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認知症の義母と嫁の私

認知症の義母との話つづります



今日は、私と次女の受診日。

朝9時から病院に。

私はいつもと同じ。

嫌な事は回避するように…
休める時は休むように…

いつもと変わらぬ大変な薬の量。

って恥ずかしい位。

次女の妊婦検診は順調で早くも出産時の入院の予約をとる。

できたばかりの新しい命も次女のお腹の中で生きている。

大切な小さい命だ。

今日はお天気も悪くお昼から雨がパラパラしだした。
こういう天気の時は大体義母も不安でいっぱいになる。

でもこれから梅雨。

この時期は普通の人でも体調を壊しそうな時期である。

皆様お身体には気をつけて下さいヽ(^^)


今日は義理姉からの電話で昨日の残りのチキンライスしかない!って言っていたらしい。

しかもチキンライスは余り好きではないらしい。

義母は光ちゃんには言わなくていいよ。

気を使うから。って義理姉に言ったらしい。

「お母さん。」

「電話が何かおかしい。何でか知らんけどかけれんのんじゃー。」

「大丈夫。電話は叉元に戻るから心配せんでいいよ。」

「心配せんといけんのは口座かー。」

「銀行も心配せんでいいよ。ちゃんと手続きしてあるから。」

「本当出せれる?お金。」

「出せれるようになるからもうちょっと待ってな。」
「印鑑がないけど○○(長男)が持っとる印鑑でえん?」
「ええよ。出せれるよ。」

「印鑑違うから出せれんのんじゃないん?」

「印鑑変えるから大丈夫。」
「その印鑑ずっと使わせて貰ったらえんじゃな。」

「うん。」

ここで嘘をついた。

毎回の事だが嘘をつく。

「面倒かけたな。」

「そんなんお母さんパニックの時にしたからわからんよー。私でも同じじゃから。」

「そうかなー。」

「そうよ。パニックの時にしたのは覚えてないから。お母さんだけじゃないよ。」

「で、通帳はどうなるん?」
「再発行するよ。」

「ふーん。わかった。これ頼める?」

「うん。ビゲンな。」

「番号わかる?」

「6Gじゃろー。」

「そうそう。」

「じゃーお母さん叉明日来るからな。」

「うん。有り難う。」

今日はお金と電話の話でばかりだった。

こんな日もあるだろぅ。

でも義母は落ち着いて話していた。


今日、義母の家に行った時たまたま義理姉と電話で話していた義母。

ご飯を食べる用意をしていた。

今日はチキンライスを食べていた。

「沢山あるからいっぺんに食べれんわー。」

「食べれるだけ食べたらいいよ。」

「これ、光ちゃんが持って来てくれたんよなー?」

「うん。そう。」

義母はゆっくりと食べていた。

「車の調子悪いん?」

「うん。あの車と同じ年式の形の車ってあんなのが多いんだって。」

私は義母の家に来るのに運転が出来ない。

手首が曲がらないからだ。
直進ならまだ大丈夫だが。
義母は耳が凄く敏感になっている。

少しの小さい音でも聞こえる。

食べ終わるまでずっと待っていた。

薬を飲んで貰った。

余り会話がないままだった。

だが、ご機嫌が悪いわけでもない。

私が体調不良だからか?

義母の気分ムラではないような気がする。

「お母さん。入れ歯の具合わるい?」

「歯は大丈夫だけど鼻の皮がむげるんよ。」

「洗顔して何かつけてない?」

「うん。つけてない。」

「乾燥するからなー。お母さんは何でもあう?」

「クリームあるけどつけんだけ。」

「つけたら少し落ちつくよ。」

「そうじゃなー。どっかにあるわ。」

やはり女である。

「私よりお母さん女よなー。」

「何で?気にするから?」

「うん。私は余り気にしないから。」

「リウマチじゃから?」

覚えていてくれてる。

「ずーっと痛い?」

「うん。左は手首が動かんし、肘も伸びんしなー。」
「リウマチは足だけかと思ようたけど手もなるんじゃなー。どこが悪くてもいけんなー。」

「うん。痛いの嫌じゃわ。」
と今日はそんな話をした。

どこにでもあるような会話。

大事にしたい会話。
 
 
今日は誰か来客がいたようだ。
 
義理姉の電話をすぐにきった義母。
 
よそよそしく丁寧に電話を切ったから後から面倒な事にならないか気にしていた義理姉。
 
だが、私はもう義母が誰を呼んで話をしていてもさほど気にならなかった。
 
多分これは、免疫がついたのかも…
 
「お母さん。」
 
「はい。」
 
今日は自ら洗い物をしてくれたのでそのままにしておいた。
 
「叉絵描こうか。」
 
認知症の義母と嫁の私-20110522214859.jpg
義母は赤いお花を描きました。
 
いつもながらやはり上手い。
 
「お母さん。やっぱり絵上手いよなー。」
 
「いやー。私は絵は苦手じゃ。」
 
「今日お昼誰か来た?」
 
「あー。誰か電話してきたんよ。大した用事じゃないんじゃろー。」
 
「ふーん。」
 
後は突っ込まない。納得するしかないがおかしい…
 
義母の家の電話はキャッチではないからだ。
 
「カーネーションも暑くなったら持たないなー。」
 
「うん。そうじゃなー。」
 
多分お水をあげるのも忘れているんだろぅ。
 
「お水やったないからじゃ。ちょっとやろうか。」
 
あら、以心伝心したのか?
「あー!お母さん。サバ缶カービーがきとるよー。」
「わかった。もう捨てる。」
「今日はバーバサンとこ行った?」
 
「いかんよー。」
 
「明日はバーバサンお仕事(ディケアー)やすみじゃん」
 
「そうかなー。」
 
お仏壇のご飯とお茶をさげて洗い出した。
 
ごくごく普通の義母の姿。
これが毎日だと義母も楽に過ごせるのに…ふと思った。
 
いかん…いかん…現実を見ないと…って自分にいい聞かせる私がいる。
 
「あら?薬飲んだがなー。」
「飲んだよ。」
 
「何がどうなっとるかさっぱりわからん。口座がどこでとまっとんかなー?」
 
「再発行したら終わりだわ。大丈夫。○○(長男)が行くから。」
 
でいつもの話に戻った。
 
でも比較的穏やかな顔をしていた。


義理姉からの電話で夕方今までパートに行っている間の一時間位義母にも、バーバサンにも連絡がとれないと電話があった。

途中家の電話がなったので多分義母だろぅと思うけどって義理姉に伝えた。

「お母さん。」

あら。寝ている。

取りあえず洗い物をして薬の準備をして起こした。

「お母さん。おかーさん。」
「はい。」

「眠いなら薬持ってくるから待って。」

薬を義母の部屋まで持っていき飲んで貰った。

「そのまま寝とき。叉明日来るから。」

今日は寝さしてあげる事にした。

が多分こんな時間に寝てると夜中に目が覚めるんだろぅなー。

できっと叉お金のない不安に怖がりながらイライラするんだろぅなー。

と思いながら私は病院に向かった。

あんなに繊細な絵を描く義母。

相談にもきちんと返事を返してくれる義母。

でも、義母は攻撃型認知症であり、不安症を持っている。

現実は甘くない。

でも負けない。

私にも義母にも明日はあるから。