モバイルニュース 電子書籍における漫画インタフェースを大いに語る(中編)
うめ・小沢高広×一色登希彦×藤井あや:
漫画が電子書籍として配信されるケースが増えている中、漫画家の意見はどこまで反映されているのだろうか。うめ・小沢高広氏、一色登希彦氏、藤井あや氏という電子書籍の出版経験を持つ現役漫画家が思いのたけを語り尽くす対談特集の第2弾をお届けする。
●「課金体系と本の品そろえがあればうまくスマホにスライドしてくれるのに、追いついていない」(藤井)
── 昨今では携帯電話の販売シェアでスマートフォンが5割を超えるなど、これまでのケータイ、俗にいうガラケーが減りつつあります。ケータイコミックを出されている立場として、藤井さんはこの状況をどのように感じていますか。
藤井 わたしのジャンル(注:ボーイズラブ系)に関しては、ガラケーからの移行はしばらく掛かるかもしれないという認識です。ただ、ガラケーでポイントや会員制といった形でお金を支払って読むのが定着している方は、スマートフォンに移行してもお金は払ってくださると思うんですね。
── ただ、スマホでうまい課金体系がないとも言われている。
藤井 そこですよね。課金体系と、本の品そろえがあればうまくスライドしてくれると思うんですけど、それが追いついていない。
小沢 グリーじゃないけど、スマホの中にガラケー的なシステムを誰か持っていけよという話ですよね。iPhoneじゃ難しいけどAndroidだったらできそうですし。それこそ「ガラケー」っていうアプリを最初に作ってしまえば(笑)。
藤井 そうそう。ただ、Androidの端末も、画面解像度がバラバラだったり、技術的なところでちょっと難しいのかもしれませんね。
── 藤井さんのお描きになっているジャンルがうめさんや一色さんと違うのは、こっそり隠れて読みたいというニーズが強いことですよね。みんながみんな、大画面の端末で読みたいわけではないという。
藤井 そう。ケータイコミックの市場をいま支えているのはそういう人たちで、それは男性向けでも多分同じ。
一色 こっそり読みたいものって、電車の中で読めるものなんですか。読んでたら周りに何を読んでいるかバレちゃうのではないかと思うんですけど。
藤井 いまの女子高生とかは読んでるんじゃないですかね。そこまでえげつないものは配信していませんし。むしろ問題は、女の子はとにかく持ち物が多いから、化粧道具を持ってほかにいろいろ持って、さらに電子書籍端末っていうのはハードルが高いのではないかということです。せめてこのサイズ(注:6インチ)ですかね。わたしもiPadは重いから持ち歩いてないですもん。
── そうなるともう、端末の価格以前の問題ですよね。
藤井 ちなみに、これ(注:GALAPAGOSのモバイルモデルを指して)ってお幾らですか?
── 3万9800円です。
藤井 若い女の子が、本を読むために4万円出すかといったら出さないですよね。
小沢 しかも本そのものではなく、本棚のためにってことですし。ガラケーで漫画が読める利点というのは、電話の「ついで」に読めるからですよね。
藤井 そう。すでに持っているケータイを使って、待ち時間などに読める。本を読むためだけに4万円近いお金を出して、これだけの大きさのものを持ち歩くのなら、いままでのガラケーでいいやってなりますよね。ましてやコンテンツがまだそろっていませんし。読みたいと思わせるものがそろっていれば読書好きの人は買うでしょうけど、器だけで中身がないんじゃどうしようもない。
── その結果として自分で紙書籍をスキャンしてデータ化する「自炊」がもてはやされているわけですからね。
一色 “自炊”すれば確かにこういうデバイスで読めるだろうけど、僕はわざわざやる価値を見いだせていないんですよね。
小沢 本棚が空きますよ。
一色 でも、そのためだけに熱心に“自炊”する人ってそんなにいるものなんですか。面倒だから僕はやらないかな。CDをインポートするみたいに、例えばある漫画の単行本をPCに放り込むと、それが自動的に裁断/スキャンされて電子化されるということになれば、それはやりたいですけどね。
小沢 CDのインポートに比べると“自炊”ははるかに面倒くさいですからね。いまの“自炊”を音楽に置き換えると、スピーカーの前にマイクを置いて音楽を録音しているようなものですし。
── 自炊したファイルがDRMフリーであることも大きいですよね。端末を買い替えたり、電子書籍サイトが潰れて購入したものが読めなくなるかも、という心配をしなくて済む。そこにメリットを感じる人は多いんじゃないでしょうか。僕もそうですけど。
小沢 僕がパブーを好きなのは、PDFでデータをローカルに保存できるところなんです。もちろんクラウド的なのものも流行り的にはいいと思うんですけど、手元で保存しておける気持ちよさ、安心感というのはありますね。
── 最初はPDFでの配布を大きくアピールしていた「Jコミ」も、今はWebのビューワがメインになってきていると。それはどちらかというと広告の関係で、今後も人気タイトルについてはPDF化を進めるそうなのですが、Twitterなどを見ている限りでは、PDFで手元に置いておきたいという読者の要望は多いですね。
一色 PDFだと、コレクションしている感じはありますよね。僕は逆に、ダウンロードしてデータを保管しておくのが面倒だから、オンラインで閲覧する形式の方がいいんじゃないかなと思ったりすることもあります。もちろん地下鉄に入ってネットワークが途切れると読めないといった問題があるので、悩むところですが。
●「作画と同時のテキスト入力が決まりごとになるのなら、対応はできる」(一色)
── 電子書籍のファイルフォーマットで最近話題となっているのが「EPUB」と呼ばれるもので、日本語の縦書きやルビ表示などにも対応する「EPUB 3.0」が間もなく登場しようとしています。漫画表現に関する仕様もサブセットの形で議論が進みつつあるのですが、コマ単位のリフローなども想定されていて、Webブラウザをリサイズしたりするとコマが分割されて縦に並び、吹き出しの中にあったテキストのデータが、それぞれのコマの下に表示されるんですよね。
藤井 これだと自分の中で完成した感じがしないですね。吹き出しの中に写植が入って、できた! いう感覚があるから、むしろ吹き出しの中にセリフが入ったまま表示してくれた方が気持ち悪くない。
小沢 これをやるのであれば、吹き出しも外してほしいですよね。
一色 でも、そうしたらもう漫画じゃなくなっちゃう。
── セリフ部分は絵と分離した文字列として、存在しているんですよ。こんな風に。
小沢 これ、作る手間が掛かりそう。セリフを全部テキストで打つわけでしょ。これ作れないと漫画家を名乗れないとなると厳しいなー(笑)
── ただ、セリフの文字属性を絵と分離させておけば、簡単に翻訳できたりと、可能性は広がりますよね。いまの「Jコミ」の(オンラインビューワの)アルヌールしかり。
小沢 うちはネームの段階からもうテキストで打ってあるので、テキストデータを外出しするだけであれば、すぐにでもできます。テキストデータだけを編集さんに渡すことも可能ですね。
藤井 わたしもできる。
