演劇と一口に言っても、能・狂言、歌舞伎、大衆演劇から、小劇場、宝塚に至るまでいろいろです。

先週の日曜日、行きつけのお店のオーナーに誘われて、芸能プロダクションDプロモーションがプロデュースする公演に行ってきました。

実は昨年に引き続き2度目だったのですが、昨年の作品とはぐっとレベルが上がって面白かったです。

お話は実にオーソドックスなお話。
テキ屋を営む主人公テ鉄男。
彼がぢで入院した病室には、ニューハーフやかつて役者志望だった青年がいて、それぞれ様々な想いと人生を抱えて生きている。
そして、その病室にはその青年と死に別れた看護師だった彼女の幽霊が出てくる。
そんなある日鉄男はぢではなく、がんだとわかり・・・ドタバタと・・・

笑えるシーンあり、しんみりするシーンありと、しっかり楽しめるお芝居でした。

特にニューハーフ役のニューハーフ愛咲つばささんはよかったですね。
実にいいキャラでして、芝居全体の中でしっかりしまっていました。

やっぱりキャラは大事です。

いろいろな芝居を観るってほんといいですね。
写真は開場だった弁天町の世界館です。

mokichi4516こと齋藤秀雄の京都単身赴任生活-世界館

先日の土曜日の話です。
西一風の後輩、市川タロくんの個人ユニット デ 。

はたして、演劇なんだろうか と思わせる内容。

どちらかと言うと詩だったり、絵画的だったり。

今回もモチーフは窓。
普通、窓から外を見るといいますが、彼は「窓を見る」という言葉を使った。

窓には何が映るのだろう・・・

そこにセリフはあるが、それは観る側のイメージによって自在に変わる。

キャンバスをロケーションを用意して、あとは自分で描いてみてと言ってるのかもしれません。

いつもそうですが、そういうところを引っ張り出す彼の美的感覚は優れているなと思います。

まあ、芝居としてはちょっと物足りないのですが。

さて、今回はFactoryKyotoという、なんとも形容しがたい感じのアートスペースで行われました。
古い町屋をみんなで借りて共用しているそうです。

市川君の、そういった演劇的でないところで演劇を行う取り組みはとても共感を感じます。

劇場にとらわれない演劇。

私はそういった取り組みを出来る限り応援したいと思っています。
写真はそのFactoryKyotoへ入る路地です。

mokichi4516こと齋藤秀雄の京都単身赴任生活-FactoryKyoto

今年の京都学生演劇祭。
なんと、我らが劇団西一風が大賞にあたる演劇祭賞を受賞しましたっ!!

おめでとうございます!!!パチパチパチパチ・・・・・

いやぁ、立派な後輩達を持って、私はほんと幸せです!
立派で素敵な後輩達に大拍手!!!そして、その後輩達を指導してくれた後輩達、その後輩達を指導してくれた後輩達、ずっと西一風を支え続けてくれているすべてのOB/OGと西一風ファンのみなさんに、草創期のメンバーを代表して心から御礼申し上げます。

稲本さん!!宇野さん!!高橋さん!!
皆さんが結成した西一風は、たくさんの優秀な後輩達が繋いでくれて、27年の歳月を経て、こんなに立派になりましたよ。

さて、京都学生演劇祭ですが、今年は16団体が参加しました。
私はそのうち6団体を観させていただきました。
その感想を簡単に書かせて頂きます。

<ドキドキぼーいず「ブサイクハニーベイベー」>
御存じドキドキぼーいずは3月に予定しているお芝居のダイジェスト版を展開。賢い演劇祭の使い方をしていました。相変わらず、元気いっぱい、テンション200%で弾けまわるお芝居は、私はとても好感が持てます。
ただ、そこはやっぱりダイジェスト版、45分では完結してませんので、そこはちょっと不満です。
やっぱり45分でちゃんと話を終わらさないとね。
とにかく、私としては吉田さんの半ケツが見えそうなのが気になって気になって仕方がありませんでした。

