ブエノスアイレス / 香港
1997年製作 98分 NETFLIX
2026年41本目 ☆4.8
アルゼンチンの旅でイグアスの滝にたどり着けず、金を使い果たしたゲイ・カップル。求め合いながらもすれ違っていく二人。そして新たな出会いと予感。1997年香港返還を目前にした空気感の中、同じくイギリスとの領土問題で揺れた歴史をもつアルゼンチン、ブエノスアイレスを舞台にした愛と自由に関する物語。
こちらも良かったです。
昔、観た時は、
なんか凄く悲しい話だと思ったんですが、
今回、観てみると、全然悲しくなかった。
むしろ、めっちゃ前向きな感じでした。
やっぱり、映画って、その時の年齢や環境で、
とらえ方が変わるんだな~と思いました。
自由人であるウィンと、
どちらかといえば真面目な
ファイのゲイカップルは、
何度も衝突し、別れては、
自由人ウィンの「やりなおそう」という言葉で、
よりをもどしていた。
2人は、アルゼンチンへ旅行したものの、
案の定喧嘩別れ。
旅費もウィンが使い果たしてしまい、
香港に帰れなくなってしまった。
ファイはブエノスアイレスのお店で働いていたが、ある日、その店に、
別の男性といちゃつきながら
入ってくるウィンを見つける。
ファイは、ウィンを冷たくあしらおうとするが、
両手に大けがをしたウィンを、結局は受け入れ、
甲斐甲斐しく世話をするウチに、
再びヨリを戻すのだった。
しかし、ウィンはケガが治ると、
家にいる時間が少なくなり、
ウィンを束縛したいファイと衝突するのだった。
ファイのパスポートを
隠してしまったファイに激怒し、
2人は再び、別れる事になる。
自暴自棄になったファイだったが、
職場仲間のチャンとの交流が、
彼を慰めてくれた。
チャイは、ブエノスアイレスを去り、
ウスワイヤという世界の果てにいくという。
そこでは、すべての悩みを
捨てられるという言い伝えがあった。
チャンは、ファイに悩みを録音したら、
そこで捨ててくると言った。
ファイは、録音しようとしながら、
ウィンを想い涙を流した。
何度もウィンの「やり直そう」
という言葉を拒否できなかったファイは、
再会する事を恐れ、香港へと帰る事を決意する。
ファイの元へ戻ってきたウィンは、
ファイがもういない事を知って、
ショックを受ける。
ファイが自分にしてくれたように、
一緒に住んできたアパートを掃除し、
タバコを並べた。
チャンは、ウスワイヤの地で、
ファイの録音を聴こうとしたが、
何も録音されていなかった。
聞こえたのは、すすり泣く声だけだった。
香港にもどったファイは、とある屋台の店に、
チャンがうつっているウスワイヤでの写真が
飾ってあるのを見つけた。
「会おうと思えば、いつでも会えるのだ」
ファイは、そんな風に思った。
1番始めに、大胆な塗れ場があるくらいかな・・・
でも、ブエノスアイレスの狭いアパートで、
男2人がひっつくように生活している場面は、
非常に暑苦しくて、何だか、官能的である。
というか、レスリーチャンそのものが、
魅惑的で官能的。
若い時には分からなかった
レスリーチャンの魅力に気付いてしまった・・・・
昔は、マジでウィン、
むかつくぜ~なんて思ったけど、
改めてみると、ファイも相当重い男やな・・・
って思うわ。
だって、「ケガが治って欲しくない、
今が幸せだから」
って思っちゃうくらいだもんね。
めっちゃ、尽くしてるし。
タバコですら買いにいかせたくないからと、
ストック並べてるしね。
要は、ウィンにゾッコンなんだよね・・・
いつも傷つけられるから、別れたいのに・・・
結局、「やりなおそう」って言われると、
懲りもせず、
彼に尽くしてしまうんだろうね~。
けれど、そんな関係に、終止符を打ったワケです。
その喪失感から抜け出せていなかったファイが、
チャンの写真を見つけた事で、
「会いたい人には、また会えるのだ」と、
少し前向きに捉え、
その想いは、彼に少しの余裕を与えたように思う。
会ってしまうと、
昔の関係に戻ってしまうという恐怖
だから、会えない。
会いたいのに、会えない・・・という喪失感。
心の底に流れる、ファイへの愛情を、
自分自身が拒絶する苦しみから、
彼は、そっと脱力する事を学んだ。
いつかは会える
その自然の摂理を、身をもって感じた時、
ファイは、ウィンとの関係性に
初めて余裕を持つ事が出来た。
失いたくない・・・という想いは、
束縛と焦燥を生んでいた。
その気持ちを手放した事で、
ファイはウィンへの愛情を認めながらも、
失う事への過剰な恐怖から、
解き放たれたんじゃないだろうか。
いつかは会える。
その時には、自由を愛する彼をも
愛せるような気がした。
そして、ファイの存在の大事さに
気付いたウィンもまた、
自由を遮る束縛に、深い愛情を見つけた。
再会した2人は、きっと、
今までとは違う成熟した関係性に
なっていることだろう。
そのいつかを想像して、
ウィンの足取りは、少し軽くなった。





