物語の森 -3ページ目

物語の森

立っているのは、森の入口
迷い込むように導かれて
出逢う
あなただけのrecord
光の糸で聴く
そこは、モノガタリの森




はるばる滋賀まで、ありがとう。

たぶん、お誘いしたのは、

わたしのこと知ってほしかったんだと思う。(ユウコ)


そんなふうに言われたら、みんな胸キュンだよ。

私もメロメロ(笑)

自分のこと話せるってすごいことだし、

知ってもらいたいと思う気持ちってもっとすごいこと。

だれかに知っててほしいって思われたワタシも、

すごすぎるからどきどき。

嬉しいです。 ありがとうございます(感涙)(えみな)


***


三回目のてんけんは、ユウコさんの住む滋賀県東近江市~米原市です。

ユウコさんお気に入りの「沼(!)」に招待してもらったあと、梅花藻を観に行く予定です。

JRの駅まで迎えにきてくれたユウコさんのクリーム色の車で、まずは、ユウコさんがダンナさまと猫のルキと住むおうちへ。


(どきどき)


LDKはユウコさんのアトリエです。
ダイニングテーブルの上には、ところせましとパレットや筆や古布などが置いてあり、いつでも絵を描く準備OK。
どうやら、ゴハンを食べる時にも、絵の道具はそのままで、片付けたりしなさそうです(笑)


えみなさんは、ガラスコップに入ったレモンイエローの液体を、おいしそうなハーブティーだと思っていたのですが、それは、筆を洗った水なのでした。なんてきれいなのでしょう。


ワークショップで作った妖精さんのドアが置かれていたり、天井からも、大きなドライフラワーが吊るされていたり、絵や画用紙や大きな紙や創りかけの素材など、わくわくするようなものがいっぱいです。テーブルの上にも! 棚の上にも! 床の上にも!

釣りが趣味だというダンナさまのコーナーもあり、ポスターなんかも貼られていたりして、そこかしこから、妖精や小人が出てきそうな雰囲気で、目が離せません。


(わくわく)


***


まずは、宿題の提出です。

前回のてんけんの日に感じたことや印象に残ったことから、えみなさんは短い文章にしました。ユウコさんは絵を描きました。

それを、裏返して、「せーのっ」で出してゆくのです。
一枚目は、ぴったり雰囲気があっていてビックリ!


(わたしたちって、天才!)


……二枚目以降は、アンマッチだったのですが(笑)


ユウコさんの筆から、手をつないで拡がっていく水と色。
その、枠を持たないグラデーションは、遊びと揺らぎに満ちていて、とっても心地よいのです。


えみなさんは、「枠のヒト」ですから(爆笑)、絵を描くときには、まずしっかりと輪郭線を描きます。そうでないと、なんだか落ち着かないみたいです。
なので、ユウコさんの絵は魔法のように素敵に思えるのです。


宿題は、 〈創ってきた四枚を無作為にカップリングして作品を創ろう♪〉 というものでしたが、こうして、お互いの作品を前にすると、そこから何かが生まれそうな気がして、ムズムズします。


えみなさんは、ユウコさんの絵から何かを創りたくなったし、ユウコさんも、えみなさんのコトバから絵を描きたくなったのです。
それで、あらためて、お互いの作品を持ち帰り、生まれそうな「ムズムズ」と向き合うことが決定しました。


(わたしたちって、天才!)


というわけで、企み会議は終了。遅くなったので「沼」は次のお楽しみにして、ユウコさんの車でランチに出かけます。


五個荘という近江商人発祥の地の古い町並みに、えみなさんは萌え萌え。
お寺や神社が点在し、緑がいっぱいです。白山神社を見つけ、さっそく御詣りしました。




お祀りされている菊里媛神は、イザナギとイザナミを仲直りさせた神様として知られています。
なかなおりの神様なんて、素敵ですね。


ユウコさんが連れていってくれたのは、キュレルというお店です。




靴を脱いで入るのです。テラス席では、ペット同伴OK。




店内には、ギャラリースペースがあり、絵本もたくさん置いてあります。

地元の新鮮野菜のキーマカレープレートとデザートを頼みました。







そして、醒井の地蔵川へ。
梅花藻という、川に浮かんでかわいい花をつける藻を観に行くのです。




ユウコさんは、以前、この川のほとりにある「たち季」というお店のオリジナルポストカードを依頼され、梅花藻とハリヨという淡水魚を描いたのでした。

梅花藻のシーズンは始まったばかり。咲いているかどうか心配だったのですが……


あれれ。




花はちゃんと咲いているのですが、雨で川の水かさが増し、なんと、梅花藻が埋っています!!
まるで、ダム底に沈んだ町のように、川の流れの下でゆらめくけなげな梅花藻。






道から川へは「川戸」という階段がついていて、水面のそばまで降りることができます。水道がなかった昔は、どの家も、川で洗い物などをしていたのです。




冷たい水の流れに手をさし入れてみます。




強い流れなのに、花びらがとれて流れていってしまわないのが不思議です。
小さなちいさな花びらなのに、しっかりとついているのですね。
その姿に、なぜだか、ぐっとチカラが湧いてくるえみなさんでした。


水面に浮かんで可憐な花を開かせているはずが、はるか水面下でゴウゴウと揺れている梅花藻を横目に、ユウコさんとえみなさんは、古民家を改装した「和cafe たち季」さんへ向かいます。




地元の素材にこだわり、季節のフルーツかき氷がとても人気のお店です。





白桃のコンポートがたっぷりかけられたかき氷は、夢のようなおいしさ。
シャキシャキの氷と大粒のブルーベリーのキュンとした甘酸っぱさ。


店頭では、ユウコちゃんのポストカードが何種類も販売されていました。
お店のかたから、ポストカードの追加注文を受けているユウコちゃんは、おしごとの顔つきで、とってもかっこいい。

