■慶應大学・信濃町キャンパス(新宿区信濃町)
■さらに神宮外苑へ

JR信濃町駅を降りると、すぐ先に見えるのが慶應大医学部と付属病院だ。

私大医学部のトップ校にふさわしく、由緒ありげな建物が残っている。

 

 

広さも都心部にもかかわらず、病院込みで6、7万平米ぐらいはありそうだ。

 

神宮外苑も含めて、充実した散歩コースが組める。

 

さてこのキャンパス、公道が敷地内を貫通してキャンパスを東西に区切っている。

 

その西側エリアの公道に面する部分に、1937年落成の北里記念図書館がある。

 

 

 

東京美術学校卒の建築家、和田順顕の設計。

 

花崗岩張りの3連アーチの正面がわりと明るめの印象を与える。

 

そのお隣、予防医学教室校舎は、慶應御用達の曽根中條事務所。1932年落成。

 

 

 

 

何となくF・L・ライトっぽい感じもする、直線的デザインが印象的だ。

 

米ロックフェラー財団からの寄付金で作られたそうなので、アメリカっぽく?したのだろうか。それとも時代の流行か。

  

さて、そんなキャンパスを少し散策。

 

 

 

そしてキャンパス外へ出て、全景を一望。

 

 

キャンパス外周には、再開発ビルの信濃町レンガ館が壁代わりとなって鎮座している。清水建設による設計だ。

 

 

 

信濃町駅舎は、最高裁や拓殖大八王子キャンパスなどを手掛けた、岡田新一の手によるもの。

 

相変わらず要塞っぽい。

 

 

線路をまたいで、もう少しお散歩を。

 

神宮外苑の聖徳記念絵画館へ。

 

大蔵省臨時建築部技手・小林正紹の案を元に、佐野利器や高橋貞太郎が設計した。1926年、大正15年の落成だ。

 

 

両翼112メートル、高さ34メートルの巨大な宮殿的な建物。

 

その前には、広大な広場があって、ざっくり150メートルの距離を間に置いて、絵画館を鑑賞することが出来る。

 

それぐらいの距離を置いてようやく、建物の全貌をひと目に収め、落ち着いて鑑賞することが出来る。

 

視線を動かさず、建物の全景を視野に収めることが出来る。

 

宮殿建築というのは、その前に巨大な広場を置かなくてはならない。

 

われら臣民は遠くから恭しく、その巨大なフォルムを拝観せねばならぬ。

 

と、いうことを教えてくれる。

 

さらに進んで、隈研吾の新国立競技場。

 

 

 

こちらは小型設計を旨としたにもかかわらず、350×260×47メートル。

 

聖徳絵画館の3倍以上の横幅だ。

 

であれば、聖徳の3倍サイズの広場を前面に置くのが筋という物であるが、東京にそんな土地はない。

 

となれば、全景ではなく、部分部分を味わうことにならざるを得ないだろう。

 

したがって、フォルムよりディテールにこだわってきたという隈研吾の起用は、その限りで正しかったのかもしれない。

 

ということを、ふと考えました。

 

ついでながら、木材を使うことで環境に溶け込むとか、和風になるとか、そういうことを言う人も少なくないけれど、対面にそびえる三井ガーデンホテルをみていると、そういう問題じゃないということが、よくわかる。

 

 

 

木材でも十分に「威張った建築」になる、と思う。

 

そのとなりのスケートリンク。涼やかなガラス。地面とガラス面の色彩を、スムーズにつなぐタイル。

 

 

 

それはそうと、最近はカラフルなマンションが増えたなあ。