東京工科大学三上浩司のブログ -9ページ目

メディア専門演習ゲーム制作2013S「あいわなび~ふれんず」

友達を作る天使の話.

主人公は堕天使,天使たちを助けて友達にする3Dアクションパズル.
(堕天使は天使の世界にはいないよね・・・)

小人が現実世界でうごめくゲームは過去にもありましたね.その楽しさがどこにあるのかを
ぜひ検討して実現する必要がありますね.
10㎝の身長の天使からみれば,階段の段差すらそびえたつ壁になります.
2Lのペットボトルはお台場のガンダム像なみにでかく感じるだろうね・・・
現在のプレイ画面イメージだと,60㎝ぐらいの設定に感じますね.

どんなアクションがあるの?どんなパズルがあるの?
今のままだとパズルではなく,作業とか手順じゃないの?
隠れる場所はステージを見ればすぐにわかるので,あっという間に想像がついてしまう.
沢山ステージを用意するのもいいですし,場所はわかっても状況が異なると解法が全く異なるなど工夫が必要.
プレイヤーは何ができるのか?できることとできないことを組み合わせて,謎を解くようにできないとダメ.


ライバルがゲームの一部のパートということは,あまりターゲットにならない可能性が高いです.
きちんとこのゲームのコンセプトがメインコンセプトになっているターゲットを考えるべき.

メディア専門演習ゲーム制作2013S「アンブレイラー」

アンブレイラー


傘を使ったアクションゲーム
中二病要素をもった横スクロールアクション(オブジェクトは3Dで作成).

デザインがすすんでいるおかげでゲームイメージが出やすいのはイイですね.

中二病的な遊びとしては,カラスの糞をよけているのに,ガーゴイルの炎をよけるような感じ.
(いっそのこと,偏光グラス使って,プレイヤーには中二の世界,外からプレイを見ている人には現実の世界が見えているようなアホな世界観を作っても面白いかも・・・)

どうやら,ゲームの中で何かのゲージによって現実世界と中二病世界を分けるようです.
これを具体的にどう表現するかがこのゲームの肝のような気がします.

最終的に何を達成すればこのゲームはクリアになるの?ただ,ゴールにつくだけ?
倒さなければいけない敵とか,達成しなければいけないなにかがあるの?
そして,その場合はプレイヤーはなぜその行動を起こさなければならないの?

厨二病でやるなら,CEDEC2012のゴッドーター2の河野さん講演資料をチェックすべき.

メディア専門演習ゲーム制作2013S「ストレスエクスプロージョン」

凡骨NO意地
ストレスエクスプロージョン




ストレス発散アクションゲーム.
ものを壊すという微妙な反社会的な点に関してはまずどうしても気になる.
それに対して,「ストレス解消サービス」という設定をしたのは一つのアイデアではある.
(「トータルリコール」みたいな感じね・・・)
ただしその場合でも,ものすごく管理化された相当バーチャルな世界観など,現実よりも
だいぶ飛躍した世界観を作るほうが反発を招きにくい.
(設定がこれだから許して・・・といいうのは作っている人の言い訳になってしまうからね)
いっそのこと,Disneyとかのアトラクションのように,強制的に動くトロッコのようなものからプレイさせたり,動く床でプレイさせるなど,「サービス」であることを意識するといいですね.

わざわざそれをやり,批判を受ける覚悟(マーケットが小さくなる覚悟)がありますか?
この班の使っている爽快感や達成感は具体的な説明が入っているので良いと思います.
具体的なイメージがないままXX感という言葉を使うと危険ですがこれはOK
ライバルとなるゲームをどう超えるのですか?似ている

提出物がないというのはその時点でNG
ただ,面白いゲームを作るだけなら仲間内やサークルでやってください.
ここは,企業の合同企画コンペで,優れた作品にのみGreen Lightが灯る場だと思ってください.

日が変わってしまいましたが旅立つ卒業生のために・・・

まずは卒業おめでとう.今日を境に飛びたっていくみなさんの前途を見守っております.

長い学生は丸々4年間(修士なら6年間)私の下で学んだ学生もいると思います.振り返れば無理難題ばかり投げかける先生だと,首を絞めたくなった人もいるのではと察しますw.

しかし,今だからいうことですがそうしなければいけない理由があったわけです.

世間一般では,「XX世代」と若い世代をひとくくりにして一蹴するする傾向があります.これは,今に始まったことではなく,「古くはエジプトで見つかった壁画にも書かれていた」なんて,都市伝説に近い話(確固たるソースを確認していないので・・・)もあるほどですから,慣用句程度にとらえましょう.
しかし,現実として,ビジネスの現場がどんどん革新し,ニーズが変化している一方で高等学校の教育や受験システムが変化しない以上,その軋轢が大学にやってくるのは当然です.
そのため私は口癖のように,私のプロジェクト下ではものさしは産業界の基準であるといい続けてきました.大学独自の基準,学生レベルではなく,常に産業界の基準と照らし合わせて,そのレベルに到達するための自発的な試行錯誤を皆さんに課したわけです.だから皆さんにとって「無理難題」と感じるのは当然かもしれません.でも,皆さんの先輩たちは,この無理難題を科している私の話を当たり前のようにうなずきながら聞いて,皆さんを応援します.先輩たちはめちゃくちゃ優秀で無理難題をパーフェクトにこなしたのでしょうか?違います(すまぬ先輩たち).できたこともありますし,できなかったことも多くありますが,無理難題が日常的なことだと気付いただけなのです.いつも無理難題とともに過ごすのが当たり前なだけなのです.

