さて、二ヶ月前のことではありますが、2020年5月28日、MITを卒業しました。
四年間頑張ってきた自分がとても誇らしいです。
また、前回の記事で少し書きましたが、今後の進学先が決まったので、新しいブログに移行しようと思います。
新しいブログの方でも、大学院受験に関しての記事を書く予定です。
今までこのブログを読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
さて、二ヶ月前のことではありますが、2020年5月28日、MITを卒業しました。
四年間頑張ってきた自分がとても誇らしいです。
また、前回の記事で少し書きましたが、今後の進学先が決まったので、新しいブログに移行しようと思います。
新しいブログの方でも、大学院受験に関しての記事を書く予定です。
今までこのブログを読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
さて、前回は院入試の大まかな流れを説明しましたが、今回は私が実際に経験した院入試の様子と、それに伴うアドバイスを書いていきたいと思います。
タイムラインは前回の記事と同じ様式です。
まず、出願校一覧からです。
3年後半になって、それまでは物理科に進学しようと思っていたのですが、数学も楽しくなり始め、院の進路に迷うようになりました。
そこで、物理科と数学科の両方を併願することにしました。
ちなみに、先輩の中には化学と物理を併願する人もいましたし、応用数学とコンピュータサイエンスを併願する人もちらほらみかけるので、併願はできないことはないです。
ただ、ほとんどの大学院で一年につき一学科しか受験できないので、その分リスクも大きくなります。
合格・不合格・通知なし
物理(理論・物性物理)
・Perimeter Institute (Master's)
・Harvard University
・Princeton University
・California Institute of Technology
・University of California, Berkeley
・University of California, Santa Barbara
・University of Colorado, Boulder
(下三校公立)
数学(純粋数学・幾何)
・Harvard University
・Stanford University
・Columbia University
・Northwestern University
・Stony Brook University
・University of California, Los Angeles
(下二校公立)
【出願まで(〜8月)】
まず、4月に受験した Physics GRE で 930/990 (88 percentile) のスコアを取りました。
試験自体は計算の速い私でも結構時間がなくなり、最後は適当に選択肢を塗りつぶしてました。
この時点で、もう一度Physics GRE を取ることはないだろうなと思いました。
そして、10月に Mathematics GRE を受験することに。
860/990 (87 percentile) という、個人的にはそこそこの成績を収めることができました。
ただ安全圏と言われる 90 percentile には少し届かなかったのが小さな不安の種にもなりました。
また11月あたりに General GREを受験しましたが、全く勉強する暇が取れず、ほぼぶっつけ本番。
Verbal 156/170 (73 percentile)
Math 170/170 (96 percentile)
Writing 3.5/6.0 (39 percentile)
という、数学以外は惨敗な数字を叩き出してしまいました。
これで私は結構情緒不安定に。
ただ、自分の英語力と残された時間じゃあ Verbal と Writing をいい成績まで上げることはできないだろうと踏み、この成績で受験に挑むことにしました。
結果論で言えば、この点数じゃ予想もできなかったようないい大学に入ることができたので、まあ他にプラスになる要素があれば Verbal と Writing はそこまで影響がなかったのかなと思います。
ただ、結果論なので。真に受けないでください。
アドバイス:後の精神衛生のために、ちゃんとGREに取り組もう。
【出願準備(9月〜12月)】
さて、9月ごろから本格的に出願に手をつけ始めました。
前回の記事でも書きましたが、この時期で特に重要なのは
・推薦書
・エッセイ
そして、余裕があれば
・興味のある教授へのコンタクト
をすべきです。
まず推薦書から。
私の場合、物理科と数学科の両方を受ける予定だったので、推薦書をもらう先生もその二つの受験である程度分けることにしました。
経歴から言うと、
・化学で2年ほど量子計算化学の研究
・物理で2年ほど理論物性物理の研究(2テーマほど)
そして数学に関しては、Reading Courseという自主的ゼミを教授と一対一でやっていました。
そのため、推薦書をもらう候補としては、有力な順に
・物理の研究の教授
・数学のゼミの教授
