★★★★★★★★★☆
2004年 100min.
ネタバレ あ、「ゾンビ」のリメイクなので。
敬称略
監督 ザック・スナイダー
脚本 ジェイムズ・ガン
音楽 タイラー・ベイツ
アナ:サラ・ポーリー
ケネス:ヴィング・レイムズ
マイケル:ジェイク・ウェバー
アンドレ:メキ・ファイファー
ルーダ:インナ・コロブキナ
CJ:マイケル・ケリー
テリー:ケヴィン・ゼガーズ
スティーヴ:タイ・バーレル
ニコール:リンディ・ブース
いやはやそれにしてもゾンビもの、次から次へと出てきますわね。それほど観る側にも作る側にも魅力的、ということなのでしょうけれども、それもこれもすべてはジョージ・A・ロメロの功績なわけで、その存在自体が伝説でありますね。亡くなってしまったのが惜しくてなりません。で、その伝説の作品「ゾンビ(ゾンビ | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」のリメイクが本作、というわけです。
なんかですね、リメイクとはいっても話は全然違うそうですよ。わたしずいぶん前に観ているはずなのですが、あまりに前過ぎてまったく覚えてませんで、まあとりあえず新鮮な気持ちで観ることといたします。数回前に紹介した「デイ・オブ・ザ・デッド(デイ・オブ・ザ・デッド | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」は本作の4年後ですから、先にこっちを観るべきだったかな、とは思いましたが、先に言っておきますと、全然そんなことはなかったです。そもそも、「ゾンビ」とは全然違う映画、とか言っておきながら、けっこうなオマージュが繰り広げられていて、ほんとにまったく違う映画に成り下がっていた「デイ・オブ・ザ・デッド」とはなんの関係もありませんでした。ヴィング・レイムズは両方ともに出演してましたけどね。共通項はそれくらいでしたよ。
さて。
↑主人公のアナ(サラ・ポーリー)。看護師のようですね。
↑いきなりかよ、て感じです。まあ、いいテンポではあります。もったいぶられるよりは全然いいです。
↑で、彼氏殺られる、と。
ここまでわずか5分ですけどね、ゾンビが走ってくるってのはまあ置いておくとして、音楽はすごくいいですし、ゾンビになるのもなんか早いし、なかなか怖いですよ。
↑彼氏、すぐこうなりました。
↑ヴィング・レイムズ。今回は警官ですか。こちらは頼れそうですけれど、胡散臭さは相変わらずです。
で、車で逃げますが、その車が事故って木に突っ込んでおシャカになるってのは王道ですね。観慣れたシーンですけれど、このおかげで場は盛り上がるわけです。
そしたら、知った顔が出てきましたよ。
↑お、メキ・ファイファー、って言いました。
で、すぐにみなさん、ショッピングモールへと行くわけです。全然違う映画、って言ってた割に、早々にオマージュシーンですね。
ただわたし、やっぱり走るゾンビってのは今いち好きにはなれません。確かに逃げても逃げてもすぐに追いつかれるって絶望感はありますね。向こうは死んでるわけですから、どんだけ走っても息が切れることはないわけですから、ずっとトップスピードで走ってくるわけですからね。アメフトのランニングバックとか、陸上の短距離選手とかのゾンビがいたら一貫の終わりでしょう。それはよくわかりますけど、でもやっぱり、前回の「死霊のえじき」でも書きましたけれど、ゆっくりのほうが断然怖いと、わたしは思います。モールは広いですから、そういうところでの探索なんてのはやっぱりキンチョー感ありますよ。ゆっくりのゾンビのほうが、突然陰から出てくるなんてこともあるわけで、しっくりくるとわたしは思うわけです。演出の幅も広がるし、監督の頭の使いようが如実に表れますからね。もちろんだからって本作が駄作というわけではないです。それならそれなりに楽しませてくれればいいわけで、ということならば★9つついてる本作の監督ザック・スナイダーはなかなかにやり手だわい、ということなわけです。ちなみにザック・スナイダー、本作のほかにはスーパーマンを題材にした「マン・オブ・スティール」や「ジャスティス・リーグ」なんかを撮っておられますので、優秀な監督さんなのですね。
ただし、やっぱり生きている人間が多くなればなるほど、いざこざは発生します。これはこういうパニック系の映画には昔っから必ずあるシーンですから、群集心理という面でも仕方ないのかもですけれど、でもやっぱり観ているとそういうのには心底ムカつきますね。名作の誉れの高い「ポセイドン・アドベンチャー」や「タワーリング・インフェルノ」、最近では「ミスト(ミスト | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」なんかもそうでした。いや、盛り上がるってのはわかりますし、そういう非協力的なヤツが最後に殺されたりなんかすると溜飲は下がりますけど、そんなことでスカッとさせられてもなあ、という気もするわけです。
↑ちょっとガッカリですよね。協力すれば強い味方なのに、て。
なんて言ってたら、ちょっとほのぼのっとするシーンがありました。
↑あ、トム・サヴィーニ!
↑あ、スコット・H・ライニガー!!
↑あ、ケン・フォリー!!!
