ユニコーン
いやー懐かしいです。
当時ファンというわけではなかったけど、憧れの象徴だった。
まだカセットテープだった。それをダビングしあってた。
あの頃の歌って、なにかしら思い出と直結してるのがスゴイ。
たとえばCHARAは、寒さだ。あの独特の声を聞くと、指が千切れそうなほど寒かったことや、カイロや、雪や、ホットココアなどを思い出す。冬休みに、バイトの帰りに自転車をこぎながらよく聞いてたので。
ユニコーンは屋上。
うちの学校は屋上が完全に解放されていた。仲良しの友達とイヤホンを分けあったり奪い合ったりして、抜けるような青い空を眺めながら聴いた。
Yちゃんが親の離婚問題に悩んでた切ない記憶も、不良っぽかったTくんがタンを一メートルぐらい垂らしてから吸い込んで、女子の反応を見て喜んでたバカバカしい記憶など、全部混ぜこぜになってよみがえってくる。
モバ短でユニコーンのお題が出ました。
上に書いたことを、たったミソヒトモジに詰め込みたくって、悩む。
過剰にあふれる思い出を、切り取ることができないでいる。
あー。
当時ファンというわけではなかったけど、憧れの象徴だった。
まだカセットテープだった。それをダビングしあってた。
あの頃の歌って、なにかしら思い出と直結してるのがスゴイ。
たとえばCHARAは、寒さだ。あの独特の声を聞くと、指が千切れそうなほど寒かったことや、カイロや、雪や、ホットココアなどを思い出す。冬休みに、バイトの帰りに自転車をこぎながらよく聞いてたので。
ユニコーンは屋上。
うちの学校は屋上が完全に解放されていた。仲良しの友達とイヤホンを分けあったり奪い合ったりして、抜けるような青い空を眺めながら聴いた。
Yちゃんが親の離婚問題に悩んでた切ない記憶も、不良っぽかったTくんがタンを一メートルぐらい垂らしてから吸い込んで、女子の反応を見て喜んでたバカバカしい記憶など、全部混ぜこぜになってよみがえってくる。
モバ短でユニコーンのお題が出ました。
上に書いたことを、たったミソヒトモジに詰め込みたくって、悩む。
過剰にあふれる思い出を、切り取ることができないでいる。
あー。
あのころの夏その4
(続き)
ただ大学生たちは、これを、ぽっとん便所の復讐だとは思わなかったみたいです。
田舎の小学生のガキが仕掛けた可愛いイタズラだと思ったようで、みんなしてゲラゲラ笑ってました。
「さすが田舎のガキやな!一瞬マジで騙された!焦ったー」とかやたらと感心されて、私たちみんな誉められてる気がして「てへへ////」となり、なし崩しに彼らへの反感がなくなり(もちろん私も)、そのあとは一緒に遊んでもらった。
遊ぶと気のいい兄ちゃんたちだった。
とくに男子が兄ちゃんたちを気に入り、飛び込み岩に案内して度胸試しをしあったりして、めっちゃはしゃいでた。
夜はバーベキューをした。
夕方になっても名残惜しくて、「夜、花火するからおいでよ」と言われて舞い上がった私たちは、親にせがんだの。
「お母さん、花火とバーベキューするらしいねん!私も行きたい!」「いいけど学生さんらやろ?お前らのぶんのご飯まで無いやろー。お母さんが何か持っていくわ」と言って、母親同士で連絡を取り合い、大量のお握り、大量のジュース、大量の肉などを持って、川原まで持ってきてくれた。
Yくんの父親は張り切って、備長炭と鮎を運び、串刺しにして焼いてた。「都会の人やったらこういうの喜ぶやろ」と。
実際、喜んでた。
いちいち大袈裟に喜んでくれるのが嬉しかった。
あの夏、彼らは自覚もないまま、私たちガキんちょの持つ偏見を薄めてくれた。
んで、「また来年も来るわー!」と言って帰った。
