これは、「IT/イット THE END ”それ”が見えたら、終わり。」について、映画の時系列に沿って、細かい枝葉の部分をあれこれ検証する記事です。従って、結末までネタバレしています。

タイトル、字数がもったいないので「”それ”が見えたら、終わり。」を省略させてもらってます。

記事の性格上、前編の「IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。」のネタバレもしています。また、原作小説との比較も行なっているので、原作のネタバレもあります。それについても、ご了承ください。

「IT/イット THE END ”それ”が見えたら、終わり。」のレビューはこちら。

「IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。」のレビューはこちら。

「IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。」原作との比較記事はこちら。

血の誓い

前作のクライマックス、イットの巣窟で「ふわふわ浮かんでいる」ベバリーの映像から始まります。

イットによってさらわれ、給水塔の地下へ連れ去られたベバリーは、イットの真の姿ー死の光を覗き込み、そこで未来の自分たちのビジョンを見ます。

原作では、ベバリーがさらわれる展開はないのでこのシーンは映画オリジナルです。

原作では、イットにさらわれて死の光を覗き込むのはビル・デンブロウの妻オードラです。彼女は夫を追いかけてデリーにやって来て、同じく妻を追いかけてきたビバリーの暴力夫・トムにさらわれ、イットの巣窟に連れ込まれることになります。

前編で、ビバリーにこの役回りが割り振られたためか、トムとオードラは映画では冒頭だけの登場にとどまっています。

 

1989年9月

イットとの戦いを経て、荒れ地に集まったルーザーズ・クラブ。

ビバリーは死の光を通して、未来の自分たちを見たことを話します。

スタンが年をとった自分はどうだったか尋ねて、ビバリーは微妙な表情で「変わらなかった。背は伸びてたよ」と答えます。

この時、ビバリーは嘘をついてます。彼女はスタンがいなかったことを見たばかりか、スタンがバスタブで死ぬことも既にこの時に知ってしまっています。

 

ビバリーのビジョンをきっかけに、ビルが「大人になって、奴が死んでなかったら戻ってくる」ことを言い出します。

ガラス片で手のひらを切り、手をつないで、7人は「血の誓い」を交わします。

 

記憶についてのモノローグ。記憶は、本作の重要なテーマになっています。

”記憶は奇妙なものだ。人はいい思い出にすがる。大事な瞬間、大事な場所。覚えていたい相手。でも時々、忘れたいものがよみがえる”

祭りのあと

それから27年後。ということは2016年ということになりますね。

デリーでは、運河フェスティバルが開かれています。

運河フェスティバルは、原作によると、1884年に開通してデリーの木材産業を栄えさせた運河の開通100周年を祝うお祭りでした。

原作では、1984年の設定でしたからね。映画では2016年なので、原作と同じ100周年なら、映画版のデリーの運河が開通したのは1916年ということになります。

 

原作では、運河フェスティバルは7月15日から21日にかけて開かれています。エイドリアン・メロンが殺されるのはフェスティバルの最終日、21日です。

映画では、メロンが殺されるのは最終日ではありません。祭りはもうしばらく続き、ビルたちがイットと対決する日が最終日になります。

 

映画では、原作の過去と現在、1958年と1985年が、1989年と2016年に変更されています。

それによって、31年の時間差ができているわけですが、それだけの年月が経っていても、「田舎町でゲイのカップルが地元の若者にリンチされる」というプロットがそのまま通用してしまう…というのは皮肉な話ですね。

アメリカも、ちっとも進歩していない。トランプ政権下であることを考えると、むしろ後退しているとさえ思えます。

 

エイドリアン・メロンを演じているのは、カナダの映画監督グザヴィエ・ドラン。「たかが世界の終わり」でカンヌ映画祭グランプリ。異色のキャスティングです。

ドランは自ら同性愛者であることを公言していて、自らの作品に同性愛者の役で出演しています。

 

