす。

② 船舶所有者は、雇入契約が適当な船員を補充することのできない港において終了する場合には、適当な船員を補充することのできる港に到着して荷物の陸揚及び旅客の上陸が終る時まで、雇入契約を存続させることができる。但し、第四十一条第一項第一号乃至第三号の場合は、この限りでない。

(解雇制限)

第四十四条の二 船舶所有者は、船員が職務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため作業に従事しない期間及びその後三十日間並びに女子の船員が第八十七条第一項又は第二項の規定によつて作業に従事しない期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、療養のため作業に従事しない期間が三年を超えた場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

② 前項但書の天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、その事由について国土交通大臣の認定を受けなければならない。

(解雇の予告)

第四十四条の三 船舶所有者は、予備船員を解雇しようとする場合においては、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない船舶所有者は、一箇月分の給料の額と同額の予告手当を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は予備船員の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。

② 前項の予告の日数は、一日について、国土交通省令の定めるところにより算定する給料の額と同額の予告手当を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

③ 第一項但書の場合においては、その事由について国土交通大臣の認定を受けなければならない。

(失業手当)

第四十五条 船舶所有者は、第三十九条の規定により雇入契約が終了したときは、その翌日から二箇月の範囲内において、船員の失業期間中毎月一回その失業日数に応じ給料の額と同額の失業手当を支払わなければならない。

(雇止手当)

第四十六条 船舶所有者は、左の各号の一に該当する場合には、遅滞なく、船員に一箇月分の給料の額と同額の雇止手当を支払わなければならない。

一 第四十条第六号の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。

二 第四十一条第一項第一号又は第二号の規定により船員が雇入契約を解除したとき。

三 第四十二条の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。

四 第四十三条第一項の規定により雇入契約が終了したとき。

五 船員が第八十三条の健康証明書を受けることができないため雇入契約が解除されたとき。

(送還)

第四十七条 船舶所有者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、遅滞なくその費用で、船員の希望により、雇入港又は雇入港までの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地(雇入れのため雇入港に招致した船員及び未成年者の船員にあつては、雇入港若しくは雇入契約の成立の時における船員の居住地又はこれらのいずれかまでの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地。次項において「雇入港等」という。)まで船員を送還しなければならない。ただし、送還に代えてその費用を支払うことができる。

一 第三十九条の規定により雇入契約が終了したとき。

二 第四十条第一号又は第六号の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。

三 第四十条第五号又は第四十一条第一項第三号の規定により船舶所有者又は船員が雇入契約を解除したとき。ただし、船員の職務外の負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。

四 第四十一条第一項第一号又は第二号の規定により船員が雇入契約を解除したとき。

五 第四十二条の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。

六 第四十三条第二項の規定により船員が雇入契約を解除したとき。

七 雇入契約が期間の満了により船員の本国以外の地で終了したとき。

八 船員が第八十三条の健康証明書を受けることができないため雇入契約が解除されたとき。

② 船舶所有者は、船員が自己の負担においてその希望する雇入港等まで移動することができないときは、遅滞なくその費用で、船員の希望により、雇入港等まで船員を送還しなければならない。ただし、送還に代えてその費用を支払うことができる。

③ 前二項の規定により船員を送還する場合における輸送手段は、正当な理由がある場合を除き、船員の希望に応じたものでなければならない。

④ 船舶所有者は、第二項の規定により、その費用で船員を送還したとき、又は送還に代えてその費用を支払つたときは、船員に対し、当該費用の償還を請求することができる。

(送還の費用)

第四十八条 船舶所有者の負担すべき船員の送還の費用は、送還中の運送賃宿泊費及び食費並びに雇入契約の終了の時から遅滞なく出発する時までの宿泊費及び食費とする。

(送還手当)

第四十九条 船舶所有者は、第四十七条第一項の規定により船員を送還する場合には、船員の送還に要する日数に応じ給料の額と同額の送還手当を支払わなければならない。同項ただし書の規定により送還に代えてその費用を支払うときも同様とする。

② 前項の送還手当は、船舶所有者が送還するときは、毎月一回、送還に代えてその費用を支払うときは、その際これを支払わなければならない。

(船員手帳)

第五十条 船員は、船員手帳を受有しなければならない。

② 船長は、海員の乗船中その船員手帳を保管しなければならない。

③ 船長は、国土交通省令で定めるところにより、船内における職務、雇入期間その他の船員の勤務に関する事項を船員手帳に記載しなければならない。

④ 船員手帳の交付、再交付、訂正、書換え及び返還に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

(勤務成績証明書)

第五十一条 海員は、船長に対し勤務の成績に関する証明書の交付を請求することができる。

第五章 給料その他の報酬

(給料その他の報酬の定め方)

第五十二条 船員の給料その他の報酬は、船員労働の特殊性に基き、且つ船員の経験、能力及び職務の内容に応じて、これを定めなければならない。

(給料その他の報酬の支払方法)

第五十三条 給料その他の報酬は、その全額を通貨で、第五十六条の規定による場合を除き直接船員に支払わなければならない。ただし、法令又は労働協約に別段の定めがある場合においては給料その他の報酬の一部を控除して支払い、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は給料その他の報酬で国土交通省令で定めるものについて確実な支払の方法で国土交通省令で定めるものによる場合においては通貨以外のもので支払うことができる。

② 国土交通省令の定める報酬を除いて、給料その他の報酬は、これを毎月一回以上一定の期日に支払わなければならない。

③ 船舶所有者は、船員に給料その他の報酬を支払う場合においては、国土交通省令で定めるところにより、船員に対し、給料その他の報酬の支払に関する事項を記載した書面を交付しなければならない。

第五十四条 船舶所有者は、左の場合には、支払期日前でも遅滞なく、船員が職務に従事した日数に応じ、前条第二項に規定する給料その他の報酬を支払わなければならない。

一 船員が解雇され、又は退職したとき。

二 船員、その同居の親族又は船員の収入によつて生計を維持する者が結婚、葬祭、出産、療養又は不慮の災害の復旧に要する費用に充てようとする場合において、船員から請求のあつたとき。

第五十五条 船長は、海員の給料その他の報酬が船内において支払われるときは、直接海員にこれを手渡さなければならない。但し、やむを得ない事由のあるときは、他の職員に手渡させることができる。

第五十六条 船舶所有者は、船員から請求があつたときは、船員に支払わるべき給料その他の報酬をその同居の親族又は船員の収入によつて生計を維持する者に渡さなければならない。

(傷病中の給料請求権)

第五十七条 船員は、負傷又は疾病のため職務に従事しない期間についても、雇入契約存続中給料及び国土交通省令の定める手当を請求することができる。但し、その負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。

(歩合による報酬)

第五十八条 船員の報酬が歩合によつて支払われる場合においては、その歩合による毎月の額が雇入契約に定める一定額に達しないときでも、その報酬の額は、その一定額を下つてはならない。

② 第三十五条及び前条の規定の適用については、前項に規定する一定額の報酬は、これを給料とみなす。

③ 船員の報酬が歩合によつて支払われるときは、第四十四条の三、第四十五条、第四十六条、第四十九条及び第七十八条の規定の適用については、雇入契約に定める額を以て一箇月分の給料の額とみなす。

④ 前項の額は、第一項の一定額以下であつてはならない。

(報酬支払簿)

第五十八条の二 船舶所有者は、国土交通省令の定めるところにより、報酬支払簿を備え置いて、船員に対する給料その他の報酬の支払に関する事項を記載しなければならない。

(最低報酬)

第五十九条 給料その他の報酬の最低基準に関しては、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)の定めるところによる。

第六章 労働時間、休日及び定員

(労働時間)

第六十条 船員の一日当たりの労働時間は、八時間以内とする。

② 船員の一週間当たりの労働時間は、基準労働期間について平均四十時間以内とする。

③ 前項の基準労働期間とは、船舶の航行区域、航路その他の航海の期間及び態様に係る事項を勘案して国土交通省令で定める船舶の区分に応じて一年以下の範囲内において国土交通省令で定める期間をいう。

④ 国土交通大臣は、前項の国土交通省令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、交通政策審議会の議を経なければならない。

(休日)

第六十一条 船舶所有者が船員に与えるべき休日は、前条第二項の基準労働期間について一週間当たり平均一日以上とする。

(補償休日)

第六十二条 船舶所有者は、船員の労働時間が一週間において四十時間を超える場合又は船員に一週間において少なくとも一日の休日を与えることができない場合には、その超える時間(当該一週間において少なくとも一日の休日が与えられない場合にあつては、その超える時間が八時間を超える時間。次項において「超過時間」という。)において作業に従事すること又はその休日を与えられないことに対する補償としての休日(以下「補償休日」という。)を、当該一週間に係る第六十条第二項の基準労働期間以内にその者に与えなければならない。ただし、船舶が航海の途中にあるときその他の国土交通省令で定めるやむを得ない事由のあるときは、その事由の存する期間、補償休日を与えることを延期することができる。

第六十三条 船舶所有者は、前条第一項の規定により補償休日を与えるべき船員が当該補償休日を与えられる前に解雇され、又は退職したときは、その者に与えるべき補償休日の日数に応じ、国土交通省令で定める補償休日手当を支払わなければならない。

(時間外、補償休日及び休息時間の労働)

第六十四条 船長は、船舶の航海の安全を確保するため臨時の必要があるときは、第六十条第一項の規定若しくは第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて、自ら作業に従事し、若しくは海員を作業に従事させ、又は第六十二条第一項若しくは第六十五条の三の規定にかかわらず、補償休日若しくは休息時間において、自ら作業に従事し、若しくは海員を作業に従事させることができる。

② 船長は、前項に規定する場合のほか、船舶が狭い水路を通過するため航海当直の員数を増加する必要がある場合その他の国土交通省令で定める特別の必要がある場合においては、国土交通省令で定める時間を限度として、第六十条第一項の規定又は第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて、自ら作業に従事し、又は海員を作業に従事させることができる。

③ 船長は、第一項の規定により、補償休日又は休息時間において、自ら作業に従事し、又は海員を作業に従事させたときは、船舶の運航の安全の確保に支障を及ぼさない限りにおいて、当該作業の終了後できる限り速やかに休息をし、又は休息をさせるよう努めなければならない。

第六十四条の二 船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを国土交通大臣に届け出た場合においては、その協定で定めるところにより、第六十条第一項の規定又は第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて船員を作業に従事させることができる。

② 国土交通大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、船員の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。

③ 第一項の協定をする船舶所有者及び労働組合又は船員の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。

④ 国土交通大臣は、第二項の基準に関し、第一項の協定をする船舶所有者及び労働組合又は船員の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

第六十五条 船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを国土交通大臣に届け出た場合においては、第六十二条第一項の規定にかかわらず、その協定で定めるところにより、かつ、国土交通省令で定める補償休日の日数を限度として、補償休日において船員を作業に従事させることができる。

