素晴らしき哉、音楽その2
(続き)
ショパンで一番好きなのが幻想即興曲です。あとノクターンの二番と遺作が好き。
実にベタベタな趣味です。
ショパンのピアノ曲の入ったCDを買い集めたのは、高校時代でした。お小遣いをためては買っていた。父親のコレクションを探せばあったかもしれないけど、借りるのはイヤだったのだ。
所有したかった。
ある日、部屋でショパンを聴いてウットリしてたら、父親がガチャッとドアを開けて部屋に入ってきた。
「睦美ー、英和辞典貸してくれ」と。
ムードぶち壊された私は軽くムッとした。
てゆか、当時はまだ思春期の反抗期の終わりかけの時代で、父親が嫌いだったのだ。
「ノックぐらいしてよ!」と怒った。
父はピアノの音色に耳を澄ませて、「睦美、こんなもん聴いてたんか」と言った。
さらにムッ。
ショパンの何が《こんなもん》なのさ、と。
民謡の『うめぼし』なんて訳わかんないのを聴いて喜んでるお父さんに言われたくない。うめぼしだよ、うめぼし。普通タイトルで萎えるっつーの。
私はふと思いついて、父に、「この曲、誰のか分かる?」と質問した。
そのとき流れてた曲は、ショパンのピアノ曲の中でも無名な曲だった。練習曲の一つ。こんな無名な曲を聴いてショパンだと答えられる人はあんまりいないだろうなと思った。ましてや父親は、ショパンがあんまり好きじゃないみたいだし。
父はウーンと考えながら、目を閉じてしばらく耳を傾けていた。
そして目を開け、口を開いた。
「たぶん…アシュケナージ」
アシュケナージ??
誰それ??
私は「ぶぶー、不正解、ショパンです」と誇らしげに言おうとして、思いとどまった。
アシュケナージって、どっかで見たことがあるような気がする…。
CDケースを引っ張りだして、読んだ。
そこには、『演奏:アシュケナージ』と小さな字で書かれていた。
(続く)
ショパンで一番好きなのが幻想即興曲です。あとノクターンの二番と遺作が好き。
実にベタベタな趣味です。
ショパンのピアノ曲の入ったCDを買い集めたのは、高校時代でした。お小遣いをためては買っていた。父親のコレクションを探せばあったかもしれないけど、借りるのはイヤだったのだ。
所有したかった。
ある日、部屋でショパンを聴いてウットリしてたら、父親がガチャッとドアを開けて部屋に入ってきた。
「睦美ー、英和辞典貸してくれ」と。
ムードぶち壊された私は軽くムッとした。
てゆか、当時はまだ思春期の反抗期の終わりかけの時代で、父親が嫌いだったのだ。
「ノックぐらいしてよ!」と怒った。
父はピアノの音色に耳を澄ませて、「睦美、こんなもん聴いてたんか」と言った。
さらにムッ。
ショパンの何が《こんなもん》なのさ、と。
民謡の『うめぼし』なんて訳わかんないのを聴いて喜んでるお父さんに言われたくない。うめぼしだよ、うめぼし。普通タイトルで萎えるっつーの。
私はふと思いついて、父に、「この曲、誰のか分かる?」と質問した。
そのとき流れてた曲は、ショパンのピアノ曲の中でも無名な曲だった。練習曲の一つ。こんな無名な曲を聴いてショパンだと答えられる人はあんまりいないだろうなと思った。ましてや父親は、ショパンがあんまり好きじゃないみたいだし。
父はウーンと考えながら、目を閉じてしばらく耳を傾けていた。
そして目を開け、口を開いた。
「たぶん…アシュケナージ」
アシュケナージ??
誰それ??
