実は私、別役実作品って好きじゃないんです。
「おまえ何ゆうてんねん!」って怒られそうなのですが。
だって台詞がくどいんですもの。
観ている途中で「あ、それ、もういいです」って言いたくなるんですよ。

でも、そこは壁ノ花団でした。
さすがです。
正直、別役作品の認識改めなきゃって思うくらい面白かったです。

音響、照明、舞台など効果ももちろんなのですが、やっぱり演出と役者の力はすごいと再認識しました。
「難しかった」とアフタートークで水沼さんは語っていましたが、正直、そこは全く感じさせません。

特に内田淳子さんの飄々とした演技は実にすばらしかったです。
町という設定、餓死した死体があり、その死体を「警察」ではなく、「探偵」が調査する。
そして、現れる女と、死体処理係。

「死体」が転がっているという状況を、いかにも普通に淡々と芝居が進むのは別役作品独特の不条理感なのですが、その「淡々」とした感じを「飄々」と演じきっている役者陣が実に絶妙。
そして、滑稽な感じを醸し出すのがまた、全体を通してよかったですね。

特に好きだったのはやっぱり内田さんの「蹴り」。
この蹴り、死体とか箱馬とか、ところどころで繰り出されるのですが、この「蹴り方」が絶妙。
そのコミカルさがお芝居全体の雰囲気を決めていた気がします。

やっぱりさすがです。

終演後内田さんにお会いしたのですが、ほんと学生時代とスタイルとか全く変わってないのでびっくりです。
本当は魔女なんじゃないかと思います。(笑)失礼!!

写真は夕闇迫るアイホールです。


アイホール