(労働時間の限度)

第六十五条の二 第六十四条第二項の規定により第六十条第一項の規定又は第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて船員を作業に従事させる場合であつても、船員の一日当たりの労働時間及び一週間当たりの労働時間は、第六十条第一項の規定及び第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間並びに海員にあつては次項の規定による作業に従事する労働時間を含め、それぞれ十四時間及び七十二時間を限度とする。

② 第六十四条の二第一項の規定により第六十条第一項の規定又は第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて海員を作業に従事させる場合であつても、海員の一日当たりの労働時間及び一週間当たりの労働時間は、第六十条第一項の規定及び第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間並びに前項の規定による作業に従事する労働時間を含め、それぞれ十四時間及び七十二時間を限度とする。

③ 船舶所有者は、船員を前二項に規定する労働時間の限度を超えて作業に従事させてはならない。

④ 第六十四条第一項の規定により船員が作業に従事した労働時間は、第一項及び第二項に規定する労働時間には算入しないものとする。

⑤ 第一項から第三項までの規定は、海底の掘削に従事する船舶その他のその航海の態様が特殊であるため船員がこれらの規定によることが著しく不適当な職務に従事することとなると認められる船舶として国土交通省令で定めるものについては、適用しない。

(休息時間)

第六十五条の三 船舶所有者は、休息時間を一日について三回以上に分割して船員に与えてはならない。

② 船舶所有者は、前項に規定する休息時間を一日について二回に分割して船員に与える場合において、休息時間のうち、いずれか長い方の休息時間を六時間以上としなければならない。

(割増手当)

第六十六条 船舶所有者は、船員が労働時間の制限を超えて又は補償休日において作業に従事したときは、国土交通省令で定める割増手当を支払わなければならない。

(通常配置表)

第六十六条の二 船長は、第十二条から第十四条までに規定する場合その他非常の場合以外の通常の場合における船員の船内作業の時間帯及び作業内容に関し、国土交通省令で定めるところにより、通常配置表を定め、これを船員室その他適当な場所に掲示しておかなければならない。

(記録簿の備置き等)

第六十七条 船長は、国土交通省令で定めるところにより、船内に帳簿を備え置いて、船員の労働時間、補償休日、休息時間及び第六十六条(第八十八条の二の二第四項及び第五項並びに第八十八条の三第四項において準用する場合を含む。)の割増手当に関する事項を記載しなければならない。

② 船長は、国土交通省令で定めるところにより、船員に対し、前項の帳簿の写しを交付しなければならない。

③ 船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、休日付与簿を備え置いて、船員に対する休日の付与に関する事項を記載しなければならない。

(例外規定)

第六十八条 第六十条から前条までの規定及び第七十二条の国土交通省令の規定は、船員が次に掲げる作業に従事する場合(海員にあつては、船長の命令によりこれらの作業に従事する場合に限る。)には、これを適用しない。

一 人命、船舶若しくは積荷の安全を図るため又は人命若しくは他の船舶を救助するため緊急を要する作業

二 防火操練救命艇操練その他これらに類似する作業

三 航海当直の通常の交代のために必要な作業

② 船長は、補償休日又は休息時間において、前項各号に掲げる作業に自ら従事し、又は海員を従事させたときは、船舶の運航の安全の確保に支障を及ぼさない限りにおいて、当該作業の終了後できる限り速やかに休息をし、又は休息をさせるよう努めなければならない。

(定員)

第六十九条 船舶所有者は、国土交通省令で定める場合を除いて、第六十条第一項の規定又は第七十二条の国土交通省令の規定を遵守するために必要な海員の定員を定めて、その員数の海員を乗り組ませなければならない。

② 船舶所有者は、航海中海員に欠員を生じたときは、遅滞なくその欠員を補充しなければならない。

第七十条 船舶所有者は、前条の規定によるほか、航海当直その他の船舶の航海の安全を確保するための作業を適切に実施するために必要な員数の海員を乗り組ませなければならない。

(適用範囲等)

第七十一条 第六十条から第六十九条までの規定は、次に掲げる船舶については、これを適用しない。

一 漁船

二 船員が断続的作業に従事する船舶で船舶所有者が国土交通大臣の許可を受けたもの

② 前項各号の船舶に係る前条の規定の適用については、同条中「前条の規定によるほか、航海当直」とあるのは、「航海当直」とする。

(特例)

第七十二条 定期的に短距離の航路に就航するため入出港が頻繁である船舶その他のその航海の態様が特殊であるため船員が第六十条第一項の規定によることが著しく不適当な職務に従事することとなると認められる船舶で国土交通大臣の指定するものに関しては、当該船舶の航海の態様及び当該船員の職務に応じ、国土交通省令で定める一定の期間を平均した一日当たりの労働時間が八時間を超えず、かつ、一日当たりの労働時間が十四時間を超えない範囲内において、船員の一日当たりの労働時間について国土交通省令で別段の定めをすることができる。

第七十三条 国土交通大臣は、必要があると認めるときは、交通政策審議会の決議により、第六十条から第六十九条までの規定の適用を受けない船員の労働時間、休日及び定員に関し必要な国土交通省令を発することができる。

第七章 有給休暇

(有給休暇の付与)

第七十四条 船舶所有者は、船員が同一の事業に属する船舶において初めて六箇月間連続して勤務(船舶のぎ装又は修繕中の勤務を含む。以下同じ。)に従事したときは、その六箇月の経過後一年以内にその船員に次条第一項又は第二項の規定による日数の有給休暇を与えなければならない。ただし、船舶が航海の途中にあるとき、又は船舶の工事のため特に必要がある場合において国土交通大臣の許可を受けたときは、当該航海又は工事に必要な期間(工事の場合にあつては、三箇月以内に限る。)、有給休暇を与えることを延期することができる。

② 船舶所有者は、船員が前項の規定により与えられた有給休暇に係る連続した勤務の後に当該同一の事業に属する船舶において一年間連続して勤務に従事したときは、その一年の経過後一年以内にその船員に次条第三項又は第四項の規定による日数の有給休暇を与えなければならない。

③ 第一項ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

④ 船員が同一の事業に属する船舶における勤務に準ずる勤務として国土交通省令で定めるものに従事した期間並びに船員が職務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため勤務に従事しない期間、育児休業によつて勤務に従事しない期間は、連続して勤務に従事した期間の計算については、同一の事業に属する船舶において勤務に従事した期間とみなす。

⑤ 船舶における勤務が中断した場合において、その中断の事由が船員の故意又は過失によるものでなく、かつ、その中断の期間の合計が一年当たり六週間を超えないときは、その中断の期間は、船員が当該期間の前後の勤務と連続して勤務に従事した期間とみなす。

(有給休暇の日数)

第七十五条 前条第一項の規定により与えなければならない有給休暇の日数は、連続した勤務六箇月について十五日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに五日を加える。ただし、同項ただし書の規定により有給休暇の付与を延期したときは、その延期した期間一箇月を増すごとに二日を加える。

② 沿海区域又は平水区域を航行区域とする船舶で国内各港間のみを航海するものに乗り組む船員に与えなければならない有給休暇の日数は、連続した勤務六箇月について十日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに三日を加える。

③ 前条第二項の規定により与えなければならない有給休暇の日数は、連続した勤務一年について二十五日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに五日を加える。ただし、同条第三項において準用する同条第一項ただし書の規定により有給休暇の付与を延期したときは、その延期した期間一箇月を増すごとに二日を加える。

④ 第二項に規定する船員に前条第二項の規定により与えなければならない有給休暇の日数は、前項の規定にかかわらず、連続した勤務一年について十五日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに三日(同項ただし書に規定する期間については、一箇月を増すごとに一日)を加える。

第七十六条 船舶所有者が船員に週休日、祝祭日の休日、慣習による休日又はこれらに代わるべき休日を与えているときは、その休日の日数は、これを前条の有給休暇の日数に算入しないものとする。負傷又は疾病に因り勤務に従事しない日数も同様とする。

(有給休暇の与え方)

第七十七条 有給休暇を与うべき時期及び場所については、船舶所有者と船員との協議による。

② 有給休暇は、労働協約の定めるところにより、期間を分けて、これを与えることができる。

(有給休暇中の報酬)

第七十八条 船舶所有者は、有給休暇中船員に給料並びに国土交通省令の定める手当及び食費を支払わなければならない。

② 船舶所有者は、有給休暇を請求することができる船員が有給休暇を与えられる前に解雇され、又は退職したときは、その者に与うべき有給休暇の日数に応じ前項の給料、手当及び食費を支払わなければならない。

(適用範囲等)

第七十九条 この章の規定は、左の船舶については、これを適用しない。

一 漁船

二 船舶所有者と同一の家庭に属する者のみを使用する船舶

第七十九条の二 国土交通大臣は、必要があると認めるときは、交通政策審議会の決議により、漁船に乗り組む船員の有給休暇に関し必要な国土交通省令を発することができる。

第八章 食料並びに安全及び衛生

(食料の支給)

第八十条 船舶所有者は、船員の乗船中、これに食料を支給しなければならない。

② 前項の規定による食料の支給は、船員が職務に従事する期間又は船員が負傷若しくは疾病のため職務に従事しない期間においては、船舶所有者の費用で行わなければならない。

③ 第一項の規定による食料の支給は、遠洋区域若しくは近海区域を航行区域とする船舶で総トン数七百トン以上のもの又は国土交通省令で定める漁船に乗り組む船員に支給する場合にあつては、国土交通大臣の定める食料表に基づいて行わなければならない。

④ 船舶所有者は、その大きさ、航行区域及び航海の態様を勘案して国土交通省令で定める船舶には、第一項の規定による船内における食料の支給を適切に行う能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に該当する者を乗り組ませなければならない。

(安全及び衛生)

第八十一条 船舶所有者は、作業用具の整備、船内衛生の保持に必要な設備の設置及び物品の備付け、船内作業による危害の防止及び船内衛生の保持に関する措置の船内における実施及びその管理の体制の整備その他の船内作業による危害の防止及び船内衛生の保持に関し国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない。

② 船舶所有者は、国土交通省令で定める危険な船内作業については、国土交通省令で定める経験又は技能を有しない船員を従事させてはならない。

③ 船舶所有者は、次に掲げる船員を作業に従事させてはならない。

一 伝染病にかかつた船員

二 心身の障害により作業を適正に行うことができない船員として国土交通省令で定めるもの

三 前二号に掲げるもののほか、労働に従事することによつて病勢の増悪するおそれのある疾病として国土交通省令で定めるものにかかつた船員

④ 船員は、船内作業による危害の防止及び船内衛生の保持に関し国土交通省令の定める事項を遵守しなければならない。

(医師)

