Inscryptionのストーリーを考察したい#30 仮説:邪魔者を消したのは誰か | 書いたり、書かなかったり

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どうもこんにちは。
アーミン(冬毛のオコジョ)の毛皮についているあの黒いのってなんだろう? と思っていたんですが、あれしっぽ(の先端)なんですね。
あの黒い部分の数だけアーミンを使っている=どれくらいゴージャスかが一目で分かるということなんでしょうか。こわ……
 
今日は考えあぐねたものシリーズではなく普通のストーリー考察になります。
ネタバレ注意!
 
 
 
 










 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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表記について




 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


目次
 
▶︎とりわけ気をつけるべきは
▶︎容疑者を考える
▶︎動機からのアプローチ
 


 
 
 
 
今回はまたちょっと突飛な仮説を立ててみよう、
ということで「Act2でマグニフィカスを消したのは誰か」を考えます。

 
 
問題のシーンはAct2のマグニフィカス戦後。
マグニフィカスが「とりわけ君が気をつけるべきは(You must be especially aware of)と言いかけたところで恒例のバグ表現が入り、消されてしまいます。

 

 

 

伝えようとしていたのはP03の「大いなる超越」についてだと考えられます。

机の上のグリモラ宛ての手紙はもちろんですが、
バトル前の「いいや、君は絵筆だ。画家が恐ろしいほどの腕前で君を動かしている。」という発言はP03が大いなる超越のためにプレイヤーを道具として使おうとしていることの隠喩と捉えられます。
 
しかしこの話を詳しくするためにはルールとしてきちんとバトルを済ませなければならなかった……というのが#27で書いた立場です。
 
 
 
大いなる超越への警告をしようとして消されたのなら消したのはP03と考えるのが自然なのですが、一筋縄ではいきません
ドレッジャーが「たんまり報酬がもらえる」もの=OLD_DATAを引き揚げるより前でも、やはりマグニフィカスは消されてしまうからです。
 
では、消したのは誰なのか?
 
 
 
 
前提として、「マグニフィカスはデータへの介入によって消された」と考えます。
バビビッというInscryption(というかDaniel Mullins作品)恒例のバグ表現の整理をすると、
 
Act1
  • 「女帝」タロット、フォトグラファーのカメラ消去時
  • バグカードのドロー時
  • (「あまりにも早すぎるぞ」発生時)
Act2
  • 「奇妙なちらつく鍵」出現時
  • マグニフィカス消滅時
  • 最終決戦でP03以外のスクライブ消滅時
  • Act3への移行時
Act3
  • 「他のスクライブの残したゴミ」出現時
  • アーカイビストによるアクセス権要求時
Act1・3
  • 「デッキ編集」「ニューゲーム」選択時
 
と、ざっくり「本来起きるはずのないゲームの挙動が発生した時」にバグ表現が起きる傾向があります。
今回はこの傾向から、バグ表現により消えた=起きるはずのない挙動(データへの介入)がなされた、と考えます。
 
 
で。
「誰が消したのか」について、
 
①P03が消した
②OLD_DATA(または悪魔本人)が消した
③①②以外でデータへの介入可能な人物が消した
 
に分けて考えます。
 
 
 
①P03が消した
 
この場合、P03はドレッジャーがOLD_DATAを引き揚げるより前からデータに介入する力を持っていることになります。
しかし、これは否定するのも肯定するのも難しいです。
 
もともとデータに介入する力があった場合、なぜここ以外では行使しなかったのか、というのが問題になります

Act3の最後に「スタート地点へ戻」るよう指示したのと同じように、P03はよりドラマチックな演出のため、元からAct2の最終決戦の場を「世界の掌握」に使いたかったのだろうと推測されます。

そのためAct2ではできる限り介入をしない方針でいた……と考えることはできます。
 

 

some ​big plays to makeは世界の掌握のことか、大いなる超越のことか……?

 

 
、データに介入する力はOLD_DATA以外では考えにくく、ドレッジャーが引き揚げて始めて行使できると考えるのが自然ということ、またP03以外の人物が消したという立場の方が面白いということもあり、
今回は別の立場を取ってみます。
 
 
 
②OLD_DATA(または悪魔本人)が消した
 
データ介入の力の源であるOLD_DATAや悪魔が消した、という考えです。
 

動機面では「大いなる超越が悪魔にとって都合がいい」というのが挙げられます。

カーネフェルコードの実行にせよ、#26で書いたような混沌志向にせよ、OLD_DATAを含む「Inscryption」が拡散されるのは歓迎なはず。
それを警告して邪魔をするマグニフィカスを消す十分な理由になります。
 

しかし、動機面では十分でも、挙動としては不自然です。
一番分かりやすいのは「3スクライブの『大いなる超越』の妨害を止めなかったこと」です※。
OLD_DATAそのものや悪魔本人と言った強い力を持っているのであればマグニフィカスを消したような介入が可能だったはずが、それを行わなかった点はどうしても弱いです。


最終的にディスクがゲームフナ社の手に渡るから
「大いなる超越」の妨害を止めなかったと考えても、
その場合未来予知を行っていることになり、「大いなる超越」失敗を見越せていたはずで、マグニフィカスを消す必要はありません。