・化学の研究の教授(もう関わりが少ないので
・化学のアカデミックアドバイザー(4年間私がとった授業を承認してくれている、私に対しての評価がとても高い)
といった感じでした。
そこで私は
物理:
・物理研究の教授
・数学ゼミの教授
・化学のアドバイザー
(オプションで化学の研究の教授)
数学:
・数学ゼミの教授
・数学授業の教授
・物理研究の教授
から推薦書をもらうことにしました。
ちなみに、数学科を受験する際のワークショップで他の大学の教授に意見を聞いたところ、数学科に関しては数学科の先生から推薦書をもらった方がいいと言われたので、レビュー論文を書いたりプレゼンをしたりする数学でのコミュニケーションに焦点を当てた授業を教えていた、当時はポスドクの先生から推薦書をもらうことにしました。
今でこそ他の大学で Assistant Professor のポジションについていますが、当時は他の教授と比べたら無名と言っても仕方ないほどでしたが、自分が数学のペーパーを書けることの保証になると思ったので、その先生を選びました。
次にエッセイについてです。
大学院受験では、エッセイは Personal Statement か Statement of Purpose と呼ばれています。
主な趣旨として、推薦書やGPAなどでは測れない、個人の背景や研究についての意欲を主張する場となっています。
Statement of Purposeは、学部のエッセイと比べて能力重視です。
私が Statement of Purpose に取り組んだ時は、
・背景(なぜその学問に興味を持ったのか):20~40%
・研究などへの意欲と成果:40~60%
・興味のある教授へのアピール:10%
・その大学院へのアピール:0~10%
を目安に文字数を配分していきました。
私の場合、最初は化学科に入る予定で入学したので、その辺の経緯も詳しく説明しました。
そのため、背景が Statement of Purposeの 割ほど占めることになりました。
最後に、興味のある教授へのコンタクトについてです。
これは、自分が一緒に働きたい教授をもっと良く知るきっかけになります。
また、その教授が近い将来生徒をとる予定かどうかを聞くことで、自分が合格して入学してもその教授の元で学べない、などという事態を回避することができます。
なお、教授たちは忙しいので、メールしても返ってこないことが大半です。
Don't take it personally ですね。
ぶっちゃけ合否に関わるとは言い難いですが、やっておくことでマイナスになるようなことはないので、余裕のある方は教授にどんどんコンタクトしていきましょう。
【出願・面接(12〜1月)】
そして、実際に出願が始まります。
私が受けた大学院は、全てオンラインでの出願でした。
10月半ば頃からフォームがオープンされ始め、通常11月から翌年1月までに出願することになっています。
大学院によって出願のサイトや使っているソフトが違うので、パスワード管理など徹底しましょう。
なお、期限よりも早い時期に出願してもいいですが、一度出願すると取り消せなくなるので注意しましょう。
出願に書く内容としては、大学院にもよりますが、
・個人情報
・出願する学科の選択
・学部の大学の情報(GPAなど)
・受講した授業一覧
・推薦者一覧(大学側がここに記載されたメールアドレスに推薦書をアップロードするリンクを送る)
・就職歴
・テストの点数
・成績証明書のコピー
・Statement of Purpose / Personal Statement
・Curriculum Vitae / Resume
・補足資料
を記入・アップロードし、出願料を払いました。
例えば、Harvard だと Harvard 専用の以下のサイトで出願したり、
Princeton や Caltech などは ApplyWeb といった共通のシステムを使って出願したりしました。
(出願サイトの例)
面接に関しては、普通物理科や数学科ではほぼありませんが、私が受けた Perimeter Scholars International という物理の1年間の修士プログラムで一つオンライン面接を受けることになりました。
私は上の代から面接はないものだと聞かされていたので、面接の連絡が入った時はめっちゃ不安でした。
実際の面接は、
・自分が好きな分野について3分で説明
・教授からの学術的な口頭質問(20分)
・なぜこのプログラムに入りたいのかの説明
・受験者から教授への質問
と言った感じで進行していきました。
この時、3個ほどされた学術的な質問のうち一つに少し戸惑ってしまったので、手応えは微妙でしたが、プログラムに関しての意欲などはそれなりの理由を述べることができたので、まずまずの出来でした。
【合否通知(1〜3月)】
さて、私は12月中旬にほぼ全ての出願を終えました。
残るは、合否通知を待つだけです。
しかし実は、上に述べた Perimeter Scholars International のプログラムの出願は10月末だったのですが、その面接が12月上旬にあり、そしてなんと12がつ半ばに合格をもらうことができました!
