6月12日
ご存知の方も多いと思いますが、永井荷風の「濹東綺譚」という作品は、濹東、つまり隅田川の東側にある私娼窟玉の井を舞台にした男と女の物語でありす。僕は男と女の物語、いわゆる恋愛というものには全く興味がないんですが、この作品はストーリーとは関係の無い玉の井の町並みの描写が素晴らしいものですから、まるで散歩をしているような心地良い気分で読めます。なぜそんなことになるのかと言えば、先ず、荷風が大の散歩愛好家であったこと、荷風が好んだ町と嗜好性が合うこと、そして、荷風の文章表現が素晴らしいことに拠ります。
そういった小説を僕は勝手に散歩小説と名付けて愛読してます。
小説に限らず、例えば映画だと、自分好みの町並みがスクリーンに出てきただけで散歩映画ということになります。
本日はそんな散歩小説の中からひとつ、
妻帯者である男が妻以外の女と恋に陥り、邪魔になった妻を殺害するというストーリーは映画やテレビ、小説などではごくありふれた題材です。
しかし、その男は直接手を下さなかった。
もっともらしい理由をつけて、死に至る状況に妻を誘い込むのである。例えばバスに乗る際は、もし事故が起こった時に死ぬ確率が一番高い先頭に乗るように勧めたり、知り合いに伝染病にかかった者が出来ると、見舞いや付添に行かせたりする。そのひとつひとつで妻が死んでしまう確率は非常に低いが、その状況を出来る限り多くつくることで確率は極めて高くなります。偶然をいっぱい作ることによって限りなく必然に近づける、つまり、プロバビリティーの殺人です。男は物理的に手を下さないので警察に捕まることはない。ところが…
生来心臓の弱かった妻は男の思惑通り、病気にかかって死んでしまう。
これは谷崎潤一郎の「途上」という作品のあらすじで、江戸川乱歩は、自身の作品「D坂の殺人事件」の中でも絶対に発見されない犯罪として引き合いに出し、海外に誇れる日本の探偵小説と大絶賛してます。
で、もちろん僕も好きな作品なんですが、その理由もストーリーやトリックではない。
男は仕事が終わると夕方に散歩に出るのが習慣です。
男が新しい妻へのプレゼントを考えながら歩いてますと、突然、私立探偵が男に声をかけ、散歩にまとわり付く。探偵は一緒に歩きながら男に話しかけ続け、徐々に男の犯罪を暴いていき、遂には男を完全に観念させる。
この作品は、歩きながらのふたりの会話のみで、町の描写すらほとんどありませんが、夕暮れ時に探偵が突然男に声をかけてまとわり付くという不気味なシュチュエーションが、とにかくおもしろい。
これだけで僕としましては前出の濹東綺譚より評価高し、それに繊細な荷風に比べて谷崎は無頼で暴力的、そこも好みです。
こんな探偵にまとわり付かれたらたまったものではない。
それで僕も、さて、自分ならどうかわすか?それとも、どんな男にどのようにまとわり付いてやろうか?なんて、時々そんなこと考えながら歩いているんですが、ヒマなんですかね。
商品案内
60s ボタンダウンシャツ
ボックスタイプのボタンダウンシャツです。
赤ベースに白と黒のストライプ柄です。
60年代のディテール、3点留めのBDです。
第一ボタンはフック式。
ダブルステッチ
ボックスタイプなので合わせやすいです。
size S 12800円+tax
6月10日
ここのところ、お店をやってる人からお客さんが来ないという話をよく耳にします。
お客さんが来ないのはどうやら、うちの店だけじぁないみたいです。
お店というのは、いくら頑張っても所詮受動的でお客さんの気分に委ねられる部分があります。お客さんが気分次第ならばこちらも気分次第でいきますか、という訳では決してございませんが、いやそれも少しあるかな、取り敢えず映画を観ることにしました。
1957年巨匠黒澤明監督作品「蜘蛛巣城」
シェークスピアの「マクベス」を日本の戦国時代に置き換えて能の様式を取り入れた作品として有名です。
主人公の武士、三船敏郎が森の中で糸を繰る老婆(あやかし)から、「お前は一城の主人になる男だ」という予言を受ける。三船敏郎は一笑に伏すが、まもなくそれを予感させる状況が訪れる。偶然か?それとも運命か?権力を手に入れたい妻、山田五十鈴のそそのかしもあり、他人の言葉に翻弄され破滅して行く男の話です。
