鑿(ノミ)たち その2。

 えっと、車載の鑿巻きのふたつ目は、ヘンテコのみです。





 中身をみると、蟻桟や大入れの底取りなんかに使うコテ鑿。



 


 ご存知、床はり鑿。




 

 その床はり鑿の登場で失職した、2段コテ鑿。




 あと、狭いところにも入るので時々便利な逆コテ鑿。


 



 それから、角が鋭角の穴を掘るときに必要な埋め木ノミ。



 右のはバチ鑿と言うのかな。


 バチ鑿は狭いところに届くことの他に、材に喰い込んでも抜けやすいのが特徴です。


 叩き鑿は、同じ理由で、バチまでは行かなくても、刃先よりも肩を絞ってあると使いやすいですね。


 そういうのを作ってみたら、案の定使い良かったですよ。




 余談ですが、職人さんが替えの利かない白木仕事で失敗したときに、埋め木で対応することがあります。


 「かたさんごめん、これ、何とかなる?」


 「はいはい、やってみます。」


 夕方、ひとり居残って埋め木仕事。



 翌日、失敗した本人が見て、「あれ何処だったっけ?」 となると、成功ですね。


 「まったく、お前は埋め木で食っていけるよな。」


 「いやいや、お金もらったことありませんから。手間代いただけるんですか?」


 「・・・・・・。」



 役には立つけど、まったくお金にならないのでした。




 これは、砂や鉄に当たる可能性が高いときに犠牲になってくれる、特殊鋼のノミです。



 砥石が受け付けないので、砥ぐ手間が非常にかかり、不経済で普段は役に立ちませんが、とにかくパリンパリンに硬いです。でも大欠けはしにくいです。グラインダーで砥いでOKなので、サンダーで砥ぎながらハツリ仕事したこともあります。




 続いて、叩き鑿。


 


 コーキングガンよりずっと長くて、デカイですね。



 ご覧の通り、ほとんど使ったことが無い新品が何本もあります。



 そう、刻み仕事が無いんですね。


 道具が仕事を呼んでくるという話も聞きますので、昨年、思い切って穴屋とか寸6とかを新調してみました。願いを込めて。



 

 この1寸2分の叩き鑿は、柔らかくて砥ぎ易いのに、とても長切れする不思議なやつです。

 

 「神治」って銘が書いてありますが、あまりメジャーではないと思います。




 全体にニスが塗ってあってあまり見栄えがしないというか、名刀のオーラを出していないやつなのですが、きっと腕の確かな鍛冶屋さんだろうと思います。



 鉄っていうのは、つくづく不思議です。


 能書きだけでは何にもわかりません。


 時間ができたら、フリマとか蚤の市とかで、勘を頼りに、古い良いものを探してみたいですねー。