一色 僕もできます。コミスタ(注:ComicStudio)にはテキストを吐き出す機能もあるので、作画の際にテキストデータもきちんと保持していくのが決まりごとになるのであれば、それは同時進行でやれるんですよ。ただ、過去作をやってくれといわれると、現実的に不可能。
小沢 それは膨大な手間が掛かるので、漫画家に背負わされても困る。ただ、それを出版社がやれるかというと、やっぱり冗談じゃないという話になるだろうし。
一色 何のために、という話になるでしょうからね。
小沢 あと、青年誌のようにガチガチに1コマ1コマ割るのならともかく、少女漫画のように1ページの中にイメージ画像が斜めに走ってて、コマがフローで浮いてて、吹き出しもぽんぽん浮いてるようものはどうなるのかというのを老婆心で聞きたい(笑)。
藤井 点描でフワーッと、みたいな(笑)
小沢 枠からはみ出てるものとか、もうかなり無視してますよね。
一色 せいぜい裁ち切りくらいで、正方形や直方形のコマ割りだったらね。
── コマのサイズの比率も変わっちゃうんですよね。もともとこれが一番大きなコマじゃないですか。ところが横幅を縮めていくと、大きなコマが縮小されて、小さなコマにサイズが近づいていくという。
藤井 大ゴマの意味がなくなっちゃうんですね。
一色 ケータイコミックの見え方に近づいてくると。
藤井 そういえば、ケータイコミックで描き下ろしの依頼があると、最近は、最初から4コマ漫画の状態で作ってくださいといってくることがあります。大ゴマを作らないでほしいなんていう話もきたり。
一色 むしろその方がやりやすいということですね。
── 4コマだと、先ほどの縦スクロールの問題も解決しますしね。つまるところ、デバイスの側の制限が、作画の際に条件として与えられるようになってきているわけですね。
藤井 そうですね。わたしは紙からデジタルに移行したので、その描き方だと気持ち悪くてしょうがないんですね。だからそういうお仕事は引き受けたことがないんですけど、ケータイコミック専門で描いてらっしゃる最近の作家さんは、もしかするともうこんな風に、4コマ状態で割っていって、テキストだけ別に抜いたものを渡しているのかもしれない。
小沢 でも本当にこれをやるんだったら、僕なら吹き出しデータを別にしますよ。吹き出しの背後まで実絵を描いちゃってるので。
藤井 コミスタだったらレイヤーにすることでできますよね。
小沢 吹き出しのレイヤーを保持して、リフローしたときは吹き出しがパッと消えちゃうという。でもそうすると誰がセリフを言ってるか分からなくなるかもしれませんね。
藤井 それをやると、ここはどうしてもデッサンが取れないから吹き出しを乗せてごまかしちゃえという手が使えなくなる(笑)
一同 (爆笑)
小沢 背景描くのがめんどくさいから吹き出しをでっかくしたりとか(笑)
一色 作画時間のコントロールにもかかわってくる(笑)。まあ、吹き出しの位置というのは漫画の生命線だから、それを外しちゃうと本当にそれは漫画なのかという問題はありますね。漫画が漫画である感じがなくなるというか、絵付き紙芝居との境目がよく分からなくなるというか。
藤井 セリフを横に添えられてしまうと、1ページごとに挿絵が入った小説みたいな雰囲気になっていっちゃう気がする。
── 視線誘導まで計算して描いている、その吹き出しが全部とっぱらわれて、セリフが外付けになるということですよね。
一色 そうです。それを全否定するつもりはないんですけど、その描き方だけになっちゃうわけにはいかないというころです。
小沢 このサンプルの2コマ目の吹き出しをなくしたらどうなるだろうと考えていたんですけど、やっぱり右に間が出ちゃいますよねー。正直なところ、1枚のJPEGデータになっているものを、こんな難しいことをしなくてもいいんじゃないかという気はします。
── もしコミスタからEPUB3に直接エクスポートするような機能があったらどうですか。
小沢 あ、それは別に断る理由はないですね。
●「テキスト外出しは、字幕のように慣れちゃえばありかもしれない」(小沢)
小沢 少し話は変わりますけど、皆さん、映画は吹き替え派ですか、それとも字幕派ですか?
藤井 字幕かな。この男優さんはこの声、というのが結構大事なので。
一色 最近吹き替えでよくなっちゃった。絵が追えなくてつまんないじゃん、ていう。
小沢 僕も最近吹き替えになったんですよね。字幕を読むのがつらくなってきちゃって。
── 漫画のテキストが外付けで出ているのは、映画の字幕に近いんじゃないかという、そういう話ですね。
小沢 そうです。仮に最初に違和感があったとしても、字幕のように慣れちゃえばこれもアリかもしれないという可能性を考えていて。感覚的には気持ち悪さもあるんですが、映画の字幕と同じだと思ったときに、その境界線はあいまいなものかもしれません。
藤井 むしろアニメの絵コンテみたいになっちゃうのかな。絵があって、その脇にセリフが書いてあるという。
小沢 絵コンテを読み慣れてくると、本当に映画と同じように見れちゃうようになる瞬間というのがありますからね。
一色 世界中で公開されるハリウッド映画では、実は字幕の方が珍しいというのを聞いたことがあります。欧州に英語以外の言語で翻訳されるときも、吹き替えの方が多いらしいんですね。日本では字幕文化がきちんとしていたので字幕ということになっているけど、世界では自国の言語で吹き替えされたものを楽しむのが当たり前で、字幕はあまりない。
小沢 米国では字幕は客が来なくなるからやめろって言われてるそうですしね。「レッド・オクトーバーを追え!」で、最初に艦長がロシア語を喋っていて、途中から英語に切り替わるんですけど、最初は雰囲気を出すために字幕を入れ、演出で消すんですよね。それでスッと英語にしていくシーンがあったりとか。後、米国映画の裁判シーンで、日本で公開するときに字幕をつけたら全部吹き替えにしてくれといわれたと。そうしないと情報量が足りなくなるから。
一色 字幕は情報量を削りますからね。脚本のリライトみたいなことになっちゃう。
── 字幕に関して言うと、海外で違法流通しているアニメでは、ファンサブとして字幕がつけられているじゃないですか。
小沢 それはアニメだけじゃなくて字幕文化が流出したということかもしれないですね。
── むしろそういうことかもしれません。だからアニメの違法流通によって、字幕に縁のなかった海外の人が字幕に慣れていく可能性もなきにしもあらずという。
小沢 字幕つながりで、太田出版の「ぽこぽこ」はどうですか。載ってる漫画は面白いのがいっぱいあるんですけど、ぽこぽこ機能だけが僕にはどうも微妙に思えて。ただ、タイトルにつけちゃった以上はやめられないだろうなと(笑)。
一色 あれが大きな売りらしいですからね。
小沢 「ぽこぽこ」は、いわゆるWeb系の漫画ビューワとしては標準的です。ただ、ぽこぽこ浮く吹き出しが、正直うるさいんですよ。僕はいつも最初にオフにするんですけど、でもこれもいつかニコ動みたいに、面白く見えるのかと。
藤井 よ、読めない(笑)。
小沢 ただ、ここに書かれているコメントは、編集部側である程度精査してから表示しているらしいんですね。そのようにした時点で、ニコ動の面白さは超えられないんじゃないかな。