 
※ARGの結末を考えると「大いなる超越」は半ば成功しているようですが、ひとまずそのことは考慮しません。
 
 
また、ここ以外では直接的な介入をしているようには見えないのも難点です。
 
確かに「ディスクを壊」したり「スクライブの対立を煽」ったりはしていますが、
上述のバグ表現一覧の中でOLD_DATA・悪魔の介入と考えて不自然ではないのは「ちらつく奇妙な鍵」出現くらいなように思われます。
 

今回は「ちらつく奇妙な鍵」は菌学者・骨の王本人が出現させたものと考え、②は却下とします。
 
 
 
③①②以外でデータへの介入可能な人物が消した
 
そういうわけで今回の立場はこちらになります。

P03以外でデータの介入が可能でも、3スクライブによる大いなる超越妨害を止められるほどの力は持たなかった人物。
 
前節で書いたバグ表現=データへの介入から、考えられるのは菌学者か骨の王になります※。
どちらもAct3で使える「ちらつく奇妙な鍵」を挑戦者に渡す際にバグ表現が入ります。

ではどちらがマグニフィカスを消したのか。

ここは動機面から考えてみます。
 
 
※OLD_DATAに触れたことでデータへの介入が可能になったと考えると、木彫り師も同じことができる可能性はあります。木彫り師には動機がないため今回は取り上げません。
     
     

    動機からのアプローチ

     

    まず、菌学者と骨の王の目的を確認します。

     

      

    菌学者はAct1から登場しますが、Act2から自我を持っているような言動をするようになります。

     

    Act2では、4回目の実験協力で”K”から始まる「例のコード」の手がかりを掴むために実験をしているらしいことが明らかになります。

     

    Act3ではP03の完全な制御を獲得、「実験」としてカードゲームをプレイすることになります。

    実験の成果としてOLD_DATAの「破片」を入手して、「精査しなければ(WE MUST STUDY IT.)と言ってP03の記憶を消し※、その後は再登場しません。


    ※日本語版ではプレイヤーが忘れなければならないように受け取れますが、原文は”THE ROBOT MUST FORGET.”なので、記憶を消されているのはもちろんP03です。

    なお、敗北時には記憶喪失の描写があり、再戦時に”IT'S LIKE THERE'S A HOLE IN MY RAM...”(RAMに穴でもあるみたいだ……)などのセリフもあります。

     

    ​TWO INTO ONE!

     

    と、いうことで菌学者はカーネフェルコードの追究を目的としていることになります。

    これが「学者」という側面に由来するものではないか、というのは#29で書いた話になります。

     

     

     

     

     

    骨の王は、#13・14の前後編の主に#14で書いたように、OLD_DATAの持つ力を崇拝しているようです。

     

    おさらいをすると、「さあ、あがめよ」は原文”Worship it.”であること、「お前はその力の真価を知っているだろう」というセリフなどから、

    プレイヤーにOLD_DATAの崇拝を求めていることがうかがえる、というものになります。

    詳細は#14を参照のこと。

     

     

     

     

     

    ではどちらがマグニフィカスを消す動機として強いかを考えた時、私は骨の王がマグニフィカスを消したという立場を取ってみたいと思います。

     

     

     

    菌学者はカーネフェルコードの研究をしてはいますが、「大いなる超越」は菌学者にとってさほど影響がないと考えます。


    学者という側面に由来する行動原理だとすると、菌学者は 知的好奇心から研究を行っていると考えられます。

    つまり、カーネフェルコードの実行そのものには興味がないのではないか

     


    そうなると「大いなる超越」が利点になるとすれば菌学者の実験のフィールドが広がることですが、

    そもそもAct2で4回実験に協力しないとAct3での実験に参加できないという元々のハードルの高さを考えると、積極的に実験の機会を広げようとするかは微妙なところです。

     


    また、これは主観的な意見ですが、血の滴る実験台に象徴されるマッドサイエンティストが、わざわざこの程度のことでマグニフィカスの邪魔だてはしないのではないか……とも思います。

     

     

    そういえば一応流血表現ですね​

     

     

    対して、菌学者が研究という収束であるとすれば、骨の王は布教という拡散です。

     

    「大いなる超越」によりOLD_DATA入りのディスクがアップロードされれば、「Inscryption」を通して多くの人がOLD_DATAの力を目にすることになります。

    その中でOLD_DATAの崇拝者を増やせるかもしれない。

    これは大きなメリットです。


    さらに、この「OLD_DATAの崇拝者獲得」に骨の王本人は関与しなくても構わないことも菌学者より優位な点です。

    「大いなる超越」が成功しさえすれば、骨の王には満足のいく結果になるわけです。



     

    一方で、骨の王はOLD_DATAについて「私でさえ全てを理解しきれていない」と述べており(Act2)、悪魔本人のような力は持っていないと推測されます。

    そのため、ホロ世界への出現はできても、3スクライブによるP03襲撃を止めるほどの力はなかったのではないか、



    ……というのが、「マグニフィカスを消したのは骨の王」という説になります。


    恐らく「P03より先にマグニフィカスを倒した時のイベントを用意しなかっただけ」なのだろうな……とは思いつつ、

    だからこそ考察の余地があると思うと悪いものではないなーと思います。


     

     
     
     
     
    なんで「菌」学者なのか何も考えていなかったことに気付きました。やべえ!
    The Hexはラスト編に突入したので、ウェイストランドを満喫します。
     
    次回は考えあぐねたものシリーズ初回を飾るはずだったメルターの話の予定です。