そのアニメファンに絶大な人気を受けたのが、1974年に放映された「宇宙戦艦ヤマト」である。
 ヤマトというのは不思議な作品である。
 アニメ界の流れというものからほとんど関係なく、突然変異的に生まれてきた作品だった。
 あえて言えば同じプロデューサーによる「海のトリトン」がその前駆的作品だった。
 「海のトリトン」は富野喜幸のデビュー作でもあり、原作手塚治虫でもあり、虫プロ系の作品と言えないことも無い。
 ストーリーは原作をほとんど無視していたが。
 1977年の「再編集版ヤマト」の大ヒットにより始まった「アニメブーム」。
 「アニメージュ」等のアニメファンを対象にしたアニメ雑誌の創刊など、アニメは新しい若者文化として産声を上げたのである。
 では「巨大ロボットもの」というのは、いかなるジャンルであったかというと、安い制作費で高い収益を上げられる、崩壊した東映動画の残骸などにとってはありがたいジャンルだった。
 こうしてアニメ界の最底辺ジャンルとして70年代前半生まれたのである。
 しかし巨大ロボットものは人気だった。
 子供達だけで無く、70年代に生まれた「アニメファン」という十代のファンにとっても人気だった。
 70年代を特色づけるものはこの「アニメファン」の誕生である。
 その始まりはおそらく「太陽の王子ホルスの大冒険」ファンクラブであろうと思われる。
 一つの作品を対象としたファンクラブが作られたのが「アニメファン」の成立であろうと思われる。
 崩壊した東映動画、虫プロの二つの流れであったが、そこにいたスタッフ達は夢を忘れていなかった。
 夢とは「良いアニメを作ること」であった。
 70年代とは、彼らの苦闘が実を結びだした時代でもあった。
 まず東映動画の流れから、高畑勲、宮崎駿らによる1974年「アルプスの少女ハイジ」の大ヒットが生まれ「名作もの」というジャンルが生まれた。
 「名作もの」はアニメ界の最高のジャンルになり、制作費、制作スタッフでもAランクのジャンルになった。
 この名作物の中から虫プロ系の出崎統による1975年「ガンバの冒険」1978年「家なき子」1979年「宝島」が生まれた。
 高畑勲は、1976年「母をたずねて三千里」1979年「赤毛のアン」という傑作を作り上げた。
 「名作もの」に次ぐアニメ界のジャンルは「マンガ原作もの」だった。
 出崎統は1970年「あしたのジョー」1973年エースをねらえ!」といった、マンガ原作ものの傑作を生み出した。
 TVアニメ「beatless」をきっかけとして長谷敏司という作家を知った。
 面白そうだ。
 日本SF界にもようやく面白い作家が現れたような気がする。
 まあ日本SF界を嫌って全くフォローしてなかったから、面白い作家が現れても気付かない可能性は考えてはいたが。
 TVアニメ「BEATLESS」を見た。
 22世紀初頭を舞台に、高度にロボット化された社会を背景にしたかなり本格的な近未来社会派SFの匂いがする。
 原作の掲載誌がNEWTYPEということだから日本SFにありがちなアニメを馬鹿にするような要素も無いだろうしね。
 ちょっと期待してしまっている。
 もうひとつは虫プロの崩壊である。
 虫プロの崩壊は必然だったと言えよう。
 なにせ、TVアニメの制作費がペイ出来ない額でTV局に売っていたのである。
 その赤字は手塚治虫のポケットマネー(マンガの収入)で補っていた。
 ポケットマネーがつきたら終わりである。
 この制作費がペイ出来ない額でTV局に売るというのはアニメ界の根本的な悪習としてその後、たたり続けることになる。
 日本のアニメの歴史を語ろうと思うと、政岡憲三や戦時中の「桃太郎海の神兵」あたりから語らねばならないが、それは次の機会に譲るとして、日本アニメが巨大な「産業」となった二つのエポックから書いてみよう。
 ひとつは1958年の東映動画による劇場用アニメ「白蛇伝」であり、もうひとつはその5年後1963年のTVアニメ「鉄腕アトム」である。
 正確に言うと鉄腕アトムの登場で、安い制作費でTVアニメの制作を余儀なくされたときに東映動画の崩壊は始まっていた。
 しかし、東映動画の本格的な崩壊は、1968年の高畑勲のデビュー作、映画「太陽の王子ホルスの大冒険」と、その商業的失敗により高畑勲が東映動画で干されたのが始まりと言って良いだろう。
 映画マジンガーZをきっかけにして、70年代TVアニメについていろいろと思い出してきた。
 それらについて書いてみようと思う。
 70年代TVアニメは、アニメ界の二つの流れが崩壊した後の残骸から始まるということだ。
 それは虫プロの流れと東映動画の流れという二つの流れだった。
 前者を代表するのが出崎統、富野喜幸。
 後者を代表するのが高畑勲、宮崎駿である。
 自然エネルギー財団で、2018年1月4日に「脱炭素をめざす世界の流れに日本からの参加を」という年頭コラムが書かれました。
 それによると、2017年から2040年までの世界の電源別設備容量の純増加量(年平均)は、自然エネルギーが160GW、石炭火力は17GW、原子力発電は4GWの予測であるとのこと。
 自然エネルギーがダントツであることが判ります。
 まあ原子力発電がわずかでも増えるというのは不快ではありますが。
 一方、我が日本では2015年の今となっては古色蒼然たるデータを元にして、原子力発電は火力発電や自然エネルギー電力より安いというキャンペーンをやっているそうです。
 しかもそのデータも、欧米の原発の半額以下であり、巨大地震や火山噴火など特別のリスクを抱える日本での原発新設が、なぜ欧米の半分以下のコストで可能なのか、その説明は行われていないとのことです。
 このままでは、日本は高い電力を使わされて競争力を失うことになるのではと心配されています。
 そこで自然エネルギー財団は、原発と石炭火力から自然エネルギーへの転換を加速する取り組みを進めていくということです。
 下の1.77セントというのはメキシコです。
 他にサウジアラビアで1.78セントというのがあったとのこと。
 共に気候に恵まれている国だが、それにしても凄いな。
 日本はここまで安くはならないとしても、今の電気代の数分の1になる可能性はあると思われる。
 電気会社が邪魔しなければ。