声迷線の彷彿線 どこ行き? -67ページ目

冬の日の夜

夏の日に付いた嘘は
静かに
その気配を
薄めはじめて
肌寒さを
連れてきては
北風を襟元に
しまい込んで行く

赤い月が妖しく
夜を
照らし出しては
君の面影を
否応なく
なぞり染めて
僕に解答を迫る

やり場の無い
思い出達は
まだ許す気に
成らないらしくて

そのたびに
零れ落ちそうな涙と
加速する葛藤が
悲哀の色を増す

外には白々と
吐く息を宿しながら
街を腕組み歩く
恋人達

もしも
あの時君の影を
踏んでいたのなら
二人もこうして
居られたのかな?
少し後悔するけれど

それでも今は
振り返らずに
君の事思うよ

煉瓦の街並みを
忙しそうに闊歩して
晴れやかに
生きている

そう
確信めいた
答えが
瞼の裏浮かぶから

僕も歩いて行くよ
在るべき道の方へ



風が白くたゆたう
雲を靡かせ
その色に影を
落とし込んで
墨色へと変えて行く
Velvetの空は
静寂を打ち崩して
鳴り止まない雫を
神の御座から
振り落として

その轟音を肩に
受けて
その冷たい雨に
身を宿して
悲哀もジレンマも
洗い流して
しまえば良い

そうすれば
白い結晶が
舞う季節にも
温もりに
寄り添える筈さ

三日月

葵い真空の空を
鳩の群れが一斉に
羽ばたく

僕は遥か数百m下から仰ぎ見ている

幾億の星が
創世の彼方から
夜を照らし
闇雲に闇夜を
消し去ってくれる

そんな折
ふと雲に隠れた
三日月が顔を出して
何となく
触れられそうな
そんな気がしたから
手を開いてみたんだ
両手を
開いてみたんだ

そうしたら
透明に透けて…
徒かも一体なったが如く

世界を包み込んだんだ