【 いちご坂歴史博物館内 自然庭園 】
フォウ「フォウフォ~ウ!」
リリィ「博物館の裏にこんなに自然があったんだ!」
スティールベイン「ええ。地形や動植物……自然環境も歴史の一部であると、お爺様は仰っていました」
シロー「……ホント、すごい人だったんすね」
リリィ「えへへ、フォウくんもはしゃいでる!
一緒に遊ぼ!」
フォウ「
フォウフォウ!」
リリィ「
あははは!」
スティールベイン「はい……祖父は、本当に凄い人でした」
シロー「…………」
スティールベイン「それに引き換え、私は……いつも、守られてばかりで……間違った選択ばかりで……
スティールベイン「自分でも戦えるよう、剣を教わったこともありますが……結局、私には剣の才能などなく……」
シロー「…………」
スティールベイン「……時間を、無駄にしてしまいました……お恥ずかしい限りに……」

シロー「迷ってる、んすか?」
スティールベイン「
、……!」
シロー「いや、なんてーか……シンパシー、って感じっすかね」

シロー「オレも剣の才能とか全然なかったんすよ」
スティールベイン「、え……?」
シロー「ははは、これでも
『屋敷』の同期ん中じゃ最ドベで、戦闘適正だってどれも大したことがなかったんす」

シロー「……でもオレは、憧れた人がすごい剣士だったから……あの人みたいに……
あの人みたいなすごい剣士になりたいって、思ったんす」

シロー「だからずっと、あの人を追いかけて……今もずっと、追いかけているんす。
まぁ、馬鹿だから立ち止まったり迷ったり、誰かを傷つけたりもしたけど……」
スティールベイン「…………」

シロー「でもその憧れがあったから、オレは自分を受け入れられて……オレは、こうして進んでいられる……そう思ってるっす」
スティールベイン「…………」
シロー「ベインさんが、何に迷ってるかはわかんないっすけど……」

シロー「自分が信じて、憧れて……正しいと思える道だったら、そこに才能とかはなにも関係ない。無駄な努力だったとしても、目指すものがあるなら進んだ道筋に違いはない。
……オレは、そう思います」
スティールベイン「…………!」

シロー「ははは、カッコつけすぎっすかね?」
スティールベイン「……いえ、そんなことはないです。あなたが言う憧れ……私もぜひ一度、お目にかかりたいものです」
シロー「ははは、本当にかっこよくて、綺麗な人っす。オレこそベインさんのお祖父さんに会ってみたいもんすよ」
スティールベイン「ふふ、きっと驚きますよ」
スティールベイン「豪胆で破天荒で……かっこいい。
数多の英雄や、偉人達を知るよりも先に……」
スティールベイン「私が最初に、憧れた人です」