えみなさんは、みとれてしまいました。





清流の流れと鮮やかな緑、きらめく陽光。歴史ある宿場町。
ずっと遠くへ来たみたいに、いろんなものから解放されて、ぐんぐん心があらわれていきます。

物語の予感 が、ひたひたと押し寄せてくるのです。


この日、えみなさんは気がついたことがあります。それは、


別の場所ってすごくいい! ということです。


自分の机でいると、ついつい頭が働いてグルグルになってしまうけれど、妖精がいっぱい隠れていそうなユウコさんのアトリエや、外の空気に触れていると、おしこめられていたものがムクムク起きだしてくるような気がするのです。


ティン









それは、あなたが迷い込んだ森

日々紡がれていく 幾千幾万の物語たちが眠る場所。


ふんわり、じんわり、そわそわ、 どきどき、ぎゅーっ、

ひやひや、 しくしく、どろどろ、きらきら・・・


嬉しく悲しく 醜く美しく 激しく静かに
あなたの物語のカケラが住まう場所

ひとりひとりが日々生きてる物語が、

全部収められていくような宇宙図書館のような森。


生きてること全部、 日々起こること全部、がそこに。

宇宙レコードみたいなかんじ(笑)


わたしは、じぶんが、日々生きてて、あっと思ったことを絵にする。

えみなさんも、あっと思ったこと、

出したい、形にしたいと思ったものをそのまま言葉にする。


自動的に、他のみんなの物語のカケラでもあるから、

見にきた人は、それぞれの必要な場所、好きな場所にキラキラ反応して

持って帰ってもらえる。(ユウコ)



黒い円盤に細い溝が刻んであるドーナツ盤って、

ラベルがなければ、どれも同じに見えるでしょう?


でも、プレーヤーの針が再生する封じ込められた「瞬(とき)」は、

どれも違う。


こんなふうに、わたしたちの作品が、レコードだとしたら……。
それを再生するのは、針じゃなくて、

ハートから出る「光の糸」


その人の「光の糸」で再生される世界は、

その人だけの「瞬(ものがたり)」を奏でるはず。


だから、いいんだよ。わたしたち、自分の物語を綴って。
感情のひだや、起伏や、傷や、へこみや、

涙や、笑顔や、そんなものでできていて。


それは、光の糸で、それぞれに再生されるレコードなんだから。
ぜんぶ、鳴らなくてもいい。

たった一つでも、森を訪れた人の光の糸で、

奏でられる物語があれば……。(えみな)


***


ユウコさんから送られてきたコンセプトメッセージを何度も読んで、えみなさんは森のイメージをふくらませていきます。


ユウコさんが選んだことばをちりばめて、ふたりの想いを結晶化させていくのです。


まるで、ユウコさんのみている夢の中に入りこんでいくように、お互いの森が融合していく予感。

遠くに見えていた入口が近づき、その小路の中に足を踏み入れると……。
落葉や小枝を踏みしめる音が、リアルに響きます。


迷い込むようでいて、導かれています。
迷い込むようでいて、目指しています。


みんな、そのことに気づいていながら、知らないふりをするのでしょう。
だって、そのほうがドキドキするもの!


こうして、できたのが、「物語の森」の招待状(DM)でお届けするキャッチコピーです。


***


立っているのは、森の入口
迷い込むように導かれて
―――出逢う
あなただけのrecord
光の糸で聴く
そこは、モノガタリの森


ユウコさんとえみなさんの声が聞こえます。


(わたしたちって、天才!)


ティン









タイトルイラスト、途中経過。 日々いろんなことありつつ、

一緒に熟成中です。自問自答しつつ。あと少しです。(ユウコ)


ものがたりの森 のテーマというか、コンセプトというか、

ユウコちゃんが思っているのがどういう感じなのか、

また、教えてくださいね~。私もその軸にそってやるよ!(えみな)


***


ユウコさんから、タイトルイラストが送られてきたとき……。


えみなさんは、小さいころに何度も読んだ、いわさきちひろさんの挿絵の『青い鳥』の絵本が、心の中にうかびあがってきました。


クリスマスの夜、おばあさんから手渡されたみどりの帽子のダイアモンドをまわすと、飼っている犬のチローと猫のチレットは人間のような姿になって走り回り、部屋の中にあるいろいろなものから、精霊たちが現われて、みすぼらしい木こり小屋が夢の世界になります。


そして、チルチルとミチルは、チローとチレットをお供にして青い鳥を探す旅に出発します。

亡くなった人の思い出の国、夜の国、深い森の国、生まれる前の子どもたちの国、幸せの国……。

そして、帰ってきた木こり小屋には、探していた青い鳥がいます。


『青い鳥』のお話も、森を巡る物語なのでした。


ユウコさんは、タイトルイラストの中に、ちゃんと、『きみのトモダチ』のと、ものがたりの本と、初めて二人でソーイングギャラリーを訪れたとき、草原に並んでいた二脚の椅子の姿を描いてくれていて、そのことも、えみなさんは、とっても嬉しかったのです。


ソーイングギャラリーがある星田の地は、遠い昔、隕石が落ちてちらばった地だと言われています。


森を目指す星。


***


『きみのトモダチ』には、「耕一(こういち)くん」「佳菜(かな)ちゃん」「知美(ともみ)ちゃん」「薫(かおる)ちゃん」という名前の子どもと、「ゆう子さん」という学童保育の先生が登場します。


「ゆう子さん」とユウコさんが同じ名前だということは、以前に書きましたが、ユウコさんとえみなさんが出逢うきっかけになったのは、二人の共通のトモダチの「智子(ともこ)さん」という人です。


そして、えみなさんに星田妙見宮のことを教えてくれ、「今年、絶対に行ったほうがいい」と教えてくれたのは、「薫さん」という人なのです。


二十年も前に書いた『きみのトモダチ』の登場人物と、出逢う人の名前がつながっているなんて、不思議ですね。


こうして、遠く離れた場所にいたユウコさんとえみなさんは、星に選ばれた土地にぐんぐん導かれていきます。


ぼくは、えみなさんの森の登場人物です。

ユウコさんとえみなさんが創る「物語の森」は、訪れる人たちの森となるでしょう。

『青い鳥』の物語のように。


***


タイトルイラストができました。
次は、コトバです。


招待状を手にした人に、それをみただけで、この壮大な、ユウコさんとえみなさんの「物語の森」が伝わるようなフレーズ。


えみなさん、責任重大です!


