彼の強い希望で、彼と彼の母親が立ち会うことになった初めての出産。
前回の記事↓
はじめからは
彼は、彼が心から信頼する母親と二人で私と赤ちゃんを守るという使命に燃えていた。
と言うのも、数年前に彼は医療ミスで生死を彷徨った事があった。そして、彼の最愛の祖母(彼ママのママ)も医療ミスで他界している。祖母は彼を溺愛しており、彼も祖母が大好きだった。
そういった出来事は彼の医療現場への不信感を一層強めた。実際表に出る以上に医療ミスは多いと思う。
私はと言うと、皆病院に行って無事にお産をしている。いや、病院に行けば無事に産めるものだとどこかで思っていたのである。自分の出産なのにどこか人任せだったわたし
今回の記事には、陣痛の痛みや出血などの描写を含みます。これからの出産に不安を抱えている方や、生々しい描写が苦手な方はご遠慮下さいませ。
お腹もどんどん大きくなって、予定日の3週間前くらいには義理母が来てくれた。
会うのは2度目だったが、一緒にお料理をしたり、お買い物に行ったり、カフェに行ったり、その期間にお互いの距離を縮めて行った。
彼女は、性格も良く、穏やかで私にもとても優しかった。
私達が婚約したことや、生まれてくる赤ちゃんも本当に楽しみにしてくれていた。
私は、彼女から彼の小さかった頃の話を聞いたり、楽しい時間を過ごした。
そしていよいよ、出産予定日になったが産まれてくる気配は全くない。
それは数日経っても変わらない…
私は頑張ってウォーキングや、床掃除やらスクワットなどをした。もちろん月見草やらラベンダーリーフティーも愛飲した。
お腹はどんどん大きくなってはち切れんばかりだ
予防オイルの効果も虚しく、妊娠線がガッツリ出来て、痒くて痒くて仕方なかった。
道行く人には
「今にも産まれそうな位大きなお腹!」
「だいぶ下がっているね!」
などと口々に言われた。
それでもまだなんの変化もない
私も最初は、予定日はただの予定日だし、赤ちゃんの準備が出来たら産まれるでしょ!と呑気に構えていたのだが
病院に行くと、10日経っても産気付かなかったら分娩を促進するバルーンを使うと言われた
それだけは
絶対いや!
となった私はいよいよ焦りだした。
歩き回り、スクワットしまくり、動き回った。
結果、予定日超過して10日になる頃…
破水した。
しかもドバーっと
陣痛が来ていないのに破水したので、
前期破水と呼ばれるのかな?
私はその時に、不安より先にようやく生まれるのだとワクワクした。
その先の苦痛も知らず…
病院に慌てて行くと、陣痛が来るのを家で待つように指示を受け、家に戻った。
案の定、
数時間後には何これ!?
めっちゃ痛い!
っというお腹の痛みに悶絶した。
こ、これが前駆陣痛なのか?
夜も定期的に来る痛みで、ほとんど寝れなかったし、ご飯すら食べれなく、既にフラフラの状態だった。
病院に行ったら、微弱陣痛なので、陣痛促進剤を使用すると告げられる。
破水した状態では、お腹の中の赤ちゃんに影響があるからそれしか方法がないと言われたのだ。
ショックだったが、お腹の赤ちゃんに影響があるなんて言われたら使うしかないと思った。
オールナチュラルの自然分娩を望んでいたのに…と落胆を隠せなかった
そして、恐るべし陣痛促進剤…
この世の痛さとは思えない…
そこから何時間も痛みに耐えたが、まだ子宮口は開いてないと言う
どんどん促進剤を強くしていった。私はひと言も発する事が出来ない位衰弱していた。
只でさえ、高齢初産で、前日から寝てない、食べてないで体力も限界だった。
そして、私は極度の緊張状態にあった。
慣れない医療器具に囲まれて、スポットライト?に照らされ皆が見守る中ベッドで寝かされる。クーラーガンガンに効いてて寒がりの私は震えていた。筋肉も収縮するわそりゃ
そして、彼が氣を利かせてセージのアロマオイルをバーナーで焚き染めていたのだが、強すぎて吐きそうだった。 産後しばらくはセージを嗅ぐと痛みと苦しみがフラッシュバックしたくらい
促進剤ももうこれ以上は母子ともに耐えられない位マックスで他に出来ることはないと言う
赤ちゃんは至って落ち着いていたのが救いだった。
シフトの都合で助産師さんも何人も入れ変わった。
医者も代わる代わる来ては、痛み止めの使用を促したり、緊急帝王切開を勧めてきた。結局どちらも拒否...
私は正直、もうお腹切っても良いからこの痛みから解放されたいと思っていた。
出産前に痛み止めや麻酔は使いませんと言っていたが、この痛みが無くなるなら使ってもいいかもとさえ思った。もう限界…
頼むから切腹してくれー
だが彼は、「赤ちゃんに異常が無いならこのまま頑張ります」と代わりに答えていた
おいおい、お前がなに勝手に決めとるねーん!!w
その時の私は元氣がなくて、何も言えなかった
とにかく、私はもう全てを諦めたいくらい身体と神経が衰弱していた。
何度も何度も鉄のハンマーで腰を殴り続けられる様な痛みにこれ以上は耐えられない
私は、蚊の泣くような声で助産師さんに聞いた。
私「なんで…赤ちゃん産まれて来てくれないの?」
助産師さん「そりゃ~パートナーがあんなに大きいのに貴方はこんなにも小柄(小柄というか骨盤狭そうな?痩せ型)だからよ。犬でも犬種が違うと母親が難産になったりするのよ。」
(↑これは一概には言えないかと…小柄で安産の方沢山いるし)
と今思えば信じられない事を言い放った
私は分娩台から彼を睨み付け、
「お前のせいだったのか!!」
あんたが無駄にデカイ(彼は190cmオーバーの巨人)から私がこんなにも苦しんでいるってことですかい??
