血精液症について解説してください
血精液症（血精液、Hematospermia）とは？
血精液症とは、精液に血液が混じる状態を指します。ほとんどの場合、良性で一過性のものであり、自然に改善することが多いですが、まれに重篤な疾患が原因となることもあります。
原因
良性の原因（多くは自然に改善）
前立腺の炎症（前立腺炎）
細菌感染、非細菌性炎症
排尿時の痛みや会陰部の不快感を伴うことがある
精嚢炎
精嚢（精液を貯蔵する器官）の炎症
性感染症（クラミジア、淋病など）が原因となることも
頻回の性交・マスターベーション
精管や前立腺に負担がかかり、毛細血管が破れる
外傷
骨盤の外傷、前立腺生検、カテーテル挿入後など
血管の脆弱化
加齢や高血圧、抗凝固薬の使用（ワルファリン、DOACなど）
重篤な疾患が関連する場合
前立腺がん
50歳以上の男性では前立腺がんの可能性も考慮
尿路系の腫瘍（膀胱がん、精嚢腫瘍など）
結核などの慢性感染症
肺結核が前立腺や精嚢に波及することがある
血液疾患（凝固異常）
血友病や白血病など
診断
多くの場合、自然に治るため経過観察でよいですが、以下の場合は医療機関を受診するべきです：
50歳以上で初めて血精液を認めた場合
1か月以上持続する場合
頻繁に繰り返す場合
排尿時痛、発熱、血尿、射精時痛を伴う場合
家族歴に前立腺がんがある場合
検査
尿検査・精液検査（感染の有無）
血液検査（前立腺特異抗原（PSA）など）
超音波検査（経直腸エコー）（前立腺や精嚢の異常を確認）
MRI・CT（腫瘍の疑いがある場合）
前立腺生検（前立腺がんが疑われる場合）
治療
自然に治る場合
経過観察（特に若年者で一過性の場合）
性交渉やマスターベーションの頻度を調整（過度な刺激を避ける）
原因に応じた治療
前立腺炎・精嚢炎
抗生剤（レボフロキサシン、クラリスロマイシンなど）
消炎鎮痛剤（NSAIDs）
尿路感染症・性感染症
原因菌に応じた抗菌薬（クラミジアならアジスロマイシン、淋病ならセフトリアキソンなど）
血圧管理・抗凝固薬の調整
高血圧が原因なら降圧剤の適正化
抗凝固療法中なら主治医と相談
腫瘍が疑われる場合
泌尿器科で詳細な検査、場合によっては手術
予後
若年者の一過性の血精液症は、ほぼ良性で自然に改善することが多い
50歳以上で持続する場合は、前立腺がんの可能性も考慮
原因疾患が適切に治療されれば、ほとんどのケースで問題なく回復
まとめ
血精液症は多くの場合、良性で自然に治る
炎症・感染・外傷が主な原因だが、50歳以上では腫瘍の可能性も考慮
1か月以上続く場合や、排尿時痛・血尿を伴う場合は医師に相談
何か心配な点があれば教えてください。
患者さんのご協力により、血精液症の症例写真を掲載します。