従う従わないに関わらず、他人の言葉を気にするということは現実において、確かにありがちなことなのかもしれませんね。例えばSNSで批判されたことを苦にして自殺したというニュースを耳にしますが、それもまた、他人の言葉を気にし過ぎたせいなのかもしれません。
黒澤作品には教訓が含まれる作品が多い気がします。個人的にはそういったものには興味無いんですが、そもそも他人の言葉自体があやかしなのかな?なんて思った。
やはり、個人的には何と言いましても、あやかしに弱いのですが、監督の狙いかもしれませんけど、この老婆はいまいちパンチ不足、
それよりも、気が狂った山田五十鈴が付いてもいない血が「取れない、取れない」と叫びながら、手を洗うシーンが見応えあり。怖くて笑えました。
こちらこそ、まさにあやかし。
三船敏郎をしのぐ、怪演ですね。
三船敏郎が全身に矢を受ける有名なシーン
映画は荒涼として何もない蜘蛛巣城趾から始まり、そのシーンで終わるんですが、無常感漂って良かったです。
商品案内
60s レーヨン製ボーリングシャツ
価格が高騰して今シーズンから2万円台で売らざるを得なくなったボーリングシャツ、売れるのは一万円台の先シーズンに出したものばかりで、こんな高い価格で果たして売れるのかな?と疑問に思ってましたが、先日初めて2万円台のものをお買上げいただき、少し安心しました。
今回は辛子色の一枚です。
タグ
ダブルステッチ
ポケットの上にチェーンステッチ
バックのチェーンステッチ
背中のスリット
王道のビンテージボーリングシャツです。
size S 24800円+tax
6月8日
岐阜より、楽しく生きる天才、MADさんに久しぶりにご来店いただきました。
恐縮です。
小生、その生き方の極意と共にシールをいただきました。それとお買上げと。
おおきに、ありがとうございました。
商品案内
70〜80年代の無地Tシャツを5枚、店頭に追加しました。
昔は大変人気があって、探しにくる人が多かったんですが、昨今は何故かあまりパッとしない印象です。
個人的には大好きなアイテムで、意外とタマ数は少なく貴重です。
ポケT、2枚含みます。
その中から一枚、
80年代のラッセルでは珍しいオールコットン製の紺無地、
バインダーネックで色褪せ、やれ感、そして着心地抜群です。
size L 4500円+tax
6月5日
本日は少し前に加藤さんから教えていただいた名古屋市北区清水にある古本屋さんに行ってまいりました。
この古本屋さん、常連の中村さんも通ってるらしいです。
でも、なぜ、貴方が?何の用で?
路地裏の古本屋にまで顔を出す中村さんの回遊エリアの広さに惑わされて、道に迷ってしまい、やっとお店に到着したものの、時間が無かったので、店に入るや否や女性の店主さんに、ガロの置いてある場所を尋ね、10冊程度の在庫の中から何も見ずに一冊だけ引き抜いて、「改めてゆっくり来させていただきます」と言ってお勘定を済ませ、本日のところはご無礼しました。
それから千種区のwys伊藤氏のところに寄って、意味の無い話ばかりをして参りました。
商品案内
レッドヘッドのダック地ハンティングパンツです。
太めのシルエットで裾に向かいテーパードしたシルエットです。
野暮ったい雰囲気が個人的には好きです。
42タロン
膝部分と、
尻部分がダブル仕様です。
チノやワークパンツとちょっと違うシルエット、色抜けやアタリなど雰囲気をお楽しみ下さい。
W32くらい 9800円+tax
6月3日
本日は平日には珍しく、多くのお客さんが来てくれました。
ありがとうございました。
夜はのんびりと過ごさせてもらいました。
台風一過の商店街
涼しい風が吹いてました。
商品案内
60年代のレーヨン製ボーリングシャツですが、ナットナストで偶に見かける変わったスタイルの一枚です。
イタリアンカラー、色の切り替えと胸のフロッキープリント、
そして、ポケットが縦に並ぶデザインです。
ボタンも特徴的です。
ボーリングシャツらしく背中にはチェーステッチが施されてます。
短丈で裾にアジャスターボタンが付きます。
コンディション良好です。
size M 19800円+tax



































