海事代理士試験;5船員法-総則,船長の権限,規律,雇入契約 | もころぐ

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第一章 総則

(船員)

第一条 この法律において「船員」とは、日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員をいう。

② 前項に規定する船舶には、次の船舶を含まない。

一 総トン数五トン未満の船舶

二 又はのみを航行する船舶

三 政令の定める総トン数三十トン未満の漁船

四 前三号に掲げるもののほか、船舶職員及び小型船舶操縦者法に規定する小型船舶であつて、スポーツ又はレクリエーションの用に供するヨット、モーターボートその他のその航海の目的、期間及び態様、運航体制等からみて船員労働の特殊性が認められない船舶として国土交通省令の定めるもの

③ 前項第二号の港の区域は、港則法に基づく港の区域の定めのあるものについては、その区域によるものとする。ただし、国土交通大臣は、政令で定めるところにより、特に港を指定し、これと異なる区域を定めることができる。

第二条 この法律において「海員」とは、船内で使用される船長以外の乗組員で労働の対償として給料その他の報酬を支払われる者をいう。

② この法律において「予備船員」とは、前条第一項に規定する船舶に乗り組むため雇用されている者で船内で使用されていないものをいう。

第三条 この法律において「職員」とは、航海士、機関長、機関士、通信長、通信士及び国土交通省令で定めるその他の海員をいう。

② この法律において「部員」とは、職員以外の海員をいう。

(給料及び労働時間)

第四条 この法律において「給料」とは、船舶所有者が船員に対し一定の金額により定期に支払う報酬のうち基本となるべき固定給をいう。

② この法律において「労働時間」とは、船員が職務上必要な作業に従事する時間(海員にあつては、上長の職務上の命令により作業に従事する時間に限る。)をいう。

(船舶所有者に関する規定の適用)

第五条 この法律の規定のうち、船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には船舶管理人に、船舶貸借の場合には船舶借入人にこれを適用する。

(労働基準法の適用)

第六条 労働基準法の規定は、船員の労働関係についても適用があるものとする。

第二章 船長の職務及び権限

(指揮命令権)

第七条 船長は、海員を指揮監督し、且つ、船内にある者に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる。

(発航前の検査)

第八条 船長は、国土交通省令の定めるところにより、発航前に船舶が航海に支障ないかどうかその他航海に必要な準備が整つているかいないかを検査しなければならない。

(航海の成就)

第九条 船長は、航海の準備が終つたときは、遅滞なく発航し、且つ、必要がある場合を除いて、予定の航路を変更しないで到達港まで航行しなければならない。

(甲板上の指揮)

第十条 船長は、船舶が港を出入するとき、船舶が狭い水路を通過するときその他船舶に危険の虞があるときは、甲板にあつて自ら船舶を指揮しなければならない。

(在船義務)

第十一条 船長は、やむを得ない場合を除いて、自己に代わつて船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ、荷物の船積及び旅客の乗込の時から荷物の陸揚及び旅客の上陸の時まで、自己の指揮する船舶を去つてはならない。

(船舶に危険がある場合における処置)

第十二条 船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助並びに船舶及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない。

(船舶が衝突した場合における処置)

第十三条 船長は、船舶が衝突したときは、互に人命及び船舶の救助に必要な手段を尽し、且つ船舶の名称所有者船籍港発航港及び到達港を告げなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、この限りでない。

(遭難船舶等の救助)

第十四条 船長は、他の船舶又は航空機の遭難を知つたときは、人命の救助に必要な手段を尽さなければならない。但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険がある場合及び国土交通省令の定める場合は、この限りでない。

(異常気象等)

第十四条の二 国土交通省令の定める船舶の船長は、暴風雨、流氷その他の異常な気象、海象若しくは地象又は漂流物若しくは沈没物であつて、船舶の航行に危険を及ぼすおそれのあるものに遭遇したときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を附近にある船舶及び海上保安機関その他の関係機関に通報しなければならない。

(非常配置表及び操練)

第十四条の三 国土交通省令の定める船舶の船長は、第十二条乃至第十四条に規定する場合その他非常の場合における海員の作業に関し、国土交通省令の定めるところにより、非常配置表を定め、これを船員室その他適当な場所に掲示して置かなければならない。

② 国土交通省令の定める船舶の船長は、国土交通省令の定めるところにより、海員及び旅客について、防火操練救命艇操練その他非常の場合のために必要な操練を実施しなければならない。

(航海の安全の確保)

