★★★★★★★★★

1985年 102min.

ネタバレ えと、ゾンビものです。

敬称 亡くなった方には敬意を表しました。

グロ画像 バンバン出ます。なんならグロ画像だらけです。タイトル画像からしてグロです。笑

 

 

監督 ジョージ・A・ロメロ

脚本 サラ・ハッサネン

製作 リチャード・P・ルービンスタイン

音楽 ジョン・ハリソン

SFX トム・サヴィーニ

 

サラ:ロリー・カーディル

ローガン博士:リチャード・リバティー

テッド:ジョン・アンプラス

ジョン:テリー・アレクサンダー

ビリー:ジャーラス・コンロイ

ローズ大尉:ジョゼフ・ピラトー

ウォルター:ゲイリー・ハワード・クラー

リックルス:ラルフ・マレロ

フアン・トレズ:タソ・N・スタブラキス

ミゲル:アントン・ディレオ

 

 まず最初に、上記キャストの下から二人目、フアン・トレズ役のタソ・N・スタブラキスを紹介しておかねばなりませんね。えと、彼、なんかトム・サヴィーニの友人だそうでしてね、本作では、ローズ大尉に見捨てられて地下室になだれ込んできたゾンビどもに首引きちぎられて絶叫するなんておいしい役をもらったそうですけれど、それ以外にも、エレベーターから落ちるゾンビだとか、サラに角材で殴られるゾンビ、ローズのカートにひきずられるゾンビ、ローズの内臓を取り出すゾンビ、ヘルメットのゾンビなんて、ゾンビ役を多数演じたあげく、スティールに投げ飛ばされるミゲルやローズ大尉に撃たれるローガン博士のスタントなんかもこなしていたそうですよ。楽しかったでしょうね、きっと。

 

 で。

 

 じつはわたしこの映画、ずいぶん前にDVDで観ましたらね、なんかそれ「通常版」とかだったらしくって、もういたるところカットだらけで、肝腎な、腕を切り落とすところとか、ローズ大尉が首を引きちぎられるとことか、そういう重要なシーンが全部カットされていたんですね。もちろんわたし、その昔は劇場でも観ましたしVHSも所有してましたから、何度もそういうシーンは目の当たりにしてましたけれど、おいおいなんでDVDになったらそういうとこカットすんねん、なんて憤ったりしまして。そしたらちょうど都合のいいことに、スカパー!で完全版を放映するっていうもんですから、あわてて録画して、今回ようやくそれを観た、というわけですね。まあいわば、いわくつき、ということでしょうかね。

 

↑ということで、開始早々の伝説のシーンです。はじまりはじまり~、という感じですね。

 

 で、観慣れたオープニングが始まるわけですけれども、なんかこの独特な音楽を聴くと、当時の大学生だったころを鮮明に思い出しますね。40年近くたってもそういう記憶はしっかりしているものです。

 

 エキストラを募ったら大挙して応募してきた、ってのもまたひとつの伝説でもありますよ。で、またその多数のゾンビを、もちろん当時はCGなんかないわけですから、ちゃんとメイクしてるっていうトム・サヴィーニにはほんとに頭が下がります。これもまたひとつの伝説だと思うわけです。

 

 

↑ジョン(左)とビリー。主人公のうちの二人。いいほうの人たちです。

 

 でも実際もしほんとにこんな状況になってしまったとして、こんなとこに女性一人だけってのは普通にできていられるもんなんでしょうかね。もうほとんど精神崩壊状態の中で、そんな秩序とか常識とか倫理観とかなんてのは、保っていられないのではないかとも思ってしまいます。なんならもうちょっと女性がいてもよかったのかな、とは思いますが、それにしても、です。軍隊も出てきますけれど、それにしたってどうしてみんなあんなローズ大尉みたいなゲス野郎の言うことを聞いているんでしょうか。その方がラクだから、っていう人もいましたけれど、でもトップがあんな暴君だったら、ひょっとしたら撃ち殺してしまうことだってないとは言い切れないとも思うのですね。なんか見えない糸で縛られているのか、よっぽど部下たちが根性なしだったか、ということなのでしょうかね。そういうところの微妙な脚本の流れは一度聞いてみたいところです。

 

↑ローズ大尉、ゲス野郎です。若いスティーヴ・マーティンみたいですね。ちなみに演じられたジョゼフ・ピラトー氏は3年前に亡くなられておりました。

 

↑部下のウォルター。バースに似てますが、ローズ大尉にはさからえません。

 

↑マッド・サイエンティストと言われているローガン博士です。こういうシーンはやっぱりちゃんとした特殊メイクができていないと撮れないシーンですよね。CGだけではこうはいきませんよ。

 

↑さすがトム・サヴィーニなわけです。もう「さすが」なんて一言では言い表せませんね。感謝しかないわけです。

 

 途中、ゾンビの数がとんでもない数字で、なんか40万対1の割合だ、なんて話がありましてね。そうすると、仮にゾンビを一発で仕留めたとしても、一人40万発の弾丸がいるわけで、いやもうそれでは一掃するなんてのは不可能ですね。そうなるとやっぱり、殺すなんてことはあきらめて、飼いならす、って手も考えられなくはないですよ。できるんなら、ですけど。で、それを研究してるのがローガン博士だ、というわけです。要するにこの博士、なんか登場人物からも、映画的にも、マッドサイエンティスト風として取り扱われてますけど、やってること、考えてることはあながち間違ってもいないのではないかと思いますね。ひょっとしたらこの人が一番まともなのかも、ってわたし思って観てました。

 

