人は夢を持つことで、

将来に向けての希望が生まれます。

その夢を実現するために欠かせないのは、

夢の内容を外に向けて言葉で発していくことです。

指揮者の佐渡裕氏が

駆け出しの頃に、

近所の人から近況を尋ねられました。

「新日っていうね・・・」と、

所属する新日本フィルハーモニー交響楽団の

話をしようとしたところ、

「プロレスね」と

誤解されてしまいました。

そんな佐渡氏でしたが、

昔から人一倍夢は大きかったのです。

「ベルリン・フイルの指揮者になる」と

小学校の卒業文集には書いていました。

氏は

「言い続ければ実現する」

と信じて、

高校の吹奏楽部やママさん

コーラスの指揮から始め、

海外で着実に実績を重ねました。

そして今年の五月、

初めて

「夢の舞台」に立つことができたのです。

夢を広言しても、

大言壮語に終わっては

何の意味も持ちません。

自らが言ったことを叶えるためには、

その時々に応じた適切な思考と行動を保ち、

たとえ小さくとも結果を出すことが大切です。

重ねた結果の先にあるのは

「夢の舞台」です。
N氏一家は、

長年の夢であったマイホームを

手に入れました。

住み始めた当初は、

嬉しくてたまりませんでした。

しかし、

そのうちに

「使い勝手が悪い」

「近所との人間関係がうまくいかない」

「交通の便が悪く、駅まで遠い」

といった思いが募り、

思わずその不満を先輩に話したのです。

すると先輩から

「N君は家に対して感謝が足りないな」と

言われました。

特に、

「家とは授かり物であり、

預かり物である。

預かっているのであれば、

もっと謙虚に使わせてもらうべきだ」

という指摘が、

N氏の心の奥底に響きました。

N氏は私は自分の力で

家を建てたと思っていた。

預かり物ならば、

心を込めて大切に使わせていただこう

という気持ちになったのです。

その時から、

あれほどギクシャクしていた

近所との関係も、

次第にうまくいくようになったのです。

感謝の対象は家に限りません。

「あらゆる物は授かり物であり、

預かり物である」

との意識が、

身の回りの物をていねいに

扱う礎となります。

そして同時に、

一個の人間だけでは何もできないことを、

私たちは知るのです。
京都府綾部市に、

「志賀郷」という農村があります。

そこで、

自身が大好きな「うどん」の

提供を仕事にしている

竹原友徳氏がいます。

氏は大学卒業後、

偶然出会った八百屋の

女性が紹介してくれた、

四国の有名うどん店で

修業を始めました。

その後は軽自動車に道具一式と

生活用品を積み、

各地で材料を仕入れては、

うどんを提供する武者修行で

腕を磨いたのです。

三十歳となった現在、

氏は故郷に活気を取り戻したいと、

うどん屋を開業しました。

今では口コミにより、

週末には八十食を売り上げる

繁盛店となっています。

商売は人が集まるところで

行なうという常識を、

竹原氏は打ち破りました。

故郷を愛する思いを端緒に、

自分の好きな仕事を

貫いた結果といえるでしょう。

「好きこそ物の上手なれ」という

諺はよく知られていますが、

その逆意は「下手の横好き」です。

趣味のレベルであれば

「好きで下手で」の

状態で構わないでしょうが、

商売となると一定のレベルが求められます。

この仕事が好きだという思いを、

レベルアップへの糧としていきましょう。
Y氏は隣町へ買い物に行き、

駅前で路線バスを

待っていました。 

終点である駅前ターミナルには、

次々とバスが入ってきます。

その際、

すべての運転士が

サッとバスを降り、

乗降口で姿勢を正して礼をしては、

乗客を送り出しているのです。

Y氏は初めて見る光景に、

心から感動しました。

バス運転士の接客は

あまり見かけませんが、

このバス会社では常識と

なっているのでしょう。

利用客の「

満足度アップ」へと

意識を向ける、

同社の確たる理念が見えてきます。

理念を文言だけに終わらせない

実践重視の好例でしょう。

より良い仕事をするには、

その業種や仕事内容に合った事柄を、

その時々の状況によって判断しつつ、

実行に移していくことが必要です。

企業理念の実行は、

より具体的な方策に置き換えることで、

内外に強くアピールできます。

その実行にあたっては、

明るく嬉々とした心と

行動が欠かせません。

暗くジメジメとした、

やらされているという態度では、

せっかくの行為自体に影を

落とすことになります。

自然と込み上げてくるような明るさを

意識しましょう。
二〇〇八年に公開された映画

「ブタがいた教室」は、

原作者の黒田恭史氏が

新任教師だった時代に、

実際に行なった授業に基づいて

製作されたものです。

氏は生徒に命の

大切さを考えさせようと、

最終的には食肉とすることを前提に、

クラスの皆で子豚の飼育を始めました。

子豚が成長し、

生徒たちも卒業が近づくと、

豚への愛着から

「食べずに下級生に飼育を

引き継いでほしい」

という意見が、

多くの生徒から出てきました。

「それは責任を

下級生に押しつけることになる。

食べることが命を

大切にすることでは」

という他の意見もあり、

卒業間際まで議論が

繰り返されたのです。

最後は黒田氏の決断で

食肉処理場へ送ることとなりました。

この結末の是非はともかく、

生徒にとっては食と生命に

対して真剣に向き合った時間でした。

私たちは日々、

動植物の生命をいただいています。

その個々の生命との引き換えによって、

人間は自身の生命を

維持しているのです。

無理な食べ過ぎや無残な食べ残しは、

数々の生命への冒瀆です。

畏れの心を似て食事をしたいものです。