エイドリアン・メロンはピエロの口に水を撃ち込むウォーターシューターゲームで、最高点を出して賞品を獲得します。

その賞品のトナカイのぬいぐるみを、エイドリアンは少女にあげてしまいます。

顔に赤い痣のある少女ヴィクトリアは、後に再登場してきます。

エイドリアンのパートナーであるドン・ハガーティーが、ぬいぐるみの代わりにエイドリアンに帽子をプレゼントします。

「アイ♡デリー!」と書かれた、ビーバーの形の帽子です。

 

この帽子は原作でも「お祭りの景品の、バカっぽい帽子」ってことになってますが、映画ではビーバーの形をしてることでますますバカっぽさに磨きがかかってます。

ビーバーはデリーのマスコットみたいで、フェスティバルのパレードにもビーバーの着ぐるみが登場しています。ゆるキャラでしょうか?

 

キスするエイドリアンとドンに、「ホモ嫌悪症」の若者たちが絡みます。

いちばん若いクリス・アンウィンは原作ではいちばん暴行に消極的なんですが、映画ではむしろ彼が先陣を切ってますね。

リーダー格のジョン・“ウェビー”・ガートンと、もう二人のチンピラたち。原作では3人だけど、映画では4人いますね。

 

エイドリアンは、ウェビーの髪型がメグ・ライアンに似てるとからかいます。

メグ・ライアンは後にもう一度登場します。リッチーがゲームセンターでヘンリーに会うシーンで、壁に「ユー・ガット・メール」のポスターが貼られています。

 

殴り倒されたエイドリアンは吸入器を落とします。ドンは「彼は喘息だ」と言ってます。

これは原作にない要素ですね。喘息、吸入器と言えばエディです。やばい時でも減らず口が止まらないのはリッチーですね。

映画のエイドリアン・メロンは、エディとリッチーのキャラクターをわざと反映させてあるようです。

 

ウェビーたちはエイドリアンを運河に放り込み、逃げ出します。

映画ではそれきりですが、原作では彼らは逮捕され、エイドリアン殺害容疑で裁かれることになります。(警察は「ピエロの目撃談」を信じないので)

映画では逃げたっきりなんですが、ムスキエティ監督は「スーパーカット版」ではこいつらが「報いを受ける」と言ってるそうです。ほんまかいな。

 

エイドリアンを救い上げたペニーワイズは、ドン・ハガーティーの見守る前でエイドリアンに食いつきます。

ドンの絶叫の中、真っ赤な風船が運河を埋め尽くします。

そして子供達の声が聞こえてくる…。風船は、イットに殺されて「ふわふわ浮かんでいる」多くの子供達の象徴のような存在であるようです。

橋の下にぎっしり浮かぶ無数の赤い風船。きれいなシーンです。原作「イット」の幻想的な部分を見事に映像化してると思います。

カム・ホーム

デリー図書館で暮らしているマイク・ハンロンは、殺人事件発生の警察無線を傍受して、現場へ向かいます。

マイクが窓を覗くと、移動遊園地の明かりが見えますね。図書館は祭りの会場である公園に面して建っているようです。

 

現場に駆けつけたマイクは、橋の橋脚にペニーワイズが残したメッセージを見つけます。

“Come home Come home Come home”

「帰ってこい 帰ってこい 帰ってこい」

ルーザーズ・クラブの帰還を待ち望むペニーワイズの叫び。

 

原作では、エイドリアン殺害現場にこの文字はありません。

ジェリー・ベルウッドという少年が殺された現場写真として、この落書きが登場しています。中華レストランでの再会の時に、マイクがこの写真を皆に見せます。

 

ここで、「IT CHAPTER TWO」のタイトルが出ます。

6つの通話①ビル

ビル・デンブロウは作家になっていて、自作映画化の撮影現場であるワーナーブラザーズのスタジオにいます。

現在は、彼の本「ATTIC ROOM(屋根裏部屋)」の撮影中。主演はビルの妻である女優オードラです。ビルは脚本も担当しています。

オードラが血まみれの格好をしていることから、ビルの小説がホラー小説であり、映画がホラー映画であることが伝わります。

今夜クライマックスの撮影ですが、ビルはまだ結末の脚本を書き終えていません。

 

