★★★★★☆☆☆☆☆

2007年 126min.

ネタバレ しないようにしてはいるつもりですがしてしまいます笑い泣き

敬称略

 

 

 さあそこでまたまたスティーヴン・キング原作の映画化作品ですね。

 

 じつはこの映画、もう何回目やろというほど観ておりましてね、途中のウザさもラストの衝撃もなんもかんもわかってはいるのですけれども、なんかまた観たくなるっていう、中毒性の強い映画でありますね。びっくり ラストは原作とは違うけれども、これはおもしろいとスティーヴン・キングも快諾したらしいです。

 

 一説によると、観た人全員が憂鬱になる映画、なんてふれこみもありまして、まさにそんな映画でありますよ。ショボーン

 

 よくもまあそんな映画を作ったもんだとも思いますが、それでもこうやって何度も何度も観るわけですから、いい映画とも言えるのでしょうか。

 

 ほとんどキャストを知らないのもいいですよね。わたし、ウィリアム・サドラーしか知りませんでした。

 

 監督は、フランク・ダラボン。フザけた名前やなあと思いましたが、それはまあ日本人から見る偏見でして、過去には「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」とスティーヴン・キングの作品が続きますね。ああ、だから結末の変更もスティーヴン・キングは快諾したのかと、ナットクではあります。ニコニコ

 

 のっけから嵐がまきおこり、タイヘンなこととなりますけれども、それだけじゃないなにかしら感じる不穏な空気、なんてのはさすがですよね。今回は「霧」として「ミスト」が使われてますけど、1980年のジョン・カーペンターの「ザ・フォッグ」も連想されて、ちょっと霊的なものの存在も考えてしまいました。ただ、まあそこはそれスティーヴン・キングですからね、そんな大胆なパクリはないのでしょうし、どうなるかってのは期待大、というところで映画が始まるわけですね。

 

 なんて言ってると、開始10分でサイレンが鳴りだしますよ。これ、イヤ~な音ですよね。なんか心臓に響くというか、もう生理的にイヤな気しかしないです。そしたら血だらけのおじさん(ジェフリー・デマン)が走ってきて、「霧の中に何かが!」て。いやあ、ドキドキもんですよ。ワクワク、て言ったほうがいいかもですが。そして地鳴り。ここで、あれ、霊ではないのか、と気づかされますよ。確信はないですが、おそらく霊的なホラー映画ではないな、と。さあそうなるとスティーヴン・キングですからね、怪物が出てくんのか、てことになります。乞うご期待、なわけですね。照れ

 

 そもそも、たくさんの町の人がショッピングセンターに閉じ込められた、ってのがこれからのパニックの予兆となるわけですよ。

 

 ただですね、じつはこの「人がたくさん」てのがこの映画のミソでありキモなのですけれども、ここから事態は、仲たがいしたり教祖みたいなのも出てくるし、ののしり合いがあったり疑心暗鬼になったりと、不快要素満載で進んでいくのですね。まあ、パニック映画っちゃパニック映画なのかもですけれどもね。

 

 いずれにしても、じゃあこれらが絡み合って、どうせ怪物も出てくるんだろうし、どうやって進んでいくのかな、という楽しみはありますね。

 

 若干、そこかしこでハンディカムみたいな映像はありますけれども、手ブレもないし、とっても効果的に使われてて、これはハンディカムが大キライなわたしにとってはめずらしくマルです。素晴らしい使い方ですよ。ウインク

 

 主役のトーマス・ジェーンは、けっこうな男前なのでしょうけれども、アメリカの片田舎の町ということを考えると、とっても普通の人感が出ていて、すごく好感が持てますよ。要するに、普通の人過ぎて周りの連中に対する不快感を増幅するにはもってこい、というわけです。けっこうほかにもいろんなホラー映画に出てるみたいですが、こうやってちゃんと認識するのは、わたしは初めてでした。なかなかに良い出会いです。

 

↑トーマス・ジェーン。フツーの男前です。

 

↑わたしが唯一知っていたウィリアム・サドラーさんです。けっこう老けてて、最初は「ダイハード2」で全裸でカンフーかなんかの型をやってた人とは認識できませんでしたよ。ドラマ「HEROES」に出てたジャック・コールマンかと思ってました。爆  笑

 