無理難題なことが横たわっているのが当たり前だから,私は課題を与えても「できないことを責めない,やらないことを責める」のです.初めから簡単なゴールは設定しない訳ですから,できるかできないかは重要な問題ではないのです.重要なのはできるようになるために,どれだけのアイデアを考えたのか.実践したのかです.そして,やらないなんて論外です.やらないということは自分にできることが何なのか,自分にできないことが何なのかを知る機会を避けていると一緒です.知識や経験の少ない中で新しいものに取り組むというのは,見知らぬ場所から目的地へたどり着くのと一緒なのです.避けていたら一歩も進まないのです.

私とともにプロジェクト演習から4年間(6年間)過ごした学生はこれを在学中ずっと自分に投げかけていたと思います.卒業研究の学生は2年とか1年半,修士からの学生も2年,こうした環境のなかで,自ら問題発見し,解決をすることを進めてきたわけです.そして,卒業式の日も言いましたがその成果の大小はあっても,何らかの解決をした人だけが私のもとを卒業していくのです.ほかの研究室はもっと楽だったとか比較する人もいるでしょうが,産業界でも通用する学士力(大卒としての力)を有するには,必要なことなのです.
 社会人になってすぐにはこの力を発揮することはないかもしれませんが,経験をつみ,プロジェクトの中核を担うようになれば,きっとその意味が分かると思います.それまでは,「見知らぬ場所」を「自分の領域」にするために,自分の配属された部署の仕事や関連する部署の仕事などを幅広く知るようにしましょう.

 メディア学部という学部は横文字で一見ふわふわした印象を受けるかもしれません.しかし,その設立の時から,同じ学校法人にあった専門学校との差別化を考え,皆さんが目指すようなゲーム産業や映像産業の技術的基盤を担い,その将来を開拓できる人材を生み出すことを常に念頭においてきました.その教育方針は長い時間と皆さんや先輩たちの成果を経て産業界や教育の現場からも認められるものとなりました.皆さんは,異なる素養を持つ人たちと的確にコミュニケーションできます.難しい環境下でも,作品を完成させるためにあらゆる試行錯誤ができます.決して手詰まりにならず,困難な状況を打開するための提案をし続けられます.道具がないなら道具を作れます.足りないリソース(資源)があればそれを交渉してどこかから持ってくることができます.

 いま,まさに社会へ向けて羽ばたこうとする,皆さんは案ずることはありません.もうすでに多くの先輩たちがこの分野で活躍しています.臆することなく挑戦を続けてください.
 新しい時代を切り開くのはいつも新しい人材です.それはもはや,我々が味わうことのできない経験を皆さんが幼少のころからしているわけです.未来の基準を持っているのは実に皆さんなのです.皆さんはその時代切り開くために,私から旅立っていく,わが子のようなものです.
知っている人も多いですが,わが子の名前は「颯万」といいます.GDCの開催されるサンフランシスコのクリエイティブなSOMA地区(South of Market)の韻を踏んでいます.そして,漢字には「万(よろず)のことに波風立てることを厭わん」という意を込めています.これは皆さんにも同じ期待をしています.
 絶え間なく自らを研鑽し,創造的な発想を持ってください.そして,その発想を主張し,これまでの枠組みをはみ出すことに対しても億劫にならないでほしいです.

 近い将来,先輩たちと同じように,皆さんがCEDECやTGS,InterBEE,東京国際アニメフェア,GDC,Siggraphの講演者として名を轟かせる日を心待ちにしています.その時初めて,私の仕事の本当のゴールが訪れます.

2013年3月31日

Global Mathプロジェクトベータ版

今日はベネッセさん,東京大学BEATプロジェクトとの共同プロジェクト「Global Math」プロジェクトのベータ発表です.

参加している学生は,プロジェクト演習で3年間エンタテインメント向けゲームを開発してきた学生たちです.
一つのゲームをチームメンバーと共同して,試行錯誤して作り,外部からの評価も受けたり,GGJにも参加した学生たちなので,数学教育をゲームに落とし込むという点でも実に力を発揮してくれています.成長が感じられてうれしい限りです.

以下それぞれの作品の紹介です.

「ロジモン」
横スクロールのロジックアクションゲーム.細部まで作りこまれていてベータ版として十分なものができています.ここから煮詰めることでどんどん良くなっていくと思います.
ちょっとルールの把握に時間がかかりましたが,チュートリアルも準備してあるのでそれをうまく使えばいいですね.

「関数魔球」.
野球をモチーフに関数を題材にした数学ゲームというのが当初の企画.
関数のパラメータをいじって座標の中の特定の点を通過するようにするゲームで,ベータ版はあんまり野球のモチーフはないのですが,これはこれでもいいと思います.
インタフェイスはもっと検討が必要だと思いますが,実にテーマに沿って素晴らしい発想だと思います.

「恋より証拠」
クラスNo.1のイケメン男子のお相手となるべき女の子を論理的に探り当てていくシナリオ駆動のロジックゲーム.
問題の出し方をうまくしないと単純なゲームしかできないので,消去法しか使えなかったり逆説をうまく使ったりするなど工夫するといいと思います.

「先読み探偵」
複数の異論犬られた盤面を移動する怪盗の奇跡の色が表示されるので,それをもとにどこにいるのかを推測するゲーム.決まりを見つける推察力をテーマにしています.
一人で開発しているので大変ですが音楽やSEもがんばりましょう.
難易度調整が難しいですが,自分の持っているイラストや写真も使えるといいですね.