「ATTIC ROOM」の監督は、ビルの本の結末を気に入っていません。本はどうやらバッドエンドらしく、「結末は総スカンだ」と監督は言い、書き直すようビルに命じます。

オードラもどうやら同意見らしく、ビルは納得のいかない様子です。

この映画監督を演じているのは、ピーター・ボグダノヴィッチ「ラスト・ショー」(1971)「ペーパー・ムーン」(1973)などで知られる名匠です。

これまた意外な出演。ボグダノヴィッチは「ホラー映画は嫌い」だそうですが、「年とった監督の役なんてないよね?」と彼が言ったところ、ムスキエティが「それがあるんですよ!」と答えたことから、出演が決まったとか。

 

ビルはホラー小説の作家として成功しましたが、彼の作品はバッドエンドに終わることが多いようで、それは読者の間でも評価が分かれているようです。

オードラも、後にビバリーも、スティーブン・キングも(!)、結末はダメだと評していました。

ビルが小説の結末を暗いものにしてしまうのは、少年時代にジョージィを亡くした経験、イットとの対決の経験が影を落としているわけですが、ビル自身はそのことを覚えていません。

 

バッドエンドといえば、スティーブン・キングもその大家だったと言えます。

初期作品で言えば、「キャリー」「クージョ」「ペット・セマタリー」など、多くの作品がバッドエンドです。

「呪われた町」「シャイニング」「デッドゾーン」など、バッドエンドとは言えないまでも、悲しみをはらんだラストシーンに導かれる作品も多い…というか、ほとんどがそうであると言えます。

映画化でそこがネックになることも同じで。「クージョ」を映画化したルイス・ティーグ監督「クジョー」(1983)は、ハッピーエンドに改変されていました。

逆の例もあって、中編「霧」を映画化したフランク・ダラボン監督「ミスト」(2007)では、映画の方がバッドエンドに改変されていたりします。

 

マイクから、ビルに電話がかかってきます。

原作では携帯電話がない時代!だったので、マイクは家に電話するしかなかったのですが、ここではスマホにかかってきます。

携帯のおかげで、映画では自宅でなく、仕事場に電話がかかってくるシーンを作ることができている。ここは、時代を変更したおかげですね。

 

マイクの声と名前を聞いても、ビルは最初それが誰かわかりません。

しかし、次第にデリーとマイクのことを思い出します。デリーや、子供時代にイットと対決したことを、マイク以外の6人は忘れてしまっています。

「血の誓い」の手のひらの傷跡も、消えていました。今、それが手のひらに現れるのを、ビルは見つめます。

6つの通話②エディ

エディ・カスプブラクは車を運転中。妻マイラからの電話を受けています。

口うるさいマイラは、エディを心配して運転することにも口うるさく言います。愛情でエディを縛り付けるマイラは、かつてのエディの母ソニアのようです。

エディは、いわば自分の母親と結婚してしまっているわけですが、そのことを強調するように、前編でソニアを演じたモリー・アトキンソンがマイラも演じています。

 

エディはリスク分析の仕事をしています。原作では、エディはリムジン会社を経営していました。

子供時代からエディはずっと身の回りのリスクを分析し続けてきたようなもので、リスク分析という仕事は彼にぴったりと言えそうです。

 

マイクからの電話を受けて、エディは赤信号を無視し、事故を起こしてしまいます。

6つの通話③リッチー

いきなり吐いてるシーンから始まるリッチー・トージアのパート。リッチーがやたらとリアルなゲロを吐くシーンはこの後、もう一回出てきます。リッチーのゲロへのこだわりは謎です。

 

リッチーは人気のコメディアンになっています。これも原作とは違っていて、原作のリッチーはラジオのDJです。

リッチーを演じているのはビル・ヘイダーですが、彼はなんとなく若い頃のスティーヴン・キングに似ている気がします。

このビル・ヘイダーって人、実際にコメディアンでもあるんですが、声優の仕事も多いです。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」BB-8の声をやってるそうです。BB-8の声?

