2014年8月13日、北海道旅行、最後の夜。ぼくはあえて車中泊することにした。ホテルでも旅館でも健康ランドでもない。キャンプ場でもない。車の中で寝る――のである。
20数年前の学生時代に友人3人と北海道旅行に行った時は10日くらいかけて北海道をまわった。ほとんどが車中泊だった。お金がなかったということもあったが、あのころは車の中で寝るということが苦痛でなく、少なくてもぼくにとってはどこか楽しみでもあったのだと思う。それでぼくは学生時代によく車中泊をしていた。
就職すると車中泊することはほとんどなくなった。社会人になったのだからそんな貧乏旅行はもうやめようという変なプライドと、もうひとつは日常的に酒を飲むようになったことが原因だと思う。酒を飲んで車中泊はあまりにも危険だ。あとは体力的な問題と体質的な問題――睡眠障害――があり、ぼくは社会人になってから車中泊をしたことがほとんどなかった。
今は酒をやめている。酒をやめたら睡眠障害もよくなった。変なプライドを捨ててしまえば別に車中泊はできるのだ。これも非日常。
明日14日の夜、苫小牧からフェリーに乗って本州に帰る予定だ。今日車中泊をするにしてもなるべく苫小牧の近くまで行っておきたい。ぼくは今度は南を目指して走り出した。旭川周辺にある道の駅で車中泊をしよう。
学生の頃は何も考えずにそこらへんに車を止めて寝ていた。道路わきに駐車して寝ていることもあったが、それは危険だ。せめて駐車スペースがある場所がいい。コンビニの駐車場に止めて寝ていたこともあったが、それはお店とお店の利用者に対して迷惑になるし、自分もおちつかない。しかるべき駐車スペースがある場所に車を止めてじっくりと寝たい。高速道路であればサービスエリアやパーキングエリアがある。一般道路であれば道の駅だろうと思った。道の駅でなくてもちょっとした駐車スペースはある。それは例えば北海道だとチェーンの脱着所であったりする。しかしそういった場所は他に車が止まっていなくて外灯もなく寂しいところが多い。またトイレなどの設備がない。静かでよいかもしれないが危険もあるのだと思う。何かあったときに人がいることは心強い。それでぼくは旭川周辺まで行って道の駅で車中泊をしようと決めたのだった。
稚内から旭川まで国道40号をひたすら走った。距離にして250kmほど。時間にすると5時間ちょっと。今日は名寄~オロロンライン~宗谷岬で280km走っているので合計すると500km超えの運転になる。普通に考えるとずっと一般道路で500kmはつらいのだが、北海道ではそれほど気にならない――が、走ってみると少し疲れた。
旭川の道の駅は市内からちょっと外れたところにあった。思ったより街中だった。そのせいか満車だった。同じように道の駅で車中泊を――と考える人たちであふれていた。キャンピングトレーラーが多かった。そうだよなあ。どうしようか?カーナビで近くの道の駅を探すと、15kmほど離れた東川町というところに道の駅が見つかった。ぼくは東川町に移動した。東川町の道の駅も満車だったが、バススペースが空いていた。時刻は深夜12時をすぎた。もうバスはやってこないだろう。ぼくはBMWをバススペースに止めてエンジンを切って、シートを下げ、背もたれを倒してコンタクトレンズを外して眠りについた。疲れていたのですぐに眠れることができた。そして朝日が上がるとともに目覚め、トイレで顔を洗い、北海道の最終日をどこで過ごすかの検討をはじめていた。
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