私は「ぶぶー、不正解、ショパンです」と誇らしげに言おうとして、思いとどまった。
アシュケナージって、どっかで見たことがあるような気がする…。
CDケースを引っ張りだして、読んだ。
そこには、『演奏:アシュケナージ』と小さな字で書かれていた。
(続く)
素晴らしき哉、音楽その1
最近、音楽にちなんだ短歌を二つほど詠んだ。
名曲
■アレグロの鼓動と鼓動が重なって今ならどんな名曲よりも
春風
■春風が奏でるカノン 花たちはうずうずしながら順番を待つ
『名曲』の短歌のイメージはエロです。
アレグロとは速いテンポのこと。
つまり、二人の鼓動が速くなって重なってついに…(以下自主規制)
『春風』の短歌は超がつくほどのお気に入りです。
自己評価の高い歌にいまいち選歌がもらえないのは相変わらずで、みさを姉さんのコメントがオアシスのように私のブロークンハートを温めてくれました。
ちなみに輪唱のことをカノンとも言います。『かえるのうたがー』で有名なアレね。
『春風を指揮者にして花々が輪唱する』というイメージでしたが、きっちりとは形にはできず。いろいろ試して落ち着いたのがあの形です。
やっぱ『指揮』か『タクト』、どっちかの言葉を入れたかったもだなァ。またそのうち機会があれば作り直そっと。
最近また短歌づくりが超楽しい周期に入ってるよママン。
というわけで今日は音楽にちなんだ話をします。
私は音楽の素養は皆無に等しいんですが、父親はかなり音楽が好きです。クラシックと民謡が好きみたい。あと歌が上手いです。千の風に乗ってる人(名前忘れました)の歌をはじめて聞いたとき「ん?お父さん?」とほんの一瞬真面目に思ったぐらい上手い(一瞬ですが)。
娘の私は母親似で音痴なのに。
実家にはたくさんのCDがあります。父のコレクションです。
私も昔はピアノを習わされてました。レッスンがものすごく苦痛で、ピアノ弾くのなんか大嫌いで、それは両親にも分かったらしく、形になる前にやめました。
もう十年以上、ピアノには触れてもいません。きっともう、ねこふんじゃったぐらいしか弾けないだろーな。
かように音楽的素質のない私ですが、ただ、ショパンのピアノ曲は好きです。もちろん「弾く」のではなく「聴く」のが好き。ピアノを弾くのは嫌いでも、音色じたいは好きなのだ。オーケストラなどの重層的な音色よりも、単色の音に惹かれます。ピアノ、フルート、尺八、琴、木の横笛。とくに木の横笛は切なく、泣きたくなるほど美しい音色だと思う。胸が震える。ピアノはもっと広い。悲しみも切なさも楽しさも怒りも、ピアノならすべてを表現できる。
(続く)
名曲
■アレグロの鼓動と鼓動が重なって今ならどんな名曲よりも
春風
■春風が奏でるカノン 花たちはうずうずしながら順番を待つ
『名曲』の短歌のイメージはエロです。
アレグロとは速いテンポのこと。
つまり、二人の鼓動が速くなって重なってついに…(以下自主規制)
『春風』の短歌は超がつくほどのお気に入りです。
自己評価の高い歌にいまいち選歌がもらえないのは相変わらずで、みさを姉さんのコメントがオアシスのように私のブロークンハートを温めてくれました。
ちなみに輪唱のことをカノンとも言います。『かえるのうたがー』で有名なアレね。
『春風を指揮者にして花々が輪唱する』というイメージでしたが、きっちりとは形にはできず。いろいろ試して落ち着いたのがあの形です。
やっぱ『指揮』か『タクト』、どっちかの言葉を入れたかったもだなァ。またそのうち機会があれば作り直そっと。
最近また短歌づくりが超楽しい周期に入ってるよママン。
というわけで今日は音楽にちなんだ話をします。
私は音楽の素養は皆無に等しいんですが、父親はかなり音楽が好きです。クラシックと民謡が好きみたい。あと歌が上手いです。千の風に乗ってる人(名前忘れました)の歌をはじめて聞いたとき「ん?お父さん?」とほんの一瞬真面目に思ったぐらい上手い(一瞬ですが)。