ティン









コラボ作戦 ですが、〈お客さま体験型〉
というのはどうでしょう。
展示を観に来てくれた人に体験できるもの、
プレゼントになることをしてみたいです。(えみな)


観に来てくれた人が、ギフトを持ち帰ってくれる、
いいですね。
次のてんけん時に、コラボり方も決めましょー♪(ユウコ)


***


いっしょに個展をするにあたって、色とトモダチのユウコさん と、文字とトモダチのえみなさん が、どんなふうにコラボしていくのかは、まったく未知のゾーンでした。


えみなさんは、小さなころから文字とトモダチなので、色もかたちもない、へいたんな文字が、踊りだしたり、リズムを刻んだり、さまざまな音を奏でたり、温度や音を持つことを感じることができます。
でも、多くの人には、そんなものが見えないだろうことも、わかっていました。


ユウコさんの絵は、文字以上におしゃべりをし、楽器以上に音を奏で、ぬくもりや、かがやきや、風をはこびます。
それは、絵を観た瞬間に、多くの人が感じることでしょう。


えみなさんは、ユウコさんの絵が大好きです。

ユウコさんの絵を観ると


どこか胸の奥のほうが、さえざえとしたり、おなかの奥のぽっかりあいたところが、むずむずと満たされていって、何かとても、たいせつなことが思いだせたような、なつかしいような、胸を張りたいような、耳をすませたいような、


そんな気持ちになります。

そこにコトバが必要だと思ったことは一度もないのです。


だから、いっしょに個展をすると決めたものの、なんだかとっても、オジャマ虫的な気がして、ぜんぜん、自信たっぷりになれなくて、「コラボ」の意味を、はっきり尋ねることができませんでした。
とはいえ、大好きなユウコさんとコラボレートできるのだから、


何かやりたい! 


と切実に思うのです。


ユウコさんが思わず絵を描いてしまうようなお話を書いて、絵本の原画展示をしようよ! 


って言えたら、ぜったい素敵だとちゃんとわかっていても、まーーーーーったく、できる気がしなくて、がっくりのえみなさんです。


それから、カルタの絵を描いてほしいと、ずーーーーーっと前から思っているのですが、読み札が一枚しかできていないので、これも言いだせないのでした。
でも、そのたった一枚のカルタの絵は、どうしても、ユウコさんに描いてほしいえみなさんです。


12月までには、まだまだ時間があります。


長い準備期間をいっしょに過ごすので、その軌跡がわかるような作品を表現できたら、おもしろいねってふたりは感じました。

それから、ギャラリーが広いので、時間があることに油断してダレてしまうと、間際になって、とんでもないことになるということも。


そこで、毎月のてんけんで感じたことを、ユウコさんは絵、えみなさんはコトバで、それぞれ作品を創っていくことにしました。てんけんの宿題」です。


てんけんという共通項を通じて、ユウコさんの絵とえみなさんのコトバが、手をつなぐというわけです!!


(わたしたちって天才!)


さっそく、えみなさんは、てんけんのキーワードをノートに書き出しました。
ちょっと、そのノートをのぞいてみましょう。ページをめくるくらい、ぼくにはカンタンです。


6/7
風 緑 パン コーヒー 椅子 黒板 モビール クローバー 待ち針 テーブル りんご箱 郵便受け 手紙 北斗七星 磁石 亀 滝 隕石 ぞう シュークリーム スウプ


なんだか、とっても、わくわくしますね。


***




そうげんのカフェで、展示のスタイルについて、企むユウコさんとえみなさん。


ユウコさんの絵を邪魔しないような、コトバの展示に、えみなさんは考えを巡らせます。
コトバにも絵にも存在感があり、どちらからも楽しめて世界に入ることができるような……。
ギャラリーには可動式のパーテーションがあるので、おもしろいことができそうです。


***


つねづね、えみなさんは、「観るだけの展示」にものたりなさを感じていました。
何か仕掛けがあったらいいのに、と思うのです。


その場でなければ体験できないこと。得しちゃった♪ と思うようなこと。


展示に答えが隠れているような、クイズラリーはどうかな? とか。
たからさがしはどうかな? とか。
ふたりでオラクルカードを創って、引いてもらおう! とか。
くじびきは? とか。


(わたしたちって、天才!)