<劇団月光斜TeamBKC「FLAG!FLAG!FLAG!!!」>
題材はびっくり、なんと60年代後半の学生運動。その時代の学生を描きながら、彼らが年老いて若者を嘆く姿を逆に揶揄すると言うお話で、面白い視点でした。ですが、私、芝居の出来以外のところで大不満。
68年を描きながら、活動する姿が60年代ではない。つまりは服装、セリフ、設定がずれている。そこが気になって仕方がない。アジテーションの独特のアクセントすら取り入れていないのは残念。
役者さんが巧かったし、展開が巧かったのに残念でした。そんな中のりすさんは光ってましたね。

<劇団西一風「話の時間」>
舞台はカズオ宅。そこで繰り広げられる会話劇。5人の登場人物すべてのキャラが立っていて、かつテンポ、間、音、衣装、すべてが絶妙。はっきり言って巧さを感じるお芝居。
登場人物すれぞれがちょっとズレる、その「ズレ感」は田中次郎君の作品特有のもの。
話はシリアスなのにゲラゲラ笑ってしまう。真面目にやればやるほど笑えてしまう絶妙な演技。ほんと素晴らしかったです。まあ、とにかく私はそんなこと言いながら、飯坂さんの太ももが気になって気になって仕方がありませんでした。

<劇団紫「ドッペルゲンガーは出られない」>
おそらく脚本を書いた方は、すべてのシーンを映像的に思い描いていたのだと思います。作品の狙いは、ライトホラーでかつ少しコミカルさを含みつつ、いじめの話を掘り下げるというような感じだったでしょうか。
残念なのは、作品の狙いと演技、舞台、構成、照明、音効すべてのバランスが悪いこと。
さらに言うと45分の中にありえないくらいの数の場面転換をしたこと。話がぶち切れになってしまっていました。
もうひとつはコミカルとシリアスの境目がごちゃごちゃになってしまっていたので、正直、不完全感が残る作品になっておりました。おそらく1時間半くらいあればよかったのではと思います。

<喀血劇場「千和、立ったまま眠っている」>
この作品も「さすが!」という作品。いわゆる劇団劇。ある劇団が始まって、発展して、終って、そして再結成するまでの話をテンポよく、コミカルに描いてゆく。
まず、脚本が秀逸であると同時に役者のそれぞれの演技がテンポよく、すっと入ってくる。しかも計算された中にアドリブが効いていてそれがまた面白い。
劇団劇って、独りよがりになりがちなのにそこをさらっと描くことで、こぎみ良く、私などはさらに甘酸っぱい、鼻の奥がツンとする思い出がよぎる作品でした。

<劇団立命芸術劇場「夢重夜」>
立芸は昔から舞台上の「雰囲気」づくりが巧い劇団です。今回もそんなお芝居で、巧くレトロ感を出しつつ、夢と現実が混在してゆく様子を描いていました。ただ、ちょっと残念なのは、漱石っぽさを出そうとして出し切れていない感じがしました。つまりは演技の強弱が弱く、メリハリがない感じ。
後、やはり残念だったのは、セリフに「45分」という言葉を使ったこと。もしかすると、このお話を45分にまとめるのがとても大変だったのかもしれませんが、そんなお芝居の中に「45分」というワードが出ることで一気に興ざめてしましました。立芸得意の舞台を作り込むと、もっと面白くなるのかもしれません。

