これも10月4日に観た作品ですので、随分と感想が遅くなりました・・・

さて、聖なる俗っぽさ。
元西一風の頭突木大地君が立ち上げたユニットです。
西一風で数々のおもしろい作品の残した頭突木君だけに期待大の作品でした。

正直な感想を申し上げると、今一つ二つしっくりきませんでした。
おもしろいところもあっただけにちょっと残念でした。

作品自身の設定の面白さであるとか、着想とか、役者さんの個性や演技も悪くなかったのですが、いうなればバランスが取れていなかったと思います。

「あいまい」ということがテーマみたいですが、だからと言って作品のバランスまであいまいでよいとは思いません。

西一風時代は、個々の役者のキャラクターを十分理解できているからこそできた作品も、ユニットとして展開する以上、役者を理解しきれず演出する難しさがあると思います。

また、一方で役者陣も「頭突木大地の作品性」を理解するという作業が必要だと思います。
例えばセリフやト書きだけでは測れない「頭突木大地の考えていること」をわかって演じるということ。
今回は森さんはそれが出来ていたと思うのですが、森さんの努力もありますが、長く一緒にやっていたからこそ理解できていたのだと思います。
おそらくはユニットでやることの大きな課題はそこだと思います。

もう一つ、照明代わりの懐中電灯の使い方はとても面白かったのですが、音効代わりのスマホは音が小さすぎて面白さが伝わりにくかった。
個性的な演出は面白さがある反面、リスクもありますよね。

まだまだ始まったばかりのユニットです。
ぜひ、次はもっと面白く完成度の高い作品を目指して欲しいと思います。
ということで、なんだかんだ言っておじさんは後輩を応援するのであります。


あ、写真ですが・・・撮った写真が消えてしまっておりまして、「更地」の時に撮った写真です・・・すいません。


イロリムラ2
いやはや、観劇したのは9月27日・・・・3週間以上経ってしまいました。
いまさら感想もあったものではありませんが、とてもよかったので書きます。

作品は太田省吾氏の「更地」
ある夫婦が、そこに家があったと思われる更地を訪れて、様々な思い出話を語り、そして、新たな始まりを語るという作品。
夫婦は、子供も手が離れ、これから新たな2人の暮らしを始める世代という設定。

狭いイロリムラ・プチホールのありえない狭さの更地ゆえに、生まれる郷愁感がとても胸に迫りました。

何より、森田さんとはしぐちくんの二人の役者が絶妙ですばらしかった。
特にはしぐちくん自身がもっている飄々とした感じとセリフ回しが、この作品自体の骨になっている気がしました。

観終わった後、帰り道でじんわりとくるお芝居。
それは、もしかすると、僕自身が結婚して18年、50歳という年齢だからかもしれず、これからやってくる第二の人生を思ってのことからなのかもしれません。
若い人たち(あんまり言いたくない言葉ですが)は感じないことを必要以上に感じたのかもしれません。

ところでイロリムアという空間っていいですね。
アートと演劇や音楽が融合できる小さな場になっていて、しかも、細い路地を入ると広がる狭い広場のようなスペースは、ある意味小さな桃源郷(言いすぎかな?)のような空間になっていて、おもしろいですね。
プチホールはキャパ20名くらいでしょうか。ちょっと小さいですが、軽くお芝居するにはよいところです。


イロリムラ1


観終わって随分経ってしまいました。
書きかけの感想は、バタバタした日常に流されて、それこそ干からびておりました。
ダメですね。ブログひとつ書けないなんて・・・

久々の悪い芝居は、一言で言って「すっげー面白かったです。」
時間にしてなんと休憩込で約3時間弱!!!
ところが3時間の疲労感はありません。
そこは悪い芝居のメッセージがストレートでわかりやすいからなのだと思います。

スタートからトラブルっぽく見せた演出あり、バンド演奏あり、山崎君はパンフの中で「アホがうまれました」と評しておりましたが、悪い芝居独特のごちゃごちゃ感がとっても面白かったです。

特に、山崎君はキャスティングが面白いですね!