藤井 ニコ動の面白さは、ものすごく醒めるようなコメントがあっても直後に誰かがフォローを入れたりとか、うねりがあることですよね。だからいい評価ばかりが流れちゃうと、そういう面白さがなくなってしまう気がします。
小沢 デフォルトではぽこぽこの表示をオフにしておいて、2回目に読むときにオンになると面白いかなーという気がするんですけど。それと、黄色い矢印がコマにかかって出るのはやめた方がいいと思う。
── インタフェースたる矢印がコマにかかるのはいただけないですね。ところでこの「ぽこぽこ」、先ほど話題になった横スクロールのビューワですが、これは気にならないんですか。
小沢 それが、これだとあまり気にならなかったんですよ。これ微妙に気を使っているのが、次の見開きに移動するときに、間にすき間を入れてるんですよね。だから1枚1枚読んでいる感がある。
── 連なって2ページ単位で横スクロールすると違和感があるけど、すき間があることで違和感が薄れているということですね。その点、iPadのビューワは連なっているのが多いですからね。i文庫HDだと余白の有無も設定できますけど、ビューワによってはまったく余白がないものもある。
小沢 そう。あれがね、漫画の見開きを見ていると気持ち悪いんです。スクロールした時にどこで止まるのか分からない不安感がある。
●「セリフが泣けるとかこのシーンキターとか、直接リンクしてもらうのは面白い」(一色)
── 「ぽこぽこ」も「Jコミ」もそうですが、最近はオンラインビューワの各ページにパーマネントリンクを用意し、Twitterやブログで紹介できるのがトレンドになっています。こうした機能についてはどうですか? 例えば、お話のクライマックスをダイレクトに呼び出せるからやめてほしいといった、マイナスな評価はないんでしょうか。
小沢 まあ、漫画はその1ページだけを見て感動できるわけではないですからね。出オチの1ページ目をさらされると厳しいかもしれないけど(笑)、でも大丈夫じゃないかな。
── 例えば、自分の作品から、エロシーンだけをまとめたリンク集が作られたりとか。
藤井 Twitterでそういうのは出てきそうですよね。
一色 本屋さんで漫画にビニールカバーがかけられるようになったことで、立ち読みができなくなったじゃないですか。それはWebでも同じで、この漫画はどんなものだろうと思って作家名で画像検索しても、そうそう漫画の中身が見られるものじゃない。そういう意味ではこうした機能を使って、このセリフが泣けるとか、このシーンキターみたいな感じで、直接リンクしてもらうのは面白いかもしれない。
小沢 描き手としても、そういうのが自分の作品につくと、あーよかったよかった、となる。
一色 ただ無審査だと、ニコ動みたいに作者にとって不愉快なものも貼り付けられるかもしれない。それを作者が心情的に許せない場合もあると思うので、すべての漫画でこれをやっていいわけじゃないかなと。
小沢 もちろんお買い上げいただいた漫画だから、面白いとかつまらないとかいう権利はあるんですよ。ただ、読み手が思っているほど、描き手はタフじゃないということも覚えておいてもらうといいかなっていう(笑)。
一色 そうなんですよ(一同爆笑)
── ソーシャル連携以外にも、宣伝ツールとしてのTwitterにも、いろいろ可能性がありそうですね。
藤井 ボーイズラブ系の小説なんかは新刊を発売する1週間くらい前から、見どころを抜き出してばんばんツイートしたりと、宣伝に使ってる版元さんはいますよ。小説の何ページか分を、新刊試し読みできます、今日のいつから流します、って言って、140字ずつ抜き出して。
小沢 いいですね、140字ずつ、多少の時間が空きながら、ぽこっぽこっと出てくるという。風流だなー(笑)。
一色 小説はテキストだからTwitterで流せる。いいですよね。
藤井 そうすると、それを見た女の子が、気になったセリフがあるとリツイートしたりするんですよ。ハーレクインも似たような感じじゃなかったでしたっけ。漫画ではそういうのはまだ見たことがありませんね。
一色 Twitterも画像にリンクを張れるわけだから、原理的にはコマを抜き出したような宣伝もできそうですね。
藤井 商業誌ではないですけどpixivでやってる方はいますよ。pixivに同人誌のサンプルを上げると、そこにツイートボタンがついてるので、宣伝を兼ねてつぶやいたりとか。
ここまで、3者の議論の多くは記事のタイトルにもある「電子書籍における漫画インタフェース」についてであった。総論では3者の意見は合致しており、各論ではそれぞれの経験も踏まえた示唆に富む内容だといってよいだろう。そして議論はこの後インタフェースからシステムへと大きく思考の枠を広げることになる。明日の最終回にご期待いただきたい。
【山口真弘,eBook USER】
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●「課金体系と本の品そろえがあればうまくスマホにスライドしてくれるのに、追いついていない」(藤井)
── 昨今では携帯電話の販売シェアでスマートフォンが5割を超えるなど、これまでのケータイ、俗にいうガラケーが減りつつあります。ケータイコミックを出されている立場として、藤井さんはこの状況をどのように感じていますか。
藤井 わたしのジャンル(注:ボーイズラブ系)に関しては、ガラケーからの移行はしばらく掛かるかもしれないという認識です。ただ、ガラケーでポイントや会員制といった形でお金を支払って読むのが定着している方は、スマートフォンに移行してもお金は払ってくださると思うんですね。
── ただ、スマホでうまい課金体系がないとも言われている。
藤井 そこですよね。課金体系と、本の品そろえがあればうまくスライドしてくれると思うんですけど、それが追いついていない。
小沢 グリーじゃないけど、スマホの中にガラケー的なシステムを誰か持っていけよという話ですよね。iPhoneじゃ難しいけどAndroidだったらできそうですし。それこそ「ガラケー」っていうアプリを最初に作ってしまえば(笑)。
藤井 そうそう。ただ、Androidの端末も、画面解像度がバラバラだったり、技術的なところでちょっと難しいのかもしれませんね。
── 藤井さんのお描きになっているジャンルがうめさんや一色さんと違うのは、こっそり隠れて読みたいというニーズが強いことですよね。みんながみんな、大画面の端末で読みたいわけではないという。
藤井 そう。ケータイコミックの市場をいま支えているのはそういう人たちで、それは男性向けでも多分同じ。
一色 こっそり読みたいものって、電車の中で読めるものなんですか。読んでたら周りに何を読んでいるかバレちゃうのではないかと思うんですけど。
藤井 いまの女子高生とかは読んでるんじゃないですかね。そこまでえげつないものは配信していませんし。むしろ問題は、女の子はとにかく持ち物が多いから、化粧道具を持ってほかにいろいろ持って、さらに電子書籍端末っていうのはハードルが高いのではないかということです。せめてこのサイズ(注:6インチ)ですかね。わたしもiPadは重いから持ち歩いてないですもん。
── そうなるともう、端末の価格以前の問題ですよね。
藤井 ちなみに、これ(注:GALAPAGOSのモバイルモデルを指して)ってお幾らですか?
