2022.9.4. 記事もくじを追加、タイプミス修正
どうもこんにちは。
もうすぐPS版Inscryptionが世に出ますね!
コントローラーがしゃべるなどなどの要素が加わるそうですが、私はPSを所持していないので歯噛みして見ています……。
はい。
「ロア上考えあぐねたもの」シリーズが始まってしまいました。
演出等のメタ的な理由の説明は可能なものの、ロア的に合理的な説明が私には考えきれなかったものを取り上げていきます。
それでもやっぱりネタバレ注意!!
今回はThe Hexの微ネタバレを含みます。
考察ネタお題箱
https://odaibako.net/u/m0ch1m0ch1Ak1ta
各種もくじ
表記について
目次
▶︎なぜホログラムの姿なのか
▶︎ホロ皮ギミックの存在理由
▶︎おまけ:オコジョとショップ
今回から始まる「Inscryptionでロア上考えあぐねたもの」シリーズ、
第一回は#29のつづきでホロ商人について特定しきれないことです。
本当は初回にふさわしいのはメルターだと考えていたのですが、流れ上このような形に。
ともあれ進めてまいりましょう。
なぜホログラムの姿なのか
ロア上の理由が特定し切れないこと……は当然たくさんあるのですが、今回は2つ考えます。
一つ目はホログラム状の姿である理由です。
Act3の3D世界では木彫り師と商人がホログラムの姿で現れます。
逆に言うと、この二人以外はホログラムの姿をしている人物や物は3D世界に登場しません。
ホログラム状のものは基本的にカードゲーム世界=ホロ世界でしか見ることができないのです。
P03は商人の存在を認識していますが、P03が自分から商人を自分の3D世界に呼び出したとは考えにくいです。
ホロ皮をショップで購入すると「あんなの役立たずののゴミさ! 商人に渡したらわかる。」と発言することからP03は商人の取引内容は無益だと捉えていることがわかりますし、
だとするとわざわざ自らの3D世界に呼び出す理由がありません。
ホロ商人はタロットカードが品切れになった後に話しかけると、
”WE WILL REMAIN HERE FOR NOW.
WE DON'T IMAGINE THINGS WILL STAY THE SAME FOR LONG.“
(日本語版未確認。「今のところはここに留まるよ。この状態が長続きするとは思えない。」くらいの意味)
と言います。
下線部のWILLは単純未来(〜するだろう)と捉えられなくもないですが、
この状態(=P03の支配)は長続きしないと思っている→だから今のところはここに留まることにしよう、
という意思未来の方がしっくりきます。
だとすると商人は自分の意思で去ることも可能だということになり、
本人が望んでここにいるのだという解釈になります。
したがって、考え方としては商人がP03の3D世界に出現することを望んで、
P03がそれを容認しているということになります。
また、商人と同じく3D世界に登場するホロ木彫り師が会話もなく※現れては消えていくことを考えると、
憶測になりますが木彫り師も勝手に出現しているものと思われます。
※ブログを書き始めたころから「ホロ木彫り師にセリフがある」という話を追いかけ続けていたのですが、どんなに検索しても出てこないこと、周回してもセリフがないことから当該情報の追究は断念しました。
なお、Act3でホロ木彫り師が登場する条件は「精錬場をアンロック(ピースを回収)」かつ「レシーエリアにいる」のようです。
しかし、勝手に出現していることとホログラム状の姿をしていることは、繋がりそうでうまくつながりません。
スクライブ以外で唯一3D世界に実体を持って現れ、
自分の意思で行動するスライムについては「OLD_DATAを獲得した褒賞」と説明することができました(#18,23参照)。
が、商人はホログラムの姿です。
仮説として、
「勝手に出現しているのでテクスチャを貼られていない」
「ホロ世界と3D世界が混在する形になっている」
というものを検討しましたが、
やはり材料が不足していてきれいに説明することはできません。
そのため無理に考えることはせず、潔く「特定できないこと」に分類します。
で。
ロア的には合理的に説明ができないのですが、前作The Hexでも同様にホログラムの姿で現れたり、5枚のタロットカードで情報を教えてくれるキャラクターがいるので、
メタ的にはそれを意識したセルフオマージュ的演出なのではないか……とは思います。
そしてThe HexではInscryptionよりさらに唐突な登場で、
The Hexでロア上説明ができないので、Inscryptionへの援用もできないという詰みの状況でもあります。
メタ的な話をすれば、ホログラムを用いることで「本来いるべきでないもの」「普通の世界と一線を画した存在」という演出にもなります。
Act2で全ての神殿にそれぞれ商人がいるのも、Act3で皮とタロットカードのギミックを自然に見せるためなのでしょう。
ホロ皮ギミックの存在理由
ロア上の理由を特定しきれないことの2つめはホロ皮・罠ギミックの存在です。
ホロ商人は「皮を持ってきたか?」と述べ、未所持の場合に「ホロ皮を持っていないか…。」と発言します。
ここから、このP03の世界で入手できる皮はホロ皮のみであることと、
皮で取引を行う商人の行動原理が変わっていないことが伺えます。
しかし、そもそもなぜホロ皮なんてものが存在するのか?