腰が痛いと言うのに、大してマッサージもせずに、ずれたタイミングで
「プーッシュ!」
と叫ぶ彼に殺意すら湧いてきた…
助産師さん「でも、二人目は今よりスムーズになるわよ」と。
いやいや、初産でこんなに苦しんでいる私に2人目のお産の事考えられると思うか??
会話のセンス無さすぎじゃね??
全てにイライラしてきた
私にはもう声を出す元氣も無い
彼が言うには40時間という陣痛と分娩の間、一度も叫ばなかったらしい。無音である。
いや、本当に痛いと人間って声も出ないのか?
体力も温存しなきゃだしね
二人目はそれなりに叫びました
そして、助産師さんが叫んだ。
「赤ちゃん見えたわよ!髪の毛真っ黒だわ!!あなたにそっくり!」
いや、もうね髪の毛とかマジどーでもえーんやわ
真っ黒だろうが、金髪だろーが、赤毛だろうが、ハゲだろうが何でもええから
早く産まれて~
長い長い時間をかけて、ようやく息子が産まれた。
会陰は切る前に裂けた💦裂けても、縫っても全然痛くないのね~その後はずっと痛くて座れなかったけど…

何度も意識が飛びそうになったのだが、生まれた瞬間に意識がはっきりしたのを覚えている。
私はカンガルーケアを絶対にしたかったのだ
早く、息子を私に抱かせて!
カンガルーケアとは、出産後すぐに新生児を母親の裸の胸に抱いて密着させることで母子の結びつきを深める行為です。
この本↓読んで影響受けたカンガルーケアが大切らしい。
ちなみに義母がすごいアングルでモロ下から産まれた瞬間の動画をたっぷり撮ってくれてました…これをいつか息子が観るのでしょうか?ぐれそうになったら観せよかなw
生まれたての息子は産声を上げて、
私の胸の中で神々しい姿を見せてくれた。
こんなに大変だったお産とは裏腹に落ち着き払った息子。
ひと泣きしたと思えば、聡明な顔で、目をぱっちりと開けて、私の顔をみたり、周りを見渡したりしていた。もう目が見えてたかと
さすが11日遅れ、爪も髪も伸びてたし55cm越えのロングベイビーだった。やぱお腹で引っ掛かってたのかな
体重は3.7㌔
いや、あなた人間何度目ですかと言わんばかりの賢そうな顔つきで全てを悟ったようだった。
親バカ全快は承知です
私はこの子から沢山の事を学ぶのだろうと瞬時に思った。
それぐらい、私にとって尊い存在だった。
私は、彼を無事に産み落とした。
その真実に報われた氣がした。
生まれて来て直ぐにおっぱいをまさぐり吸う力強い息子を見て心底安心した。
そして冷静にへその緒を切る彼の姿をみて
(直ぐには切らない方が良いと聞いてたので、30分位はそのままにしていた)
やっと全てが終わったのだ…。
と安堵した。
そう思うが否や激しい後陣痛に襲われた。
な、なんで?終わったんじゃないの?
その瞬間私は出血したのだ。
自分でもびっくりするくらいの量だった。
それはまるで打ち上げ花火の様だった。
君がいた夏は
遠い夢の中
空に消えてった
打ち上げ花火
BGM 夏祭り
人間が失血出来る限界を越えたらしい…
後から聞くと、3L近く出血し、出血性ショック状態になったのだった。
ガクガクと震えと寒氣が止まらなくなり
ついに呼吸も出来なくなった。
即座に酸素マスク?が付けられ
次々に医師や看護師達が集まってきた。
私は遠退く意識の中で客観的に状況を眺めていた。
わぁみんなパニック状態やなぁ~
そして、ある地点を越えた私は
痛みや苦しみの全てから
解放されたのだった。
ああ、私やっと死ねるんだ。
もうあんな痛みを味わわなくても良いのだ。
死ぬってこんな感じなんだ。
もう痛くも苦しくもない。
ずっと知りたいと思っていた死が
もうそこまで来ているのだ。
オーバーかも知れないが私にはそう感じた
そして、これまで私に起こったことが
フラッシュバックした。
これを走馬灯と呼ぶのだろうか。
残念ながら臨死体験は出来なかった。
私は義母が抱き抱える息子を遠く見つめながら
「ごめんね。弱い母でごめんね。」
とひたすら謝った。
と同時に、貴方なら大丈夫だ。
私が居なくてもきっと
立派に生きていける。
だから、私は安心して逝ける…
そう思った瞬間…
彼の焦燥しきった顔が目に入った。
何とも哀しそうな顔をしていた。
絶望し、この世の終わりかと言う程…
私はそんな彼の表情を見て意識が戻った。
彼に出会った時の表情と重なった。
私は最愛の人を悲しませて
何て罪深い事をしているのか。
氣がつけば義母も心配そうに覗き込み
涙を流していた。
私はずっと
我が生涯に一片の悔い無し!
と思いながら死ぬと決めていた。
それは今も変わらない。最期の台詞にするつもりだ
※かの有名な北斗の拳ラオウの台詞である
私は彼を残しては
絶対に死ねない!!
私は不死鳥の如く甦ってやる!
お前はまだ死んでいない!!
経絡秘孔の一つでも突いてみろ!
立ち上がれ!
もう一度生きて
この世を全うするのだ!!
そう天に誓ったや否や
私は氣を失ったのだった。
次回に続きます!
モリリン🥭