── 3万9800円です。
藤井 若い女の子が、本を読むために4万円出すかといったら出さないですよね。
小沢 しかも本そのものではなく、本棚のためにってことですし。ガラケーで漫画が読める利点というのは、電話の「ついで」に読めるからですよね。
藤井 そう。すでに持っているケータイを使って、待ち時間などに読める。本を読むためだけに4万円近いお金を出して、これだけの大きさのものを持ち歩くのなら、いままでのガラケーでいいやってなりますよね。ましてやコンテンツがまだそろっていませんし。読みたいと思わせるものがそろっていれば読書好きの人は買うでしょうけど、器だけで中身がないんじゃどうしようもない。
── その結果として自分で紙書籍をスキャンしてデータ化する「自炊」がもてはやされているわけですからね。
一色 “自炊”すれば確かにこういうデバイスで読めるだろうけど、僕はわざわざやる価値を見いだせていないんですよね。
小沢 本棚が空きますよ。
一色 でも、そのためだけに熱心に“自炊”する人ってそんなにいるものなんですか。面倒だから僕はやらないかな。CDをインポートするみたいに、例えばある漫画の単行本をPCに放り込むと、それが自動的に裁断/スキャンされて電子化されるということになれば、それはやりたいですけどね。
小沢 CDのインポートに比べると“自炊”ははるかに面倒くさいですからね。いまの“自炊”を音楽に置き換えると、スピーカーの前にマイクを置いて音楽を録音しているようなものですし。
── 自炊したファイルがDRMフリーであることも大きいですよね。端末を買い替えたり、電子書籍サイトが潰れて購入したものが読めなくなるかも、という心配をしなくて済む。そこにメリットを感じる人は多いんじゃないでしょうか。僕もそうですけど。
小沢 僕がパブーを好きなのは、PDFでデータをローカルに保存できるところなんです。もちろんクラウド的なのものも流行り的にはいいと思うんですけど、手元で保存しておける気持ちよさ、安心感というのはありますね。
── 最初はPDFでの配布を大きくアピールしていた「Jコミ」も、今はWebのビューワがメインになってきていると。それはどちらかというと広告の関係で、今後も人気タイトルについてはPDF化を進めるそうなのですが、Twitterなどを見ている限りでは、PDFで手元に置いておきたいという読者の要望は多いですね。
一色 PDFだと、コレクションしている感じはありますよね。僕は逆に、ダウンロードしてデータを保管しておくのが面倒だから、オンラインで閲覧する形式の方がいいんじゃないかなと思ったりすることもあります。もちろん地下鉄に入ってネットワークが途切れると読めないといった問題があるので、悩むところですが。
●「作画と同時のテキスト入力が決まりごとになるのなら、対応はできる」(一色)
── 電子書籍のファイルフォーマットで最近話題となっているのが「EPUB」と呼ばれるもので、日本語の縦書きやルビ表示などにも対応する「EPUB 3.0」が間もなく登場しようとしています。漫画表現に関する仕様もサブセットの形で議論が進みつつあるのですが、コマ単位のリフローなども想定されていて、Webブラウザをリサイズしたりするとコマが分割されて縦に並び、吹き出しの中にあったテキストのデータが、それぞれのコマの下に表示されるんですよね。
藤井 これだと自分の中で完成した感じがしないですね。吹き出しの中に写植が入って、できた! いう感覚があるから、むしろ吹き出しの中にセリフが入ったまま表示してくれた方が気持ち悪くない。
小沢 これをやるのであれば、吹き出しも外してほしいですよね。
一色 でも、そうしたらもう漫画じゃなくなっちゃう。
── セリフ部分は絵と分離した文字列として、存在しているんですよ。こんな風に。
小沢 これ、作る手間が掛かりそう。セリフを全部テキストで打つわけでしょ。これ作れないと漫画家を名乗れないとなると厳しいなー(笑)
── ただ、セリフの文字属性を絵と分離させておけば、簡単に翻訳できたりと、可能性は広がりますよね。いまの「Jコミ」の(オンラインビューワの)アルヌールしかり。
小沢 うちはネームの段階からもうテキストで打ってあるので、テキストデータを外出しするだけであれば、すぐにでもできます。テキストデータだけを編集さんに渡すことも可能ですね。
藤井 わたしもできる。
一色 僕もできます。コミスタ(注:ComicStudio)にはテキストを吐き出す機能もあるので、作画の際にテキストデータもきちんと保持していくのが決まりごとになるのであれば、それは同時進行でやれるんですよ。ただ、過去作をやってくれといわれると、現実的に不可能。
小沢 それは膨大な手間が掛かるので、漫画家に背負わされても困る。ただ、それを出版社がやれるかというと、やっぱり冗談じゃないという話になるだろうし。
一色 何のために、という話になるでしょうからね。
小沢 あと、青年誌のようにガチガチに1コマ1コマ割るのならともかく、少女漫画のように1ページの中にイメージ画像が斜めに走ってて、コマがフローで浮いてて、吹き出しもぽんぽん浮いてるようものはどうなるのかというのを老婆心で聞きたい(笑)。
藤井 点描でフワーッと、みたいな(笑)
小沢 枠からはみ出てるものとか、もうかなり無視してますよね。
一色 せいぜい裁ち切りくらいで、正方形や直方形のコマ割りだったらね。
── コマのサイズの比率も変わっちゃうんですよね。もともとこれが一番大きなコマじゃないですか。ところが横幅を縮めていくと、大きなコマが縮小されて、小さなコマにサイズが近づいていくという。
藤井 大ゴマの意味がなくなっちゃうんですね。
一色 ケータイコミックの見え方に近づいてくると。
藤井 そういえば、ケータイコミックで描き下ろしの依頼があると、最近は、最初から4コマ漫画の状態で作ってくださいといってくることがあります。大ゴマを作らないでほしいなんていう話もきたり。
一色 むしろその方がやりやすいということですね。
── 4コマだと、先ほどの縦スクロールの問題も解決しますしね。つまるところ、デバイスの側の制限が、作画の際に条件として与えられるようになってきているわけですね。
藤井 そうですね。わたしは紙からデジタルに移行したので、その描き方だと気持ち悪くてしょうがないんですね。だからそういうお仕事は引き受けたことがないんですけど、ケータイコミック専門で描いてらっしゃる最近の作家さんは、もしかするともうこんな風に、4コマ状態で割っていって、テキストだけ別に抜いたものを渡しているのかもしれない。
小沢 でも本当にこれをやるんだったら、僕なら吹き出しデータを別にしますよ。吹き出しの背後まで実絵を描いちゃってるので。
藤井 コミスタだったらレイヤーにすることでできますよね。
小沢 吹き出しのレイヤーを保持して、リフローしたときは吹き出しがパッと消えちゃうという。でもそうすると誰がセリフを言ってるか分からなくなるかもしれませんね。
藤井 それをやると、ここはどうしてもデッサンが取れないから吹き出しを乗せてごまかしちゃえという手が使えなくなる(笑)
一同 (爆笑)
小沢 背景描くのがめんどくさいから吹き出しをでっかくしたりとか(笑)
一色 作画時間のコントロールにもかかわってくる(笑)。まあ、吹き出しの位置というのは漫画の生命線だから、それを外しちゃうと本当にそれは漫画なのかという問題はありますね。漫画が漫画である感じがなくなるというか、絵付き紙芝居との境目がよく分からなくなるというか。
藤井 セリフを横に添えられてしまうと、1ページごとに挿絵が入った小説みたいな雰囲気になっていっちゃう気がする。
── 視線誘導まで計算して描いている、その吹き出しが全部とっぱらわれて、セリフが外付けになるということですよね。
一色 そうです。それを全否定するつもりはないんですけど、その描き方だけになっちゃうわけにはいかないというころです。
小沢 このサンプルの2コマ目の吹き出しをなくしたらどうなるだろうと考えていたんですけど、やっぱり右に間が出ちゃいますよねー。正直なところ、1枚のJPEGデータになっているものを、こんな難しいことをしなくてもいいんじゃないかという気はします。
── もしコミスタからEPUB3に直接エクスポートするような機能があったらどうですか。
小沢 あ、それは別に断る理由はないですね。
●「テキスト外出しは、字幕のように慣れちゃえばありかもしれない」(小沢)
小沢 少し話は変わりますけど、皆さん、映画は吹き替え派ですか、それとも字幕派ですか?
