最高道徳にては、旧来の占星術その他におけるがごとく、日・時もしくは方角のこと等を論ぜず、その他種々の迷信を採用することをばなさぬのであります。
しかしながら、すべて事物の盛衰・成敗《せいはい》は一朝にしてここに至るものではないのです。
必ず大事の前には小事があるのです。
これ宗教もしくは愚人 の迷信にあらずして、聖人の教訓にも見え、歴史その他われわれの経験上にも動かざる事実であります。
故にいかなる事にても、平素に常例なき出来事があった ならば、大いに注意して禍《わざわい》を未然に防がねばなりませぬ〈しかるに日本にては近時(昭和三年)天災はもちろん、国家及び社会の統制上容易ならざ る事変続々起こりても政治家・実業家はもちろん、教育家のごときも何ら自ら反省するごとき態度なきは惜しむべきことであります〉。
広池千九郎WEBSITE格言の間より