グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 1
グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 2
グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 3

グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 5 最終章

前回の考察で指摘したように、刃牙の地下闘技場への疑問とは、
誰にも気付かれないで東京ドームの地下にあの構造物をいかに仕込むのか?
ということでした。
建築エコノミスト 森山のブログ
少なくとも、竹中工務店の東京ドーム本体工事では、
確認申請も提出し、竣工検査を受けて、消防署の避難経路の確認なども受けていることは、文京区役所や東京都が確認していると考えられます。

なので、本体工事で秘密の地下空間を設置することは、役所も一体でなければなしえない工事。
とするなら、刃牙の地下闘技場は、建物完成後にひっそりと開始された追加工事。
検査後工事ということになります。

検査後工事、ちょっと悪魔的な響きのする言葉ですね!
以前は、こんなことは結構あったんです。普通の住宅建築でも、、

例えば、階段下の収納部分とか、屋根裏の収納スペースとか、

新築住宅の建設時に建築基準法上の容積率という建築制限があります。
ある土地に敷地面積の何倍まで床を作っていいか、という基準です。
ところが、世田谷区や杉並区など、土地の価格が以上に暴騰しているにもかかわらず、
住宅地だからということで、建ペイ率が40%で容積が80%とか、50%の100%とか、
まるで、昭和30年代のサザエさんの家みたいな平屋を想定しとんのかい!
というような制限地があるのです。

そんな土地を坪単価300万円とかで購入した日には、50坪の土地で1億5000万円。
でも上物の住宅面積は、40坪弱しか建てられない。
ということで、2億近くのお金を出してもちっちゃな建売住宅並みの案件になってしまうという、矛盾が生じているのです。

現在でもまだそのままでしょう。
23区でいえば港区、台東区とか江東区とかは、戦後の街区開発で意外と街割りが整然とし、広い道路が通っており、近隣商業とか防火地域の指定もあったりして、建ペイ率や容積率が80%の400%とか土地の広さを最大限利用できるケースのエリアが多いんです。
ところが、高級新築住宅やセレブ引越し人気エリアの世田谷区以西では第一種低層住居専用とかの、最低限利用のままのところが多い。
立体的に利用しづらいわけですね。

それで、案外世田谷区や杉並区の高級注文住宅などで有名建築家による案件などでも、公然の秘密として、デザイン的な裏技も含め、こっそり階段下収納とか、こっそり屋根裏部屋とか、こっそり吹きぬけに後で床作っちゃったとか、そんな案件が結構あったわけです。

周囲の建物を日陰にしてしまっているとか、出っ張っているとかで、周りに迷惑をかけているわけではないので、第三者から突っ込まれることはありませんし、

完成後に竣工検査を受けないで、こっそり後工事をやっている有名建物などで、
芸術的な評価を受けて、建築業界の主だった建築賞の受賞案件なども意外と多いのです。
建築の芸術空間的価値と不動産金融的価値の相違が生み出した現象です。

という意味で、この刃牙の地下闘技場は、完成後工事で間違いないでしょう。

とするなら、完成後に東京ドームの地下を掘り進んであのような、
30メートル四方の空間を作り出すなど可能なのでしょうか

実は、可能です。

シールドマシーンというトンネル掘削機械があります。
自分で自分の進む穴を掘りながら、トンネルを形成していくという、樹木の内部をトンネルで喰っていくマツクイムシ、カミキリムシの幼虫、フナクイムシみたいな地下鉄工事などで活躍する凄いマシンです。東京都アクアラインもこいつが掘りました。
建築エコノミスト 森山のブログ
これを使えば可能。


ですが、このシールドマシーンをどのように地下に導入したのでしょうか、、


東京ドームの付近地図をもう一度眺めてみました。
むむっ、この東京ドームの真下を通るラインはなんなのか!

建築エコノミスト 森山のブログ

地下鉄南北線ですね。

ということは!
地下鉄南北線の工事工区からシールドマシーンを使って、
東京ドームのマウンド真下に掘り進むことが可能!
そして、南北線の工事履歴を調べてみると

1986年2月1日 駒込 - 赤羽岩淵間の建設工事に着手。
1989年4月5日 溜池山王 - 駒込間の建設工事に着手。
1991年11月22日 目黒 - 溜池山王間の建設工事に着手。

ちょうど刃牙が地下闘技場でチャンピオンになる直前、
そんな時期にこの工区に工事が入っている。
ドンピシャです。

もし、板垣恵介先生がこれを知っていてこの設定をしていたとするなら、
相当な地下工事オタクといえるでしょう。

しかも、地下トンネルは泥水加圧シールド工法という特殊技術工法。
と、するなら、この刃牙の地下闘技場の工事をおこなったのは、

青函トンネル黒部トンネル関電トンネル関越トンネル など、
海底トンネルや、山脈トンネルなど、世界の難工事にチャレンジすることで有名な、

建築エコノミスト 森山のブログ

「トンネルの熊さん」こと、
熊谷組 に違いないということになります。




グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 1
グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 2
グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 3

グラップラー刃牙の地下闘技場に関する建築的考察 5 最終章