藤井 字幕かな。この男優さんはこの声、というのが結構大事なので。
一色 最近吹き替えでよくなっちゃった。絵が追えなくてつまんないじゃん、ていう。
小沢 僕も最近吹き替えになったんですよね。字幕を読むのがつらくなってきちゃって。
── 漫画のテキストが外付けで出ているのは、映画の字幕に近いんじゃないかという、そういう話ですね。
小沢 そうです。仮に最初に違和感があったとしても、字幕のように慣れちゃえばこれもアリかもしれないという可能性を考えていて。感覚的には気持ち悪さもあるんですが、映画の字幕と同じだと思ったときに、その境界線はあいまいなものかもしれません。
藤井 むしろアニメの絵コンテみたいになっちゃうのかな。絵があって、その脇にセリフが書いてあるという。
小沢 絵コンテを読み慣れてくると、本当に映画と同じように見れちゃうようになる瞬間というのがありますからね。
一色 世界中で公開されるハリウッド映画では、実は字幕の方が珍しいというのを聞いたことがあります。欧州に英語以外の言語で翻訳されるときも、吹き替えの方が多いらしいんですね。日本では字幕文化がきちんとしていたので字幕ということになっているけど、世界では自国の言語で吹き替えされたものを楽しむのが当たり前で、字幕はあまりない。
小沢 米国では字幕は客が来なくなるからやめろって言われてるそうですしね。「レッド・オクトーバーを追え!」で、最初に艦長がロシア語を喋っていて、途中から英語に切り替わるんですけど、最初は雰囲気を出すために字幕を入れ、演出で消すんですよね。それでスッと英語にしていくシーンがあったりとか。後、米国映画の裁判シーンで、日本で公開するときに字幕をつけたら全部吹き替えにしてくれといわれたと。そうしないと情報量が足りなくなるから。
一色 字幕は情報量を削りますからね。脚本のリライトみたいなことになっちゃう。
── 字幕に関して言うと、海外で違法流通しているアニメでは、ファンサブとして字幕がつけられているじゃないですか。
小沢 それはアニメだけじゃなくて字幕文化が流出したということかもしれないですね。
── むしろそういうことかもしれません。だからアニメの違法流通によって、字幕に縁のなかった海外の人が字幕に慣れていく可能性もなきにしもあらずという。
小沢 字幕つながりで、太田出版の「ぽこぽこ」はどうですか。載ってる漫画は面白いのがいっぱいあるんですけど、ぽこぽこ機能だけが僕にはどうも微妙に思えて。ただ、タイトルにつけちゃった以上はやめられないだろうなと(笑)。
一色 あれが大きな売りらしいですからね。
小沢 「ぽこぽこ」は、いわゆるWeb系の漫画ビューワとしては標準的です。ただ、ぽこぽこ浮く吹き出しが、正直うるさいんですよ。僕はいつも最初にオフにするんですけど、でもこれもいつかニコ動みたいに、面白く見えるのかと。
藤井 よ、読めない(笑)。
小沢 ただ、ここに書かれているコメントは、編集部側である程度精査してから表示しているらしいんですね。そのようにした時点で、ニコ動の面白さは超えられないんじゃないかな。
藤井 ニコ動の面白さは、ものすごく醒めるようなコメントがあっても直後に誰かがフォローを入れたりとか、うねりがあることですよね。だからいい評価ばかりが流れちゃうと、そういう面白さがなくなってしまう気がします。
小沢 デフォルトではぽこぽこの表示をオフにしておいて、2回目に読むときにオンになると面白いかなーという気がするんですけど。それと、黄色い矢印がコマにかかって出るのはやめた方がいいと思う。
── インタフェースたる矢印がコマにかかるのはいただけないですね。ところでこの「ぽこぽこ」、先ほど話題になった横スクロールのビューワですが、これは気にならないんですか。
小沢 それが、これだとあまり気にならなかったんですよ。これ微妙に気を使っているのが、次の見開きに移動するときに、間にすき間を入れてるんですよね。だから1枚1枚読んでいる感がある。
── 連なって2ページ単位で横スクロールすると違和感があるけど、すき間があることで違和感が薄れているということですね。その点、iPadのビューワは連なっているのが多いですからね。i文庫HDだと余白の有無も設定できますけど、ビューワによってはまったく余白がないものもある。
小沢 そう。あれがね、漫画の見開きを見ていると気持ち悪いんです。スクロールした時にどこで止まるのか分からない不安感がある。
●「セリフが泣けるとかこのシーンキターとか、直接リンクしてもらうのは面白い」(一色)
── 「ぽこぽこ」も「Jコミ」もそうですが、最近はオンラインビューワの各ページにパーマネントリンクを用意し、Twitterやブログで紹介できるのがトレンドになっています。こうした機能についてはどうですか? 例えば、お話のクライマックスをダイレクトに呼び出せるからやめてほしいといった、マイナスな評価はないんでしょうか。
小沢 まあ、漫画はその1ページだけを見て感動できるわけではないですからね。出オチの1ページ目をさらされると厳しいかもしれないけど(笑)、でも大丈夫じゃないかな。
── 例えば、自分の作品から、エロシーンだけをまとめたリンク集が作られたりとか。
藤井 Twitterでそういうのは出てきそうですよね。
一色 本屋さんで漫画にビニールカバーがかけられるようになったことで、立ち読みができなくなったじゃないですか。それはWebでも同じで、この漫画はどんなものだろうと思って作家名で画像検索しても、そうそう漫画の中身が見られるものじゃない。そういう意味ではこうした機能を使って、このセリフが泣けるとか、このシーンキターみたいな感じで、直接リンクしてもらうのは面白いかもしれない。
小沢 描き手としても、そういうのが自分の作品につくと、あーよかったよかった、となる。
一色 ただ無審査だと、ニコ動みたいに作者にとって不愉快なものも貼り付けられるかもしれない。それを作者が心情的に許せない場合もあると思うので、すべての漫画でこれをやっていいわけじゃないかなと。
小沢 もちろんお買い上げいただいた漫画だから、面白いとかつまらないとかいう権利はあるんですよ。ただ、読み手が思っているほど、描き手はタフじゃないということも覚えておいてもらうといいかなっていう(笑)。
一色 そうなんですよ(一同爆笑)
── ソーシャル連携以外にも、宣伝ツールとしてのTwitterにも、いろいろ可能性がありそうですね。
藤井 ボーイズラブ系の小説なんかは新刊を発売する1週間くらい前から、見どころを抜き出してばんばんツイートしたりと、宣伝に使ってる版元さんはいますよ。小説の何ページか分を、新刊試し読みできます、今日のいつから流します、って言って、140字ずつ抜き出して。
小沢 いいですね、140字ずつ、多少の時間が空きながら、ぽこっぽこっと出てくるという。風流だなー(笑)。
一色 小説はテキストだからTwitterで流せる。いいですよね。
藤井 そうすると、それを見た女の子が、気になったセリフがあるとリツイートしたりするんですよ。ハーレクインも似たような感じじゃなかったでしたっけ。漫画ではそういうのはまだ見たことがありませんね。
一色 Twitterも画像にリンクを張れるわけだから、原理的にはコマを抜き出したような宣伝もできそうですね。
