横溝慎一郎行政書士合格ブログ   -1397ページ目

最近話題の「住民投票」を学ぼう

「政治と金」の問題は、いつの時代も避けて通れないものです。

「政治資金規正法」については、当ブログでも予想していた通り、2014年度試験に出題されました。
出てしまったので、今年は出題される可能性は低いでしょうね。

しかしこれだけ現職の大臣や総理大臣に、「政治と金」の問題が発覚するなかで、安倍総理の責任を問う声が高まってこないというのは、不思議ですね。
レームダック状態になってもおかしくないくらいの状態なのですが。

さて、私が今年の試験において政治分野で今年注目しているのは、「住民投票」ですね。

たとえば、与那国島への陸上自衛隊の配備に関する住民投票が行われたというニュースをご存知の方は多いと思います。


与那国島での住民投票も、与那国町議会で制定された「与那国島への「自衛隊基地建設」の民意を問う住民投票に関する条例」に基づいて行われています。

そして、その条例の中で、投票結果について「町民の意思が正しく反映されるよう努めなければならない」としていますので、拘束力はないことが前提になっているということです。

結果は報道されていたとおり、賛成派が多数を占めました。

もうひとつ話題になったのが、埼玉県所沢市で行われた住民投票です。
こちらは、住民投票を行うための条例が、直接請求で制定されました。
直接請求は地方自治法で学ぶ重要論点のひとつとして、2014年度試験でも問われています。

条例の制定改廃を求める直接請求は、まず所沢市の有権者の50分の1以上の連署を集め、所沢市長へ請求することが必要です。

請求を受けた所沢市長は、20日以内に市議会を招集。
市長としてこの請求に対する意見を付けて議会に付議します。

所沢市議会は、「防音校舎の除湿工事(冷房工事)の計画的実施に関する住民投票条例」を制定し、住民投票が行われました。

住民投票の結果については、この条例のなかで「市長および市議会は住民投票の結果を尊重しなければならない」とされています。
ただ「投票した者の賛否いずれか過半数の結果が投票資格者総数の3分の1以上に達したときは、その重みを斟酌しなければならない」として、より一層結果に沿った対応をするよう促しています。

2月15日に投票が行われ、賛成票が反対票を上回りましたが、住民投票の投票率は31.54%にとどまり、賛成票は投票資格者総数の3分の1に達しませんでした。

このように、住民投票は案件ごとに個別に条例を制定し、結果に関して拘束力をもたないことが前提になっていることが多いのです。
また所沢市のケースのように、一定数の票が集まっていない限りは、住民投票の結果を事実上無視してよいとする一文が入っていることが少なくありません。

もっと露骨な場合は「住民 投 票は  投票 し た 者の 総 数が 投 票資 格 者 の総 数 の2 分 の1 に 満 たな いとき は 、成 立 しな い も のと す る。」といった一文が入っている場合もあります。いわゆる「50%ルール」というものです。

東京都小平市における「東 京 都の 小 平都 市 計 画道 路 3・ 2 ・8 号 府 中所 沢 線計 画 につ い て 住民 の 意思 を 問う住 民 投票 条 例 」がその例です。
2013年に行われた住民投票では、投票率が約35%だったため、住民投票は不成立だとして、開票すら行われませんでした。

こうした対応は「住民自治」という観点から疑問を感じるところがあります。

「50%ルール」の導入を議会で否決し、住民投票を行ったケースとして、埼玉県北本市で2013年12月に行われた住民投票があります。

これはJR高崎線の新駅を市の予算で新設するという案件に関するものでした。

この住民投票に関する条例は市長からの提案で議会が制定。面白いのは市長も議会の多数派も、新駅建設推進の立場であったのですが、「50%ルール」は導入せず、さらに市長はこの住民投票の結果に従って建設するかしないかは決定するという姿勢をみせたということです。

住民投票は、投票率が62%に達し、反対票が賛成票の約3.2倍という結果になりました。
この結果にしたがって、新駅建設という市の方針は白紙撤回されています。

以上のケースはいずれも「個別型住民投票条例」を制定し対応したものです。

一方「常設型住民投票条例」を制定している市町村もあります。

「常設型」とは、テーマを問わず、住民投票を行うときの共通ルールを定めているということです。

最初に常設型の住民投票条例を制定したのは、新潟県西蒲原郡巻町(現新潟市)です。

1982年に原子炉設置許可申請が東北電力から出されたのをきっかけに町では反対運動が行われ、推進派の町長と激しく対立しました。

1995年に「巻原発・住民投票を実行する会」が自主管理投票を行い、反対派が圧勝。
町議選挙でも、住民投票条例制定賛成派が多数を占めました。

その折、建設予定地を東北電力に売却しようとしていたことが発覚。
売却を主導した町長への反発が強まり、町長の解職請求を行うための署名運動も始まり、その結果町長が辞職します。

