☆☆☆☆☆☆☆☆☆

2008年 85min.

ネタバレ 基本ゾンビ映画にネタバレしようがしまいが……

敬称略

 

 

監督 スティーヴ・マイナー

音楽 タイラー・ベイツ

脚本 ジェフリー・レディック

 

サラ:ミーナ・スヴィーリ

ローズ大尉:ヴィング・レイムズ

サラザール:ニック・キャノン

バド:スターク・サンズ

トレヴァー:マイケル・ウェルチ

ポール:イアン・マクニース

ドクター・ローガン:マット・リッピー

 

 えと、ジョージ・A・ロメロの名作「死霊のえじき」(原題が“DAY OF THE DEAD”)のリメイク、という触れ込みなのですね。まあゾンビ映画だし、という軽い気持ちで観たのが運の尽きでした。軽い気持ちでも、期待はしてましたからね。あの名作を現代風にアレンジしたらどうなるのか、って。ただ、肝腎のジョージ・A・ロメロの名前がどこにもないのが一抹の不安ちゃ不安だったわけです。まあR15指定ですから、それだけが望みか、なんてことになったわけですが、はたしてまあなんとかがんばっても1つが精いっぱい、という出来だったのでした。

 

 そもそももうのっけから「13日の金曜日」感満載なわけですよ。若いのがどこぞの家か小屋かでエロいことして、みたいな。もうそこから世界観が違いますよね。あれ、なんか若いのとかいろいろ生きてるやついるんか、的な。

 

 軍が出てくるところはリメイクの臭いがしないでもないですけれども、まあとりあえず、なんかどこもかしこもパニックっていうシチュエーションはゾンビ映画だわな、と自分を無理やりナットクさせたりするのです。

 

↑もうね、こういう太りすぎなのもイタイですよ、イアン・マクニース。どうしたらこんなになってしまうのか、なんて、そんなことばかりが気になりだします。あまりにインパクトありすぎて、マイナスにしかなりませんよね。

 

 ただ、主役のサラは、元祖とは違って若くてかわいくって、それだけは救いです。

 

↑サラ役のミーナ・スヴィーリ。29歳で伍長と。なかなかにかっちょえいです。

 

↑まあ、ゾンビものはゾンビものなので、こうしたキンチョー感のあるシーンも、もちろんありますよ。

 

 あ、ちなみにですね、なんかゾンビになる人はまず鼻血が出て風邪の症状になって、みたいになるのですけれども、その鼻血が出た際に、「さ、上向いて」なんてところがありましてね。でもこれ、間違いですからね。鼻血が出たときに上向くと、血を飲み込んでしまって気持ち悪くなったり気管につまったりするのでご法度なのですよ。映画でこういう間違った情報を流してはいけません。なんて思ってて、で、ハタと気づきました。いやいやおいおい、待たんかい、と。いやこれもう「28日後…(28日後... | みたたの日常と映画ざんまいそしてディズニー! (ameblo.jp))」じゃないですか……。ゾンビではないですよ。感染ものです。そこ変えたらアカンやろ、というわたしのツッコミも、なんかむなしく響きました。みんなマスクしてないけど、大丈夫なんか、という不安はあおられますが、それはやっぱりゾンビ映画ではないです。

 

 そうこうして20分すぎると、なんか男前の医者が出てきましたよ。

 

↑マット・リッピー。ドクター・ローガンだそうで、もう元祖の影も形もなくなっちゃってます。ていうか、こういう時間帯でこういう男前もどきみたいなのが出てくると、もうこれ胡散臭さしかないですけど、案の定、とことん胡散臭いヤツでした。

 

↑もう一人、これローズ大尉ですって。ヴィング・レイムズ。まあこの人もたいがい胡散臭いですが。

 

 そしたらなんか突然、事が起こりだしましたよ。

 

↑突然こうなって……、

 

↑なんかこうなりました。パパが変貌して、ママを食べる、と。あまりに突然で、唖然とするしかないですね。

 

 でもって、感染者たちは当たり前のように走ります。まあ、ゾンビではないですからね、感染した人間たちですから、そらま、走るのでしょう。

 

↑全力疾走です。たぶんこれ、「バタリアン」の新作なのだと思います。

 

 演技してる人たちはいたって真面目なんですよ。

 

↑こんなしてめっちゃ叫んで、迫真の演技ですよ。でもそんなん思ってたら、

 

↑こんなして天井這ったりするわけですよ。これいくらなんでもおかしくないですか?ゾンビだってこんなことしませんけど、そもそもこの人たちは普通になんか細菌に感染した人間ですよ。例えば体力増強の人間兵器を作るための細菌、だったとしてもですね、いくらなんでも天井を這ったりはしないでしょうに。これではジェフ・ゴールドブラムも真っ青ですよ。いくらパニックホラー映画でも、やっていいことと悪いことの分別はつけないと、なんでもアリではもうむちゃくちゃなわけです。

 

 なんて思ってたら、

 

↑ヴィング・レイムズ、分殺でしたね。わたし、「早っ」ていいました。始まって30分も経ってません。

 