以上です。
6団体観ただけですが、45分をうまく使った劇団が面白かったですね。
さあ、来年も期待できますね
私はひどいやつです。

知らずに行ってしまったのです。
しかも知らないまま帰ってきてしまったのです。

五反田団の前田司郎さんは岸田戯曲賞作家だったんです。

岸田戯曲賞と言えば、文学の世界の芥川賞とか直木賞にあたるもの。

そんな有名な劇団としらず・・・・

「東京から大変だねぇ」とか・・

「気をつけてかえってねぇ」とか声掛けてました・・・

ほんと失礼なおっさん炸裂です。

あ、もちろん、サポートスタッフの仕事はちゃんとやりましたよ。

あーあ。

で、お芝居。

実に面白かったです。

舞台はたった2畳の部屋。
びんぼうな父子が暮らしている。
息子のあだ名は「びんぼう君」

その日は息子の誕生日。
でも、誕生会をやると言って友達を家に呼べない息子は、「月の観察をしよう」と呼ぶが、
現れたのはクラスで嫌われている女の子ひとりだけ・・

バタバタとパワフルに動くわけではないのに、実にドライブ感がありました。
全体はコミカルに話が進んでゆくが、最後の最後にちょっとだけシリアスに触れてさっと終る。

その「さっと感」がとてもよかったです。
かるーく触れることで、かえって観終わった後にちょっとした切なさが残ります。

父親がぼそっとつぶやく
「お前かあさんのところへ行けよ」
息子が言う
「僕、とうさん好きだよ」
(セリフちょっとちがっているかもしれません)

さすが岸田戯曲賞作家ですね。

とまあ・・・五反田団の皆さま、大変失礼しました。

写真は劇研のベンチです。
私の記憶が正しければこのベンチ、確か無門館時代からあるものではないかと・・・・

mokichi4516こと齋藤秀雄の京都単身赴任生活-劇研のベンチ
観てから随分経ってしまいました。先週の土曜日の話です。

昨年サポートスタッフをさせて頂いたすっかりファンになったニットキャップシアターの公演に行ってきました。
なんと寺山作品、しかも映画作品「さらば箱舟」

舞台は・・・・・・・はっきり言って穴。

ステージと客席全体が1m50cmくらい上がっており、そこに大きな穴が開いています。
お芝居はそこで繰り広げられる。

つまりは隔離された世界を穴で表現しております。

うまいなぁ~と思うと同時に、バラすの大変そうだなぁというのが第一印象。

2時間半の大作で、かつ寺山作品でありながら、アングラのドロドロ感をあまり感じさせず、いわばライトアングラとでもいうような感じに仕上げているのはさすがごまさんという感じです。

閉塞感のある田舎の集落での話が穴の中で展開され、穴の外はあの世を現わす。
でもそれは次第次第に前世が穴の中で、あの世が現世にと変わってゆく。

しかし、劇中で役者さん走る走る。踊る踊る。
しかもほとんど穴の中だから、造作にあたるあたる。
実に痛そうだけど、芝居は止まらない。

実に見事。

ちょっと残念だったのが、ラスト前のシーン。
穴の中から、登場人物が現世に召されてゆくシーンなのですが、アイホールの後ろが開いて、外へ退場してゆくという仕掛け。
いわゆる70年代アングラにはお決まりのシーンなのですが、アイホールの開いた外は普通の道なんです。
開いた所に自転車に乗ったお姉さんがいて・・・・あらら・・・

あのシーンで興ざめてしまいました。

おそらく、どうしてもやりたかったのだと思うのですが、無理やりなくても十分素敵なお芝居だっただけにちょっと残念でした。
まあ、それを差し引いてもとてもパワフルで面白いお芝居でしたが。

さて、このお芝居で、実に24年ぶりに劇団の後輩とあいました。
元気そうで何よりでした。
奇しくも舞台監督は清水くん。
後輩は清水君と同回生なんです。いろいろ奇遇・・
お芝居が再会を導いてくれたんだなと思います。

まだまだ再会したい人はたくさんいます。
そのうち会えるでしょうか・・・・・

写真は劇中で花婿募集シーンで配られたチラシです。
「演劇人不可!!!!」がめちゃくちゃ笑えます。

mokichi4516こと齋藤秀雄の京都単身赴任生活-劇中チラシ