その後「実行する会」の代表であった笹口氏が町長に当選し、1996年8月に巻原発建設の是非を問う住民投票が実施されました。
その結果、反対票が6割を占め(投票率89%)反対派が圧勝。
その後笹口町長が建設予定地を反対派に売却したことをめぐり訴訟に発展しますが、この訴訟でも推進派は最終的に敗訴。
2003年に東北電力が建設断念を正式に表明しています。

さらに、住民投票においては、「住民」の意思を問うという観点から、投票資格を有権者に限らないとしているケースも多くみられます。

与那国町のケースでも、島の将来の問題だからと、中学生に投票権を認めていました。

また外国人に投票権を認めているケースも多くみられます。

外国人も定住している場合は地方自治法上の「住民」ですので、条例で認めることは何ら問題ありません(外国人に選挙権を与えることと混同しないこと)。

政令指定都市では、広島市と川崎市が外国人に投票資格を認める条例を制定しています。

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最後にマニア向け画像です(笑)。

コートは8年前に買ったLANVANのもの。物持ちの良さが自慢です。
靴はパラブーツ。パンツはTOMORROWLANDです。
あと鞄は今年買ったコーチのもの。
どんだけグリーン好きなんだというコーディネートですね。

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みなさんこんにちは。

「合格後も先生の講義を聞きたい。そう言われるプロ講師」横溝慎一郎です。

合格講座平日クラスで「行政代執行」の話をしました。
そういえばひと月くらい前の記事で、代執行のことを書いたものがありましたね。
その記事はこちら。
代執行の実際の事例を紹介している記事なので、確認しておきましょう。

行政代執行法については、やはり1条の内容を正確に理解しておくことが重要です。

「第一条  行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。」

この規定はまず「行政上の義務履行確保に関しては・・・この法律の定めるところによる」という箇所に注目してください。

「行政上の義務履行確保」の手段=「行政上の強制執行」の根拠は、まず「行政代執行法」であるということを示しています。
これが、「行政代執行法が行政上の強制h執行の一般法」といわれる理由です。

「行政上の強制執行」には、代執行のほかに、執行罰、直接強制、強制徴収があります。

「行政代執行法」という名称からもわかるように、この法律が直接定めているのは、代執行のルールです。

そこで、執行罰、直接強制、強制徴収については、「別に法律で定める」ことになるのです。

「別に法律で定める」という文言の「法律」は文字通り「法律のみ」を指しています。

つまり、「行政上の強制執行」の根拠は、かならず「法律」によらなければならない、ということですね。

つぎに2条を見てみましょう。

「第二条  法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。」

本条の「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)」という箇所に注目してください。

これは明らかに「義務を課す」場面の話です。
いわゆる「代替的作為義務」のことですね。

「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)」とされているので、2条以下の条文において「法律」と書いてあったらすべて「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む)」と読み替えなければいけません。

「以下同じ」とされている以上、1条は含まれません。

したがって1条の「法律」は文字通り「法律」のみを指すのです。

一方代替的作為義務を課す場合の根拠は「法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む)」となる。

これは頻出事項ですので、しっかり覚えておいてください。

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受講生さんにはサインをする立場なのですが、中山マコトさんにはサインをしてもらう立場だったりします(笑)。

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ということで、3月15日16日に行われる新刊発売記念無料WEBセミナー「あなたらしく無理せず始めるマイスタイル起業法」のお知らせです。

行政書士として開業する場合でも、「まずはあなたの売れるものを見つけよう」というのはとても大切なことです。

中山マコトさんは、ここで「売り物」ではなく「売れるもの」という表現を使いました。

ここに非常に重要なポイントがあるのです。

本書P74にその理由が書かれていますので、ぜひ読んでみてください。

あと、合わせて読むことをお勧めしたいのが、こちらです。
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発売当時に書いた紹介記事がこちら。

ところでNEWS23で見たのですが、「道徳」が教科として導入されるのだそうですね。
導入を控えて現場で試行錯誤を続ける先生たちの取り組みを紹介していました。

「シンヤくんが赤い絵の具を貸してほしいといってきました。ただそれは今回が3回目です。あなたなら貸しますか?」

こんな質問に対して小学校低学年の児童たちがあれこれ考えながら自分なりの考えを発表しあう、という模擬授業をしていたのですが、これあなたならどう答えますか?

この質問を作った先生は「相手を思いやる気持ちがあるか」を一つの評価基準とし、絵の具を貸すかどうかはどちらでもよいとしていたようです。

子供たちで話し合いながら、お互いの考えを知っていくというのは、とてもよいことだと思います。

ただ、そこから児童をどのように評価していくのか?