 で、映画が進んでいきますと、案の定、いがみ合いが始まりますね。これはもうアメリカ映画の常というかなんというか。「大学出の言うことなんか聞けるか!」とか「お前をリーダーに選んだつもりはない!」だとか、もうなんかほんとしょーもないことでケンカしてますよ。人種の違い、それによる差別なんかが横行していて、なかなか人を信じられないお国柄が出てるのでしょうけれども、だからわれわれ日本人には余計に不快となってくるわけです。宗教に狂信的になるのもまったく理解できないですしね。ショボーン

 

 で、またそうこう言ってるやつらがしっかりと順番に殺されていくわけですよ。仲良くしてれば死ななくてすんだのにねえ、と嘆息するわけです。

 

↑けっきょくこうして殺られちゃうわけですよ。

 

↑今さらそんな顔してもねえ、と嘆息なわけです。

 

 というわけで、なんの違和感もなく怪物があらわれたのですね。まあCGはこんなもんでしょうか、てとこでした。2007年の作品ですしね。今観たら若干の違和感はありますが、当時ではこんなものだったのでしょう。もちろん、悪くはないですよ。マイナス要素にはならないです。

 

 で、さあいよいよパニックかな、と。お店の正面は全部ガラスだ、って言ってますし、強化ガラスではないのだな、とか思いながらも、まあそれはそれなんでしょう。田舎のショッピングセンターのガラスを全部強化ガラスにするなんて資金力はないのかもです。ただ、アメリカでそんな緩いことでいいのか、って気はしますけれどもね。ショボーンショボーン

 

 ところがそう簡単にはパニックにはならなかったです。けっきょくここでもなにかしらのいがみ合いというか。その主犯格が、トーマス・ジェーンの隣人であるノートン役のアンドレ・ブラウアー。この人、人の言うことをまったく聞きませんね。聞かない、いうかハナから信じてない。自分が黒人だから、ヨソ者だからバカにしてんだろうと、自虐も甚だしいです。せっかくこちらは、死んじゃうからって教えてやろうとしているのにこれですわ。もう不快でしかありませんね。これでニューヨークの一流弁護士ってんですから、更に不快に輪をかけるのです。弁護士だったらちゃんと人の話を聞けよ、って。

 

↑アンドレ・プラウアー。もう顔も不快です。

 

 もう、なんでね、こんなヤツばっかなんだよ、って思いますよね。どうせあとでタイヘンなことになるのに、ってのは観ている側の勝手な意見かもですけど、それよりなにより、ちゃんと説明してるのに人の話聞かないとか、おれをだましてるとか言ってキレたり、もうここらへんからイライラしっぱなしになるのですね。ムキー こんな状況でそんなだましたりとかするかよ、って思うのですけれども、まあそれもわれわれ観客は映画を観ていて裏で何が起こっているかを知っているわけですから言えることなのではありますけれどもね。でもそれにしてもこんなに人を疑うか、って理解はできませんよ。さっきも書きましたけど、アメリカの映画ではありがちなのですが、だからそこはわたし、やっぱりどうしても受け入れられない部分ではありますね。

 

 もちろん最終的には、その化け物の存在をみんなが知ることにはなるのですけれども、そうなると今度は女教祖が出てきます。小さな町でいろんなのがいすぎやろ、とも思いますが、アメリカのことですからね、人種のるつぼです。日本人の常識は通用しないのかもですね。

 

 ちなみに、女教祖が出てきてもあのバカ黒人弁護士はいろいろ信じてませんね。心からウザいです。我慢のしどころなのでしょうか。申し訳ないですけどわたし、このアホ黒人とウザ教祖は、とっとと死んでくれと心から思いました。顔見るだけで不快です。

 

 まあ、スティーヴン・キング的には、単なる怪獣映画にしたくはない、って気持ちもあるのでしょうけれども、ここまでくるともうめんどくさいです。これなら霊のほうがおもしろかったと、ほんとに思いますよ。なんでわたしこんな映画をそれでも何度も観たくなるのだろう、とちょっと自分を疑いかけました。

 

 ちなみにこの黒人弁護士、とうとうショッピングセンターを出て数人のお供を連れて霧の中に入って行ってしまいましたが、実際にこの状況になったときに、ほんとにこんなとこに行けるものなのだろうか、とふと思いました。わたしにはムリですね。けっきょく最終的にこの人たちがどうなったのかは描かれませんでしたが、お願いだからどこかで惨殺されててくれと願わずにはいられないのでした。

 

