ことばでネジを巻き上げる -4ページ目
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自分ひとりで価値を与え続けるのはむつかしい。
気がつけば見失って、惰性さえ亡くしちゃって、息をするのも嫌悪感。
余り駒は棄てたってわかんないの。
これはパートナーを見つけた人から抜け出せるゲームなの。

わたしはどこにいるんだろう。

98

無感覚の雨に降り籠められて、なにもかもが遠い。
何を聴いても、読んでも、水の音に掻き消されて届かない。
瞬きをするたびに転がりこむたくさんの夢のひとつなの

99

額に入れた肖像だけを抱えて生きるには、世界は広すぎる。
私は見つけなくてはいけない。

100

輪郭がぼやけて、確かだったものがその強さを失い始め、何もかもが色彩もおうとつも欠いて見える。何もない。消えたのは光?
待っていても仕方がないからと歩こうとした足は痺れて動かなかった。
そこにあると思い込んでいた手は違う温もりをいつくしんでいた。
自分が溶け出しているように、他人とわたしの区別がつかない。
雨が降っている。
滲んで、どんどんあいまいになってゆくのだ。
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