甲斐の戦国大名・武田信玄は、

最強と謳われた

騎馬軍団を作り上げた武将です。

生涯における合戦の数は百三十余度に及び、

一度たりとも敵を自国に

入れることはありませんでした。

信玄は青年時代から禅や学問を学び、

また詩や和歌にも親しんできました。

信玄の詠んだ和歌の中で、

最も有名なのは次の歌でしょう。

人は城 

人は石垣 

人は堀 

情けは身方 

仇は敵なり

「仇」は「恨むこと」

という意味です。

信玄は堅固な城を造るよりも、

領民の生活の安定に努めました。

人を大切にし、

「武田二十四将」と呼ばれる幹部を育て、

最強の軍団を作り上げたのです。

この和歌は、

後に江戸時代の人が

作ったものという説もありますが、

信玄の生き方をよく表わしたものとして、

現代でも広く親しまれています。

「人材は人財である」とは、

よく言われることです。

人と人とが協調して仕事に励む時、

苦難は去っていくでしょう。
結婚という契りにより、

一組の男女には、

血縁を越えた深く強い結び付きが生まれます。

その後、

夫婦の顔や性格が似てくるという話は、

よく聞きます。

企業においても同様なことがいえます。

就職という契約によって、

企業と社員の間には雇用関係が生まれます。

社長と社員は同じ血筋の流れの中に、

身を置くような間柄となります。

両者は、

仕事振りや物の言い回しまで、

似てくることがしばしばあります。

しかし社員が社長への敬いの心を欠き、

指示に従わない場合があります。

そのような社員は、

社長の良さを引き継ぐチャンスを

捨てることになります。

これは夫婦がお互いに敬意を払わず、

わがままを振りかざすのと同じです。

企業で働くということは、

経営陣が示す経営理念と一体化して、

目的実現への努力を重ねることです。

その機軸を忘れてはなりません。

世の中に数多存在する中から互いに選び合い、

惹かれ合った稀少な縁を活かし、

自己成長と共に事業の発展に貢献したいものです。

営業本部に所属するSさんが、

出張先から一時帰社した時のことです。

遠方に出張中のK本部長から

T部長に宛てた電話を、

Sさんが受けました。

T部長が離席していたため、

K本部長は

「新幹線が運転を見合わせているため、

J社への訪問が約束より一時間ほど遅れる。

T部長からお詫びの電話を入れておくように」

との伝言をしました。

その内容を正確にメモして、

T部長の机に置き、

Sさんはすぐに次の予定地に向かいました。

しかしT部長が戻ったのは、

K本部長が一時間遅れて

J社を訪問した後でした。

Sさんの油断が、

本部長と自社の信用を

失う結果を招いてしまったのです。

急を要する連絡は、

社内にいる相手であっても、

メモだけでなく直接連絡を取るべきです。

仕事に安易な思い込みは禁物なのです。

不測の事態を想定して、

二段構え、

三段構えの手を打てるよう

心に留めておきたいものです。

外食をよくするBさんは、

いつも支払いの際には

「お愛想をお願いします」

と言っていました。

Bさんの行きつけの店に、

先輩を連れて行った際のことです。

Bさんはいつものように、

「お愛想をお願いします」

と声をかけました。

すると店長から、

「よく『お愛想』を使う方が多いのですが、

本来は店側が使う言葉で、

お客様が使う言葉ではないのですよ」

とこっそり伝えられたのです。

さらに、

「お客様からは

『お勘定お願いします』

が正しい言い方です。

皆さん普通に

『お愛想』と言いますので、

我々も聞き流していますけれども」

と言われ、

Bさんは一気に酔いが醒める思いをしました。

Bさんは教えてくれた店長に感謝をし、

それを機に間違えやすい

日本語を意識して調べるようになりました。

言葉遣いは職場人として最低限のマナーです。

大事な場面で失態を演じないよう、

正しい日本語を身に付ける努力をしましょう。

見えるところは、

意識して気を使い体裁を整えますが、

見えないところは疎かにしてしまうものです。

しかし、

見えないところにこそ、

大事なものが潜んでいると考えられます。

例えば、

出来上がった料理は、

下ごしらえや隠し味といった部分に、

料理の裏に隠された

料理人の真心が潜んでいます。

現代は、

モラルの低下が叫ばれています。

モラルとは道徳や倫理を指しますが、

他人が見ていないところで実行できてこそ本物といえます。

「私とあなた」

「我々と皆さん」

「人類と大自然」とが、

共によりよく生きようとする想いから、

行動規範としてのモラルは生じるものです。

路上でのタバコや

ゴミのポイ捨てといった個人の

わがままな行為、

企業における商品の産地偽装など、

モラルが問われる場面は多々あります。

外側を整えることは大事ですが、

見えない内側を整えることは、

それ以上に大切なものです。