「おはよう朝日です」(うちはおは朝派なんですけど)で実際に食レポしている田中良子さんに、冠虚に翻弄されながら自分の殻を打ち破ってゆく元レポーターの主役朝暁澱美をやらせたり、ほかにも、実は59歳で全身成形してアイドル目指して挫折した心野扉役のSUN!!さんなどは、はまってる感じで良い感じでしたね。

端的に言ってしまえば、少年時代の無垢な冒険心をそのまま持って大人になってしまった人たちの話。
ただ、それだけだと社会的な不適合者になってしまうのだけれど、そこはそれ、持ち前のパワーで押し切ってゆく。
おそらくは、これって「自分たちのことなんだな」っていうことがわかります。

ま、3時間もやらんでもよかったとは思いましたが、山崎君独特の「はぐらかし」。例えば、前半では「警官役」のように見せかけておいて、後半で「ただの警官の制服を着た人(しかも上着だけ)」となる、客ごとはぐらかしてゆくのはさすがだと思うし、時間の長さが必要だったのかもしれないと思います。

子供の頃の無邪気な夢。
僕も確かに持っていました。
大人になるにつれ、常識という殻を被って生きてきて、今は常識から抜け出せなくなっております。
その常識はただの社会的常識のみならず、長く務めている会社のドメスティックは常識もあり、今やがんじがらめです。
何が大切なのか?
そんなことをもう一度考えさせてくれました。

悪い芝居に感謝。


HEP HALL悪い芝居


すでに発表されておりますが、京都学生演劇祭賞を見事受賞したこの作品は実に面白かったです!!
西一風の真骨頂がうまく体現されていたと思います。

「パワー・スピード・オリジナル」というモットーを最初に発表したのは確か1987年、結成3年目の新歓の時でした。
当時立命館大学内に6つの劇団があり、何か「これぞ西一風という言葉をつくろう」ということになり、3代目の座長だった目黒君と考えたものです。
時代を経て、「内的爆発」、「身体的速度」、「独創性」という言葉に変化しておりますが、根本は変わっていないと思います。
今回の「いちごパンツを撃鉄に」は、まさにそれそのものだったと思うのです。

45分という短い時間を逆に意識しないで作品を構成しているように見えました。
おそらくは普通に1時間半くらいの作品の構成が先にあって、それを45分に縮めたのではないかと思います。
ゆえに、5年間の時空をまたぐ展開が実に面白く、作品のダイナミック感を醸し出していたのではないでしょうか。

加えて、寺山修司の引用もあり、引出しの多様さを感じました。

さらにポイントは動き。
びっくりするくらい狭いステージなのですが、きっちりシンクロした動きをすることで洗練した感じも与えていました。この辺りは岡本君がVOGAの練習に参加している影響なのだと思います。

役者陣、よかったですね。
それぞれのキャラをしっかり立てていましたし、わずかの間に一回生もうまくなっていました。
でっかいパンツをスクリーンにするというアイデアも良かったですね。

今後、気を付けるとすれば、「この成功体験にしがみつかないこと」ですね。
多様性を失わないこと。新しいことに挑戦することを忘れないようにして欲しいなと思います。
往々にして、特に役者は最初の成功体験で「演技の型」を作ってしまいがちなのですが、ぜひそこは貪欲に新しいことに挑戦していってほしいと思います。

「これでいいのか??」と思いながら。

とにかく、おめでとう!!!


京都学生演劇祭2014
実は私、別役実作品って好きじゃないんです。
「おまえ何ゆうてんねん!」って怒られそうなのですが。
だって台詞がくどいんですもの。
観ている途中で「あ、それ、もういいです」って言いたくなるんですよ。

でも、そこは壁ノ花団でした。
さすがです。
正直、別役作品の認識改めなきゃって思うくらい面白かったです。

音響、照明、舞台など効果ももちろんなのですが、やっぱり演出と役者の力はすごいと再認識しました。
「難しかった」とアフタートークで水沼さんは語っていましたが、正直、そこは全く感じさせません。

特に内田淳子さんの飄々とした演技は実にすばらしかったです。
町という設定、餓死した死体があり、その死体を「警察」ではなく、「探偵」が調査する。
そして、現れる女と、死体処理係。

「死体」が転がっているという状況を、いかにも普通に淡々と芝居が進むのは別役作品独特の不条理感なのですが、その「淡々」とした感じを「飄々」と演じきっている役者陣が実に絶妙。
そして、滑稽な感じを醸し出すのがまた、全体を通してよかったですね。

特に好きだったのはやっぱり内田さんの「蹴り」。
この蹴り、死体とか箱馬とか、ところどころで繰り出されるのですが、この「蹴り方」が絶妙。
そのコミカルさがお芝居全体の雰囲気を決めていた気がします。

やっぱりさすがです。

終演後内田さんにお会いしたのですが、ほんと学生時代とスタイルとか全く変わってないのでびっくりです。
本当は魔女なんじゃないかと思います。(笑)失礼!!

写真は夕闇迫るアイホールです。


アイホール