第八十二条 船舶所有者は、左の船舶には、医師を乗り組ませなければならない。但し、国内各港間を航海するとき、国土交通省令の定める区域のみを航海するとき、又は国土交通省令の定める短期間の航海を行なう場合若しくはやむを得ない事由がある場合において国土交通大臣の許可を受けたときは、この限りでない。

一 遠洋区域又は近海区域を航行区域とする総トン数三千トン以上の船舶で最大とう載人員百人以上のもの

二 前号に掲げる船舶以外の遠洋区域を航行区域とする国土交通省令の定める船舶で国土交通大臣の指定する航路に就航するもの

三 国土交通省令の定める母船式漁業に従事する漁船

(衛生管理者)

第八十二条の二 船舶所有者は、左の船舶については、乗組員の中から衛生管理者を選任しなければならない。但し、国内各港間を航海する場合又は国土交通省令の定める区域のみを航海する場合は、この限りでない。

一 遠洋区域又は近海区域を航行区域とする総トン数三千トン以上の船舶

二 国土交通省令の定める漁船

② 衛生管理者は、衛生管理者適任証書を受有する者でなければならない。但し、やむを得ない事由がある場合において、国土交通大臣の許可を受けたときは、この限りでない。

③ 国土交通大臣は、左に掲げる者に衛生管理者適任証書を交付する。

一 国土交通省令の定めるところにより国土交通大臣の行なう試験に合格した者

二 国土交通省令の定めるところにより国土交通大臣が前号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認定した者

④ 衛生管理者は、国土交通省令の定めるところにより、船内の衛生管理に必要な業務に従事しなければならない。その業務については、衛生管理者は、必要に応じ、医師の指導を受けるように努めなければならない。

⑤ 前各項に定めるものの外、衛生管理者及び衛生管理者適任証書に関し必要な事項は、国土交通省令でこれを定める。

(健康証明書)

第八十三条 船舶所有者は、国土交通大臣の指定する医師が船内労働に適することを証明した健康証明書を持たない者を船舶に乗り組ませてはならない。

② 健康証明書に関し必要な事項は、国土交通省令でこれを定める。

 

第一章 総則

(船員)

第一条 この法律において「船員」とは、日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員をいう。

② 前項に規定する船舶には、次の船舶を含まない。

一 総トン数五トン未満の船舶

二 又はのみを航行する船舶

三 政令の定める総トン数三十トン未満の漁船

四 前三号に掲げるもののほか、船舶職員及び小型船舶操縦者法に規定する小型船舶であつて、スポーツ又はレクリエーションの用に供するヨット、モーターボートその他のその航海の目的、期間及び態様、運航体制等からみて船員労働の特殊性が認められない船舶として国土交通省令の定めるもの

③ 前項第二号の港の区域は、港則法に基づく港の区域の定めのあるものについては、その区域によるものとする。ただし、国土交通大臣は、政令で定めるところにより、特に港を指定し、これと異なる区域を定めることができる。

第二条 この法律において「海員」とは、船内で使用される船長以外の乗組員で労働の対償として給料その他の報酬を支払われる者をいう。

② この法律において「予備船員」とは、前条第一項に規定する船舶に乗り組むため雇用されている者で船内で使用されていないものをいう。

第三条 この法律において「職員」とは、航海士、機関長、機関士、通信長、通信士及び国土交通省令で定めるその他の海員をいう。

② この法律において「部員」とは、職員以外の海員をいう。

(給料及び労働時間)

第四条 この法律において「給料」とは、船舶所有者が船員に対し一定の金額により定期に支払う報酬のうち基本となるべき固定給をいう。

② この法律において「労働時間」とは、船員が職務上必要な作業に従事する時間(海員にあつては、上長の職務上の命令により作業に従事する時間に限る。)をいう。

(船舶所有者に関する規定の適用)

第五条 この法律の規定のうち、船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には船舶管理人に、船舶貸借の場合には船舶借入人にこれを適用する。

(労働基準法の適用)

第六条 労働基準法の規定は、船員の労働関係についても適用があるものとする。

第二章 船長の職務及び権限

(指揮命令権)

第七条 船長は、海員を指揮監督し、且つ、船内にある者に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる。

(発航前の検査)

第八条 船長は、国土交通省令の定めるところにより、発航前に船舶が航海に支障ないかどうかその他航海に必要な準備が整つているかいないかを検査しなければならない。

(航海の成就)

第九条 船長は、航海の準備が終つたときは、遅滞なく発航し、且つ、必要がある場合を除いて、予定の航路を変更しないで到達港まで航行しなければならない。

(甲板上の指揮)

第十条 船長は、船舶が港を出入するとき、船舶が狭い水路を通過するときその他船舶に危険の虞があるときは、甲板にあつて自ら船舶を指揮しなければならない。

(在船義務)

第十一条 船長は、やむを得ない場合を除いて、自己に代わつて船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ、荷物の船積及び旅客の乗込の時から荷物の陸揚及び旅客の上陸の時まで、自己の指揮する船舶を去つてはならない。

(船舶に危険がある場合における処置)

第十二条 船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない。

(船舶が衝突した場合における処置)

第十三条 船長は、船舶が衝突したときは、互に人命及び船舶の救助に必要な手段を尽し、且つ船舶の名称所有者船籍港発航港及び到達港を告げなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、この限りでない。

(遭難船舶等の救助)

第十四条 船長は、他の船舶又は航空機の遭難を知つたときは、人命の救助に必要な手段を尽さなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険がある場合及び国土交通省令の定める場合は、この限りでない。

(異常気象等)

第十四条の二 国土交通省令の定める船舶の船長は、暴風雨、流氷その他の異常な気象、海象若しくは地象又は漂流物若しくは沈没物であつて、船舶の航行に危険を及ぼすおそれのあるものに遭遇したときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を附近にある船舶及び海上保安機関その他の関係機関に通報しなければならない。

(非常配置表及び操練)

第十四条の三 国土交通省令の定める船舶の船長は、第十二条乃至第十四条に規定する場合その他非常の場合における海員の作業に関し、国土交通省令の定めるところにより、非常配置表を定め、これを船員室その他適当な場所に掲示して置かなければならない。

② 国土交通省令の定める船舶の船長は、国土交通省令の定めるところにより、海員及び旅客について、防火操練救命艇操練その他非常の場合のために必要な操練を実施しなければならない。

(航海の安全の確保)

第十四条の四 第八条から前条までに規定するもののほか、航海当直の実施、船舶の火災の予防、水密の保持その他航海の安全に関し船長の遵守すべき事項は、国土交通省令でこれを定める。

(水葬)

第十五条 船長は、船舶の航行中船内にある者が死亡したときは、国土交通省令の定めるところにより、これを水葬に付することができる。

(遺留品の処置)

第十六条 船長は、船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたときは、法令に特別の定がある場合を除いて、船内にある遺留品について、国土交通省令の定めるところにより、保管その他の必要な処置をしなければならない。

(在外国民の送還)

第十七条 船長は、外国に駐在する日本の領事官が、法令の定めるところにより、日本国民の送還を命じたときは、正当の事由がなければ、これを拒むことができない。

(書類の備置)

第十八条 船長は、国土交通省令の定める場合を除いて、次の書類を船内に備え置かなければならない。

一 船舶国籍証書又は国土交通省令の定める証書

二 海員名簿

三 航海日誌

四 旅客名簿

五 積荷に関する書類

六 海上運送法に規定する証明書

② 海員名簿、航海日誌及び旅客名簿に関し必要な事項は、国土交通省令でこれを定める。

(航行に関する報告)

第十九条 船長は、左の各号の一に該当する場合には、国土交通省令の定めるところにより、国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。

一 船舶の衝突、乗揚、沈没、滅失、火災、機関の損傷その他の海難が発生したとき。

二 人命又は船舶の救助に従事したとき。

三 無線電信によつて知つたときを除いて、航行中他の船舶の遭難を知つたとき。

四 船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたとき。

五 予定の航路を変更したとき。

六 船舶が抑留され、又は捕獲されたときその他船舶に関し著しい事故があつたとき。

(船長の職務の代行)

第二十条 船長が死亡したとき、船舶を去つたとき、又はこれを指揮することができない場合において他人を選任しないときは、運航に従事する海員は、その職掌の順位に従つて船長の職務を行う。

第三章 紀律

(船内秩序)

第二十一条 海員は、次の事項を守らなければならない。

一 上長の職務上の命令に従うこと。

二 職務を怠り、又は他の乗組員の職務を妨げないこと。

三 船長の指定する時までに船舶に乗り込むこと。

四 船長の許可なく船舶を去らないこと。

五 船長の許可なく救命艇その他の重要な属具を使用しないこと。

六 船内の食料又は淡水を濫費しないこと。

七 船長の許可なく電気若しくは火気を使用し、又は禁止された場所で喫煙しないこと。

八 船長の許可なく日用品以外の物品を船内に持ち込み、又は船内から持ち出さないこと。

九 船内において争闘、乱酔その他粗暴の行為をしないこと。

十 その他船内の秩序を乱すようなことをしないこと。

(懲戒)

第二十二条 船長は、海員が前条の事項を守らないときは、これを懲戒することができる。

第二十三条 懲戒は、上陸禁止及び戒告の二種とし、上陸禁止の期間は、初日を含めて十日以内とし、その期間には、停泊日数のみを算入する。

◆港について羽を伸ばすことは船員の余暇として大切なものだが、それを奪うことをペナルティとするのである。

第二十四条 船長は、海員を懲戒しようとするときは、三人以上の海員を立ち会わせて本人及び関係人を取り調べた上、立会人の意見を聴かなければならない。

(危険に対する処置)

第二十五条 船長は、海員が凶器爆発又は発火しやすい物劇薬その他の危険物を所持するときは、その物につき保管、放棄その他の処置をすることができる。

第二十六条 船長は、船内にある者の生命若しくは身体又は船舶に危害を及ぼすような行為をしようとする海員に対し、その危害を避けるのに必要な処置をすることができる。

第二十七条 船長は、必要があると認めるときは、旅客その他船内にある者に対しても、前二条に規定する処置をすることができる。

(強制下船)

第二十八条 船長は、雇入契約の終了の届出をした後当該届出に係る海員が船舶を去らないときは、その海員を強制して船舶から去らせることができる。

(行政庁に対する援助の請求)

第二十九条 船長は、海員その他船内にある者の行為が人命又は船舶に危害を及ぼしその他船内の秩序を著しくみだす場合において、必要があると認めるときは、行政庁に援助を請求することができる。

(争議行為の制限)

第三十条 労働関係に関する争議行為は、船舶が外国の港にあるとき、又はその争議行為に因り人命若しくは船舶に危険が及ぶようなときは、これをしてはならない。

 