第十四条の四 第八条から前条までに規定するもののほか、航海当直の実施、船舶の火災の予防、水密の保持その他航海の安全に関し船長の遵守すべき事項は、国土交通省令でこれを定める。

(水葬)

第十五条 船長は、船舶の航行中船内にある者が死亡したときは、国土交通省令の定めるところにより、これを水葬に付することができる。

(遺留品の処置)

第十六条 船長は、船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたときは、法令に特別の定がある場合を除いて、船内にある遺留品について、国土交通省令の定めるところにより、保管その他の必要な処置をしなければならない。

(在外国民の送還)

第十七条 船長は、外国に駐在する日本の領事官が、法令の定めるところにより、日本国民の送還を命じたときは、正当の事由がなければ、これを拒むことができない。

(書類の備置)

第十八条 船長は、国土交通省令の定める場合を除いて、次の書類を船内に備え置かなければならない。

一 船舶国籍証書又は国土交通省令の定める証書

二 海員名簿

三 航海日誌

四 旅客名簿

五 積荷に関する書類

六 海上運送法に規定する証明書

② 海員名簿、航海日誌及び旅客名簿に関し必要な事項は、国土交通省令でこれを定める。

(航行に関する報告)

第十九条 船長は、左の各号の一に該当する場合には、国土交通省令の定めるところにより、国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。

一 船舶の衝突、乗揚、沈没、滅失、火災、機関の損傷その他の海難が発生したとき。

二 人命又は船舶の救助に従事したとき。

三 無線電信によつて知つたときを除いて、航行中他の船舶の遭難を知つたとき。

四 船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたとき。

五 予定の航路を変更したとき。

六 船舶が抑留され、又は捕獲されたときその他船舶に関し著しい事故があつたとき。

(船長の職務の代行)

第二十条 船長が死亡したとき、船舶を去つたとき、又はこれを指揮することができない場合において他人を選任しないときは、運航に従事する海員は、その職掌の順位に従つて船長の職務を行う。

第三章 紀律

(船内秩序)

第二十一条 海員は、次の事項を守らなければならない。

一 上長の職務上の命令に従うこと。

二 職務を怠り、又は他の乗組員の職務を妨げないこと。

三 船長の指定する時までに船舶に乗り込むこと。

四 船長の許可なく船舶を去らないこと。

五 船長の許可なく救命艇その他の重要な属具を使用しないこと。

六 船内の食料又は淡水を濫費しないこと。

七 船長の許可なく電気若しくは火気を使用し、又は禁止された場所で喫煙しないこと。

八 船長の許可なく日用品以外の物品を船内に持ち込み、又は船内から持ち出さないこと。

九 船内において争闘、乱酔その他粗暴の行為をしないこと。

十 その他船内の秩序を乱すようなことをしないこと。

(懲戒)

第二十二条 船長は、海員が前条の事項を守らないときは、これを懲戒することができる。

第二十三条 懲戒は、上陸禁止及び戒告の二種とし、上陸禁止の期間は、初日を含めて十日以内とし、その期間には、停泊日数のみを算入する。

◆港について羽を伸ばすことは船員の余暇として大切なものだが、それを奪うことをペナルティとするのである。

第二十四条 船長は、海員を懲戒しようとするときは、三人以上の海員を立ち会わせて本人及び関係人を取り調べた上、立会人の意見を聴かなければならない。

(危険に対する処置)

第二十五条 船長は、海員が凶器爆発又は発火しやすい物劇薬その他の危険物を所持するときは、その物につき保管、放棄その他の処置をすることができる。

第二十六条 船長は、船内にある者の生命若しくは身体又は船舶に危害を及ぼすような行為をしようとする海員に対し、その危害を避けるのに必要な処置をすることができる。

第二十七条 船長は、必要があると認めるときは、旅客その他船内にある者に対しても、前二条に規定する処置をすることができる。

(強制下船)

第二十八条 船長は、雇入契約の終了の届出をした後当該届出に係る海員が船舶を去らないときは、その海員を強制して船舶から去らせることができる。

(行政庁に対する援助の請求)

第二十九条 船長は、海員その他船内にある者の行為が人命又は船舶に危害を及ぼしその他船内の秩序を著しくみだす場合において、必要があると認めるときは、行政庁に援助を請求することができる。

(争議行為の制限)

第三十条 労働関係に関する争議行為は、船舶が外国の港にあるとき、又はその争議行為に因り人命若しくは船舶に危険が及ぶようなときは、これをしてはならない。