 さあ、そうこうしてると今度は大きな虫が襲ってきますよ。その昔、「ハッピーピープル」って漫画でおんなじようなシチュエーションがあったな、とか思いつつ、ようやくか、という安どに駆られてホッとしますね。まあ、いったい何がどうしてこんな状況になったのかはさっぱりわかりませんが、スティーヴン・キングなら十分アリでしょう。爆  笑

 

 おそらく、このショッピングセンターは、出ていくのが得策なんでしょうね。こんなとこにいたら、虫どころか人間関係でダメになりそうですし。これが「ゾンビ」のように大きなショッピングモールだったらどうだったんだろう、とか思いつつ観てますと、なんかこんどは、話の分かる新人教師だと思っていたローリー・ホールデンが性善説とか言い出して、またイラつかせます。もうアホばっかなのですよ。

 

↑ローリー・ホールデン。信じてたのに……。

 

 その後、トーマス・ジェーン以下数人で、隣のドラッグストアに行くところは久々にキンチョーしましたが、そこではキモいシーンも出てきまして、なんかホッといたしました。ホッとしてる場合じゃないんでしょうけれど、なんかホッとしましたね。

 

↑ホッとするのです。笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

 でも薬屋からショッピングセンターに帰ってくるとまたイライラが増幅されます。女教祖はまだいますし、なんかウィリアム・サドラーは洗脳されちゃいましたからね。ショボーン

 

 で、その女教祖たちのせいで、善良な陸軍2等兵のサム・ウィットワーが殺されちゃいますよ。わたしとうとうあまりの不快さに、笑ってしまいました。

 

↑すでにこの時点で、ナイフで数回ハラを刺されてます。かわいそうではありました。手指の硬直がナイス演技です。ウインク

 

 まあそういう女教祖も、トーマス・ジェーンの理解者である、ショッピングセンター店員オリー役のトビー・ジョーンズに銃で撃たれて殺されることになり、ようやくここでスカッとしましたよ。なんならガッツポーズものですね。

 

↑トビー・ジョーンズ。射撃のチャンピオンだったという設定でした。

 

↑ワクワクしてしまいました。笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

↑スカっとしてしまったのです。たぶん、みんなそうです。照れ

 

 でもスティーヴン・キング、それで終わるはずはありませんね。トビー・ジョーンズ、霧の中に現れた巨大生物に、あっけなく殺されてしまいますよ。想定内ですけどね、でもちょっぴり悲しくはありましたね。

 

↑え、「IT」やん!びっくり

 

 わたしこの映画、初めて観たときは、このトビー・ジョーンズが殺されたあと、トーマス・ジェーンとその息子役のネイサン・ギャンブル、最初に血だらけで走ってきたジェフリー・デマンと新人教師のローリー・ホールデン、さらにはローリー・ホールデンと同じ学校で教鞭をとるおばあちゃん教師フランシス・スターンハーゲンの5人で、車で霧の中に出て行くのですけれども、ここでエンディングだと思ってたのですよ。はあ、ようやく終わったか、このあとどうなるかは観客にゆだねられるのか、的な。ところがそうじゃなかったですね。最後の最後で、この映画最大の不快シーンが待っていようとはつゆ知らず、わたしそれを観させられてしばらく動けませんでしたよ。不快、いうか衝撃、いうか。この映画最大の、いうか、全映画通じてもサイアクなシーンだと思いますね。ガーンガーンガーン

 

↑「IT」から「BLEACH」になりました。笑い泣き

 

 ですからね、これほんと評価、難しいです。「不快な映画、観るでー、よーし、不快になろう!」で観るなら☆満点ですよ。でもそうじゃなければ、おそらく☆0ですよね。とは言っても、わたし最初にこれ観たときは「不快になろう!」キャンペーンだったわけではないですし、なのに何度も観たくなるって意味が、だからさっぱりわからなくって……。ショボーン

 

 もう、なので可もなく不可もなくの☆5つなんですよ。こんなに意味の分からない映画は初めて、いうかほかに知りません。なんか怖いもの見たさ、ってのとも違う気がしますし、ほんとなにがなにやらわけのわからない映画なのでありました。

 

 まあ、勇気ある方は観てみてください、という感じでしょうかね。感想聞かせていただけたら幸いなのであります。

 

 

今日の一言

「ばあちゃんは、ツヨイ!」

↑かっちょえいですね。ラブ

 

 

レビュー さくいん