さらに、ふたりの企みは加速します。
えみなさんがユウコさんに送ったメールの一部です。


ソーイングギャラリーの白い壁、スクリーンがわりに映像を映すことも可能ですね!
ミニアニメーションみたいのも素敵だし、わざわざ作るのが大変なら、出展している作品を音付きでスライドショーにするだけでも、組合せによっては、展示作品とは違う刺激があって、一粒で二度おいしいかも。

ユーチューブとかで公開してもいいし(って、やったことないけど) (しかもそれをしようと思ったら、すごく早く作品ができていないといけないけど!) (著作権にひっかからないよう音楽はオリジナルじゃないとダメなのかもしれないけど!) (えみな)


壮大ですね。絶句ですね。テンション高すぎですね。
ちなみに、初日まであと一か月ですけど、こんなのできてませんよ(笑)
たぶん、二人とも、忘れています。忘れたままにすることでしょう(爆)


ユウコさんは、こんなことを書いています。これは実現の見込みアリです。


ライブペイントで、会期の初日に描きはじめて、最終日に仕上げるのを、やってみたいです。 このギャラリーで過ごした物語の絵。 その絵と、えみなさんもそのテーマで、ショートストーリーを披露するとか>^_^< (ユウコ)


えみなさんは「書き下ろしなんて、とっても無理!」って言うと思いますが、ぼくは、ちゃんと実況中継しますよ♪ 楽しみにしていてくださいね。


あ、ちなみに。
ユウコさんとえみなさんの「てんけんの宿題」ですが、ふたりとも、やったのは一回だけです。

やれやれ。


ティン










はじめの純粋な、やりたいって溢れでたものって、

人からどう思われるか抜きだったんじゃないかな。

無心みたいなことかな。

初期衝動の新鮮さ、わけのわからなさのままできたら

(それが人に見せるものになろうが、なるまいが)、

作ってるときに一瞬でもそうなれたら最高。

たとえそうなれなくても、最高。

できなくて、追い詰められるのもまたよし。

という気分です。(ユウコ)


あの日、白崎海岸は、とても風が強くて、

ウミネコは、ずっと、ミャアミャア鳴いてたの。

そのときは気づかなかったんだけど、

ウミ「ネコ」なんだよねって思った。

カモメじゃなくて、別の鳥じゃなくて、

ウミネコがいたんだよね。

きみトモもネコたち。

めっちゃ、エールやったんやわーって思うと、

おもしろくって楽しい。

世界は味方なんだ♡(えみな)


***


いよいよソーイングギャラリーへ。


ユウコさんは、この日、道がずっとつながっていることを体験するために、滋賀県から車を運転してきたのです。
えみなさんが毎日通る駅に、ユウコさんのクリーム色の軽自動車が、ぽっかり停まっていました。


まずは、JR学研都市線河内磐船駅にある、ストラニュ・タカ・カフェへ。




ここは、地元で採れた新鮮で安全な食材をつかって、からだにやさしくて安全なお料理をつくっています。


調味料やソースなんかも、手作りしていて、クッキーやマフィンやプリンなんかも、季節のお野菜や、平飼いでのびのび育った鶏の卵が使われていて、とびきりおいしいのです。


さらに、近くには、土日しかオープンしないシュークリーム屋さんあります。
ユウコさんとえみなさんは、ここで、ソーイングギャラリーで食べるために、おやつをゲット。


次に、ユウコさんが行きたいと言った星田妙見宮へ向かいます。



ぼくは詳しいことはわかりませんが、妙見宮がお祀りされている妙見山は、馬のひづめの形にえぐられた形をしています。


これは、その昔、北斗七星の方角から来たペルセウス流星群の隕石がぶつかって、吹き飛ばされたのではないかと言われているそうです。


空から落ちてきた北斗七星が、星田の里の三ケ所に別れて落ちたのです。

その一つが星田妙見宮。そして、「観月の星の森」、「光林寺(降星山 降臨寺)」です。

結ぶと一片が約880mの正三角形になります。ほんとうに不思議です。





星田妙見宮では、七星巡りができます。だれでも、自分の星があるそうです。



ユウコさんとえみなさんは、さっそく自分の星をみつけ、地図を見ながら、自分の星の観音菩薩様に手をあわせていました。




頂上には、織女石がお祀りされていて、交野市街が見晴らせます。



星が眠る妙見の森にいると、なにか大きなものに包まれ、護られているような気がします。


さて、いよいよ、ソーイングギャラリーへ。




星ヶ丘洋裁学校の中にあります。この赤いのは、待ち針なのかな。
待ち針って、どうして待ち針っていうのでしょう。





この日は、誰も展示をしていない日ですが、個展の開催の下見であることを告げ、中に入らせてもらいました。








廊下。教室。



床の木目。節のあと。






木の椅子。リンゴ箱。ピアノ。






黒板。木枠の窓。木の机。緑。



白い壁。

パーテーションも自由に組めます。

天井からつりさげることも可能です。


木のぬくもりに、テンションがあがります。

えみなさんは、ゆうびん受けに魅かれていました。




ユウコさんには、思い出の本があるのだそうです。
「わすれものの森」という本です。


誰もいない学校の気配。何かが眠っている気配。


ここに、ユウコさんとえみなさんは、物語の森を創るのです。


***


庭に出ましょう。







ここは、風が生まれる場所だと、えみなさんは初めて来たときから、感じています。




草原には、いすが二つ並んでいました。
まるで、ほんの今まで、そこに風が座っていたかのように。





庭には、カフェがあります。ソーイングテーブルという名前です。
ユウコさんとえみなさんは、草原の木の下で、お茶を飲むことにしました。




カップのコーヒーに空がうつっています。
とっておきのシュークリームをとりだします。





ふと、吊るされたモビールを見てビックリ!

えみなさんは、一日前に、和歌山県の白崎海岸に石笛を探しに行ったのです。






そこには、穴の開いた石と、たくさんのウミネコがいたのですが……。


どうして、ここに、その二つが?

まるで、ワープしてきたかのようなモビールに、えみなさんはびっくりしています。
そして、ウミネコたちの島でとびかっていた、ネコに似た鳴き声に思い当たりました。


鳥なのに「ネコ」なのです!