 ところで、サラとミゲルが付き合ってるって感じでしたけど、これ本当なのでしょうかね。40分過ぎに、サラと一緒の部屋にいたミゲルが、「君とはもう終わりだ」とか言って、それにサラが「じゃあ出て行ってよ」なんてシーンがあったのですけれども、わたしここのこのセリフ、どうしてもナットクいかなくって何回か観なおした、いうか聞き直したんですよ。でも声が小さすぎて、けっきょく何言ってるかはわかりませんでした。その後のいろいろな会話で、どうやらほんとに付き合ってたみたいだってのはわかりましたけど、ならばサラは、いったいミゲルのどこにホレたのか、ものすごくギモンの残る結果となりました。まあ世界は末期症状ですからね、美的感覚も人それぞれですし、ひょっとしたらミゲル、めちゃめちゃ床上手なのかもしれませんし。これもちょっとどういう経緯でそうなったのか、製作陣に聞いてみたいところではあります。べつに演じられたアントン・ディレオにはなんの恨みもないですけれどね。

 

↑ミゲル、捨て台詞を吐いて出ていきますよ。噂のシーンなわけです。

 

 ところで、みんなが潜んでいる地下倉庫みたいなとこには、ウォータークーラーが設置してありましてね、その水をサラが飲んだりしてるのですけれども、これはなんの水なんですかね。浄水場が動いているとも思えませんし、地下水なのでしょうか。そういう設備はしっかり整っているので、やはり軍の存在は貴重だったのかもです。ていうか、だからこそやっぱり軍は生き延びるのでしょうね。そんなことを思ったシーンでもありました。

 

↑おなかは壊さないみたいですからね、きれいなのでしょう、きっと。

 

↑いい人たちが住む「The Ritz」です。まあネーミングはシャレてますね。で、ここでジョンがいろいろ話しますけれど、要するに人は傲慢になりすぎた、ってことだそうです。ジョージ・A・ロメロのメッセージがしっかりと伝えられてました。

 

 さて、そうこうしてますと、ゾンビのバブが出てきますね。まあこれまでの日本語でしたら間違いなくボブだったのでしょうが、なんか知りませんけどここではバブと訳が書かれてました。どう聞いてもバブにしか聞こえませんから、ほんとはバブで正解なんでしょうけどね。まあいいです。

 

↑これはバブでもボブでもないです。なんか「バタリアン」に出てたトム・マシューズに似てます。

 

↑こちらかバブです。この人も熱演されてました。

 

↑で、そんなバブに初めて与えた本てのが、あ “SALEM’S LOT” やん、てなりました。スティーヴン・キングの名作「呪われた町」ですね。ちょっと笑ってしまいましたよ。

 

 で、ここから映画は激しくなります。1時間ほど経過ですね。

 

↑ミラーが殺られまして……、

 

↑そのミラーの誤射でジョンソンも殺られましたよ。

 

↑どさくさでミゲルも腕、喰われました。

 

↑で、ミゲルの腕を切り落として……、

 

↑その腕を放り投げる、と。

 

 わずか1分半ほどでえらいことになりましたよ。まあ、期待して観ている側は、そうでなくっちゃ、ですけどね。

 

↑こういうことするからローガン博士、やっぱりマッドサイエンティストなわけですね。ちなみにこれ、あまりに精巧な出来だったので、演じられたグレゴリー・ニコテロが家に持って帰って居間のテーブルに置いておいたそうですよ。その後お母さんにめちゃくちゃ怒られたそうです。まあ、お母さんがご無事でなによりでした。

 

↑こういう影で恐怖心をあおるってシーンは、動きの速くないゾンビならでは、ですよね。こういうほうがわたしは怖いと思いますが。これ、映画館で観てたときに、となりに座ったカップルの女性のほうが、「あぁぁぁ~~~っ」て言ってましたよ。まあ影ですからね、近くにはいないのですけれども、気持ちはよくわかります。その場にジョージ・A・ロメロがいたら、してやったりの表情だったことでしょう。

 

 ところが、です。わたしここまでほぼ絶賛だったのですけれども、1時間30分を前にしてどうしてもおかしいところに気づいてしまいました。

 

↑パブさん、よだれをたらしまして。うへっ、きたねえなあ、とか思ったんですけれども、よくよく考えたらこれ、死体なのによだれたらすのおかしくないですか?ゾンビで動いてるからっていったって、新陳代謝はしないでしょうに。死んでるんだから立って歩いてたら血も下に下がってぶよんぶよんになりそうなものですしね。でも血の件は、それをいったら根本的なとこがどうしようもなくなるので、不問にしているのは仕方ないですよ。それはこちらも織り込まれ済みではあります。でもよだれは……。というところで、ザンネンながらひとつ減となつてしまいました。

 

 なんて、そんなこと言ってましたら、ここからトム・サヴィーニ、激しめになってきます。もう上映時間も残りわずかだからですかね。

 

↑おれの技術をとくと見よ、て感じです。

 

↑こんなんなったり。

 

↑こうなったらもうしまいです。

 

↑エキストラの方々も熱演ですよ。

 

↑これは弾がもったいない気はしました。効率はよさそうですけど。

 

↑バブのがはるかにかっこよかったでした。

 

↑このシーンが本作の一番のシーンでしょうね。アメリカの映画館ではきっと拍手が巻き起こったことでしょう。ジョゼフ・ピラト―氏も本望だったと思うわけです。

 

↑この三人が残ることはわかってましたけど、ホッとできたシーンでした。

 

 ジョージ・A・ロメロ伝説の「ゾンビ」3部作の集大成の本作。若干よだれのとこだけ腑に落ちませんでしたが、それ以外はなにからなにまで絶品でした。その後がどうなったかを知りたいなと思いつつ、心の中で拍手して観了した次第です。

 

今日の一言

「ミゲル、かっこよくねえ~」

 

 

レビュー さくいん