藤井 商業誌ではないですけどpixivでやってる方はいますよ。pixivに同人誌のサンプルを上げると、そこにツイートボタンがついてるので、宣伝を兼ねてつぶやいたりとか。
ここまで、3者の議論の多くは記事のタイトルにもある「電子書籍における漫画インタフェース」についてであった。総論では3者の意見は合致しており、各論ではそれぞれの経験も踏まえた示唆に富む内容だといってよいだろう。そして議論はこの後インタフェースからシステムへと大きく思考の枠を広げることになる。明日の最終回にご期待いただきたい。
【山口真弘,eBook USER】
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モバイルニュース PCフリーライターが普段実践する、モバイルオフィス環境──「通信環境の確保」編
ノートPCで実践するモバイルオフィス環境の構築には、インターネット接続も欠かせない。それぞれの通信サービスをどうとらえるか、まずはどれから導入すればいいか、“はじめの1歩”を考察する。
【他の画像:もし、在宅業務することになったらどうするか?】
●「通信環境」がなければ、業務効率は低下する
前回の「電源」に続き、「通信環境」も昨今のPC業務には必要不可欠なものだ。
PCフリーランスライターである筆者は、普段の出先でのPC業務時はもちろん、メーカーの製品発表会やイベント取材において「現地で情報収集→その場で原稿に仕上げて納品する」をするには何が必要かを考え、通信環境を整えた。それは多分、ビジネスユーザーが出先で企画書・提案書を修正してすぐ送らなければならないシーン、総じてモバイル環境でも同じように業務を行いたいと思うシーンに置き換えても大きくは変わらないと思う。もちろんインターネットに接続していなくてもできる作業はあるが、それは普段会社や自宅で行う場合とは違う イコール 効率が下がると考える。
モバイル環境での通信手段は無線ネットワークサービスを活用することがほとんどだ。これを安定して確保することがモバイルオフィス環境計画の成功の鍵を握ると言ってもよいだろう。今回はいくつかある通信手段を段階的・複合的に導入すると想定し、それぞれのメリットとデメリットをおさらいしよう。
●【手段.1】「公衆無線LANスポット」を利用する
まずは「公衆無線LANサービス」を考察する。公衆無線LANサービスは、インテル Centrinoモバイル・テクノロジが発表され、ノートPCには“無線LANを標準搭載”の流れができてきた2003年ごろより導入が進み、以降、ファストフード店や喫茶店、ホテル、空港、商業施設、駅など、人が集まる場所を中心にサービスエリアが広がっている。
有名なところでは、NTT系列の「フレッツ・スポット」「ドコモ公衆無線LANサービス(Mzone)」「HOTSPOT」、KDDI系列の「au one net公衆無線LANサービス」「Wi2 300」「UQ Wi-Fi」、ソフトバンク系列の「ソフトバンクWi-Fiスポット」「BBモバイルポイント」など、そのほか「livedoor Wireless」や「FREESPOT」「FON」といったサービスもあり、独自で無料の無線LANサービスを用意する店舗も存在する。
公衆無線LANサービスのメリットは、初期コストをほぼ考慮せずに済む点だ。昨今のノートPCにはほぼ標準で装備されている無線LAN機能は、モバイルオフィス環境においても活用できる。
契約方法も、(サービス別に違いはあるが)そこそこ簡単に行える。例えばNTTドコモユーザーの筆者はかつて、ドコモのISPサービスである「mopera U(315円/月)+U無線LANコース(525円/月)」を出先の喫茶店その場でiモード携帯の操作で契約したのを覚えている。このほか、自宅用に加入するISPの無線LANオプションプラン(プラス数百円ほどである場合が多い)にあらかじめ入っておいてもいいし、無線LANエリア内で該当サービスに接続するとそのままオンサイトで契約できるサービスも多く存在する。
また、1カ月単位での継続契約以外に、“1日単位”で利用できるプランを設けるサービスも存在する。このうちの1つ、HOTSPOTの「1DAY PASSPORT」は1日500円だ。使いたい時だけ利用するスタイルの人に使い勝手がよいだろう。
さらに、通信速度も無線ネットワークサービスの中では高速だ。主流は最大54Mbps(IEEE802.11g)で、利用場所のバックボーンやネットワーク混雑度合いに応じて速度に変化はあるものの、後述する3Gデータ通信サービスより体感値も含めて快適に利用できるメリットがある。ほかの無線ネットワークサービスではややためらいがちな大容量データの送受信も短時間で完了する。
一方、サービスがかなりたくさんあるので、“どれを選べばよいか”をズバリ決めにくい。最近は、それぞれのサービスで利用エリアのローミング(相互乗り入れ)できる例もあるが、あるサービスはあるチェーン店の全店で対応──などといった得意分野が存在したりする。こちらは、自分の行動範囲に応じてどこにどのサービスの公衆無線LANスポットがあるかを確認してから契約する方法のほか、複数の公衆無線LANサービス(のエリア)を1契約で利用できる「ワイヤレスゲート」や「Wi2 300」などを選択するのも手軽かと思われる。
もう1つ、公衆無線LANサービスは利用可能範囲が狭いのもデメリットだ。基本的に「ある喫茶店の店内」といったエリアがところどころに点在するイメージのため、屋外でもすぐ通信しなければならないシーンが多かったり、移動しながら利用したい場合には向かない。
ただ、今回のテーマである“PCで実現するモバイルオフィス環境”の範囲においては、利用場所はほぼ屋内で、席についてPCを利用する使い方になると思う。行動範囲がやや制限されることにはなるが、利用場所をある程度決めてしまうならばデメリットにはつながらないという考え方もできる。
●【手段.2】「WiMAXサービス」を利用する
WiMAXは、2011年現在急速にユーザーを増やしている新世代のデータ通信サービスだ。下り最大40Mbpsとかなり高速な通信速度が望めるうえ、例えば使い放題で3880円/月(UQ Flat年間パスポートの場合)からとなる比較的安価な月額料金プランがあるほか、600円/24時間の1日利用プランも用意する。
このWiMAXサービスは、通信速度とエリアにおいて無線LANと3Gサービスの中間となる仕様であると考えると比較しやすい。通信速度は下り最大40Mbps/上り最大10Mbpsで、都市部の良電波エリアなら実測値でも下り20Mbps前後を記録する。サービスエリア内であれば3Gデータ通信より快適に通信できるシーンが多く、携帯電話やスマートフォンより大容量のデータを活用するノートPCでの利用にも適する特徴がメリットの1つに挙げられる。
一方、サービスエリアがまだ狭いのが弱点だ。WiMAXは本サービス開始から2年、サービスエリアは都市部を中心に日々広がってはいるものの、例えばNTTドコモのFOMA網にはかなわない。また、サービスエリア内であっても、店舗の窓際なら利用できるが奥の席では利用できないこともある──といったように、屋内での利用には少し気を使わなければならない面もある。