これは極めて難しい。

先生にそれなりの力量がないと、結局先生の望む回答に児童を誘導してしまう危険性が高い。
露骨に誘導しなかったとしても、児童が先生の考えに迎合してしまうことはあるでしょう。

いずれにしても多様な価値観をはぐくむことができなくなる恐れが大きいと思います。

このニュースを見ていて、小学生のころ、隣の席の子が消しゴムを貸してほしいといってきたときに「絶対ヤダ!」といって貸さなかったことがあったのを思い出しました。

理由は覚えていませんが、とにかく頑として貸さなかったんですね。

だから先ほどの設問に対しても、おそらく「貸さない。1回目から貸さない」と答えたかも(笑)。



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憲法の役割、そして人権判例のポイント、さらには「伝わるまで伝える」ことの大切さ

みなさんこんにちは。

「合格後も先生の講義を聞きたい。そういわれるプロ講師」横溝慎一郎です。

はい、新しいキャッチフレーズが浸透するまで、冒頭で必ず挨拶しておこうかと(笑)。

「ブログで1回書いたから大丈夫」

それは大いなる幻想です。

「2~3回覚えているかどうかの確認をしたから覚えているはず」

というのと同じくらい大いなる幻想なのです。

浸透させるつもりなら、1年365日書き続けるくらいのことをやらないと、他人は見てくれない。

「講義で話したから覚えているよね」というのも幻想です。

そういえば最近、とある方から「講義の際にはいろいろと工夫されているんですか?」と聞かれました。

細かいことを言い出せばいろいろありますが、もっとも気を付けているのは「伝わるまで伝える」ということかと。

話がそれました。

あなたが覚えるつもりなら、本試験まで毎週その項目を確認する機会をつくるようにしないと、覚えられません。

最悪なのが「うろ覚え」。

「うろ覚え」は本試験会場で突然変異して、正解のチャンスを次々に奪っていく。

「覚えるならきちんと覚える」

当たり前のことですが、試験対策の基本中の基本ですね。




さて、合格講座日曜クラスはまもなく「憲法基礎法学」が終わります。

「憲法」の人権分野ででてくる判例は、人権の制約が問題になっているものが多いですね。

そもそも日本国憲法は、ひとりひとりを大切にするという「個人の尊厳」を最重要理念に掲げています。

そのうえで、「国家からの自由」を国民に保障するために、国家権力の濫用から国民の権利自由を守るという役割を果たしているのです。

そういった役割をもっている憲法のことを、「立憲的意味の憲法」と呼びます。

つまり、日本国憲法は、国民を国家権力から守るというのが使命なんですね。

自民党の憲法改正草案が問題なのは、「国民を国家権力の濫用から守る」という視点が欠けているということでしょう。
ここが欠けてしまうと、もはや「立憲的意味の憲法」ではなくなってしまうのです。

戦後70年にもわたり平和と繁栄を日本が享受できたという事実をみるときに、日本国憲法の果たした役割は無視できないものがあると思っています。
これはほとんど報道されていませんが、先日皇太子も誕生日の記者会見で話していましたね。(記者会見の内容はこちらの記事で紹介しています)

さて、人権制約の是非が問題になっている場合、以下の流れで判決文を組み立てていくことが多い。

①「それは人権保障の対象か?」

②「対象であるとして、絶対的に保障されるものか?」

③「制限できるとして、それが許されるのはどんな場合か?またどの程度の制限までが許されるのか?」

この流れの中で、特に③において最高裁が打ち立てた規範が試験対策上重要ですね。

人権分野の判例知識は、過去問題をみて問われ方のパターンを確認していくことと、科目別答練や公務員試験の過去問題(こちらは余裕があれば)で知識の定着具合の確認をしていきましょう。

最後に、冒頭でも書きましたが、「ブログで1回書いたから大丈夫」というのが幻想だという話。

3月15日16日に行われる中山マコトさんの新刊発売記念セミナー「あなたらしく無理なく始めるマイスタイル起業」のこともそうですね。
セミナーの詳細はこちらのページをご覧ください。

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この本では、「起業は戦いではない」という主張をしています。
ブルーオーシャン戦略にも通じる発想ですね。

「嫌でも滲み出てしまう個性」を武器に生きていく起業=マイスタイル起業、と中山さんは提唱しているのです。

こうして持ち味を発揮できれば、その持ち味を求めている人が寄ってくる。

そして持ち味との出会いを心から待ち望んでいる人と出会うためには、持ち味をとがらせることが必要になる。

本書36ページからは、その尖らせ方を具体的に紹介していくのですが、その中の事例として「行政書士」の話が登場します(本書40ページ)。

「資格はそのまま名乗らず・・・・・する」ということなのですが、「・・・・・」の内容は本を買って読んでみてください。

いや、実際このパターンに陥っている人がほとんどなのではないかと思っています。

<LEC渋谷駅前本校開講情報>
3月8日(日)13時~15時35分 「合格講座民法(総則物権)」第1回

<LEC渋谷駅前本校ガイダンス情報>
3月8日(日)17時~18時30分 司法書士×行政書士コラボガイダンス
3月15日(日)16時30分~18時 合格者来校ガイダンス
3月29日(日)16時30分~18時 「横溝プレミアムパックのすべて」


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