#29で触れた通り、ホロ商人はホロ皮がホロ世界にあることを、learn,「知った」というニュアンスの言い方をしています(WE HAVE LEARNED THEY EXIST WITHIN THE HOLO WORLD.)。
さらにこの発言に続けて、”PERHAPS YOU MAY FIND THEM THERE.”(日本語版は「そこ(ホロ世界)で探したらどうだ」ですが、「そこでなら見つかるかもしれない」という感じ)と述べており、
perhapsやmayから確信の度合いがかなり低めであることがうかがえます。
元々求めていたのがホロ皮なのか、この世界で手に入る皮がホロ皮だけなのでホロ皮を求めることにしたのかは不明です。
が、当初はホロ世界にホロ皮があることを知らず、今も確信があまりないというのは考える上で一つのポイントになります。
可能性としては、
①元々ホロ皮がデータとして存在していて、商人は場所だけ知らなかった
②元々ホロ皮はデータとして存在していたが、商人はホロ皮の存在自体知らなかった
③本来ホロ皮は存在しなかったところ、商人以外の存在がホロ皮を用意した
の3つが考えられるかと思います。
実際のホロ世界では、中央ボットピアのショップで1枚売られているほか、
各地の隠しマップにあるトラバサミとウサギのギミックを作動させることで4枚手に入れることができます。
ここで、P03の「役立たずのゴミ」発言から、P03はわざわざゴミを各所に配置していることになります。
①②の立場ならP03は商人のためにホロ皮を削除せず取っておいていることになります。
③についてですが、順当に考えればホロ皮を用意したのはホロ世界を用意したP03ということになります。
いずれにしてもP03が商人に温情があるように見受けられますが、
そうするだけのロア上の理由を説明することができません。
ホロ皮・罠ギミックの存在そのものの説明については、
①②では「Act2の獣の神殿に存在していたギミックがホロ世界に反映された」、
①ではさらに「ホロ皮を用意したのは商人(罠猟師)本人」という仮説が考えられます。
が、こちらも説明が難しいため、ここで切り上げることにします。
メタ的には、
①ホロ皮の存在
②この世界に商人がいて、ホロ皮で取引ができること
の2つをプレイヤーに教えるためのものなのだろうな、とは思っています。
おまけ:オコジョとショップ
で。
「P03が商人に温情があるように見受けられ」る件について気にかかるのは、不シギ打倒後に中央ボットピアのショップに出現するオコジョの写真です。
アーカイビストがルークのログファイルを掘り出したのはP03の意思ではないようですし(初めてログファイルを見つけた時のセリフより)、
これは恐らく不シギの仕業でしょう。
しかし、なぜショップに、Act1でのP03を連想させるオコジョの写真を配置したのか?
P03がオコジョにされたことを非常に嫌がっていた(「この顔をじーっくり見るんだ。もう二度と見れなくなるからさ。」「老いぼれの獣め。もう二度とお前のオコジョにはならないぞ」、いずれもAct2より)ことを考えても、わざわざオコジョの写真を出すのは妙に思われます。