娘の私は母親似で音痴なのに。
実家にはたくさんのCDがあります。父のコレクションです。
私も昔はピアノを習わされてました。レッスンがものすごく苦痛で、ピアノ弾くのなんか大嫌いで、それは両親にも分かったらしく、形になる前にやめました。
もう十年以上、ピアノには触れてもいません。きっともう、ねこふんじゃったぐらいしか弾けないだろーな。
かように音楽的素質のない私ですが、ただ、ショパンのピアノ曲は好きです。もちろん「弾く」のではなく「聴く」のが好き。ピアノを弾くのは嫌いでも、音色じたいは好きなのだ。オーケストラなどの重層的な音色よりも、単色の音に惹かれます。ピアノ、フルート、尺八、琴、木の横笛。とくに木の横笛は切なく、泣きたくなるほど美しい音色だと思う。胸が震える。ピアノはもっと広い。悲しみも切なさも楽しさも怒りも、ピアノならすべてを表現できる。
(続く)
辰吉かこいいよ辰吉その2
38歳の今でも現役でボクシングしてるなんて、当時誰が想像しただろう。あの無茶苦茶に打ち合うプレイスタイルは、体へのダメージが大きいはずだ。実際すでにパンチドランカーの症状がでている。長命ボクサーを目指すなら、逃げるプレイスタイルを続けるべきだったのに。彼は常に目の前しか見てなかったんだろうなと思った。
今日見た辰吉には、現役時代の面影はなかった。弱かった。
スピードもない。キレもない。パンチに重さの欠片も感じない。
私はずっと、泣きながら見てた。
最後まで見届けなきゃ、と思った。カットしてるテレビ局に抗議したくなったほどだ。無様だった。でもかっこよかった。
いまどきこんなスポーツ選手がいるだろうか。彼はまだボクシングをするのだろうか。しそうな気がする。生涯現役なのだろうか。リングで死ぬつもりなんだろうか。
奥さんはどんな気持ちでいるんだろう。奥さんのるみさんは相変わらず綺麗でチャキチャキの大阪っ子で、10年前のインタビューと同じことを話していた。笑顔は10年前より多かった。
私が号泣したのは、衰えた辰吉が悲しかったからじゃないんだよね。それもちょっとはあるけど、そんなの分かってたことだし。
彼の生きざまや発言を正しいと思ったわけでも間違ってると思ったわけでもないんだ。
なぜ泣いてるか分からなかった。
どう書いても陳腐になりそうで、この感情を文字化できないんだよね。
今日だけはTBSにありがとうを言いたい。辰吉を見せてくれてありがとう。
できたら日テレと共同で番組作ってほしいよ。過去の映像はぜんぶ日テレが持ってるはずだし。
だいすきだよ辰吉。
今日見た辰吉には、現役時代の面影はなかった。弱かった。
スピードもない。キレもない。パンチに重さの欠片も感じない。
私はずっと、泣きながら見てた。
最後まで見届けなきゃ、と思った。カットしてるテレビ局に抗議したくなったほどだ。無様だった。でもかっこよかった。
いまどきこんなスポーツ選手がいるだろうか。彼はまだボクシングをするのだろうか。しそうな気がする。生涯現役なのだろうか。リングで死ぬつもりなんだろうか。
奥さんはどんな気持ちでいるんだろう。奥さんのるみさんは相変わらず綺麗でチャキチャキの大阪っ子で、10年前のインタビューと同じことを話していた。笑顔は10年前より多かった。
私が号泣したのは、衰えた辰吉が悲しかったからじゃないんだよね。それもちょっとはあるけど、そんなの分かってたことだし。
彼の生きざまや発言を正しいと思ったわけでも間違ってると思ったわけでもないんだ。
なぜ泣いてるか分からなかった。
どう書いても陳腐になりそうで、この感情を文字化できないんだよね。
今日だけはTBSにありがとうを言いたい。辰吉を見せてくれてありがとう。
できたら日テレと共同で番組作ってほしいよ。過去の映像はぜんぶ日テレが持ってるはずだし。
だいすきだよ辰吉。