先日、大切な人が手術することになった。
私はつい「最悪のこと」と
その後を考えてしまった。
「なんでそんなこと考えるの⁉︎」
と自分が嫌になったけど、
万が一の時に
自分が耐えられるようにするための
防衛なんだな、と気づいた。
そんな時、ふと昔のことを思い出した。
⸻
20代後半、
外科病棟で勤務していた頃のこと。
昔大腸がんの手術した50代の男性が、
腸閉塞で入院してきた。
腹部がパンパンに張っていて、
腸から逆流して溜まった内容物を出すために、
胃まで管を入れて袋につないだ。
私はしつこい性格でもあるので笑、
「少しでも楽になるといいな」
と願い、
何かする時も
話しているときも
出来る限り管をミルキングして
溜まったものが出やすくなるようにしていた。
けれど、数日経っても
状況は改善されず、
緊急手術が勧められた。
あまり良い状態ではなく、
不安がどれほど大きいだろうと思った。
それでもその患者さんは穏やかで、
しかし手術は躊躇されていた。
それなのに
奥さんはご主人の話も聞かず
「手術するわよね!」
と勝手に手続きを始めて、
ご主人の気持ちに
寄り添っているようには見えなかった。
そのため、当時の私は
奥さんにあまりいい印象を持てなかった。
手術の数か月後、
患者さんは退院することなく
亡くなられた。
⸻
1年ほど経ったころ、
外来から
「奥さんがあなたに会いたいと言ってる」
と連絡が来た。
外来に行くと、
奥さんはこう話された。
「夫の荷物を整理していたら
日記が見つかって、そこには
死を覚悟した内容が書かれていて、
そんなふうに見えなかったので
ショックでした。
でも、あなたが受け持ちの日は気分が
楽になり明るい気持ちで過ごせた、
と書いてあり、
少し救われた気持ちになりました。」
さらに、こう続けられた。
「夫を亡くしてから、
何度も試してみたんですが、
(病院に行く時乗ってた)この電車に
ずっと乗れずにいました。
夫が亡くなって、
今日初めてこの電車に乗れました。
でも外来まで来るのがやっとで、
病棟まではとても行けなくて…」
その話を聞いて愕然とした。
奥さんがどれほどご主人を
大切に思っていたのか、
私は表面的な言動だけで判断していた。
全然わかってなかった…
そして、ただ
「少しでも楽に、
早く良くなりますように」
と思って何気なくしていたことが、
検温や保清などの看護しながらの
他愛ない声かけが、
死を覚悟した人の心を照らし、
残された家族の支えになる
ことがあるなんて。
それなら、もっともっと出来たことが
あっただろうに…と、
心理学やカウンセリングを学ぼうと思った
きっかけの一つになった。
⸻
奥さんは帰り際に、
「これは夫にプレゼントされたものなの。
あなたにもらってほしい。」
と一本のペンを差し出された。
病院では患者さんから物を受け取ることは
固く禁止されている。
ましてや、形見のような大切なものを
いただくわけにはいかない。
何度も断ったが、奥さんは
「夫は、あなたがもらってくれたら
喜ぶと思います」と。
そう言われて、私はもう断れなかった。
⸻
あれから長い時間が経った。
今もそのペンを見るたびに、
あのご夫婦のことを思い出す。
ぞして、表面しか見えてなかっ
た自分の浅さを思い出し、
自分を戒めている。
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今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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