国土交通省設置法
・実際に運輸局に申請しにいく様子をイメージすると覚えやすい。
・各法令と管轄する部署が対応しているのがわかる。

 

地方運輸局の管轄に関しては、関東運輸局の下記の案内がわかりやすい。

 

どの法律が何を規定しているのかを覚える。

国土交通省と地方運輸局、法・組織令・組織規則が入り乱れるので混乱しやすい。


国土交通省設置法
国土交通省を置くこと
地方運輸局を置くこと


国土交通省組織令
海事局に置く課
海事局各課の所掌事務
地方運輸局の名称、位置及び管轄区域


国土交通省組織規則
安全技術調査官


地方運輸局組織令→存在しない


地方運輸局組織規則
地方運輸局各部各課の所掌事務を規定
海事事務所の所掌事務及び管轄区域を規定
 

 

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当ブログの記事をまとめた本を作りました↓

 

 

 

海事代理士試験対策の一助になればと思います。是非ご活用ください。

 

商法

 

民法の海事版という雰囲気。

抵当権・先取特権など民法用語を理解していないと厳しい。

共同海損など独特な概念も見られる。

 

以下に過去に出題された箇所、これから出題されそうな箇所を穴埋め形式でまとめた。

下線部を色反転させると答えが出るようになっている。

 

 

第六百八十四条 この編(第七百四十七条を除く。)において「船舶」とは、商行為をする目的で航海の用に供する船舶(端舟その他ろかいのみをもって運転し、又は主としてろかいをもって運転する舟を除く。)をいう。

 

第六百八十五条 船舶の属具目録に記載した物は、その従物と推定する。

2 属具目録の書式は、国土交通省令で定める。

 

第六百八十六条 船舶所有者は、船舶法(明治三十二年法律第四十六号)の定めるところに従い、登記をし、かつ、船舶国籍証書の交付を受けなければならない。

2 前項の規定は、総トン数二十トン未満の船舶については、適用しない。

◆船舶法の定義と同じ。

 

第六百八十七条 船舶所有権の移転は、その登記をし、かつ、船舶国籍証書に記載しなければ、第三者に対抗することができない。

 

第六百八十八条 航海中の船舶を譲渡したときは、その航海によって生ずる損益は、譲受人に帰属する。

 

第六百九十条 船舶所有者は、船長その他の船員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。

◆航海中の乗組員が海難事故を起こした場合、船の持ち主が責任を取る

 

第六百九十二条 船舶共有者の間においては、船舶の利用に関する事項は、各船舶共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。

 

第六百九十三条 船舶共有者は、その持分の価格に応じ、船舶の利用に関する費用を負担しなければならない。

 

第六百九十七条 船舶共有者は、船舶管理人を選任しなければならない。

2 船舶共有者でない者を船舶管理人とするには、船舶共有者の全員の同意がなければならない。

3 船舶共有者が船舶管理人を選任したときは、その登記をしなければならない。船舶管理人の代理権の消滅についても、同様とする。

4 第九条の規定は、前項の規定による登記について準用する。

 

第七百条 船舶共有者の持分の移転又は国籍の喪失により船舶が日本の国籍を喪失することとなるときは、他の船舶共有者は、相当の対価でその持分を売り渡すことを請求し、又は競売に付することができる。

 

第七百一条 船舶の賃貸借は、これを登記したときは、その後その船舶について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。

◆船を借りている人は、持ち主が変わった場合その持ち主から借りていることになる。

 

第七百三条 前条に規定する船舶の賃借人は、その船舶の利用に関する事項については、第三者に対して、船舶所有者と同一の権利義務を有する。

2 前項の場合において、その船舶の利用について生じた先取特権は、船舶所有者に対しても、その効力を生ずる。ただし、船舶の賃借人によるその利用の態様が船舶所有者との契約に反することを先取特権者が知っていたときは、この限りでない。

 

第七百四条 定期傭船契約は、当事者の一方が艤装した船舶に船員を乗り組ませて当該船舶を一定の期間相手方の利用に供することを約し、相手方がこれに対してその傭船料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

◆傭船=チャーター船。

 

第七百六条 船舶の燃料水先料入港料その他船舶の利用に関する通常の費用は、定期傭船者の負担とする。

◆傭船者=オペレーター。船主から船を借りた運送会社。

◆ガソリン代・水先案内料・入港料などの運送にかかわる費用はオペレーターが負担する。

 

第七百十条 船長は、属具目録を船内に備え置かなければならない。

 

第七百十二条 船長は、航海を継続するため必要があるときは、積荷を航海の用に供することができる。

 

第七百十三条 船長は、海員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、船長が海員の監督について注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

◆甲板員などがトラブルを起こした場合は船の持ち主ではなく船長の責任となる。

 

第七百十五条 船舶所有者は、いつでも、船長を解任することができる。

2 前項の規定により解任された船長は、その解任について正当な理由がある場合を除き、船舶所有者に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

3 船長が船舶共有者である場合において、その意に反して解任されたときは、船長は、他の船舶共有者に対し、相当の対価で自己の持分を買い取ることを請求することができる。

4 船長は、前項の規定による請求をしようとするときは、遅滞なく、他の船舶共有者又は船舶管理人に対してその旨の通知を発しなければならない。

 

第七百三十八条 荷送人は、船積期間内に、運送に必要な書類を船長に交付しなければならない。

◆→積荷に関する書類

 

第七百四十条 法令に違反して又は個品運送契約によらないで船積みがされた運送品については、運送人は、いつでも、これを陸揚げすることができ、船舶又は積荷に危害を及ぼすおそれがあるときは、これを放棄することができる。

2 運送人は、前項に規定する運送品を運送したときは、船積みがされた地及び時における同種の運送品に係る運送賃の最高額を請求することができる。

3 前二項の規定は、運送人その他の利害関係人の荷送人に対する損害賠償の請求を妨げない。

 

 

第七百四十一条 荷受人は、運送品を受け取ったときは、個品運送契約又は船荷証券の趣旨に従い、運送人に対し、次に掲げる金額の合計額(以下この節において「運送賃等」という。)を支払う義務を負う。

一 運送賃、付随の費用及び立替金の額

二 運送品の価格に応じて支払うべき救助料の額及び共同海損の分担額

2 運送人は、運送賃等の支払を受けるまで、運送品を留置することができる。

(荷送人による発航後の解除)

第七百四十五条 発航後においては、荷送人は、他の荷送人及び傭船者の全員の同意を得、かつ、運送賃等及び運送品の陸揚げによって生ずべき損害の額の合計額を支払い、又は相当の担保を供しなければ、個品運送契約の解除をすることができない。

◆船が出港したあとはキャンセルできない。

 

第七百五十三条 発航前においては、全部航海傭船契約(船舶の全部を目的とする航海傭船契約をいう。以下この節において同じ。)の傭船者は、運送賃の全額及び滞船料を支払って全部航海傭船契約の解除をすることができる。ただし、全部航海傭船契約の解除によって運送人に生ずる損害の額が運送賃の全額及び滞船料を下回るときは、その損害を賠償すれば足りる。

◆出航前であれば運賃を支払ってキャンセルできる。

2 傭船者は、運送品の全部又は一部の船積みをした後に前項の規定により全部航海傭船契約の解除をしたときは、その船積み及び陸揚げに要する費用を負担しなければならない。

3 全部航海傭船契約の傭船者が船積期間内に運送品の船積みをしなかったときは、運送人は、その傭船者が全部航海傭船契約の解除をしたものとみなすことができる。

 

第七百五十八条 船荷証券には、次に掲げる事項を記載し、運送人又は船長がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

一 運送品の種類

二 運送品の容積若しくは重量又は包若しくは個品の数及び運送品の記号

三 外部から認められる運送品の状態

四 荷送人又は傭船者の氏名又は名称

五 荷受人の氏名又は名称

六 運送人の氏名又は名称

七 船舶の名称

八 船積港及び船積みの年月日

九 陸揚港

十 運送賃

十一 数通の船荷証券を作成したときは、その数

十二 作成地及び作成の年月日

2 受取船荷証券と引換えに船積船荷証券の交付の請求があったときは、その受取船荷証券に船積みがあった旨を記載し、かつ、署名し、又は記名押印して、船積船荷証券の作成に代えることができる。この場合においては、前項第七号及び第八号に掲げる事項をも記載しなければならない。

 

第七百五十九条 前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項は、その事項につき荷送人又は傭船者の書面又は電磁的方法による通知があったときは、その通知に従って記載しなければならない。

2 前項の規定は、同項の通知が正確でないと信ずべき正当な理由がある場合及び当該通知が正確であることを確認する適当な方法がない場合には、適用しない。運送品の記号について、運送品又はその容器若しくは包装に航海の終了の時まで判読に堪える表示がされていない場合も、同様とする。

3 荷送人又は傭船者は、運送人に対し、第一項の通知が正確でないことによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

第七百六十五条 陸揚港においては、運送人は、数通の船荷証券のうち一通の所持人が運送品の引渡しを請求したときであっても、その引渡しを拒むことができない。

2 陸揚港外においては、運送人は、船荷証券の全部の返還を受けなければ、運送品の引渡しをすることができない。

 

第七百六十七条 二人以上の船荷証券の所持人が運送品の引渡しを請求したときは、運送人は、その運送品を供託することができる。運送人が第七百六十五条第一項の規定により運送品の一部を引き渡した後に他の所持人が運送品の引渡しを請求したときにおけるその運送品の残部についても、同様とする。

2 運送人は、前項の規定により運送品を供託したときは、遅滞なく、請求をした各所持人に対してその旨の通知を発しなければならない。

3 第一項に規定する場合においては、最も先に発送され、又は引き渡された船荷証券の所持人が他の所持人に優先する。

(船荷証券が作成された場合の特則)

第七百六十八条 船荷証券が作成された場合における前編第八章第二節の規定の適用については、第五百八十条中「荷送人」とあるのは、「船荷証券の所持人」とし、第五百八十一条、第五百八十二条第二項及び第五百八十七条ただし書の規定は、適用しない。

第七百七十条 運送人又は船長は、荷送人又は傭船者の請求により、運送品の船積み後遅滞なく、船積みがあった旨を記載した海上運送状を交付しなければならない。運送品の船積み前においても、その受取後は、荷送人又は傭船者の請求により、受取があった旨を記載した海上運送状を交付しなければならない。

2 海上運送状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 第七百五十八条第一項各号(第十一号を除く。)に掲げる事項(運送品の受取があった旨を記載した海上運送状にあっては、同項第七号及び第八号に掲げる事項を除く。)

二 数通の海上運送状を作成したときは、その数

3 第一項の運送人又は船長は、海上運送状の交付に代えて、法務省令で定めるところにより、荷送人又は傭船者の承諾を得て、海上運送状に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該運送人又は船長は、海上運送状を交付したものとみなす。