ただ、厳しいことに、二週間以内に入学の是非の返事をしなくてはいけないとも言われました。
たった今他の大学院に出願したばかりなのに......。
二週間めちゃくちゃ悩みました。
否定的な意見・肯定的な意見を様々な人からもらいました。
その一方、この頃私は数学の博士課程に進みたい意欲がどんどん高まってきていました。
しかし、今まで物理の研究しかしてこなく、実際に数学の学力は数学一本でやってきた人たちより格下でしょう。
数学科全落ちも避けられないかもしれない。
そこでこの Perimeter Scholars International への合格は朗報でした。
もし今年数学科に全落ちしても、この修士プログラムに行っている間に再受験すればいい。
本来、再受験する際は1年間ブランクが空いてしまい、大学院側に悪印象なのですが、このプログラムに入ればそのブランクなしで(修士課程に所属しているため)再受験することができるのです。
また、正直4年間ずっとマラソンをしてきたようなものなので、次の5年間またマラソンし続ける気力が残っていないのもありました。
そして、合否通知から10日後、私は Perimeter Scholars International への入学を決めました。
とは言ったものの、数週間前に他の大学院に出願したわけで。
出願料は全て払ってしまったため、合否通知を待つことにしました。
ここで周りから聞いたのが、「合格しても入学まで1年間ギャップイヤーをもらうことができる」ということです。
友達にもギャップイヤーを取る前提で受験している子もいたので、もしどこかいいところに受かったら、ギャップイヤーをとってその間に Perimeter Scholars International に行けばいいかなと考え始めていました。
さて、時は1月末。
昔いた化学科の友達はバンバン合格をもらっている中、私の方はプログラムから音沙汰もありませんでした。
もはや、Stanford なんかは、送ったはずの成績書が届いていないと出願フォームに記載され、問い合わせのメールをするも全く返信が来ず。
Stanford は第一志望でもあったので、絶望のどん底に落ちていました。
実は大学院受験には、
The Grad Cafe (https://www.thegradcafe.com/)
という、とても精神衛生に悪いサイトがあります。
というのも、このサイトでは、受験者で合否通知などをもらった人が、受けた学科・通知の日時・合否などを載せていくのです。
同じ学科受験者が合否をもらったかどうかがわかるサイトです。
つまり、「他の人が合格をもらっているのに自分には全く連絡が来ない」という状況が分かるのです。
前にも説明しました通り、アメリカの大学院受験は基本受かった順に合格通知が来ます。
周りも全く音沙汰がないのなら希望はありますが、周りが受かっている中で自分がまだ受かっていないということは、合格する確率がどんどん低くなっていることに値するのです。
1月末はそこまで合格は出ないのですが、それでも数学科の早いところは通知が出始める頃なので、このサイトを毎日確認しながらそわそわしていました。
そして、1月28日。
数学科で受けた Northwestern University から、電話がしたいというメールが届きました。
一緒に受験した友達も同じような連絡をもらっていて合格通知だったとのことで、ワクワクしながら教授に電話。
合格をもらうことができました!