 

舞台に上がったリッチーは、リッチー・トラッシュマウスとかつてのあだ名を名乗ります。

「彼女の友達の写真でオナったらバレた」と昔通りの下ネタで沸かせますが、オチを忘れてブーイングを浴びます。

6つの通話④ベン

ベン・ハンスコム有名な建築家になっているんですが、シーンは「ハンスコム社」の会議から始まります。

会議で発言する人物が太っちょで、ん?この人がベン?って思わせるんですが、実はこの人もベン。

1990年のテレビドラマ版「イット」で、子供時代のベンを演じていたブランドン・クレーンという人です。ベンが育ったらこうなる、というルックスなのも当然ですね。

 

実際のベンは、スクリーン越しに参加しています。

豪邸で、MacBook Airに向かっているスマートなイケメンの人物。これが、大人になって猛烈に垢抜けてしまったベンでした。

わざわざかつてベンを演じた人まで呼んできて、ベンの変化をギャグに仕立ててますね。

ベンがダイエットした過程については、原作ではベンの口から語られています。

高校時代、フットボールチームのコーチに侮辱されたことから発奮して、ダイエットしてトラック競技のレースで優勝したエピソードが、中華レストランの会合で語られます。

 

ベンは、財布に入れたべバリーのサインを見ます。

これは、1989年の夏休みに入った日、ベンと初めて言葉を交わしたビバリーが書いてくれたサインですね。

転校生で友達が一人もいないベンのサイン帳は、ここに至るまでまだ真っ白でした。

そのべバリーの唯一のサインを、ベンはずっと財布に入れて27年間持ち歩くことになります。イットの作用で記憶は失っていたはずですが、それが大事なものであることだけは覚えていたわけです。

 

会議が行われていたビルは昼間でしたが、ベンの豪邸は夜になっていました。

これがどこであるかは明示されていないのですが、ヨーロッパなどの国外であるかもと思います。ベンは国際的に活躍する建築家になっています。

ちなみに、再会のときにマイクはエイドリアン・メロン殺しを「先週のこと」と言っているので、電話をかけているのはあれから数日後ということになります。

豪邸を見下ろす星空が、やがてジグゾーパズルのピースになって、シーンはスタンの家に移ります。

6つの通話⑤スタン

スタンリー・ユリスも豪邸に住んでいます。妻パトリシアとスタンが暮らす家は、原作ではアトランタにあります。映画ではほとんど説明されませんが、原作ではスタンは会計士として成功しています。

 

スタンは鳥の絵柄のジグゾーパズルをしていました。家には、他にも鳥の絵がたくさん飾られています。

これは、原作でのスタンの趣味がバードウォッチングであることに由来しています。

原作で、スタンは給水塔のある公園にバードウォッチングに出かけ、給水塔で溺れて死んだ子供たちに襲われます。スタンはいつも持ち歩いている鳥類図鑑に載っている鳥の名前を叫ぶことで、そいつらを撃退します。

(図鑑に載っている鳥は「確かにいる」けれど、死んでいるのに歩く子供たちなんてものは「いない」ということです。)

 

マイクからの電話を受けた後、スタンは風呂に入り、そこで手首を切って自殺してしまいます。

原作では、スタンの自殺は「6つの通話」の先頭、ジョージーの死とエイドリアン・メロンの死の次に位置していて、物語全体の恐ろしい導入という役割を果たしています。壁に血で書いた「IT」の文字とともに。

 

死に祭して、スタンが思い出したシーンがビジョンとして流れます。

血の誓いのシーン。怖がって躊躇するスタンに、ビルが何か言って、スタンはしぶしぶうなずきます。

スタンの手から流れ落ちる血のしずくは、やがてビバリーの頬に落ちて彼女の目を覚まさせます。

これは、前編でイットにさらわれ地下に連れ込まれたビバリーが、頬に落ちる血の雫で目を覚ますシーンと呼応しています。

6つの通話⑥ビバリー

ビバリー・マーシュ(ビバリー・ローガン)は、眠っているところを起こされ、慌てて荷造りを始めます。彼女の夫トム・ローガンがやってきて、最初は優しげに振舞いますが、じきに疑り深い暴力亭主の内面をあらわにして、ビバリーをベルトの鞭で服従させようとします。

 