4 前三項の規定は、運送品について現に船荷証券が交付されているときは、適用しない。

(船舶所有権の移転の対抗要件)

第六百八十七条 船舶所有権の移転は、その登記をし、かつ、船舶国籍証書に記載しなければ、第三者に対抗することができない。

◆登記と船舶国籍証書の両方が必要。

 

第六百九十八条 船舶管理人は、次に掲げる行為を除き、船舶共有者に代わって船舶の利用に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。

一 船舶を賃貸し、又はこれについて抵当権を設定すること。

二 船舶を保険に付すること。

三 新たな航海(船舶共有者の間で予定されていなかったものに限る。)をすること。

四 船舶の大修繕をすること。

五 借財をすること。

2 船舶管理人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

 

第七百八十八条 船舶と他の船舶との衝突(次条において「船舶の衝突」という。)に係る事故が生じた場合において、衝突したいずれの船舶についてもその船舶所有者又は船員に過失があったときは、裁判所は、これらの過失の軽重を考慮して、各船舶所有者について、その衝突による損害賠償の責任及びその額を定める。この場合において、過失の軽重を定めることができないときは、損害賠償の責任及びその額は、各船舶所有者が等しい割合で負担する。

 

第七百八十九条 船舶の衝突を原因とする不法行為による損害賠償請求権(財産権が侵害されたことによるものに限る。)は、不法行為の時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。

第七百九十七条 救助に従事した船舶に係る救助料については、その三分の二を船舶所有者に支払い、その三分の一を船員に支払わなければならない。

2 前項の規定に反する特約で船員に不利なものは、無効とする。

3 前二項の規定にかかわらず、救助料の割合が著しく不相当であるときは、船舶所有者又は船員の一方は、他の一方に対し、その増減を請求することができる。この場合においては、第七百九十三条の規定を準用する。

4 各船員に支払うべき救助料の割合は、救助に従事した船舶の船舶所有者が決定する。この場合においては、前条の規定を準用する。

5 救助者が救助することを業とする者であるときは、前各項の規定にかかわらず、救助料の全額をその救助者に支払わなければならない。

 

第七百九十八条 船舶所有者が前条第四項の規定により救助料の割合を決定するには、航海を終了するまでにその案を作成し、これを船員に示さなければならない。

 

第八百条 船舶所有者が第七百九十八条の案の作成を怠ったときは、管海官庁は、船員の請求により、船舶所有者に対し、その案の作成を命ずることができる。

2 船舶所有者が前項の規定による命令に従わないときは、管海官庁は、自ら第七百九十七条第四項の規定による決定をすることができる。

 

第八百一条 次に掲げる場合には、救助者は、救助料を請求することができない。

一 故意に海難を発生させたとき。

二 正当な事由により救助を拒まれたにもかかわらず、救助したとき。

 

第八百二条 救助料に係る債権を有する者は、救助された積荷等について先取特権を有する。

2 前項の先取特権については、第八百四十三条第二項、第八百四十四条及び第八百四十六条の規定を準用する。

 

第八百九条 共同海損となる損害の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額によって算定する。ただし、第二号及び第四号に定める額については、積荷の滅失又は損傷のために支払うことを要しなくなった一切の費用の額を控除するものとする。

一 船舶 到達の地及び時における当該船舶の価格

二 積荷 陸揚げの地及び時における当該積荷の価格

三 積荷以外の船舶内にある物 到達の地及び時における当該物の価格

四 運送賃 陸揚げの地及び時において請求することができる運送賃の額

 

第八百十二条 共同海損の分担に基づく債権は、その計算が終了した時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。

 

第八百十五条 この章において「海上保険契約」とは、損害保険契約のうち、保険者(営業として保険の引受けを行うものに限る。以下この章において同じ。)が航海に関する事故によって生ずることのある損害を塡補することを約するものをいう。

2 海上保険契約については、この章に別段の定めがある場合を除き、保険法第二章第一節から第四節まで及び第六節並びに第五章の規定を適用する。

 

第八百十八条 船舶を保険の目的物とする海上保険契約(以下この章において「船舶保険契約」という。)については、保険期間の始期における当該船舶の価額を保険価額とする。

 

第八百二十一条 保険者が海上保険契約を締結した場合においては、保険法第六条第一項に規定する書面には、同項各号に掲げる事項のほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める事項を記載しなければならない。

一 船舶保険契約を締結した場合 船舶の名称、国籍、種類、船質、総トン数、建造の年及び航行区域(一の航海について船舶保険契約を締結した場合にあっては、発航港及び到達港(寄航港の定めがあるときは、その港を含む。))並びに船舶所有者の氏名又は名称

二 貨物保険契約を締結した場合 船舶の名称並びに貨物の発送地、船積港、陸揚港及び到達地

 

第八百二十七条 保険の目的物である貨物が損傷し、又はその一部が滅失して到達地に到着したときは、保険者は、第一号に掲げる額の第二号に掲げる額に対する割合を保険価額(約定保険価額があるときは、当該約定保険価額)に乗じて得た額を塡補する責任を負う。

一 当該貨物に損傷又は一部滅失がなかったとした場合の当該貨物の価額から損傷又は一部滅失後の当該貨物の価額を控除した額

二 当該貨物に損傷又は一部滅失がなかったとした場合の当該貨物の価額

第八百四十二条 次に掲げる債権を有する者は、船舶及びその属具について先取特権を有する。

一 船舶の運航に直接関連して生じた人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権

二 救助料に係る債権又は船舶の負担に属する共同海損の分担に基づく債権

三 国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)若しくは国税徴収の例によって徴収することのできる請求権であって船舶の入港、港湾の利用その他船舶の航海に関して生じたもの又は水先料若しくは引き船料に係る債権

四 航海を継続するために必要な費用に係る債権

五 雇用契約によって生じた船長その他の船員の債権

 

第八百四十二条 次に掲げる債権を有する者は、船舶及びその属具について先取特権を有する。

一 船舶の運航に直接関連して生じた人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権

二 救助料に係る債権又は船舶の負担に属する共同海損の分担に基づく債権

三 国税徴収法若しくは国税徴収の例によって徴収することのできる請求権であって船舶の入港、港湾の利用その他船舶の航海に関して生じたもの又は水先料若しくは引き船料に係る債権

四 航海を継続するために必要な費用に係る債権

五 雇用契約によって生じた船長その他の船員の債権

 

第八百四十五条 船舶所有者がその船舶を譲渡したときは、譲受人は、その登記をした後、船舶先取特権を有する者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、一箇月を下ることができない。

2 船舶先取特権を有する者が前項の期間内に同項の申出をしなかったときは、その船舶先取特権は、消滅する。

 

第八百四十七条 登記した船舶は、抵当権の目的とすることができる。

2 船舶の抵当権は、その属具に及ぶ。

3 船舶の抵当権には、不動産の抵当権に関する規定を準用する。この場合において、民法第三百八十四条第一号中「抵当権を実行して競売の申立てをしないとき」とあるのは、「抵当権の実行としての競売の申立て若しくはその提供を承諾しない旨の第三取得者に対する通知をせず、又はその通知をした債権者が抵当権の実行としての競売の申立てをすることができるに至った後一週間以内にこれをしないとき」と読み替えるものとする。

 

第八百四十九条 登記した船舶は、質権の目的とすることができない。

 

 

民法

・1000条以上あるのに対し配点が10点しかないのでコストパフォーマンスが悪い

・判例学習は一切せず条文に絞って勉強する

・市販の教材で「重要条文」だけピックアップして一読する

・船員の遺言に関して直接規定する条文があるので、それはよく覚えておく

 

憲法は約100条で配点10点であったのに対し、民法は同じ配点で1000条以上もある。

かといって完全な捨て科目かと言えばそうでもなく、判例が出題されずほぼ条文からの出題だけなので条文学習に絞れば対策できなくもない。

手持ちの民法に関する本で「重要条文」を追いかける形で学習していく。自分の持っている伊東真条文シリーズであれば”Aランク”からの出題が多いので、それだけ読んでおく。

他の科目からみると、①専門用語が含まれるもの、②数値がふくまれるものがよく出題されているので、出題されそうな条文をピックアップして列挙しておく。

 

[総則]

第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。

第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。

2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

第二十一条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

第三十条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪そうの宣告をすることができる。

2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

第八十五条 この法律において「物」とは、有体物をいう。

第八十六条 土地及びその定着物は、不動産とする。

2 不動産以外の物は、すべて動産とする。

第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。

2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

第百一条 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在錯誤詐欺強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

第百十六条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

第百二十六条 取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

第百四十四条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。

第百四十五条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

第百四十六条 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。

第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

[物権]

第百七十五条 物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。

第百七十六条 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他に従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

第百七十八条 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。

第百七十九条 同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。

第百八十六条 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。

第百八十九条 善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。

第百九十六条 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。

第二百条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。

第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

第二百六十五条 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

第二百七十条 永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。

第二百八十条 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。

第二百九十五条 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。

第三百三条 先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

第三百四条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。

第三百四十二条 質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

第三百四十四条 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。

第三百五十三条 動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。

第三百六十二条 質権は、財産権をその目的とすることができる。

第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

[債権]

第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

第四百七十四条 債務の弁済は、第三者もすることができる。

第四百八十一条 差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。

第四百八十六条 弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。

第四百九十四条 弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。

第四百九十九条 債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。

第五百五条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

第五百十三条 当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。

第五百二十条 債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

第五百二十三条 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。

第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

第五百四十条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。

2 前項の意思表示は、撤回することができない。

第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。

第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

第五百五十三条 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。

第五百五十四条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

第五百五十五条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

第五百八十条 買戻しの期間は、十年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、十年とする。

2 買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない。

3 買戻しについて期間を定めなかったときは、五年以内に買戻しをしなければならない。

第五百八十六条 交換は、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約することによって、その効力を生ずる。

第五百八十七条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

第五百九十三条 使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。

第五百九十五条 借主は、借用物の通常の必要費を負担する。

第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

第六百四条 賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。

第六百五条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

第六百六条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

第六百三十二条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

第六百四十三条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

第六百五十七条 寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

第六百六十七条 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。

2 出資は、労務をその目的とすることができる。

第六百九十七条 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。

第七百四条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

第七百十六条 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。

第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

[家族法]

第七百二十五条 次に掲げる者は、親族とする。

一 六親等内の血族

二 配偶者

三 三親等内の姻族

第七百六十一条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。

第七百六十二条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする。

2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

第七百六十三条 夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

第七百七十四条 第七百七十二条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。

第七百七十七条 嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。

第七百七十九条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

第七百九十三条 尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。

第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。

第八百三十四条 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。

第八百八十四条 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。

第八百八十六条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。

2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

第九百二十条 相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

(在船者の遺言)

