【韓国映画】 三姉妹  3女優の素晴らしさ | ROUTE8787 サンサクキロク

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三姉妹 / 韓国

2020年製作 ☆☆☆☆ DVDレンタル

2023年77本目(韓国映画55)

韓国・ソウルに暮らす三姉妹。

長女ヒスクは別れた夫の借金を返しながら、しがない花屋を営んでいる。

一人娘には疎まれ相手にされなくても“大丈夫なフリ”をして日々をやり過ごす。

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次女ミヨンは熱心に教会に通い聖歌隊の指揮者も務める模範的な信徒。高級マンションに暮らし“完璧に”家庭でも振舞うが、そんな日常は次第にほころびを見せ始める。

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三女ミオクは劇作家としてスランプに陥り自暴自棄となって昼夜問わず酒浸りの日々を送り、夫の連れ子である息子の保護者面談に“酔っていないフリ”で乗り込む始末。

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性格、仕事、生活スタイル、全てが異なる

人生を送る彼女たちは、父親の誕生日を祝うために久しぶりに一堂に会し、

蓋をしていた幼少期の心の傷と向き合うことになる—。

 

 いや~・・・・傑作やと思いますね。

ちょっと、観終わった後は、放心状態という感じ。

ジャケットからは程遠いほど、重い作品なので注意が必要。

 しかし、女優さん3人の演技が、かなり良いんですよ。

キム・ソニョン様は個人的に好きな女優さんなんだけど、

けっこうキャラ優先の役が多かったりして、常日頃勿体ないな・・・と

思っていたので、この作品で、彼女の演技を堪能出来た事は、

非常に嬉しい事だった。

 

でも、それ以上に、度肝を抜かれたのは、ムン・ソリ様でした。

あの冷ややかな感じね~・

ゾクゾクする~・・・・

 

そして、トップモデルとは思えない変身ぶりのチャン・ユンジュ様も、

素晴らしかった。

 

姉妹それぞれの苦境を見て、

こんな姉妹おるん??と、ちょっとやりすぎやろ??って

違和感を覚えるんですよ。

でも、それが最後に見事に符合が合うんですよね。

 そして、3人の女優さんたちの演技の凄さに、

思わずため息が出ます。

 

以下、ネタバレです

本当にね。中盤まで、なんでこの3姉妹は、それぞれ、

こんなに不幸なんや・・・てちょっと、イライラしたりするんです。

 でも、作品の大部分を費やした苦しく重い部分が、

終盤、すべてカチッとはまるんですよね。

 

・長女と長男の絆は、父親からの暴力を共に受けていた事によるものだった。

長女は、今なお長男を守ろうとしている。

 

・次女と三女の絆は、長女と弟を父親の暴力から守り切れなかったという

共通の想いがある。

 

・長女の自己肯定感の低さや、自傷行為は、父親からの暴力による所が大きい。

何でもすぐ謝るクセ 常に何かに怯えている。

 

・次女の宗教への没頭は、

姉と弟を守れなかったという気持ちによるところが大きいと思う。

常に正しくありたい・・・という気持ち。

 けれど、父親の血を1番感じるように、その暴力性を潜ませる。

 そんな自分が恐ろしくて、ますます宗教にのめり込んでいく。

 

・三女は、子連れの夫が、息子を殴っているのを見て、

「子供を殴るな」と止めに入る。

 姉と弟が受けた暴力を見てきたせい。

 

・・・・暴力を受けたり、見てきた人間が、

こう漠然とトラウマになっている・・という作品を観た事はあるが、

ここまでリアルに、その影響を題材にした作品は、

そんなに無いんじゃないかな??と思う。

 

 前半部分で、あまりに問題を抱えた3姉妹が、

苦悩しながら生きてきたんだと思うと、胸が痛くなるし、

父親の罪は、深いと思う。

 それぞれの苦悩に蓋をしてきたけれど、

それを開けてしまった以上、剥き出しの感情は、

ぶつかり合うしかない。

 

 互いに蓋をしてきたせいで、距離があるように感じるし、

生活環境も違うから、ほんとに姉妹なの??と違和感を抱く。

でも

感情をさらけだしてからは、

もう、姉妹にしか見えない不思議さ。

互いに思いやってきたのが、凄く分かる。

 そこに、家族の面白さや不思議さがあるように思えた。

 

抑圧されて生きてきたであろう弟が、半分ヤケで、

尿をまき散らし、全てを吐き出した後の、

病院で彼を取り囲む姉たちが、最高だった。

 不器用に、弟を抱き締める長女に、胸がジーンとした。

 

すべてが好転するワケではないけれど。

姉妹に戻った3人は、支えながら生きていくような気がする。

最後の海のシーンは、本当に美しい。

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個人的には、次女のムン・ソリ様の、

浮気旦那への一言が、最高にゾクゾクしました。

 

「離婚にも能力がいるの。この浮気野郎」

 

このシーン観るだけでも、この作品観た意味がある・・・とさえ思うほど、

本当に名場面だったと思います。

 

「8月の家族たち」を思い出しました。

家族なんて、こんなものよ・・・と言うジュリアロバーツ。

「家族はこんなもの」という諦めがあるという事が、

「愛」そのもの。