シラサキ海岸と、シラサワという、ユウコさんの名字も、とっても似ています。


(つながっている)


どうしても必要なメッセージは、どんなことをしても、追いかけてきます。

それは、声を持たないぼくみたいな「トモダチ」が、持てる力のすべてをつかって、はたらきかけているからです。

伝えるために。


(気づいて。思いだして。忘れないで)


…………

えみなさんにとって、ユウコさんと創り上げる森は、そんな大切なものでできています。
そのことが、これから、だんだんわかっていくのです。


だって、伝えたいから。


ユウコさんとえみなさんに。
そして、森を訪れる人に。

それぞれの光の糸が奏でるメッセージが、届きます。


今はまだ、生まれる前の物語の森……。


ティン










そういった、お互いがすごくわかるなって、

ギュンとくる人生の瞬間を、切り取って。

えみなさんは、短歌や、ワンフレーズや、

タイトルや、ポエムのような、その一瞬をあらわして。

わたしは絵でそれを。

見る人は、自分の物語を

自由に重ねられる隙間があるようなもの……。

それを、物語の森に閉じ込めるのはどうでしょう?(ユウコ)


同じワードや、何かものごとを、

ユウコちゃんは絵で、私は言葉系のもので、

おしゃべりするように、

おてがみこうかんするように、

よりそうように、

ならんでスキップするように、

別の次元でつくられたものが

同じ空間に並んでいる奇跡♪(えみな)


***


第一回目のてんけんは、西宮市です。

まずは、笹倉鉄平さんのちいさな美術館へ。




ここは、えみなさんの大好きな美術館なんです。


鉄平さんの絵の前に立つと、音が聞こえてきます。 
絵の登場人物たちに流れるコミュニケーションが伝わってきます。


言葉ではなく、心の交換というべきあたたかい流れが、こちらの心にも、五感の全てに聴こえてくる気がするのです。

それは、絵の中に描かれている人物のしぐさや、視線や、立ち位置や、まわりの光や風や花や木や土や建物や小物たちの細部にいたるすべてから、伝わってくるものです。


鉄平さんの絵の中には、とてもたくさんの人たちが描かれているものがあります。


ビーチで思い思いに過ごす人たち。街の通りを行き交う人たち。大きな広場に集まる人たち。
その人たちそれぞれの会話があり、生活があり、人生があります。


無理やりに画面に押し込まれたわけではなく、自然で違和感なく平和で、そのかけがえのない「一瞬」が「永遠」となって、どんなときにも息づいています。

しかも、特別でなく、ささやかな存在である誰もが、


「ひとりではない」


ことが伝わってくるのです。


画面の中に一人で描かれている人にも、家路を急げば待つ人がいることや、ひとりぼっちでさまよっている犬にも、しっぽをふれるご主人がいることが感じられるのです。
どんなに小さく描かれている人たちにも、その人の人生が伝わってきます。


そんな鉄平さんのちいさな美術館に、ユウコさんと行きたいと、えみなさんは想ったのです


この日の展示は、 「“時間”を描こうとした作品展」 というタイトルでした。


えみなさんは、2013年のユウコさんのカレンダー「時間を巡る冒険」の主人公、ぞうがめくんと12のお話がとても好きなので、「時間」というキーワードが含まれていることにも、ご縁を感じたのでした。


鉄平さんの美術館には、ささポチというわんこがいます。




ささポチに別れをつげ、ランチのお店へ。


西宮周辺には、ケーキ屋さんや、おしゃれなカフェがたくさんあります。

この日は、樋の池町にあるノイカフェで、やさしい味のカレーランチと、デザートをてんけんしました。






***


そして、いよいよ、太田朋さんの「お守り展」です。




えみなさんは、太田朋さんが初期に描いていた、びよよ~ん、のほほ~んとした風貌の「ぼく」と、添えられた言葉が大好きで、本を買ったり、週めくりカレンダーを使っていました。


機会があれば、個展にも行きました。

初めて自分で買った作家さんの原画は、太田朋さんのものです。


なので、個展が開催されると知って、行きたい! と思い、その話をしたところ、ユウコさんも、太田朋さんが大好きで、高校生のころ、朋さんのイラストのノートを使っていたというのです!


あこがれの太田朋さんの個展。ドキドキです。
ウラン堂は、とってもおしゃれなギャラリーカフェ。




吹き抜けになっている一階がカフェで、二階がギャラリーです。


二階へと続く階段の両端に、すでに朋さんの全紙を使った大きな作品がタペストリーのようにかけられ、モビールが揺れています。


初期の太田朋さんのイラストは、シンプル線だけで描かれていました。今もそうですが、いつの頃からか色が加わりました。

それは、けっこうな強さの原色です。

今回、展示されていた大型作品の緑の山と赤い馬も、まるでアルタミラの壁画のような、素朴さと、存在と、息を呑むような原始のチカラを放っていると、えみなさんは感じました。


会場は、朋さんの大切な「お守り」でちりばめられています。


みんな、いつでも守られていて、そのことに気づいて、それを勇気に変えることができます。
ぼくのような、心の中にいるトモダチという存在も、お守りのようなものかもしれません。


今回の個展は、アーティストさんとのコラボ作品が多く、真鍮のアクセサリーや、陶芸作品などが多く展示販売されていました。
飾るだけでなく日常使うことができるもの。カバンに入れて持ち帰ることができ、いつも身につけておけるお守り。


ユウコさんとえみなさんは、自分たちにも使えそうな展示方法に釘づけです。


つみ木に描こう。モビールを吊るしてみよう。じゃばら本にして飾ろう。
ユウコさんの絵とえみなさんのことばを、どんなふうにコラボするか。どんなふうに魅せるか。

そんな想像がどんどんふくらみます。


太田朋さんの展示は、とっても刺激になり、たくさんのアイデアが湧いてきました。


「わたしたちって、天才!」


そして、在廊されていた太田朋さんとも、たくさんお話できたのです!
今回のDMに使われた、作品展のきっかけとなった、木の彫り物のこととか。
なぜ、数字の8が好きなのかとか。これからの個展のこととか。
とっても気さくで、やさしくて、誠実で、かわいらしい声の太田朋さん。