第九百七十八条 船舶中に在る者は、船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

(船舶遭難者の遺言)

第九百七十九条 船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人二人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる。

2 口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、通訳人の通訳によりこれをしなければならない。

3 前二項の規定に従ってした遺言は、証人が、その趣旨を筆記して、これに署名し、印を押し、かつ、証人の一人又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。

4 第九百七十六条第五項の規定は、前項の場合について準用する。

 

21/9/15 作成

21/10/3 加筆修正

 

憲法

・判例からの出題はほぼなく、条文からそのまま出題される。

・統治機構9割、人権1割の意識で。

 

憲法といえば判例学習、学説の対立を学ぶものであるが、海事代理士試験はほとんど条文からそのまま出題される。

条文学習となると必然的に統治機構が大部分を占めるので、こちらに力点を置く。

条文自体は100条程度しかないので、全文をしっかり読み込んでおくと点数が安定しそうである。

芦辺憲法などの基本書は全く不要で、むしろ中学校の公民の教科書などが使える。

 

分数は下記の表(1)を覚える。

 

 

議員の2/3

憲法改正

出席議員の2/3

衆議院での再可決
(※参議院で否決された法律案)

議員の資格争訟の裁判/議員の除名

秘密会

出席議員の過半数

一般的な議決
(法律案・予算案など)

議員の1/3

定足数

議員の1/4
(※いずれかの議院の)

臨時会の招集

出席議員の1/5

秘密会における表決の会議録への記載

西夏語学習で特に役立つ資料をまとめた。

 

古今文字集成
形式:Webサイト
おすすめ度:★★★★★

 

 

西夏語-中国語のオンライン辞書。四角号嗎、部首から検索が可能。夏漢辞典の内容も公開されている。
夏漢辞典は購入すると2万円ほどかかるので、無料で閲覧できるのは本当にありがたい。
西夏語学習では必須、何度も訪れることになるサイトである。
西夏文字に詳しくなくても、なんとなく眺めるだけでも面白い。

西夏文字の話―シルクロードの謎
形式:単行本
おすすめ度:★★★★★

 

 

非常にわかりやすくおすすめ。
西夏文字の意味について、文字同士の連合関係を図で示しながら解説している。
英語とか中国語の参考書のように西夏語を学習することができる。
後半では西夏語の格言をとりあげ、読解の練習まで行う。
この本で取り上げられている西夏文字は200~300程度はあり、基本的な読解には十分な語彙を身に着けることができると思われる。
難点はやや高価である(5,000円以上)ことだが、十分買う価値はある。

西夏文字―その解読のプロセス (精選復刻紀伊国屋新書)
形式:単行本
おすすめ度:★★★★☆

 

 

一般向けに書かれた本とのことだが、《西夏文字の話》より専門的であり、IPAなど言語学に関する知識を前提として書かれている。
如何にして解読に至ったかを細かく説明しており、未知の言語を解読する臨場感を味わうことができる。
あくまで解読方法の説明がメインなので、登場する西夏文字については《西夏文字の話》より少なめ。
発音に関しての説明はこちらのほうが詳しく書かれている、ただし内容が難しい。

西夏語研究と法華経(Ⅳ) - 東洋哲学研究所
形式:PDF
おすすめ度:★★★★☆
研究論文、pdfで入手することができる。
論文だが知識がなくても読みやすい。
文字要素について、上記の本より多くの種類紹介されている。おそらく70程度は掲載されており、十分な数であると思われる。
上記二冊では触れられていない「双生字」という概念が登場し、「ヒ」形をはじめとする解釈が難しい文字要素についてクリアに説明している。

西夏文的造字模式
形式:大型本
おすすめ度:★★☆☆☆

 


西夏文字の一つ一つについて文海と著者らの解釈に従って「漢式」と「蔵式(チベット式)」に分けて整理している。
蔵式造字法は西田の論文では登場しないが、双生字がそれにあたるとみられる。
記載されている文字数の量は圧倒的で、3000字以上はあり、字典としても使える。
一つ一つの解字について調べたいときは使えるか。古今文字集成と《西夏語研究と法華経(Ⅳ)》があれば不要かもしれない。


地球ことば村
形式:Webサイト
おすすめ度:★★★★★

 

 

西夏文字の概略、大まかな造字について紹介されている。最初に見て大まかに把握するのによい。


[Tangut language] 西夏語で喋ってみた [西夏文字]
形式:youtube動画
おすすめ度:★★★★★

 


youtubeで閲覧できる西夏語の朗読。西夏語の音声資料は事実上これだけである。
最初に見てみて雰囲気をつかみ、ある程度勉強してからこの動画に戻ってきて合っているか調べてみると面白い。

Wikipedia 西夏文字
形式:Webサイト
おすすめ度:★★★☆☆

 

 

概略をつかめる。中国語版のほうが圧倒的に情報量が多いので参考にしたい。

総則
【権利の主体と客体】

・胎児が損害を受けた場合、出生後に損害賠償を請求できるか。
・胎児は遺贈を受けることができるか。
・未成年者が法定代理人以外の者が自由な処分を許した物の処分を自由に行うことができるか。
・未成年が営業を行った場合、その中での売買契約を親権者が取り消すことはできるか。
・成年後見、補佐、補助開始の審判にあたり、本人の同意は必要か。
・検察官は後見開始の審判を請求できるか。
・不在者の利害関係人は何が行えるか。
・失踪宣告がされた後に本人が生きていた場合、失踪宣告の取り消しは行えるか
・法人の権利義務の範囲はどこまでか。
・公益法人を2つに分けるとどうなるか。
・株式会社はどのように設立するか。
・学校法人はどのように設立するか。
・宗教法人はどのように設立するか。
・相続財産法人はどのように設立するか。
・地方公共団体は法人か。
・権利能力なき社団は、民事訴訟を行えるか。
・共同所有は民法上どのように規定されているか。
・共有した財産は分割請求できるか。
・合有の財産は分割請求できるか。
・情報は物権の対象となるか。
・電気は物権の対象となるか。
・立木を土地とは別に譲渡することは可能か。
・建物に抵当権が設定された場合、その中の畳にも抵当権は及ぶか。

【代理】
・代理人に錯誤があったが、本人が事情を知っていた場合、その契約が有効か。
・代理人が本人の名で契約をしたとき、その契約は有効か。
・顕名をしないで法律行為をした場合どうなるか。
・法定代理と任意代理の違いを説明しなさい。
・法定代理の具体例をあげなさい。
・代理権の範囲が不明の任意代理の場合、代理人は何が行えるか。
・代理権はいつ消滅するか。
・自己契約または双方契約をしたらどうなるか。
・任意代理の復任権はどこまで有効か。
・法定代理の復任権はどこまで有効か。
・代理権の濫用があり、相手方が代理人の背信的意思を知っていた場合、その代理行為は有効か。
・無権代理人に対して追認を行ったとき、いつ有効となるか。
・無権代理が判明した際、相手方は何が行えるか。
・無権代理の事実を相手が知っていたとき、取消は有効か。
・無権代理が判明した際、相手方は無権代理人に損害賠償を請求できるか。
・本人が死亡し、無権代理人のみが相続した場合、無権代理行為は有効となるか
・本人が死亡し、無権代理人を含む複数人が相続したとき、無権代理行為は有効となるか。
・本人が無権代理人を相続した場合はどうなるか。
・無権代理人が代理権の表示をし、相手方が過失なく代理人であると信じていた場合、代理行為は有効か。
・代理人が代理権の範囲を超えた代理行為をし、相手方が範囲内であると過失なく信じていた場合、代理行為は有効か。
・代理権が消失していたにも関わらず代理行為を行い、相手方が代理権があると過失なく信じていた場合、代理行為は有効か。

【時効】
・債権の消滅時効は何年か。
・無権代理に対する取消権の消滅時効は何年か。
・詐害行為取消権の消滅時効は何年か。
・相続回復請求権の消滅時効は何年か。
・他人の物であると知りながら、所有の意思を持って平穏・公然と占有した場合、取得時効は何年か。
・自分の物であると信じて同様に占有し、途中で他人の物であることが判明した場合、取得時効は何年か。
・時効はどのようなときに中断するか。
・時効の利益放棄は時効完成前に行えるか。


総則
【権利の主体と客体】
・胎児が損害を受けた場合、出生後に損害賠償を請求できるか。
できる
→民721
(損害賠償請求権に関する胎児の権利能力)
第七百二十一条 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。

・胎児は遺贈を受けることができるか。
できる
→民886,965
(相続に関する胎児の権利能力)
第八百八十六条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
(相続人に関する規定の準用)
第九百六十五条 第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。

・未成年者が法定代理人以外の者が自由な処分を許した物の処分を自由に行うことができるか。
できない。
→民5
(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

・未成年が営業を行った場合、その中での売買契約を親権者が取り消すことはできるか。
できない
→民6
第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。

・成年後見、補佐、補助開始の審判にあたり、本人の同意は必要か。
補助開始の審判のみ必要である。
→民15-2項
第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。…
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。

・検察官は後見開始の審判を請求できるか。
できる
→民7など
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

・不在者の利害関係人は何が行えるか。
家庭裁判所に財産管理人の選任を請求できる。
→民25
(不在者の財産の管理)
第二十五条 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。

・失踪宣告がされた後に本人が生きていた場合、失踪宣告の取り消しは行えるか
行える
→民32
(失踪の宣告の取消し)
第三十二条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。

・法人の権利義務の範囲はどこまでか。
定款の定めた範囲まで
(法人の能力)
第三十四条 法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

・公益法人を2つに分けるとどうなるか。
社団法人と財団法人に分かれる

・株式会社はどのように設立するか。
準則主義により、法律の定める一定の組織を具備したときに自動的に法人となる。ただし、実際は登記が必要。
→会社49条
(株式会社の成立)
第四十九条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

・学校法人はどのように設立するか。
法律上の要件を具備し、文部科学省の認可を受ける(認可主義)

・宗教法人はどのように設立するか。
法律上の要件を具備し、都道府県知事の確認を受ける(確認主義)

・相続財産法人はどのように設立するか。
法律の規定により、当然に設立される(当然設立主義)
→民951
(相続財産法人の成立)
第九百五十一条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。

・地方公共団体は法人か。
地方自治法の規定により、当然に法人となる(当然設立主義)
→地方自治2
第二条 地方公共団体は、法人とする。

・権利能力なき社団は、民事訴訟を行えるか。
民事訴訟法の規定により、当事者能力を持つため行える。
→民訴29
(法人でない社団等の当事者能力)
第二十九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

・共同所有は民法上どのように規定されているか。
共有、合有、総有の3つがある

・共有した財産は分割請求できるか。
分割請求ができる。
→民256
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。

