ことばでネジを巻き上げる
Amebaでブログを始めよう!
1 | 2 | 3 | 4 | 最初次のページへ >>

82

かなしみが視界いっぱいに広がって迫ってくるみたいな、深すぎる青色。
手を伸ばしても届かない。

83

静かで暗い、ひんやりした広いロビーに
心臓だけコロン、と置かれているような、冷たさ。
体だけここにあって温まらない。
靴音がして誰かがやってきて、取り上げて持っていく。

84

かなしみで染めたような空の色。
吸い込んだら肺も染まってしまいそうだから、息を詰める。
でもそれは目の裏から入り込んで、白目がうっすらと青みを帯びるのだ。

85

まぶたの裏側にいるみたいな、半分半分の現実感と虚無感。
やわらかく、パタパタと暗闇が落ちてくるたびに転がりこみそうになる。
合間にちらつく日常に耳が重くなるんだ。
影と変わりたい、地面をずっとはいずって。

86

よそよそしい顔をして枝をはる木々の森のなかで、わたしもやっぱりよそよそしい顔をして立ち尽くしている。
迷い込んだ旅人には気づかないフリで、そしていつかその中を自分も彷徨う。

他人が嫌いなわけじゃない。
自分が好きじゃないから凍えた眼しか持てない。
1 | 2 | 3 | 4 | 最初次のページへ >>