***


たくさんのインスパイアを胸に、ウラン堂を後にして、ユウコさんとえみなさんが向かったのは夙川沿いです。

川風に吹かれて散歩しながら、小さな木陰をみつけ、並んで腰をおろし、忘れないように、浮かんだアイデアをメモしていったのです。


こんなふうに、第一回目のてんけんは終了しました。
まだまだ、物語の森は、ずっと先で、余裕~のふたりです(笑)


てんけんの合言葉は、


「わたしたちって天才!」


ティン









「今日、いろいろ思い巡らせていたら、

『物語の森』っていうのはどうかなと思ったのです。

キーワードは、物語、きみ(あなた)、本、子ども時代……」



という、ユウコさんからのメールで、個展のテーマが決まりました。

森は、なんでも包括しています。あまりにも大きく、深く、ひっそりとしていて、まだ、眠っているかのようです。(撮影 寺子屋さとちゃん)


ユウコさんとえみなさんの心の中にひろがる「物語」、そして「森」のイメージは、まだ、もやもやふわふわ、ばくぜんとしているのです。

ユウコさんとえみなさんは、12月に開催する個展まで、毎月1回、いろんなアーティストさんの展示を観にいったりしながら、企画会議を企てることにしました。
てんけん」と称して。


「てんけん」というのは、『くまのプーさん』に出てくる言葉で、「探検」のことです。
ユウコさんとえみなさんが、探しにいくもの。その答は、まだ、もやもやふわふわ、ばくぜんとしています。

でも、きっと、


「これを探していたんだ!」
「これを体験するために、てんけんしていたんだ!」


ということが、この個展を通じて、わかるのだと思います。


5月から始まった「てんけん」は、これまでにすでに6回を重ねています。その中で、個展についてのアイデアや、発見が生まれています。


「わたしたちって天才!」


というのが、「てんけん」の合言葉です。
今となっては、笑い話になるようなことも満載です。


これから、少しずつ、ぼくのブログで、てんけんの報告をしてゆきたいと思います。
まずは、目次というか……、どんなてんけんだったかをご紹介しましょう。





〈1回目〉 → ★★★
てんけん日  5月6日 
てんけん場所 兵庫県西宮市


能登町 笹倉鉄平 小さな美術館
『“時間”を描こうとした作品展 ~画家のひと言を添えて~』
石刎町 ウラン堂 太田朋「お守り」展
樋之池町 ノイカフェ(ランチ)
夙川河川敷散策





〈2回目〉 → ★★★
てんけん日  6月7日
てんけん場所 大阪府交野市~枚方市


河内森 ストラニュ タカ カフェ(ランチ)
星田妙見宮 七星巡り
星ヶ丘 ソーイングギャラリー(ギャラリー視察)
星ヶ丘 ソーイングカフェ





〈3回目〉 → ★★★
てんけん日  7月26日
てんけん場所 滋賀県東近江市~米原市


能登川 ユウコさんのアトリエ
五個荘 ナチュラルキッチン キュレル(ランチ)
醒井 地蔵川 梅花藻

醒井 たち季(フルーツかきごおり)


(カメラ忘れたので画像なし)


〈4回目〉 ★★★
てんけん日  8月30日
てんけん場所 京都府京都市内


駅美術館「えほん展

THE CUBE コスメキッチンカフェ(ランチ)

寺町通丸田町 UCHU wagashi FUKIYOSE(創作和菓子)
西三本木通荒神口 Hedgehog Books and Gallery 
              (ジュナイダさんのギャラリー)

御所八幡町 ヤオイソ(フルーツサンド)
錦市場 やお屋の二かい(「世界を旅する古楽ライブ」)





〈5回目〉 → ★★★   
てんけん日   9月21日
てんけん場所  奈良県奈良市
        

マクロビ&タイ料理 ワークショップ

JR奈良駅 モスバーガー





〈6回目〉
てんけん日   10月12日
てんけん場所  滋賀県東近江市~近江八幡市
        

ユウコちゃんのアトリエ
西の湖

近江八幡ユースホステル(ランチ)
               

ね、遊んでばっかり、食べてばっかりでしょ(笑)


でも、まわりみちみたいに、ぐるぐるしながら、ユウコさんとえみなさんは、森へ近づいています。

そのことが、だんだん、ふたりにもわかってきたようです。

これからも、てんけんは続きます。


ティン









それは、だんだんと、そして、加速しながら近づいてきたのです。


遠く離れた滋賀県に住むユウコさんが、えみなさんの住む枚方市のティーハウスでお絵かき会をして……。
交野市でお絵かき会やおさんぽ会を企画して……。
ソーイングギャラリーで開催された合同展に出展して……。


あれあれっていうまに、大好きなユウコさんと、えみなさんの住む町、そしてソーイングギャラリーが近づいていくので、えみなさんは、どきどきしました。

そして……
ある日、えみなさんは、こんなメッセージを受け取ったのです。


「わたしがあそこで個展する際には、えみなさんやりませんか、朗読」


今年の1月27日のことでした。


なぜ朗読かというと……
えみなさんが、ずっと前から「朗読」というものをやってみたかったことを、ユウコさんに話していたからです。


このときは、まだ、「いつかそんな日がきたらね♪」って、そんな感じのお話でした。

ところが、ほどなくして、ソーイングギャラリーからユウコさんに個展のオファーがあり、「いつかそんな日」は、具体的な日程になりました。


ギャラリーの空き状況が、 8月19日~30日、 12月9~20日 だったからです。


「夏の終わりもいいなぁ。冬のはじめもいいなー。いつがいいかなー♪」


って、ユウコさんは言いました。
さあ、たいへん!! えみなさんは、どうするのでしょう。


ユウコさんは、どっちでもいいよ~って言ってくれました。
ユウコさんの個展で、イベント(ゲスト)的に朗読してくれてもいいし、えみなさんも、短歌や童話を展示してみたいならそれでもいいしって。


(そんなん、やるに決まってるやん!)