とまあ、ゆいいつ心躍ったシーンではありました。
その後、ウザい警備員どもと主人公アナたちが形勢逆転するとこはよかったですよ。やっぱり溜飲は下がりました。本作はそういうシーンが比較的早く出てきたので、あまりイヤな気持ちはなかったのですが、だからほかの映画も、それならそうでこうやって早く溜飲を下げさせてくれればいいのに、とは思いました。見習ってほしいものです。
↑ただ、だからってこうなってしまってもなんかいろいろめんどくさいことになりそうですね。「ゾンビ」では少人数でしたが、本作ではわたし、やっぱり「ミスト」を思い出してしまいました。
↑いやいや、そもそも見てくれがこれでゾンビを疑わんておかしくないか、てことです。
↑ね、だからこうなるじゃないですか。わかるやろ、て。でもこのおかげで、かまれたらゾンビになる、って感染経路が判明したのですね。ならばやっぱりもうちょっとあんなわかりやすいのではなくって、メイクもやりようがなかったか、とちょっぴりザンネンではありました。
でもやっぱり主人公は強いですね。「死霊のえじき(死霊のえじき | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」以降、ゾンビものに出てくる女性はけっこうな割合で強い人として描かれてますけど、ここでもアナは強かったですよ。
↑かっちょえいですよね。
ただなんかゾンビの出演が少ないんですよね。そういうところがCGに頼りすぎてるマイナス面ではありますよ。やっぱり特殊メイクあってのゾンビです。確かにCGは派手な演出はできますけれど、細かい顔だったり血の色だったりは、特殊メイクには及ばないわけです。そういうところを製作陣もわかっているのでしょう、若い娘を一人残して死んでいかねばならない父親、って演出はなかなか辛いものではありましたからね。そういう演出もゾンビものには必要だと思いますよ。向こうのビルに一人で残っているアンディと屋上どうしでヴィング・レイムズがチェスをやるシーンなんてのは、最高のオマージュだったと思いますし。でもやっぱり、出てくるゾンビが少ないわけです。うまく融合させられなかったか、と。せっかくカメオでトム・サヴィーニが出ているのだったら、なんとか協力してもらえんかったのか、と、そこがザンネンでなりませんでした。
↑ゾンビの群衆です。CGだとこういうシーンしかできないわけですよ。
でも話的にはやっぱり怖いです。そこはうまく作られてますよ。発電機を探しに行くシーンなんて、「ゾンビ」の地下のシーンみたいでキンチョーしまくりです。アンディのことも気になるし、いい出来なのです。
↑ここはまったく救いがありません。そういうのもこういう世界ですからね、いい演出だと思うわけです。悲しすぎますけど。
けっきょく最終的に、モールから脱出することになります。そら、いつまでもここにいるわけにもいかないでしょうね。なんかイヤミなやつがボートを所有しているとかで、それに乗って離島まで行こうと計画します。離島なら人は少ないだろう、という判断ですね。違和感はないですよ。日本だったら、生き残ってる人間の中にたまたまボートを持ってるのがいる、なんてことは考えにくいかもですが、アメリカならそれもアリでしょうし。島へ行くっていうのもまた「死霊のえじき」をオマージュしているようで、好感も持てるというわけです。いい流れじゃないですか。ただ、食糧はどうするのだ、という気もしないでもないですが、まあなんとかするしかないわけですから、それはいいです。
脱出の際に、隣のビルのアンディも連れていくとなって救出することになるわけですが、ここはもうおわかりのように、とっても悲惨な結果となります。わたしちょっと泣けてしまいました。話としてはほんとに良作なわけです。キンチョーの連続ですし。
↑アンディはこんなことになってしまいました。
↑もうこうなってくると、CJ(最初に出てきて銃構えてた警備員のひとり)でさえも応援してしまいますよ。実際最後は大活躍を見せてくれましたしね。だったら最初のイヤなヤツみたいな演出はいらんかったのでは、と思ってしまいました。
↑群衆は怖い、という演出もいいです。こういうパニックもアリです。まあゾンビの群衆、ですけどね。
↑アナが、ゾンビになったスティーヴを殺るとこです。ここは痛快でしたよ。ボートを提供してくれるとは言えスティーヴ、ほんとにイヤなヤツでしたからね。
そしてこうなってくると観客の気持ちは、最後まで残ったメンバーは、だれ一人欠けることなく全員助かってほしい、という気持ちになってきます。ものすごく親近感がわいてくるわけです。なかなかにいい演出ですよね。でもそれなのに、かっこよかったマイケルが噛まれてしまいました。そういう落とすところも秀逸ではないですか。ザンネンでとても悲しかったですけど、やってくれるわ、て感じです。
↑CJは自死してこうなりました。お見事、でありました。
↑ここはかっちょえかったですね。
↑そしてマイケル。わたし、思わず涙ぐんでしまいました。
いやあなんだかんだで、いい映画、でした。このあとの「デイ・オブ・ザ・デッド」があれでは、作らないほうがよかったねえ、という感じですけれど、順番間違えて観てしまったわたしは、それはそれで正解だったと胸をなでおろしたのでした。
エンディングも凝ってましたね。で、最後の最後、エンディングロールの終わりで悲壮感漂わせるというこにくったらしい演出で。これならジョージ・A・ロメロも満足なのではないでしょうかね。
今日の一言
「やっぱ特殊メイクが勝ちよね」