私たちは、秋や冬や春に、ときたま彼らの噂をした。
で、翌年の夏、わくわくしながら待っていた。Yくんは父親に、彼らがいつ来てもすぐに鮎の準備ができるように頼んでたようだ。
去年と同じように川で遊びながら、新しいキャンパーが来ると、そのなかに彼らの姿を探した。
けど、その夏彼らは来なかった。
子供だった私たちには、他にも楽しい遊びがたくさんあって。遊んでたら楽しくて彼らのことなんて忘れてたけど。
けど、みんな少しだけ寂しかったのだ。
あの夏、私たちは、反感を持っていたはずの年上のお兄さんたちに「憧れ」という感情を覚えさせられた。
なかでもとくにYくんが。
みんな彼らのことをすっかり忘れた中学時代、Yくんが「なんでかあの時、ほんまに楽しかた。今でも忘れられへんねん」っていきなり懐かしそうに話したの。
田舎だからメンツは変わらない。みんな記憶を一気に呼び覚まされ、楽しかった思い出を語りあった。
ただ大学生たちは、これを、ぽっとん便所の復讐だとは思わなかったみたいです。
田舎の小学生のガキが仕掛けた可愛いイタズラだと思ったようで、みんなしてゲラゲラ笑ってました。
「さすが田舎のガキやな!一瞬マジで騙された!焦ったー」とかやたらと感心されて、私たちみんな誉められてる気がして「てへへ////」となり、なし崩しに彼らへの反感がなくなり(もちろん私も)、そのあとは一緒に遊んでもらった。
遊ぶと気のいい兄ちゃんたちだった。
とくに男子が兄ちゃんたちを気に入り、飛び込み岩に案内して度胸試しをしあったりして、めっちゃはしゃいでた。
夜はバーベキューをした。
夕方になっても名残惜しくて、「夜、花火するからおいでよ」と言われて舞い上がった私たちは、親にせがんだの。
「お母さん、花火とバーベキューするらしいねん!私も行きたい!」「いいけど学生さんらやろ?お前らのぶんのご飯まで無いやろー。お母さんが何か持っていくわ」と言って、母親同士で連絡を取り合い、大量のお握り、大量のジュース、大量の肉などを持って、川原まで持ってきてくれた。
Yくんの父親は張り切って、備長炭と鮎を運び、串刺しにして焼いてた。「都会の人やったらこういうの喜ぶやろ」と。
実際、喜んでた。
いちいち大袈裟に喜んでくれるのが嬉しかった。
あの夏、彼らは自覚もないまま、私たちガキんちょの持つ偏見を薄めてくれた。
んで、「また来年も来るわー!」と言って帰った。
私たちは、秋や冬や春に、ときたま彼らの噂をした。
で、翌年の夏、わくわくしながら待っていた。Yくんは父親に、彼らがいつ来てもすぐに鮎の準備ができるように頼んでたようだ。
去年と同じように川で遊びながら、新しいキャンパーが来ると、そのなかに彼らの姿を探した。
けど、その夏彼らは来なかった。
子供だった私たちには、他にも楽しい遊びがたくさんあって。遊んでたら楽しくて彼らのことなんて忘れてたけど。
けど、みんな少しだけ寂しかったのだ。
あの夏、私たちは、反感を持っていたはずの年上のお兄さんたちに「憧れ」という感情を覚えさせられた。
なかでもとくにYくんが。
みんな彼らのことをすっかり忘れた中学時代、Yくんが「なんでかあの時、ほんまに楽しかた。今でも忘れられへんねん」っていきなり懐かしそうに話したの。
田舎だからメンツは変わらない。みんな記憶を一気に呼び覚まされ、楽しかった思い出を語りあった。
あのころの夏その3
(続き)
仲間にはYくんというガキ大将みたいな男の子がいた。彼はヤンチャだけど、とても正義感の強い子だった。
Yくんは「仕返ししようや」と決然として言った。Yくんは同時、私たちの法律だった。彼の言葉は、従うべき言葉。