って、念じたのは、ぼくです(笑) 強く強く強く。 
えみなさんがどう思っていようと、やるのです。ぼくが決めたのです。何十年も解決せずに、おきざりにしていては、もうぜったいダメなことがあるのです。


えみなさんは、いっつも近くまで行きながら、さわれずに引き返してきます。
そういうことは、もう、ダメなんです。ぜったいに。


***

個展の開催を12月に決めたとき、えみなさんは、禅タロットを引いたことを、たぶん、忘れていると思います。ユウコさんも、忘れていると思います。
ぼくも忘れていました(笑)


でも、今、見ると、すごい。

だから、えみなさんのパソコンから、こっそり画像を借りてきたのです。


個展について、えみんさんは、タロットカードを4枚引きました。


①テーマ

②課題

③解決の鍵

④ギフト


この4枚です。

えみなさんと一緒にいるので、少しくらいなら、ぼくにもカードの意味がわかります。





①テーマ:完成(大アルカナ21)


終わりは始まりです。古いものの終わりと新しいものの到来に立ちあっています。

完成のカードは、今までずっとエネルギーを注いできた断片が完成し、長く関わってきた何かが終わる解放の瞬間です。


②課題:冒険(虹ペイジ)


冒険のカードは、
森の暗闇を抜けて虹の光のなかへと一歩一歩、未知なるもののなかへと進んでいくことです。

地図もなく案内してくれる人もいません。だけど、子どものもつ無垢さは、虹の光への信頼に満ちています。

豊かな感受性は好奇心にあふれ、道に迷うことも、危険も、自分を見失ってしまうかもしれないことも、その冒険を止められないのです。


③解決の鍵:恋人たち(大アルカナ6)


恋人たちのカードは、

関係性を通じて自分を見つめなおすことを表しています。関係性の中へ深く入っていくのです。

他人と深く関わることは自分と深く関わること。

人との関わりの中で見えてくるあるがままの自分。

人との出逢いを怖れることは、あるがままの自分との出逢いを怖れているからかもしれません。

恐れず、愛の中へ……。


④ギフト:再誕生(雲10)


再誕生のカードは
魂の進化のプロセスです。

従順さ、忍耐、努力、勤勉さの象徴である駱駝は、安全と保護と引き換えに、自ら重荷を背負っています。
ある日、駱駝は囚われていることに気づき、怒りが爆発し、反発にあがきます。

そして内なる声のままにNO!を手にすると、自由と主体性と自分自身を獲得する獅子が顕れます。
すると、踊りながら笛を吹く子どもが顕れます。無垢、創造性、自発性、熱中、遊び……。


***


3月にこのカードを引いたとき、ユウコさんとえみなさんは、


「冒険」のカードに描かれた女の子の往く手に「物語の森」を見ました。
「再誕生」のカードの飛び出してくる子どもの姿に、「きみのトモダチ」を見ました。


でも、半年が過ぎ、カードがもっと深い場所から予言していたことを、ぼくは観じます。


恋人たち」のカードは、ユウコさんとえみなさんなのだと。
ともだち」と「子どもは、外せないキーワードだと。


個展の終わりに、再びこのカードたちを見たとき、ユウコさんとえみなさんは、さらに深い予言が隠れていることを知るでしょう。

ぼくの予想をはるかにこえる、素敵なものにちがいありません。


だって、それは、ユウコさんとえみなさんの冒険だからです。


ティン















ユウコさんとえみなさんの個展『物語の森』が開催されるソーイングギャラリーは、枚方市にある星ヶ丘洋裁学校の一画にあります。

えみなさんは、ここに来ると、


「うまれたての風が吹いている!」


って、ぜったい言います。








風の気配を感じようとして、目をこらしたり、耳をすませたり、深呼吸したりします。
歩いたり、スキップしたりします。

(寝転んだところは、まだ目撃していません)
でも。


なぜ、そんなふうに感じるようになったのか、たぶんわすれています。
だけどぼくは、とっても記憶力がいいので、そのときにえみなさんが書いたことばを、いまでもちゃんと覚えています。

どんなふうかというと……


************************


わたしたちは、全身に、たくさんのゲートを持っていて。
お互いのゲートが開いたとき、通じ合えたと感じるのではないだろうか。
そのとき、風が生まれ、吹いてくる。


風が吹くとき。


(だれかとだれかが、つながっている)
(だれかと何かが、つながっている)
(何かと何かが、つながっている)


だから、こんなに、気持ちがいいんだ。


自分のゲートから吹く風
自分のゲートに吹きこんでくる風


(自分から生まれ、自分に還ってくる風は、ほかの風とは全くちがう)


