コリーニ事件 | mori17さんのブログ

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「映画大好きおっさん」の映画関連

今回視聴したのは、2019年の「コリーニ事件」で、アマプラにて拝見しました。

 

コリーニ事件(字幕版)

 

この映画、原作が小説で、1968年にドイツ連邦議会で可決されたドレーアー法の歪んだ実情に対して起こった事件を描いた法廷ものです。

 

この法令によってなぜ人が死ぬことになったのか?

 

その理由を、現代の法廷シーンと弁護士の奮闘、そして過去の回想シーンを行ったり来たりしながら表現しています。

 

話の方は、2001年のドイツのホテルで、ジャン・B・マイヤーなるドイツ人が殺され、コリーニというイタリア人が逮捕されるところから始まります。

 

コリーニは完全黙秘しており、しかし物的証拠はそろっており、裁判が始まろうとしていました。

 

犯人コリーニには国選弁護人が付けられますが、任命されたのは主人公のカスパーで、まずはコリーニに面会しますが黙秘されます。

 

その後、実は殺されたジャン・B・マイヤーは通常ハンス・マイヤーと名乗っていることが分かり、この人物はかなりの金持ちで、しかもカスパーとは家族ぐるみの付き合いで、弁護士になれたのも彼のおかげという、カスパーはかなり被害者と近い関係であったことが分かってきます。

 

さらに言うと、カスパーは孫娘のヨハンナともエロい関係で、これ弁護を引き受けていいの?ってなことになりますが、恩師のリチャード・マッティンガー教授から助言を受け、公私混同しないのが弁護士であるという信念の元に弁護を引き受けることになります。

 

この裁判は、コリーニが被害者を殺したことは間違いないという事で、後はどれくらいのヤバさで被害者を殺したのかが焦点になっており、そのヤバさ加減によって軽い量刑と重い量刑に分かれるというものでした。

 

つまり、犯行動機によっては情状酌量の対象になるという訳です。

 

しかし、完全黙秘を続けているので犯行動機も不明なため、どうしたもんかという事になり、弁護士のカスパーに何とかして自白させろといったプレッシャーがかかってしまい、そんなこと言ったって黙秘し続けるコリーニに対し、どうしろって言うんだってな感じで、カスパーは頭を悩ますことになります。

 

そうこうする内に、犯行に使われた拳銃がドイツ製のワルサーP38という事に対し、なぜこんな50年以上前の古い拳銃を使ったのか疑問に思ったコリーニは、子供の頃の古い記憶を思い出します。

 

それは、被害者であるハンス・マイヤーが、これと同じ拳銃を持っていたことです。

 

ここから、コリーニの過去を調べ始め、イタリアのモンテカティーニ出身であることを突き止めます。

 

そこでイタリア語に堪能なピザ屋のバイト女子を雇いイタリアへ調査に行き、更には本屋を営む父親に協力を依頼し、膨大な資料からモンテカティーニで起こった過去の事件を調べ始めます。

 

するとそこから、驚愕の事実を発見してしまうことになります。

 

その事実とは、1944年に起こった虐殺事件で、被害者と容疑者がこれに深く関係していたことが分かってきます。

 

つまり、犯行理由がこの事件に関係あるという事なのです。

 

しかも、ドレーアー法も深く絡んでおり、ドイツが戦争を仕掛け、人が人を殺し、その報復でさらに人が殺され、更に報復の報復で人が殺されといった人殺しの連鎖の過去に対し、1968年のドイツ人が何をしたのかが問われることになってしまいます。

 

このドレーアー法と言うのは、ああいった戦争の極限状態において、人が人を殺すという事に”しょうがなかった”とするもので、現代のモラルや法律に照らし合わせると、本当にそうなのだろうか?といった疑問を裁判で投げかけることになります。

 

こういった過去と向き合うことになった裁判が、どう決着をつけるのかというのがこの作品のオチになるのですが、ここで贖罪行動が発動してしまいます。

 

いや、この裁判以前に発動していたかもしれません。

 

贖罪とは、 善行を積んだり金品を出したりするなどの実際の行動によって、自分の犯した罪や過失を償うことで、この裁判における被害者と被告人、過去の事件における被害者と被告人という2重構造に対し、誰が誰に対して贖罪したのかという事になっていきます。

 

このことにより、観客はこの映画を観てどう共感するのかしないのか、どう判断したらよいのかと、問いかけられる終わり方をします。

 

恐らく、過去に起こったことから目を背けるな、過去は現在へ繋がっており、未来へも繋がっているという事だと思います。

 

いや、これにより過去に決着がつき、死して幸せになったのかもしれません。

 

そういった意味でも、観客はそれぞれで結論を持ってください。

 

そういった感じの作品でした。

 

 

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