エディが「母親と結婚している」のと同様に、ビバリーも「父親と結婚している」のだと言えます。彼女は、よりによって父親のような、人を独占し支配下に置こうとする男をパートナーに選んでしまっています。

これは、三つ子の魂百まで…ということではあるけれど、イットに伴う記憶喪失も関係してしまっているかもしれません。

ビバリーが父に抵抗したのはイットにさらわれた日なので、彼女は父の恐怖と自分がそれに抵抗したことを忘れてしまっているのかも。

 

ビバリーとトムも豪邸に住んでいます。ビバリーはデザイナーとして成功しています。ブランドは「ローガン=マーシュ」であり、夫の姓が先に書かれています。また、トムは「俺あってのお前だ」とビバリーに言い、彼女にそう思い込ませようとしています。

しかし、原作を読むと、実際に才能があるのはビバリーの方であって、トムはそれを利用しているだけだということがわかります。

 

ルーザーズ・クラブのうち、マイクを除く6人は、ある共通項を持っています。それはイットとの対決の後遺症のようなものです。

1つ目は、彼らは子供時代の記憶を失ってしまっているということ。ビルはジョージーのことすら忘れています。

2つ目は、彼らは全員経済的に成功して、金持ちになっているということ。

3つ目は、彼らの誰にも子供がいないということ。結婚していても、子供はできていません。

デリーから離れれば離れるほど、この作用が働くのだとマイクは言っています。デリーにとどまったマイクはすべてを覚えており、金持ちになるという恩恵にも預かれていません。

 

大雨の中、家を出たビバリーは、結婚指輪を玄関に置き捨てていきます。

映画ではトムの出番はここまでですが、原作では執念深くビバリーを追いかけてきます。ビバリーの親友の女性に大怪我を負わせて彼女の行き先を聞き出し、デリーまでやってくるのです。

精神を病んだトムはイットに操られ、ビルの妻オードラを連れて荒れ地の地下へと連れ込みますが、ビバリーたちが追いつく前に「死の光」を浴びて絶命してしまうことになります。

ヘンリー・バワーズ

ビバリーの足元で排水口に流れ込んだ雨の水は、地下下水道を流れ、やがて1989年のデリーの下水道のイメージにつながります。

水が流れ出し、多くの子どもたちの死骸が下水のトンネルから流れ出してきます。

これは、イットの巣窟だった給水塔で浮かんでいた子どもたちの死骸ですね。ビルがイットを撃退したことで、浮かんでいた子どもたちは地上に降りてきました。その後、水に流されて再び地上に現れたわけですね。

 

家に帰ってきたヘンリー・バワーズは、警官たちに迎えられます。ヘンリーは父を殺した罪で逮捕され、精神病院に送られることになります。

原作では、ヘンリーは父親殺しだけでなく、パトリック・ホックステッターやその他の子供たちの死にも嫌疑をかけられることになります。

イットによる一連の子供殺しは、ヘンリーをスケープゴートとすることで収まるのです。

 

ヘンリーはジャニパー・ヒルの精神病院にこの27年間収容されています。

この病院はキング世界ではおなじみの場所で、ドラマ「キャッスルロック」にも登場しています。

また、監視役の一人はジョン・クーンツという名前ですが、これは原作にも登場するキャラクターで、キングの盟友であるホラー作家ディーン・R・クーンツから名前をもらっています。

 

窓の外に現れた赤い風船を見て、ヘンリーは喜びのあまり興奮します。イットが戻ったと知ることは、他の者たちにとっては恐怖ですが、ヘンリーにとっては待ちわびたものになっています。

精神病院で、何の希望もない暮らしを27年も送っているのだから、無理もないですね。

 

ベッドの下の赤い風船が割れると、死んだパトリック・ホックステッターが現れます。

前編で、彼はヘンリーとともにベンを追いかけて下水道のトンネルに迷い込み、そこでゾンビたちに襲われペニーワイズに食らわれました。

パトリック・ホックステッターはヘンリーにナイフを手渡します。27年前に持っていたナイフです。

 

まだデリーに着いてもないけど、字数が膨れ上げってしまってます。

「その2」に続きます!