・合有の財産は分割請求できるか。
できない。
→民676
(組合員の持分の処分及び組合財産の分割)
第六百七十六条 
2 組合員は、組合財産である債権について、その持分についての権利を単独で行使することができない。

ある慈善団体が不動産を購入したとき、その登記は団体名義で行うことができるか。
権利能力なき社団は団体名義で登記を行えない。代表者名義または構成員全員の共有名義で登記をする。

・情報は物権の対象となるか。
有体物ではないので権利の対象ではない。
→民85
(定義)
第八十五条 この法律において「物」とは、有体物をいう。

・電気は物権の対象となるか。
管理可能説によると、気体、液体、固体のいずれでもないにも関わらず有体物となる。

・立木を土地とは別に譲渡することは可能か。
立木は法律により土地から独立した不動産と定められているので、土地とは別に譲渡できる。
→立木法1,2
立木ニ関スル法律
第一条 本法ニ於テ立木ト称スルハ一筆ノ土地又ハ一筆ノ土地ノ一部分ニ生立スル樹木ノ集団ニシテ其ノ所有者カ本法ニ依リ所有権保存ノ登記ヲ受ケタルモノヲ謂フ
○2 前項ノ樹木ノ集団ノ範囲ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二条 立木ハ之ヲ不動産ト看做ス
○2 立木ノ所有者ハ土地ト分離シテ立木ヲ譲渡シ又ハ之ヲ以テ抵当権ノ目的ト為スコトヲ得
○3 土地所有権又ハ地上権ノ処分ノ効力ハ立木ニ及ハス

・建物に抵当権が設定された場合、その中の畳にも抵当権は及ぶか。
建物は主物、畳は従物である。主物にかかった権利は従物にも及ぶため、畳にも抵当権は及ぶ。
→民87
(主物及び従物)
第八十七条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2 従物は、主物の処分に従う。

【代理】
・代理人に錯誤があったが、本人が事情を知っていた場合、その契約が有効か。
無効
→民101
(代理行為の瑕疵)
第百一条 
3 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

・代理人が本人の名で契約をしたとき、その契約は有効か。
有効(判例)

・顕名をしないで法律行為をした場合どうなるか。
代理人と相手方でのみ効果が生ずる。
→民100
(本人のためにすることを示さない意思表示)
第百条 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第一項の規定を準用する。

・法定代理と任意代理の違いを説明しなさい。
本人の意思に基づかないのが法定代理、基づくのが任意代理

・法定代理の具体例をあげなさい。
未成年者の子に対する親の代理、成年被後見人に対する成年後見人の代理
→民824
(財産の管理及び代表)
第八百二十四条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

・代理権の範囲が不明の任意代理の場合、代理人は何が行えるか
管理行為(=保存行為+改良行為)
(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

・代理権はいつ消滅するか
本人の死亡、代理人の死亡、破産手続開始決定、後見開始の審判を受けたとき
(代理権の消滅事由)
第百十一条 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。

・自己契約または双方契約をしたらどうなるか。
無権代理行為となり、本人が追認すると有効な代理行為となる。
→民113,116
(自己契約及び双方代理等)
第百八条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
(無権代理行為の追認)
第百十六条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

・任意代理の復任権はどこまで有効か。
本人の承諾を得たとき、その他やむを得ない事情があるとき
民104
(任意代理人による復代理人の選任)
第百四条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

・法定代理の復任権はどこまで有効か。
自由に選ぶことができるが、復代理人の過失について全責任を負う。
→民105
第百五条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

・代理権の濫用があり、相手方が代理人の背信的意思を知っていた場合、その代理行為は有効か。
無効。心裡留保と類似の状況であるから。(判例)
→民93
(心裡留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

・無権代理人に対して追認を行ったとき、いつ有効となるか。
相手方が無権代理についての事実を知った後。
→民113-2項
第百十三条
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

・無権代理が判明した際、相手方は何が行えるか。
催告と取消
→民114,115
(無権代理の相手方の催告権)
第百十四条 前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。
(無権代理の相手方の取消権)
第百十五条 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。

・無権代理の事実を相手が知っていたとき、取消は有効か。
無効
→民115

・無権代理が判明した際、相手方は無権代理人に損害賠償を請求できるか。
相手方が無権代理の事実に関して善意無過失だった場合は請求できる。
→民117
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

・本人が死亡し、無権代理人のみが相続した場合、無権代理行為は有効となるか
有効(判例)

・本人が死亡し、無権代理人を含む複数人が相続したとき、無権代理行為は有効となるか。
追認権は相続した人の共有の権利となるため、相続した全員が追認すれば有効となる。
→民251
(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

・本人が無権代理人を相続した場合はどうなるか。
追認を拒絶できる(判例)。

・無権代理人が代理権の表示をし、相手方が過失なく代理人であると信じていた場合、代理行為は有効か。
代理権授与の表示による表見代理となり、有効
→民109
(代理権授与の表示による表見代理等)
第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

・代理人が代理権の範囲を超えた代理行為をし、相手方が範囲内であると過失なく信じていた場合、代理行為は有効か。
権限外の行為の表見代理となり、有効
→民110
(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

・代理権が消失していたにも関わらず代理行為を行い、相手方が代理権があると過失なく信じていた場合、代理行為は有効か。
代理権消失後の表見代理となり、有効
→民112
(代理権消滅後の表見代理等)
第百十二条 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

【時効】
・債権の消滅時効は何年か。
10年
→民167

・取消権の消滅時効は何年か。
追認できる時から5年、行為時から20年
→民126
(取消権の期間の制限)
第百二十六条 取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。


・詐害行為取消権の消滅時効は何年か。
事実を知った時から2年、行為から10年

・相続回復請求権の消滅時効は何年か。
事実を知った時から5年、相続開始から20年
→民884
第八百八十四条 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。

・他人の物であると知りながら、所有の意思を持って平穏・公然と占有した場合、取得時効は何年か。
20年
→民162
(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

・自分の物であると信じて同様に占有し、途中で他人の物であることが判明した場合、取得時効は何年か。
10年
第百六十二条2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

・時効はどのようなときに中断するか。
相手方からの請求、督促、調停、破産手続参加
→民147
第百四十七条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法…若しくは家事事件手続法…による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加

・時効が完成した場合、時効期間中の遅延損害金を支払う必要はあるか。
時効の遡及効により、支払う必要はない
→民144
(時効の効力)
第百四十四条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。

・時効の利益放棄は時効完成前に行えるか。
行えない。債権者により時効の利益放棄を強要することを防ぐため。
→民146
(時効の利益の放棄)
第百四十六条 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。

・時効完成後に債務承認をした場合、時効の援用を行えるか。
信義則に反するため、できない(最大判昭41・4・20・民集・20・4・702)

参考文献:
民法 伊藤真ファーストトラックシリーズ2 ,伊藤真 著,弘文堂

債権法総論

《問題のみ》

【債務不履行】
・債務不履行の形態を3つあげなさい。
・強制履行の方法を3つあげなさい。
・与える債務となす債務の違いを説明しなさい。
・与える債務の具体例を1つあげなさい。
・なす債務の具体例を1つあげなさい。
・直接強制が許されるのはどのような債務か。
・代替執行が許されるのはどのような債務か。
・債務不履行に基づく損害賠償請求の要件を6つあげなさい。
・帰責事由は履行補助者の故意、過失を含むか。
・履行期を徒過しても損害賠償を請求できない例を1つあげなさい。
・履行遅滞中に債務者の過失なく目的物が滅失した場合、債務者の帰責事由となるか。
・債務不能に基づく損害賠償はどのようにして行うか。
・債権者の転居により債務者の遅延期間が延びた場合、遅延損害金の支払いはどうなるか。
・通説に従うと、受領遅滞は債権者の債務不履行か。

【債権譲渡】
・債権者が特定している債権を何というか。
・債権者が刻々と変化していく債権を何というか。
・債権譲渡で問題となるのはどちらの種類の債権か。
・譲渡禁止特約とは何か。
・債務者の同意なく事情を知らない第三者に債権譲渡が行われた場合、債務者は第三者に弁済の義務を負うか。
・債権譲渡の通知は義務か。
・債権譲渡の通知は誰が行うか。
・債権譲渡に関し、債務者以外の第三者に対する対抗要件は何か。
・確定日付のある証書の具体例を1つあげなさい。
・確定日付のある債権譲渡に関する証書が2つ債務者に届いたとき、どちらへ弁済すればよいか。
・確定日付のある債権譲渡に関する証書が2つ同時に債務者に届いたとき、どうすればよいか。
・債権譲渡に関する抗弁の切断はどのような場合に起こるか。
・債務者が異議なき承諾をした場合、一旦消失した保証債務は復活するか。
・債務者が異議なき承諾をした場合、賭博契約による債務は復活するか。

【債権の消滅】
・弁済の提供を2つに分けるとどうなるか。
・口頭の提供の要件を2つあげなさい。
・口頭の提供が許されるのはどのような場合か。
・債権者が受領をしない意思が明確な場合、弁済の提供は必要か。
・弁済の提供を行うとどうなるか。
・債務者以外の第三者が弁済をすることは許されるか。
・絵を描く債務を負っている債務者に代わって第三者が絵を描いた場合、第三者弁済として認められるか。
・債務者に代わって第三者が弁済することに債権者が反対の意思を表示した場合、第三者弁済として認められるか。
・取引通念上債権者らしい外観をしている者を何というか。
・債権の準占有者に対して債務者が善意・無過失な弁済を行った場合、その弁済は有効か。
・供託とは何か。
・債権者の承諾なく代物弁済を行った場合、その弁済は有効か。
・債権・債務の相殺を行う際、相殺される側の債権を何というか。
・相殺適状に当たるのはどのような場合か。
・請負人の請負代金債権と注文者の損害賠償債権に関し、相殺は認められるか。
・相殺が禁止される場合を3つあげなさい。

【責任財産の保全】
・債務者の責任財産を保全するために債権者が有する権利を2つあげなさい。

・債権者代位権を行使する際、名義は誰になるか。
・債権者代位権の行使は裁判を要するか。
・債権者代位権の被保全債権はどのような債権に認められるか。
・代位される権利が金銭債権である場合、債権者代位権により何が行えるか。
・債務者のもつ債権を消滅させないために債権者代位権を行使することを何というか。
・一身専属権とはどのような権利か。
・一身専属権の具体例を1つあげなさい。
・慰謝料請求権が債権者代位権の対象となるのはどのような場合か。
・債権者代位権の転用について、その具体例を1つあげなさい。
・詐害行為取消権の被保全債権はどのような債権に認められるか。
・判例で認められた詐害行為取消権の被保全債権はどのようなものがあるか。
・目的物が不動産の場合、詐害行為の取り消しによって債権者は何が行えるか。
・相続放棄は詐害行為に該当するか。
・離婚に伴う財産分与は詐害行為に該当するか。
・不動産の適正な価格での売却は詐害行為に該当するか。
・特定の債権者への弁済は詐害行為となるか。
・受益者が詐害の事実を知らなかった場合、詐害行為となるか。