だから、こんなに、気持ちがいいんだ。

つぎつぎにゲートがひらいて、目に入るものすべてと、つながっていく。


窓の外の光も。
木々の緑も。
このギャラリーから届く限りの全て。
連鎖がとまらない。


そのたびに、あたらしい風が生まれ、入ってくる。
自分の風に、出逢える場所。


草原に遊ぶ風は、生まれたて。


************************


えみなさんは、こんなふうに感じたのです。
そして、この場所で、いつかワークショップをしたいと。


なぜ、この場所なのでしょう。
それにも、ちゃんと理由があったのに、えみなさんは、すっかり忘れています。
ぼくは、覚えていますけどね♪

それは、こんなのです。


************************


囲まれた部屋の中だけでなく、

ドアや窓の外の世界にも、つながりの連鎖が続き、

入ってくるものと出ていくものの流れが次々に頬をかすめ、

自分の中からも湧き出ていく泉を感じること。


自分の中から繋がり続けていく先端に、

光や、緑や、空や、雲や、花や、風や、土のエネルギーを感じて、

受け取っていけること。


立地そのものを味方にして、そこでしか体感できない鼓動を聴くこと。


そういうワークをしたかった。

もうわかった。なぜ、風が吹くのか。
だから、吹いてくる風に胸を張るだけでなく、風を起こす。


自分を中心に、世界とつながり続けていく感覚を、

必要な時にいつでも思いだせ、それぞれの人が使っていけるような、

そんなワークがしたいし、文章で風を起こしたい。


生きていること。
呼吸していること。
つながりつづけるために発信すること。
還ること。


今日も、風に吹かれて。

星ヶ丘の地は、自分の風に出会える場所。手を振る場所。


おかえり。
いってらっしゃい。
元気で。


************************



えみなさんが書いたんです。


たとえ文章を忘れてしまったとしても、魂の記憶はぜったいになくなりません。
だから、えみなさんは、ユウコさんに出逢ったのだと思います。


えみなさんが言葉をつかうように、色をつかうユウコさんに。


ソーイングギャラリーに、そんな二人の、言葉と色の風が吹いて、『物語の森』が生まれようとしています。


ティン










『きみのトモダチ』


いま、これをよんでるきみ、なまえはなんていいますか。

としはいくつですか。きょうだいはいますか。男の子ですか。女の子ですか。
そんなことを、どこでかんがえていますか。

あたまの中ですか。むねのところですか。こころってしっていますか。

きみってだれでしょう。きみはなんでしょう。きみはにんげんですか。

いつからきみですか。ずっときみですか。
ぼくはきみに、ぼくがぼくになるまでのはなしをしようとおもいます。


ぼくは……、正確に言うとぼくたちは、ゆう子さんの心の中で生まれました。

ゆう子さんも知らない、心の部屋のとびらの奥の、ずっとずっと深い所です。

ぼくたちは、かたちもなく、名前もなく、おしくらまんじゅうをしながら、

外の世界に出るのを、ただじっと待っていたのです。


ゆう子さんは、団地の集会所で、学童保育の先生をしながら、物語を書いています。
ぼくたちは、物語ができるまでに、ゆう子さんの心の中に浮かぶ、いろんなものなのです。

想像できますか?


~後略~


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という冒頭で始まる『きみのトモダチ』という創作童話の中で、えみなさんの心の奥のずっとずっと深いところにいたぼくは、外の世界へ飛び出しました。


えみなさんが、「ティン」と名付け、ぼくを呼んだからです。

それは、まだ、えみなさんが奥さんにもお母さんにもなっていない、もう二十年くらい前のことでした。


そのときから、えみなさんは、それが自分だけに起こることなのか、だれにでも起こることなのかが、ずっと気になっていました。

だれの心の中にも、その人のことをずっと応援してくれるトモダチがいるのだろうか。そのトモダチも、飛び出してくるのだろうかと。姿はそれぞれ違うのだろうかと。


そうして、 『きみのトモダチ企画』 が始まりました。→ ~“きみのトモダチ”に逢いたい! 名前をきかせて~


きみのトモダチを読んで、お話の中から飛び出してくる子に出逢ってもらうのです。そして、その子の名前を教えてもらい、絵が描ける人には、その子を描いてもらいました。

たくさんの人が、この企画に参加してくれました。 → 「祈り」


その企画を始める勇気をくれたのが、湖と田んぼと山と空にかこまれた場所で、風に吹かれながら水彩絵具で絵を描いている、ユウコさんです。

『きみのトモダチ』のゆう子さんと同じ名前です。


そして、ユウコさんとえみなさんは、大阪府交野市にあるソーイングギャラリーという場所で、絵とコトバの展示をすることになったのです。 → 「本気だよ」


そこは、いつでも風が吹いています。ただの風じゃありません。生まれたての風です。生まれたての風の気配が、ぐるぐるまわって、旋回しながら、遠く旅だっていく場所でした。

ユウコさんとえみなさんは、そこに「物語の森」を作ることにしました。
まだ、ひみつの森です。


ところが、なんということでしょう! 最近のえみなさんは「短歌」という三十一文字のコトバに夢中になって、長い文章をちっとも書かないのです。

そこで、ぼくが代わりに書いてみようと思いたちました。

本を読んだり、文章を書いたりするえみなさんと、ずっと一緒にいたので、ぼくだって書けると思うのです。そのへんの猫よりはうまく。


ユウコさんとえみなさんは、個展が決まってから、毎月いちど、「てんけんたい」を組んで、いろんなことを企てています。
「てんけんたい」というのは、『くまのプーさん』のお話に出てくる「探検隊」のことです。
ユウコさんとえみなさんの企画会議の総称なのです。


遊んでるだけじゃないのかな? と、ときどき思うのですが、いろんな素敵な人たちの個展に行って刺激を受けたり、おいしいランチを食べたり、スイーツに歓声をあげたり、きれいな景色にドキドキしたり、お料理教室に行ったりもしながら、兵庫、大阪、京都、滋賀、奈良と飛び回り、少しずつ、じぶんたちに必要なことを決めていきました。

てんけんのたびに、戦利品もしっかりゲットしています。


そんなレポートも、お届けします。

5月からはじまったてんけんたいは、これまでに6回企てられましたが、ぼくは、えみなさんとちがって、記憶力バッチリなので、大丈夫。


「物語の森」の招待状を手にした人が、この場所に遊びにきてくれるまでに、たくさん書いておきます。


ティン


(追伸)

ユウコさんとえみなさんには、ナイショなので、そこのところは、よろしくお願いします。