振り返りついでシリーズ:2019年GPスケートカナダという大会 | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

振り返りついでシリーズ第三弾です。

 

同シリーズの記事はこちら:

 

振り返りついでに:2018年オータムクラシックから2019年さいたまワールドまで

 

 

振り返りついでシリーズ:2019年オータムクラシックから始まったシーズン

 

 

 

 

。。。と貼り付けてびっくりしたんですが、えらくファンシーになってますね、サムネイルまで付いちゃって。

 

まあ、とにかく続きです。

 

 

2019年のオータムクラシックは、直前にトロント国際映画祭での通訳と、直後に夫とのイタリア旅行に挟まれて、それはそれは忙しい大会となりました。

 

それに比べると、ゆっくりと準備を進めて、体調も整えて挑んだGPスケートカナダはとても余裕がありました。

 

ケロウナという地は、2014年にもGP大会を開催したところで、個人的にはとても良い印象を持っていました。あの時は無良選手が見事に優勝を果たし宮原選手も三位に入るなど、日本勢が大変頑張ったのでした。

 

そんなわけで今回の遠征をとても楽しみにしていた私です。ただ、ホテルは2014年の場合が会場の真向かいであったのに比べて、少し離れたところに位置しており、シャトルを使うことになりました。現地に到着したのが水曜日、それから翌週の月曜日までこのホテルが拠点となりました。

 

 

 

 

朝早く、まだ暗い時分から一日分の支度をして、夜は遅くまで出っぱなし。でも7シーズン目ともなると、こういったルーティンがとても心地よくなります。

 

メディアセンターでは、「ついこの間お会いしましたね感」満載の日本のライターさんやカメラマンさんたちと再会。ケロウナの近辺はワイナリーなどがたくさんあるので、皆さん、観光もなさった様でした。前の週のスケートアメリカから直行した、という記者の方もいらして、本当にシーズン中は休みなし、という過激なスケジュールをこなすメディア関係者は多いのです。

 

ホテルのロビーでは味の素のスタッフの方々ともお会いしました。私が大会の場でお見かけするのはおそらく初めてだったと思うのですが、もしかするとそれは羽生選手がカナダのGP大会に参戦するのが三年ぶりだからであって、平昌前からこうやってずっと大きな試合にはサポートにいらしているのかも知れません。

 

 

それにしても、2019年のケロウナ大会は色んな意味で忘れがたい、素晴らしい試合となりました。

 

何と言っても羽生選手が四度目の出場で、初優勝を飾ったこと、これが最高の思い出です。

 

一番、最初のセントジョン大会では当時の王者、パトリック・チャンに次いで二位。あの時の表彰式では台から降りて周回する際に思いがけず、メダルの留め金が外れて氷の上に落っこちたのでした。そのハプニングを面白そうに(三位になった)織田選手と話しながら、裏に戻って来て「でも銀だからいいや。首にかけるのは金メダルだけ!」と、まだ少年っぽさの残る羽生選手が言ったセリフが懐かしい。

 

その言葉通り、ようやくGPスケートカナダの金メダルを首にかけた羽生選手の輝くような笑顔を観ることが出来て良かったです。

 

 

2019年GPスケートカナダ(ケロウナ大会)

カナダ連盟メディアチーム撮影

 

 

 

Photo by David Carmichael (2019, GP Skate Canada, Kelowna)

 

 

そしてこれも嬉しかったのが、カナダのテレビ局TSNによる勝者インタビュー。SP・FSともTSNのブースに呼びこまれて、コメントを求められていました。

 

レポーターのサラ・オルレスキー嬢が徐々ににじり寄って行ってるのが見て取れます。

 

 

(↑ こちらはテレビ放送を録画したものの画面撮りですが、最高の表情)

 

 

(大会の模様については、当時の記事にけっこう詳しく書いていますのでそちらをご参照ください:

2019年GPスケートカナダ(ケロウナ大会):公式練習日です

から始まって、延々と続きます。)

 

 

2019‐2020年シーズンのGP大会初戦となるスケートカナダには、羽生選手自身が大きな覚悟を持って挑んだ、ということが試合明けの囲み取材で明らかになりました。オータムクラシックからスケートカナダまでの数週間、考えるところはたくさんあったでしょう。それでも今一度、自分の信念をぶつけて、どんな結果が出るのか見てみたい、と思ったと語っていましたね。そう開き直ったからか、羽生選手はケロウナで終始、貫禄と落ち着きのオーラを放っていて、自信に満ちているのがはっきりと感じられました。

 

特にフリーでは最後のポーズを決めた後、さいたまワールドの時と同じく右手の拳を突き上げましたが、その表情には余裕があり、コーチたちに向けた目には笑みが含まれていました。

 

何というスケーター。何というアスリート。

 

もうこれ以上は高く昇れないだろう、とハラハラ見守る私たちにお構いなく、ヒョイ、と次の階段に跳び乗ってしまうのです。

 

 

 

Photo by David Carmichael (2019 GP Skate Canada, Kelowna)

 

 

 

そんな(良い意味での)肩透かしを食らったような経験を、これまで何度、して来たことでしょうか。

 

確かにキャリアが進んでいくにつれ、若い時の様な無茶は出来ないかも知れません。身体的な面でも、メンタルの面でも、エネルギーを上手く配分して使い、そしてまた蓄積する必要があるのでしょう、

 

しかしエネルギーが十分に蓄えられている時の羽生結弦に勝るスケーターは未だにいない、と私は思っています。なぜなら彼はフィギュアスケートの技術面に関してはもちろん、試合運びに関する知見を誰よりも積み重ねてきているから。そして何のために滑るのか、を明確に見据えた時の彼は誰よりも強いから。

 

 

そのことを見せつけられたのが、あのケロウナでのGPスケートカナダ、という試合でした。

 

 

(しつこいですが、あと一つだけ、「エピローグ」的な記事を書きます)