ユウコさんとえみなさんの個展『物語の森』が開催されるソーイングギャラリーは、枚方市にある星ヶ丘洋裁学校の一画にあります。
えみなさんは、ここに来ると、
「うまれたての風が吹いている!」
って、ぜったい言います。
風の気配を感じようとして、目をこらしたり、耳をすませたり、深呼吸したりします。
歩いたり、スキップしたりします。
(寝転んだところは、まだ目撃していません)
でも。
なぜ、そんなふうに感じるようになったのか、たぶんわすれています。
だけどぼくは、とっても記憶力がいいので、そのときにえみなさんが書いたことばを、いまでもちゃんと覚えています。
どんなふうかというと……
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わたしたちは、全身に、たくさんのゲートを持っていて。
お互いのゲートが開いたとき、通じ合えたと感じるのではないだろうか。
そのとき、風が生まれ、吹いてくる。
風が吹くとき。
(だれかとだれかが、つながっている)
(だれかと何かが、つながっている)
(何かと何かが、つながっている)
だから、こんなに、気持ちがいいんだ。
自分のゲートから吹く風
自分のゲートに吹きこんでくる風
(自分から生まれ、自分に還ってくる風は、ほかの風とは全くちがう)
だから、こんなに、気持ちがいいんだ。
つぎつぎにゲートがひらいて、目に入るものすべてと、つながっていく。
窓の外の光も。
木々の緑も。
このギャラリーから届く限りの全て。
連鎖がとまらない。
そのたびに、あたらしい風が生まれ、入ってくる。
自分の風に、出逢える場所。
草原に遊ぶ風は、生まれたて。
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えみなさんは、こんなふうに感じたのです。
そして、この場所で、いつかワークショップをしたいと。
なぜ、この場所なのでしょう。
それにも、ちゃんと理由があったのに、えみなさんは、すっかり忘れています。
ぼくは、覚えていますけどね♪
それは、こんなのです。
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囲まれた部屋の中だけでなく、
ドアや窓の外の世界にも、つながりの連鎖が続き、
入ってくるものと出ていくものの流れが次々に頬をかすめ、
自分の中からも湧き出ていく泉を感じること。
自分の中から繋がり続けていく先端に、
光や、緑や、空や、雲や、花や、風や、土のエネルギーを感じて、
受け取っていけること。
立地そのものを味方にして、そこでしか体感できない鼓動を聴くこと。
そういうワークをしたかった。
もうわかった。なぜ、風が吹くのか。
だから、吹いてくる風に胸を張るだけでなく、風を起こす。
自分を中心に、世界とつながり続けていく感覚を、
必要な時にいつでも思いだせ、それぞれの人が使っていけるような、
そんなワークがしたいし、文章で風を起こしたい。
生きていること。
呼吸していること。
つながりつづけるために発信すること。
還ること。
今日も、風に吹かれて。
星ヶ丘の地は、自分の風に出会える場所。手を振る場所。
おかえり。
いってらっしゃい。
元気で。
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えみなさんが書いたんです。
たとえ文章を忘れてしまったとしても、魂の記憶はぜったいになくなりません。
だから、えみなさんは、ユウコさんに出逢ったのだと思います。
えみなさんが言葉をつかうように、色をつかうユウコさんに。
ソーイングギャラリーに、そんな二人の、言葉と色の風が吹いて、『物語の森』が生まれようとしています。
ティン