【人的担保】
・連帯債務者の一人が弁済をしたとき、他の連帯債務者に各負担部分に対して償還を求めることができる。これの権利を何というか。
・通知を怠った連帯債務者が求償をした際、ほかの連帯債務者が債権者に対し相殺できる債権を持っていた場合、償還の義務はあるか。
・償還無資力者がいる場合、求償できるか。
・保証債務を主たる債務者の意思に背いて締結した場合、この契約は有効か。
・保証契約を口頭で行った場合、この契約は有効か。
・保証債務は主たる債務の元本以外に発生するか。
・保証人に対し、債権者が債務者を介さずに自分に対して履行を請求してきた。保証人が債権者に対して有する権利を2つあげなさい。
・保証人が債権者に弁済をした場合、債務者に対して何が行えるか。

 


《問題と解答》
【債務不履行】
・債務不履行の形態を3つ挙げなさい。
履行遅滞、履行不能、不利完全履行

・強制履行の方法を3つ挙げなさい。
強制執行、代替執行、間接強制

・与える債務となす債務の違いを説明しなさい。
与える債務は物の引渡しを目的としており、なす債務は物の引渡し以外を目的としている。

・与える債務の具体例を1つあげなさい。
金銭の支払、不動産の引渡しなど

・なす債務の具体例を1つあげなさい。
講演会での講演、コンサートへの出演など

・直接強制が許されるのはどのような債務か。
与える債務

・代替執行が許されるのはどのような債務か。
なす債務

・債務不履行に基づく損害賠償請求の要件を6つあげなさい。
履行期に履行可能、履行期を徒過、履行の遅延が債務者の帰責事由に基づく、履行しないことが違法である、損害の発生、因果関係

刑法総論の対比

・構成要件
履行可能+履行期の徒過=行為
損害の発生=結果
債務不履行と損害の間に因果関係がある=因果関係

・違法性
履行しないことが違法である

・有責性
履行の遅延が債務者の帰責事由に基づく

・帰責事由とは何か。
債務者の故意、過失など

・帰責事由は履行補助者の故意、過失を含むか。
含む

・履行期を徒過しても損害賠償を請求できない場合はどのようなものがあるか。
債務者に同時履行の抗弁権があるとき

・履行遅滞中に債務者の過失なく目的物が滅失した場合、債務者の帰責事由に基づくとなるか。
全体として債務者の帰責事由となる。

・債務不能に基づく損害賠償はどのようにして行うか。
補填賠償によって行う。

・債権者の転居により債務者の遅延期間が延びた場合、遅延損害金の支払いはどうなるか。
過失相殺により支払いの義務は生じない

・通説に従うと、受領遅滞は債権者の債務不履行か。
法定責任説によると受領は義務ではないので、債務不履行とは言えない。

【債権譲渡】
・債権者が特定している債権を何というか。
指名債権

・債権者が刻々と変化していく債権を何というか。
証券的債権

・債権譲渡で問題となるのはどちらの種類の債権か。
指名債権

・譲渡禁止特約とは何か。
当事者が反対の意思を表示した場合は債権の譲渡ができないこと。

・債務者の同意なく事情を知らない第三者に債権譲渡が行われた場合、債務者は第三者に弁済の義務を負うか。
譲渡禁止特約に違反するが、善意の第三者に対しては弁済の義務を負う。→466条2項但し書き

・債権譲渡の通知は義務か。
義務ではないが、債務者その他の第三者に対する対抗要件となる。
→第467条1項

・債権譲渡の通知は誰が行うか。
譲渡人(×譲受人)

・債権譲渡に関し、債務者以外の第三者に対する対抗要件は何か。
確定日付のある証書によってなされた通知または承諾

・確定日付のある証書の具体例を1つあげなさい。
内容証明郵便、公正証書など

・確定日付のある債権譲渡に関する証書が2つ債務者に届いたとき、どちらへ弁済すればよいか。
証書が早く届いた方(×譲渡が早かった方 ×確定日付が早い方)
債務者の認識を尊重するため

・確定日付のある債権譲渡に関する証書が2つ同時に債務者に届いたとき、どうすればよいか。
どちらか一方へ全額弁済する。(×弁済しなくてよい ×半額ずつ弁済する)

・債権譲渡に関する抗弁の切断はどのような場合に起こるか。
債務者が異議をとどめないで承諾した場合(×債務者が通知を受けた場合)

・債務者が異議なき承諾をした場合、一旦消失した保証債務は復活するか。
保証債務の付従性により、一度消失した保証債務は復活しない(判例)

・債務者が異議なき承諾をした場合、賭博契約による債務は復活するか。
公序良俗違反により無効な契約は、債権譲渡をしてもやはりむこうである(判例)

【債権の消滅】
・弁済の提供を2つに分けるとどうなるか。
現実の提供と口頭の提供

・口頭の提供の要件を2つあげなさい。
現実の提供をするのに必要な準備を完了すること、受領を催告をすること

・口頭の提供が許されるのはどのような場合か。
債権者があらかじめその受領を拒んだ場合、債務の履行のために債権者の行為が必要な場合

・債権者が受領をしない意思が明確な場合、弁済の提供は必要か。
必要ない(×現実の提供が必要である ×現実の提供は必要でないが、口頭の提供は必要である)

・弁済の提供を行うとどうなるか。
履行遅滞責任を負わなくなる。
→492条

・債務者以外の第三者が弁済をすることは許されるか。
原則として許される。
→474条

・絵を描く債務を負っている債務者に代わって第三者が絵を描いた場合、第三者弁済として認められるか。
第三者弁済の例外として認められない。
→474条但し書き

・債権者が反対の意思を表示した場合、債務者に代わって第三者が弁済した場合はどうか。
認められない
→474条但し書き

・取引通念上債権者らしい外観をしている者を何というか。
準占有者

・債権の準占有者に対して債務者が善意・無過失な弁済を行った場合、その弁済は有効か。
有効である。
→478条

・供託とは何か。
給付目的物を供託所に寄託し、債務を免れること
供託所は東京法務局、地方法務局、支局に設置されている。

・債権者の承諾なく代物弁済を行った場合、その弁済は有効か。
代物弁済の要件に債権者の承諾が含まれているため無効。
→482条

・債権・債務の相殺を行う際、相殺される側の債権を何というか。
受働債権

・相殺適状に当たるのはどのような場合か。
自働債権が弁済期にあるとき、自働債権が消滅時効にかかったとき(×受働債権が弁済期にあるとき ×自働債権の相手方に同時履行の抗弁権があったとき)



・請負人の請負代金債権と注文者の損害賠償債権に関し、相殺は認められるか。
自働債権に対する抗弁権の付着の例外に当たり、相殺が認められる(判例)。

相殺が禁止される場合を3つあげなさい。
相殺禁止特約がある場合、受働債権(×自働債権)が不法行為によって生じた場合、受働債権が支払いの差し止めを受けた後に自働債権を取得した場合。

【責任財産の保全】
・債務者の責任財産を保全するために債権者が有する権利を2つあげなさい。
債権者代位権、詐害行為取消権

・債権者代位権を行使する際、名義は誰になるか。
債権者の名(×債務者の名、つまり代理人としては行使できない)

・債権者代位権の行使は裁判を要するか。
裁判は必要でない。対して詐害行為取消権は必要。

・債権者代位権の被保全債権はどのような債権に認められるか。
金銭債権

・代位される権利が金銭債権である場合、債権者代位権により何が行えるか。
債務者に代わってその相手方に直接金銭を支払うよう請求できる。

・債務者のもつ債権を消滅させないために債権者代位権を行使することを何というか。
保存行為

・一身専属権とはどのような権利か。
債務者しか使えない権利

・一身専属権の具体例を1つあげなさい。
婚姻取消権、認知請求権、名誉権侵害に対する慰謝料請求権

・慰謝料請求権が債権者代位権の対象となるのはどのような場合か。
被害者が慰謝料請求をする意思を表示し、慰謝料の具体的な金額が確定した場合(判例)。

・債権者代位権の転用について、その具体例を1つあげなさい。
建物の賃借人が、不法占拠者に対して賃貸人の所有権に基づいて明け渡しを要求するなど。

・詐害行為取消権の被保全債権はどのような債権に認められるか。
原則として金銭債権

・判例で認められた詐害行為取消権の被保全債権はどのようなものがあるか。
特定物(不動産など)の引渡しを求める権利

・目的物が不動産の場合、詐害行為の取り消しによって債権者は何が行えるか。
債務者名義の登記をするよう受益者に求める(自分名義の登記をするよう受益者に求める)

・相続放棄は詐害行為に該当するか。
相続放棄は身分関係上の行為なので該当しない。

・離婚に伴う財産分与は詐害行為に該当するか。
身分関係上の行為であるが、不相当に過大な場合は該当する。

・不動産の適正な価格での売却は詐害行為に該当するか。
不動産が費消されやすい金銭に代わるため該当する。

・特定の債権者への弁済は詐害行為となるか。
原則ならないが、故意に債権者を害する意思があればなりえる。

・受益者が詐害の事実を知らなかった場合、詐害行為となるか。
受益者が詐害の事実を知っている必要があるため、詐害行為とならない。
→424

【人的担保】
・連帯債務者の一人が弁済をしたとき、他の連帯債務者に各負担部分に対して償還を求めることができる。これの権利を何というか。
求償権
→442

・通知を怠った連帯債務者が求償をした際、ほかの連帯債務者が債権者に対し相殺できる債権を持っていた場合、償還の義務はあるか。
求償を拒めるため、償還の義務はない。
→443条

・償還無資力者がいる場合、求償できるか。
できない。資力がある者の間で分割しなおして負担する。

・保証債務を主たる債務者の意思に背いて締結した場合、この契約は有効か。
有効である。主たる債務と保証債務は独立した債務であるため。
→462条2項

・保証契約を口頭で行った場合、この契約は有効か。
保証契約は書面で行う必要があるため、無効である。
→446条2項

・保証債務は主たる債務の元本以外に発生するか。
保証債務は元本以外に利息、違約金、損害賠償なども包含する。

・保証人に対し、債権者が債務者を介さずに自分に対して履行を請求してきた。保証人が債権者に対して有する権利を2つあげなさい。
催告の抗弁、検索の抗弁。連帯保証人には認められていない。
→452、453

・保証人が債権者に弁済をした場合、債務者に対して何が行えるか。
求償権を取得し、償還を要求できる
→459
参考文献:
民法 伊藤真ファーストトラックシリーズ2 p158-p213,伊藤真 著,弘文堂