■日本大学・湘南キャンパス(私立・神奈川県藤沢市亀井野)

 

生物資源学部が単独使用するキャンパス。

 

 

元は農獣医学部という名前だったが、1996年にモダンな感じに改名した。

 

 

ふつうは農学部の中に獣医学科があるものだが、こういう名前になった背景には、数奇な歴史がある。

 

 

まず日大に1937年、専門部拓殖科が作られた。

 

その当時、「万年不況の狭い日本を飛び出し、広いアジアの大地で活躍しようぜ」というのが、就職戦線のブームとなっていた。

 

 

というわけで、日大も流行りの学部を新設したというわけだ。

 

ここが戦時中、農学部に名前を変えた。

 

 

一方、1907年設立の東京獣医学校が発展してできた東京獣医畜産大は戦後、経営困難に陥っていた。

 

獣医大学は有名な私立が3校あって、麻布大と日本獣医生命科学大、それからこの東京獣医畜産大だ。

 

 

獣医と獣医大には、戦前は陸軍が大量に保有する「軍馬」の診察と育成という国家的な任務があったが、戦後はそれがなくなった。

 

というわけで、業界すべてが大不況。日本獣医科生命科学大は日本医科大の傘下に入り、東京獣医畜産大は日大農学部と合併することになった。

 

 

というわけで、農獣医学部という、あまり聞かない学部名になったわけだ。

 

 

ちなみに、麻布大も経営危機に陥ったが、ここは何とか持ちこたえた。

 

 

いろいろ理由はあるのだが、日本獣医と東京獣医はともに源流は東京獣医学校で、ここは陸軍馬医学舎が母体となって作られた、まさに「軍馬」と密接な存在だった。

 

 

一方の麻布大は、あえて言えば東大系。戦前は「犬猫の麻布」と呼ばれ、いわゆるペットのお医者さんの育成に圧倒的な強みを持っていた。

 

戦前、ここの附属病院にペットを診察に連れていくことが、東京のセレブのたしなみだったという。

 

 

まあ、その辺が影響したというわけだ。

 

 

さてそのキャンパスは、入り口周りのぴかぴか現代建築。

 

おおむね類設計室。

 

 

奥に入ると、ちょっと年季が入ってくる。

 

農学部だからなのか、緑も豊富だ。

 

 

 

  交通メモ

 

日本大学(湘南キャンパス)

 

住所: 神奈川県藤沢市亀井野

 

新宿駅から小田急線で、約1時間。六会日大前駅からすでにキャンパスの威容が目に入る。徒歩5分ぐらいで到着だ。特段の学生街などはない。普通の住宅街だ。帰りは藤沢に出て、江の島や鎌倉を経由するのもいい。