京都(3)能「浮舟」「春日龍神」 | 翡翠のブログ

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京都の2日目の今日の主目的はは初めての京都観世会館での能鑑賞、京都観世会2月例会。今年の能、6舞台目。

 

演目:
(番囃子)西行桜 梅若桜雪 → 片山九郎右衛門
(狂言) 成上り  茂山あきら
(能)  浮舟 彩色 味方玄     
(能)  春日龍神 龍女之舞 河村晴久
       

「西行桜」は、先日初めて、能楽キャラバンの大垣公演で観ることができました。ですので、だいたいの筋はそのときに予習していたのですが、ただ、今回は「番囃子」という形式で、囃子は入っていますが、シテは衣装は紋付袴、座っての上演で舞の動きはなく、シテ方以外の演者の詞は地謡が代わりに謡う形。その分、追うのが大変でしたが、謡に集中はできるようにも思いました(眠気に勝てれば)。

 

 

「浮舟」は今回の遠征鑑賞の目的で、これまで観たことが無い演目でした。手持ちの本「能の本」等に掲載がなく、「対訳で楽しむ」シリーズにも、いつも頼っている能ドットコムサイトの演目辞典にもありませんでしたので、袖珍本の小さなサイズの謡本を購入して予習して臨みました。

 

ただ手持ちの「能楽手帳」には取り上げられていました。そちらには、【みどころ】として、「常の物狂いよりは源氏ものらしい優艶な趣」「素人の作で、『源氏物語』によりかかりすぎ、謡の文章をたどっただけでは、一寸理解のとどかないところがあり」ではあるけれど、「最近は類型にとらわれない女主人公の描き方が、かえって面白いと再評価されるようになって」「もともと世阿弥も、この能を高く買っていて」「禅竹もこの能に心を惹かれていたことを書き残しており、それが『玉鬘』執筆の動機になったと思われます」とある点が印象深く、観るにあたって興味をひかれた点です。

とはいえ、私自身の観力では、まだまだ他の演目との違いなどは、よくわからないのですが、女性が主役の能にしては、巴ほどではないですが、強さがあるというか、衣装が水色で華やかながらも中性的であったこともあって、観る前に持っていた浮舟のイメージより、なよっとしていない感じでした。何より謡に「光源氏、薫、兵部卿宮」などの文言が聴こえるたびに、読んだ宇治十帖の浮舟の世界が描かれているという点ですごく楽しめました。

あと、事前にはチラシを十分観ていなくて気が付いていなかったのですが、舞台で地謡に吉田篤史先生が謡っていらっしゃいました。

 

記念に購入した会報誌月間「能」と持って行った謡本。

 

最後の「春日龍神」は以前に名古屋宝生会で観たことがある演目。

そのときに一応筋も予習してあり、流れもわかっていましたし、それ以上に八大龍王の現れる後半は、動きもあり勇ましく、衣装も豪華で舞台を観るだけで楽しめる好きな演目です。

 

 

今年は辰年なので、元々おめでたい演目の春日龍神が、いっそうあっている気がしますし、加えて、今回は龍の描かれた建仁寺で龍を観、龍のお守りもいただいているということで、一層ピッタリ感を感じながら拝見しました。