とはいえ、大都市圏のサービスエリアはかなり充実してきており、都心部を主な活動範囲とする筆者は「WiMAX内蔵PC1台でだいたい大丈夫」というところまで来た印象はある。また、地方都市でもかなり使えるようになっているようで、人口20万人に満たないある市の駅前でも利用できたのには驚いた。
PCを主とする今回のモバイルオフィス環境の構築計画としては、まず「WiMAX内蔵PC」の導入を勧めたい。
WiMAXサービスは、一度契約すれば“接続作業なし”に利用できるようになるのが特に便利だ(WiMAXモジュールに契約情報が記録される仕組みにより自動化される)。WiMAX内蔵ノートPCであれば、ディスプレイを開いてスリープから復帰すると、ほぼ同時にインターネットにも接続されている──つまり、自宅の無線LAN環境がそのまま外出先にも広がったような感覚で活用できるようになる。
もう1つ、「ポータブル無線LANルータ型」のWiMAX端末も応用範囲が広い。これは、WiMAXの回線を複数台の無線LAN機能搭載デバイスで共有できる機能を大きな特徴とし、PCはもちろん、スマートフォンやタブレットデバイス、家庭用携帯ゲーム機なども同時に高速なインターネット接続を利用できる。PCのほかにこれらのネットワーク接続デバイスを携帯して使いこなす人にはよい選択と思われる。これは後述する3G通信対応のポータブルルータにも当てはまる。
また、WiMAXサービスと同じく新世代の通信インフラであるNTTドコモのLTEサービス「Xi」も始まり、USB接続/ExpressCard型/ポータブルルータ型など、デバイスの選択肢も増えている。サービスエリアはまだWiMAXより狭いが、高速な通信速度を実現する点で、こちらの手段の別の1つとして考慮してもよいだろう。
●【手段.3】「3Gデータ通信サービス」を利用する
3G、いわゆる国内携帯電話網を利用するデータ通信手段は、通信事業者により差はあるが「サービスエリアの広さ」がとにかく大きなメリットだ。
前述したWiMAXサービスと比べると、その差は大きい。例えばNTTドコモのFOMAネットワークは、2009年1月時点で人口カバー率100%に達しており、山間部(秘境を除く)や沿岸部洋上などでも利用できる可能性が高い点は「通信環境が必須」とする人にとって、絶対的な安心感がある。また、基地局に自前のバックアップ電源を持つなど、店舗や施設の電力供給状況に依存する公衆無線LANサービスやバックアップ電源を持たない基地局もあるWiMAXサービスと比べると停電時に強い傾向も安心感につながるだろう。
とはいえ、デメリットもいくつかある。まずは実利用時における通信速度は今回挙げる手段の中でもっとも遅い。一般的には下り最大7.2Mbps、最近は同21Mbps/42Mbps(イー・アクセス「EMOBILE G4」など)のサービスも登場しているが、筆者は2011年6月現在、実利用時の通信速度で数Mbps単位の速度が出れば上々と評価している。
さて、何度も述べて恐縮だが、今回はモバイル環境+ノートPCで普段と同じ仕事環境を整えるための考察を行っている。PCで快適に業務を遂行するには、つながればOK──ではなく、Webページを開くのにかかる時間、業務用の添付ファイルを送受信する時間を含めて、会社や自宅で作業する時と同じ使い勝手にまで持って行きたいと考える。通信速度が遅ければ、それだけロスする時間が多くなり、PCのバッテリーも余計に消費してしまう。
通信料金/ランニングコストを含むトータルコスト計算が複雑かつ高額な傾向もある。3Gサービスでは比較的安価なイー・アクセスの場合は定額で3880円/月(EMOBILE G4データプラン(にねんS) 高速モバイルキャンペーン適用時)と、前述したWiMAXサービスと同等クラスの月額料金となるが、NTTドコモの定額データプラン スタンダード バリューコースは1000~5985円/月+ISP利用料金(mopera U Uスタンダードプランは525円/月)で、最大6510円/月となるイメージだ。なお、上記で述べた料金例は同時に通信機器(USBデータ通信端末やポータブル無線LANルータなど)を同時購入し、原則として約2年の継続契約が条件となる。
ただ、メインの手段ではなく、予備の回線としてほかの通信手段を補うために導入するサービスとして筆者が注目しているのは、日本通信「b-mobileSIM」サービスだ。SIMカード(の利用権)のみを販売するプリペイドSIM式のサービスとして、約2480円/月(6カ月版の1カ月換算の場合。1カ月版は2980円)で通信速度を上限300kbpsに抑えた「U300」、通信速度制限なしで通信総量1Gバイト分か120日間利用できる「Fair」など、「利用権」か「通信速度」のどちらに対価を支払うか──とする、利用シーン別に選べるラインアップを用意する。
ちなみに、今回実施するモバイルオフィス環境の構築用にはやや不向きと思うが、980円/月で上限100kbpsとするイオン限定b-mobile SIMも、これまでなかった低価格な設定でかなり大きな話題になっている。速度を求めるほかの手段を補完し、最低限の通信環境を確保するためと考えると、ランニングコストを低く抑えられる点は喜ばしいポイントだ。
●まとめ:状況に合った電波を求めてノマドする
さて、ここまで検証したように、低価格・広エリア・高速・利用期間の縛りなし──のすべてを満たすモバイルデータ通信サービスはまだ存在しない。
筆者は、実は公衆無線LAN、WiMAX、3Gの3手段をすべて契約し、それらを組み合わせてそれぞれのデメリットを解消している。「高速に通信できるか」を主に、まずは公衆無線LANを検索、なければWiMAX、それでも圏外なら3Gをという流れだ。
ズバリこれと断定できずに恐縮だが、モバイル利用において足りないと感じた手段を段階的に導入していき、不要になったらすぐ解約できるスタイル。これを今回のモバイルオフィス環境構築におけるポイントにしたい。前回の「電源の確保」編も併読いただき、利用場所を考慮することを応用して、まずは月額コストが定額な公衆無線LANサービスをどれか1つ契約してみてはいかがだろう。
次回は「電源」「通信」を確保しつつ、本業ビジネスに必要な「データを収納・保存・引き出す」手段を検討・検証する予定です。
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●「通信環境」がなければ、業務効率は低下する
前回の「電源」に続き、「通信環境」も昨今のPC業務には必要不可欠なものだ。
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モバイル環境での通信手段は無線ネットワークサービスを活用することがほとんどだ。これを安定して確保することがモバイルオフィス環境計画の成功の鍵を握ると言ってもよいだろう。今回はいくつかある通信手段を段階的・複合的に導入すると想定し、それぞれのメリットとデメリットをおさらいしよう。
