グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 1
グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 2
グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 3
グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 4

考察3、4を通じて
刃牙の地下闘技場が、
東京ドームの完成後に掘削設置されたことは考察できたわけですが、
どのようなルートで建設されたのか?

そのあたりを確認したくて東京メトロに問い合わせてみました。
すると、ものすごい事実がわかったのです。

建築エコノミスト 森山のブログ


この東京ドーム最寄の南北線駅は後楽園駅なのですが、
そしてこの駅のホームの深さは、なんと地下6階、地下37.5メートル。
ぴったし!地下6階。

建築エコノミスト 森山のブログ

ここまで合わせてくるとは、偶然なら神業。
板垣恵介先生はやはり地下工事マニア

それだけではない、この南北線は後楽園駅の次飯田橋に有楽町線との連絡留置線が存在するという事実。

建築エコノミスト 森山のブログ

であるなら、
この工事は通常の地下鉄軌道が出来上がりつつあった89年~90年のある時期に、
深夜間ひっそりと新木場駅でシールドマシーン部品を軌道に乗せる。
そのまま有楽町線のルートで飯田橋に到着。
そこから南北線軌道上を東京ドーム直下にまで移動。
そして、左脇に軌道を振って掘削開始。
ある程度掘削したら、分岐軌道入り口を閉鎖カモフラージュし、
飯田橋留置線に隠蔽。
そして、また翌日以降掘削、シールドマシーン本体が分岐軌道内にもぐりこんだら、
分岐軌道入り口を閉鎖し、そのまま掘り進む。
建築エコノミスト 森山のブログ
シールドマシーンの掘削速度は300メートル/月といわれていますから、
この分岐した軌道長約100メートルに費やす時間は、フルに動いて10日あまり。
しかし、他の工事労働者に気付かれないで掘るため、4倍くらいの日数がかかっているでしょう。

しかし、1月弱で地下闘技場のための地下空間の荒掘りはあっさり終了です。
日本のトンネル掘削技術は本当に凄いですね。
世界一といわれています。

トンネル掘りでは、「トンネルの熊さん」こと熊谷組が有名といいましたが、
実は、熊さんだけではありません。
世界中の主だったトンネルは大体日本のゼネコンが掘ってたんですよ!
知ってましたか?
イギリスとフランスを結ぶドーバー海峡トンネルは川崎重工とコマツが掘りました。
トルコのイスタンブール、ヨーロッパとアジアの境界ボスポラス海峡は大成建設が掘りました。
そして圧巻なのは日本のシールドマシーンメーカーたちです。
ずらりと老舗大企業が並んでいますね。

IHI(石川島播磨重工業)
JFEエンジニアリング
三菱重工メカトロシステムズ
川崎重工業
日立造船
コマツ
コクド工機
カジマメカトロエンジニアリング
奥村機械製作

建築エコノミスト 森山のブログ

上海の地下鉄工事でも、コマツ、IHI、三菱重工ががんばっていますが、
実は、この世界のシールド市場には巨大ガリバー企業が登場したのです。

世界のシールド掘削市場は1000億円以上といわれていますが、
日本のシールドメーカーが束になってかかっても200億円くらいなんです。

圧倒的シェアをもつ
地下掘削業界のチャンピオンとは、
創立30周年を迎えたばかりというまだ若い会社、
まさにシールド界の刃牙あるいはオーガですね。
その企業の名はヘレンクニヒト

またまたドイツ企業の登場です。
参照:カイジの鉄骨渡りに関する建築的考察3


建築エコノミスト 森山のブログ

今、インフラ整備に躍起になっている中国市場では、
このヘレンクニヒトと日本企業が戦っています。

ヘレンクニヒト対コマツ 60キロメートル1本勝負とか、
ヘレンクニヒト対IHI 30キロメートル3本勝負とか、
ヘレンクニヒト対三菱重工 無制限1本勝負とか、
最近、IHIとJFEがシールド事業を合併させ、
ツープラトン攻撃をヘレンクニヒトに仕掛けているようですが、
なかなか苦戦しています。


ということで、グラップラー刃牙地下闘技場編は、
地上最強の男を目指すものたちの戦いを描く漫画ですが、

地底最強のシールドメーカーを目指すものたちの戦いが、
今日も世界の地下空間のどこかで繰り広げられているのです。



グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 1
グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 2
グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 3
グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 4