(ちなみに彼は、いじめっこな上級生から女子を助けるときに、「僕の女たちに手を出すな!」って珍名言を吐いたことがあります)
仕返しのアイデアはひょうきん者のSくんが出した。
「溺れてるふりしようよ。でさ、助けにきたら、もがくふりして川に引きずりこむねん」
みんなの目がキラッと輝いた。みんな泳ぎには自信がある。この川は私たちの庭なのだ。
ひとりだけまともに泳げないドンクサイ私は、助けを求める役を割り振られた。
恐るべし小学生。
集団で溺れるなんて不自然だと思わなかったし、まして後がどうなるかなんて、みんなまったく考えてなかったと思う。
私を除く数人が、川の真ん中まで泳いでいった。
しばらくしてからバシャバシャやりはじめた。
私は泣いてるふりしながら(さすがに涙は出なかったが)、パラソルの下で談笑してる大学生グループのところに走っていき、「たすけて!友達が溺れてる!」と言った。我ながら迫真の演技だった。なぜいまだにハリウッドからスカウトが来ないのだろう。
談笑してた大学生たちの行動は驚くほど早かった。「えっ?うわっ!助けろ!」などと言いながら、一人残らず脱兎の勢いで救出に向かった。
残された私はポカーン。ちょっと不安になった。
結果的には、すぐに、本当にすぐに、演技だってバレた。なにしろ溺れるふりしてるみんな、ヒーヒー笑ってたから。
「溺れる演技って難しいわ。顔がニヤケてくるし。大学生らが立ち上がってこっち来ようとしたとたんにHがブーッて吹き出したから、みんな吹き出してしもたわ」と、あとでYくんが言ってました。
迫真の演技だったのはハリウッド女優候補の私だけかい。
(続き)
仲間にはYくんというガキ大将みたいな男の子がいた。彼はヤンチャだけど、とても正義感の強い子だった。
Yくんは「仕返ししようや」と決然として言った。Yくんは同時、私たちの法律だった。彼の言葉は、従うべき言葉。
(ちなみに彼は、いじめっこな上級生から女子を助けるときに、「僕の女たちに手を出すな!」って珍名言を吐いたことがあります)
仕返しのアイデアはひょうきん者のSくんが出した。
「溺れてるふりしようよ。でさ、助けにきたら、もがくふりして川に引きずりこむねん」
みんなの目がキラッと輝いた。みんな泳ぎには自信がある。この川は私たちの庭なのだ。
ひとりだけまともに泳げないドンクサイ私は、助けを求める役を割り振られた。
恐るべし小学生。
集団で溺れるなんて不自然だと思わなかったし、まして後がどうなるかなんて、みんなまったく考えてなかったと思う。
私を除く数人が、川の真ん中まで泳いでいった。
しばらくしてからバシャバシャやりはじめた。
私は泣いてるふりしながら(さすがに涙は出なかったが)、パラソルの下で談笑してる大学生グループのところに走っていき、「たすけて!友達が溺れてる!」と言った。我ながら迫真の演技だった。なぜいまだにハリウッドからスカウトが来ないのだろう。
談笑してた大学生たちの行動は驚くほど早かった。「えっ?うわっ!助けろ!」などと言いながら、一人残らず脱兎の勢いで救出に向かった。
残された私はポカーン。ちょっと不安になった。
結果的には、すぐに、本当にすぐに、演技だってバレた。なにしろ溺れるふりしてるみんな、ヒーヒー笑ってたから。
「溺れる演技って難しいわ。顔がニヤケてくるし。大学生らが立ち上がってこっち来ようとしたとたんにHがブーッて吹き出したから、みんな吹き出してしもたわ」と、あとでYくんが言ってました。
迫真の演技だったのはハリウッド女優候補の私だけかい。
(続き)