S氏は

「朝食内容が充実している」と

噂の喫茶店に入りました。

朝食のピーク時を過ぎたにもかかわらず、

多くの利用客がいることに感心したのです。

しかし、

なかなか注文を取りに来ないため、

しびれを切らして声をかけました。

ところが返事はなく、

ようやく来ても

「いらっしゃいませ・・・」

の声は小さくて聞き取れません。

朝食には満足したものの、

不信感を抱いたまま店を後にしました。

サービス業における接客マナーは、

欠かせない要素であることは、

関係者であれば誰もが知っています。

ただし、

それが実際にできているか、

身についているかは別問題です。

「今は混んでいるから無理」

は言い訳に過ぎません。

朝の時間帯が忙しいのは、

毎日の業務としてわかっていることです。

心や行動に

「ゆとり」を持つために、

何が事前にできるかを

考えることが大切です。

「自分が行なう接客の最高のイメージを描く」

「マンネリ化を避ける工夫を考える」

「鏡を見て表情のチェックをする」

などは有効です。

それらを仕事が始まる前に行なうのです。

どんな時でも最高のサービスが

できる自分でありたいものです。

阪神・淡路大震災から、

十七年以上の歳月が流れました。

被災者のYさんは、

今も

「スイッチを押すと部屋の明かりがパッとつく」

「トイレの水洗が勢いよく流れる」

「栓を押せばガスの炎がパッとつく」

といった当たり前の出来事に、

「ありがとうございます」

という言葉が口に出るそうです。

そして

「当たり前の日常が当たり前に続くことは、

それだけでとても嬉しく、

ありがたいことなのです」

とも言っています。

当たり前に慣れてしまうと、

感謝や感動を忘れ、

失ってからその存在の大きさに気がつくのです。

健康な体、

豊かな自然、

毎日の仕事、

職場の良き仲間など、

私たちの周りには失えば

困惑してしまうものが多くあります。
   
働けて幸せですねと病む人の 

しみじみ言いし言葉の重く

友人を病床に見舞った人の短歌です。

改めて周囲を見渡してみると、

生活の中に埋もれて気づかない多くの

「感謝」の存在があるでしょう。

自然と感謝の心は深まり、

感動が大きくなるでしょう。

何をするにしても

現状に満足することなく、

「何かもうちょっと」と

考えてみたらいかがでしょう。

いきなり大きな発明や

発見を期待するのは無理なことでも、

「もうちょっとこうしてみたら」と

考えるのは、

誰にでもできることです。

例えば、

お客様へのサービスです。

従来のままのやり方だけでなく、

「もうちょっと」と考えてみると、

思わぬ発見があるかもしれません。

物をつくる際にも、

「もうちょっと」を求めていけば、

他にはない独自のコンセプトを

持った製品が生まれる可能性があります。

アメリカのライト兄弟が

飛行機を発明したのも、

「何かもう少し」を

追い求めていった成果でした。

その中で兄弟が創り出した

フラップといわれる機体の平衡を

保つ仕組みは、

現在の航空機の補助翼の原型となっています。

改めて身の周りのことや、

今取り組んでいるものを見回してみましょう。

そして「もうちょっと」を追加すれば、

さらに仕事が楽しくなるはずです。
家電量販店のM店長が、

お客様への挨拶で声が出ていない

スタッフを叱っています。

その様子を統括マネージャーが

厳しい表情で見つめています。

その後、

M店長はマネージャーに、

「君も含めて、

基本的なことを

皆が理解していないのではないか」と

言われたのです。

思い返してみると、

「元気に声を出すのは、

接客業では当たり前。

お客様は明るくお迎えするもの」という、

マニュアル的な考えしかありませんでした。

「なぜ元気な挨拶をする必要があるのか」

「元気な挨拶とはどのようなものか」を

理解しないまま、

スタッフに

「声を出せ」と

強制していたと気づいたのです。

それぞれの組織に、

基本的な決めごとはあります。

とくに仕事の基盤を固めていく時、

重要とされるものが

「合意」です。そしてその逆が

「強制」です。

 基本は大切です。

しかし、その基本がなぜ必要なのかを理解し、

合意しないままでは、

スムーズな業務は望めません。

「なぜ」や

「どうして」を全員が理解して初めて、

ひとつの仕事が成り立ちます。

職場での

「合意」を大切にしましょう。
小林製薬会長の小林一雅氏は、

初めて海外に行った際、

ある家庭の清潔感

あふれるトイレとその香りに、

大きな衝撃を受けました。

帰国後、

氏は日本のトイレ事情に合う

商品づくりに打ち込みました。

社内の反対は強かったものの、

「そこまで言うなら」と

応援者も現われるまでになりました。

そのようにして四年がかりで完成したのが、

水洗トイレ用の清浄・

消臭・

芳香剤で、

同社のロングセラーの地位を得たのです。

「強い意志で行動を起こしたら何とかなる。

待っているだけでは良い結果には結びつかない」

という氏の言葉には、

諦めずに最後までやり通すという

強い信念がうかがわれます。

私たちはそこに

「意志の力」を

学ぶことができるでしょう。

「意志あるところに道は通じる」

といわれます。

仕事という道を掘り起こしていくのは、

私たちの意志の力です。

おいしい商品をつくるぞ 

接客は必ず笑顔で!>など、

より具体的な意志を持てば、

必ずや結果につながるでしょう。

想うだけでは仕事は進みませんが、

想うからこそ気力も生まれるのです。