●【手段.1】「公衆無線LANスポット」を利用する
まずは「公衆無線LANサービス」を考察する。公衆無線LANサービスは、インテル Centrinoモバイル・テクノロジが発表され、ノートPCには“無線LANを標準搭載”の流れができてきた2003年ごろより導入が進み、以降、ファストフード店や喫茶店、ホテル、空港、商業施設、駅など、人が集まる場所を中心にサービスエリアが広がっている。
有名なところでは、NTT系列の「フレッツ・スポット」「ドコモ公衆無線LANサービス(Mzone)」「HOTSPOT」、KDDI系列の「au one net公衆無線LANサービス」「Wi2 300」「UQ Wi-Fi」、ソフトバンク系列の「ソフトバンクWi-Fiスポット」「BBモバイルポイント」など、そのほか「livedoor Wireless」や「FREESPOT」「FON」といったサービスもあり、独自で無料の無線LANサービスを用意する店舗も存在する。
公衆無線LANサービスのメリットは、初期コストをほぼ考慮せずに済む点だ。昨今のノートPCにはほぼ標準で装備されている無線LAN機能は、モバイルオフィス環境においても活用できる。
契約方法も、(サービス別に違いはあるが)そこそこ簡単に行える。例えばNTTドコモユーザーの筆者はかつて、ドコモのISPサービスである「mopera U(315円/月)+U無線LANコース(525円/月)」を出先の喫茶店その場でiモード携帯の操作で契約したのを覚えている。このほか、自宅用に加入するISPの無線LANオプションプラン(プラス数百円ほどである場合が多い)にあらかじめ入っておいてもいいし、無線LANエリア内で該当サービスに接続するとそのままオンサイトで契約できるサービスも多く存在する。
また、1カ月単位での継続契約以外に、“1日単位”で利用できるプランを設けるサービスも存在する。このうちの1つ、HOTSPOTの「1DAY PASSPORT」は1日500円だ。使いたい時だけ利用するスタイルの人に使い勝手がよいだろう。
さらに、通信速度も無線ネットワークサービスの中では高速だ。主流は最大54Mbps(IEEE802.11g)で、利用場所のバックボーンやネットワーク混雑度合いに応じて速度に変化はあるものの、後述する3Gデータ通信サービスより体感値も含めて快適に利用できるメリットがある。ほかの無線ネットワークサービスではややためらいがちな大容量データの送受信も短時間で完了する。
一方、サービスがかなりたくさんあるので、“どれを選べばよいか”をズバリ決めにくい。最近は、それぞれのサービスで利用エリアのローミング(相互乗り入れ)できる例もあるが、あるサービスはあるチェーン店の全店で対応──などといった得意分野が存在したりする。こちらは、自分の行動範囲に応じてどこにどのサービスの公衆無線LANスポットがあるかを確認してから契約する方法のほか、複数の公衆無線LANサービス(のエリア)を1契約で利用できる「ワイヤレスゲート」や「Wi2 300」などを選択するのも手軽かと思われる。
もう1つ、公衆無線LANサービスは利用可能範囲が狭いのもデメリットだ。基本的に「ある喫茶店の店内」といったエリアがところどころに点在するイメージのため、屋外でもすぐ通信しなければならないシーンが多かったり、移動しながら利用したい場合には向かない。
ただ、今回のテーマである“PCで実現するモバイルオフィス環境”の範囲においては、利用場所はほぼ屋内で、席についてPCを利用する使い方になると思う。行動範囲がやや制限されることにはなるが、利用場所をある程度決めてしまうならばデメリットにはつながらないという考え方もできる。
●【手段.2】「WiMAXサービス」を利用する
WiMAXは、2011年現在急速にユーザーを増やしている新世代のデータ通信サービスだ。下り最大40Mbpsとかなり高速な通信速度が望めるうえ、例えば使い放題で3880円/月(UQ Flat年間パスポートの場合)からとなる比較的安価な月額料金プランがあるほか、600円/24時間の1日利用プランも用意する。
このWiMAXサービスは、通信速度とエリアにおいて無線LANと3Gサービスの中間となる仕様であると考えると比較しやすい。通信速度は下り最大40Mbps/上り最大10Mbpsで、都市部の良電波エリアなら実測値でも下り20Mbps前後を記録する。サービスエリア内であれば3Gデータ通信より快適に通信できるシーンが多く、携帯電話やスマートフォンより大容量のデータを活用するノートPCでの利用にも適する特徴がメリットの1つに挙げられる。
一方、サービスエリアがまだ狭いのが弱点だ。WiMAXは本サービス開始から2年、サービスエリアは都市部を中心に日々広がってはいるものの、例えばNTTドコモのFOMA網にはかなわない。また、サービスエリア内であっても、店舗の窓際なら利用できるが奥の席では利用できないこともある──といったように、屋内での利用には少し気を使わなければならない面もある。
とはいえ、大都市圏のサービスエリアはかなり充実してきており、都心部を主な活動範囲とする筆者は「WiMAX内蔵PC1台でだいたい大丈夫」というところまで来た印象はある。また、地方都市でもかなり使えるようになっているようで、人口20万人に満たないある市の駅前でも利用できたのには驚いた。
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もう1つ、「ポータブル無線LANルータ型」のWiMAX端末も応用範囲が広い。これは、WiMAXの回線を複数台の無線LAN機能搭載デバイスで共有できる機能を大きな特徴とし、PCはもちろん、スマートフォンやタブレットデバイス、家庭用携帯ゲーム機なども同時に高速なインターネット接続を利用できる。PCのほかにこれらのネットワーク接続デバイスを携帯して使いこなす人にはよい選択と思われる。これは後述する3G通信対応のポータブルルータにも当てはまる。
また、WiMAXサービスと同じく新世代の通信インフラであるNTTドコモのLTEサービス「Xi」も始まり、USB接続/ExpressCard型/ポータブルルータ型など、デバイスの選択肢も増えている。サービスエリアはまだWiMAXより狭いが、高速な通信速度を実現する点で、こちらの手段の別の1つとして考慮してもよいだろう。
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前述したWiMAXサービスと比べると、その差は大きい。例えばNTTドコモのFOMAネットワークは、2009年1月時点で人口カバー率100%に達しており、山間部(秘境を除く)や沿岸部洋上などでも利用できる可能性が高い点は「通信環境が必須」とする人にとって、絶対的な安心感がある。また、基地局に自前のバックアップ電源を持つなど、店舗や施設の電力供給状況に依存する公衆無線LANサービスやバックアップ電源を持たない基地局もあるWiMAXサービスと比べると停電時に強い傾向も安心感につながるだろう。
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