 映像も、なんかゾンビの動きが速いのを強調したいのか、パニックを強調したいのか、速送りみたいな映像もふんだんに使われてましてね、やりたい放題の様相です。それにマット・リッピ―がウザすぎる、ってのが絡んできてもう、嫌悪感しかないですね。なんとかサラを見て心を浄化しようと努力するのですが、それをあざ笑うかのようにウザさの競演なわけですね。疲れます。

 

 唯一、いいヤツ役だったバドくんも、やっぱり噛まれて感染しましたよ。噛まれても感染しますし、空気感染もするとはもうサイアクなわけですが、でもだれもマスクしてないのにサラたち御一行様はだれ一人感染してないので、空気感染は怪しいもんですが……。

 

↑けっこうヒドイ噛まれようだったのです。

 

 途中字幕でですね、「エルム街にいるんだ」ってとこが出てきましてね、わたしあれっと思って聞きなおしまして。でも声が小さすぎてよく聞こえませんでした。もし仮にこれ「エルム街」なんて言ってないとしたら、もう翻訳家もええかげんにせえよ、て気はします。そう聞こえないこともないので、ちょっと真偽のほどは定かではないのですけれども、そもそもこれ出だしは「13金」で、途中で「28日後…」になっちゃってますから、よけいなことすんなよと思いつつも、どうでもいいや、って気になってました。

 

 ただ、「28日後…」とは言ってますけど、血がかかっただけで感染するかどうかはわかりませんね。そういう細かいところはどうでもいいのでしょう、きっと。とにかくパニックならそれでいい、という製作陣の思いがひしひしと伝わってくるわけです。

 

 メイクもですね、CGなんですよ。特殊メイクってのはあったのかなかったのか。いずれにしても全編CGに頼りすぎの感があって、まあ最初っからですけれども、思ってたのとは違いますね。

 

 もうそうなってくると、突っ込みどころだらけで内容なんか全然入ってきません。マット・リッピーはクズ中のクズですし、細かいところはなおざりですしね。車に轢かれただけで頭すっ飛んでますし。まったく細部まで行き届いてないのです。

 

↑病院周りがあんなにむちゃくちゃになってんのに、おいおいあんた今までどこにおったんや、ってくらいほんとにちょっとそこからひょいとこんなかわいい子が一人で出てきたりもしますし。もちろんそれを見たマット・リッピー、その子をゾンビに差し出して食わせてる間に自分が逃げるという……。なんならもうこの人の今後の役者生命が心配になりますよ。

 

↑火つけられて爆発してますけど、これも意味不明です。そもそも元々人間ですからね。火が付いたところで爆発はしないと思います。

 

 サラがゾンビをよけて車を運転するところが出てきたときは、なんか心の葛藤を描いていて、ああこれだけは若干元祖に敬意をはらってるのかな、とは思いましたけど、まあそれだけですかね。

 

 「28日後…」は2002年の作品で、本作は2008年。6年後ですかあ……。なんかほとぼりが冷めたころにパクッたれ、みたいなノリで作ったのでしょうかね。こんな映画に出演してしまった役者さんたちが気の毒でなりませんよ、マット・リッピーも含めて。

 

 で、バドは悲しいことになってました。

 

↑こうなりました。

 

 そして、1時間を過ぎるあたりで衝撃のセリフが繰り広げられました。すなわち、バドは菜食主義者だから人間を襲わないのだ、と。わたしとうとう笑ってしまいましたよ。失笑、というよりも嘲笑に近い爆笑、て感じです。

 

 ハデはハデなんですよ。パニック映画ですからね。でも、だから怖くもなんともないわけですよ。それでは「ゾンビ」ではありませんよね。

 

 そしたらとうとう1時間過ぎて真相が、あのマット・リッピー様から語られますよ。思った通りでした。科学者の細菌兵器の計画でこんなんなってもうた、だそうです。ちゃんちゃん、ですね。こうも先が読める映画もなかなか見ませんよ。

 

 ところがその打ち明け話の最後のところはさすがにわたし、思いもしませんでした。先ほどから、みんなマスクしてないけど感染せえへんのか、って言ってましたけど、マット様が言うに、感染しない人は免疫を持っているのだ、だそうで……。いやそんな都合のいい……。ドラえもんの道具だって、いくらなんでもこんな都合のいいものはないですよ。もうむちゃくちゃです。いったい何を撮りたかったのか、頭の構造を疑ってしまいました。高校の文化祭じゃないのですからね。そしたら、

 

↑マット様、瞬殺となられました。

 

↑ここは若干力が入ったところですが、まあでも今更、ですかね。

 

↑最終的にゾンビ、もとい、感染者たちの始末の仕方はさえてましたけど、でもこれにしたって「ジョーズ」の流れっちゃ流れですし、まあ目新しいところはありません。

 

ということで、総括しますと、特筆するとこは皆無、話もずんずん先が読めて普通以下、音楽もこれといって耳に新しいところもなく、サラがかわいかったのと、まあまあスタントが頑張ってたかな、というところで1つとさせていただいたと、まあそういうわけです。観る価値はないですかねー。

 

 

今日の一言

「はぁ、トム・サヴィーニが恋しい……」

 

 

レビュー さくいん