正直、数学科で受けた院は手応えがないと思っていたので、めちゃくちゃ嬉しかったです。
自分を認められた感じがしました。
続いて2月。
物理で受験した University of Coloardo, Boulder からウェブサイトで合格通知が。
友達とラーメンを食べている時に判明しました。
ここは滑り止め感覚で受けていたので、踊り出すほどではないですが、それでもほっとしました。
(合格通知の例)
その後、他の大学院からも合格通知が。
残念なことに、Harvard を含めた複数の大学院には不合格となりました。
正直物理で Harvard に落ちるとは思っていなかったのですが、 Harvard にいる上級生の話によると、今年は理論物性の生徒をあまり取らなかったそうです(上の学年でMITから3-4人理論物性にいったからでしょうか)。
(不合格通知の例)
ちなみに、UCLAからはいまだに(7月現在)合否通知が来ていません。
金取ったならその通知くらい送ってくれって感じですよね😠
【オープンハウス(3〜4月)】
合格が揃い始めたところで、オープンハウスです。
今年は新型コロナウイルスの影響で、私が参加する予定だったオープンハウスは全てキャンセルかオンラインとなりました。
オープンハウスは、その学科や環境の色が出ていて興味深かったです。
例えば、Princetonの物理科は、一見オープンな感じですが、生徒たちはほぼ白人で、オープンハウスに参加するだけで少し居心地が悪くなりました。
逆にStony Brookというニューヨークの公立大学の数学科は、アジア系の学生が多く、また他の大学と比べて大学からの経済支援が乏しいため、生活苦といった感じが滲み出ていました。
更に、オープンハウスでは教授と話すことができるのですが、これもとても面白かったです。
めちゃくちゃ話したがりやな先生がいたり(こちらとしてはありがたい)、逆に沈黙が続いてすぐ会話が終わるような先生もいたりしました。
自分が知らない分野について解説してくれる先生もいたりして、有意義な時間を過ごせました。
ところで、オープンハウスですべきことは、「合格した他の大学院に関する意見を聞くこと」です。
プログラム側としては、自分たちが欲しいと思って合格通知を出した人材をなるべく自分のプログラムに取り入れたいと思っているのですが、ここで、具体的に敵対する他の大学院の名前を出して、相手のことをどう思うかを聞くと、とても面白いです。
実験屋はまた違うかもしれませんが、理論屋に関しては、特に教授陣は生徒のためを思って発言してくれることが多いので、他のプログラム候補が自分のところより良さそうであれば、そう提言してくれます。
例えば、私が Northwestern の教授と話した時に、「もし Stanford に受かったのなら迷わずそっちに行け」と背中を押してくれたり(この時は受かっていませんが)、「学問的にはうちよりも Stony Brook の方があなたに合っているだろうけれど、過ごす環境としては Northwestern がおすすめだよ」と言ってくれたりしました。
こうしてオープンハウスに参加する中で、自分の中では数学科の Stony Brook University に惹かれていきました。
Stony Brook は、マンハッタンから電車で2時間くらいのところにある、公立大学です。
Simons Center for Geometry and Physicsが隣接しており、物理と数学が融合している、私にとても合っている大学院です。
生徒たちもめちゃくちゃ Stony Brook に満足しているようで、PhDを過ごすには良さそうな環境でした。
しかし、上に述べたように大学院からの経済的支援がとても乏しく(年間 $20,000 ほど)、反対に家賃は高いため(給料の半分を占めるらしい)、夏の間は専ら働かなくてはいけないらしく、学問に集中できるか微妙なところでもありました。
逆に、Northwesternは年間 $40,000 ほど、しかも夏期間の給料も保証されていて、勉強するには全く問題ない環境が整っていました。
しかし、学科自体が小さいため、教授の興味と自分の興味がバッチリ一致するわけではありませんでした。
学問をとるか、生活環境をとるか。
時は4月上旬。二週間後には全ての大学院に入学の是非の連絡を入れなくてはいけません。
こう悩んでいる中、一通メールが届きました。
成績証明書が届いていない件で何の返信もくれなかった Stanford からです。
「 Waitlist を作る予定だけど、まだうちのプログラムに興味はあるかい?」
とのことでした。
そもそも第一志望だったので、すぐさまYesと返信をしました。
すると、4月3日頃になって、
なんと!
Waitlist から合格させてもらえました!
Waitlist からの合格者は、私が最後だったそうです笑
そもそも、Harvard や Columbia など、
この後、急遽個別に教授や大学院生と連絡を取り合って Zoom で学科の様子などを聞くことができました。
もともと一番行きたかったプログラム。
そして、給料も年間 $40,000 ほどもらえ、学科は小さいながら教授陣の興味はドンピシャで一緒なので、 Stanford に進学することを決めました。
半年間かかった大学院受験。
それは日本のような一発試験のストレスとはまた違った、自分の人生を何回も考え直すような慢性的な不安・緊張感でいっぱいでした。
結果的に、自分が一番望んだ方向に進むことができてよかったです。
同じMIT生の様子を見ていると、理論物理ではほとんどが苦戦していて、二校から合格が来ればいい方、と言った感じでした。
全落ちの人もちらほらみかけました。
逆に、化学や実験物理ではほとんどの人が圧勝していました。
理論屋としてやってくる留学生が競争率を上げているのでしょうか。
MITの名があっても苦戦するほどなので、特に理論屋として大学院受験に臨む人は自分の能力を過信せず、滑り止めから Dream School まで満遍なく受けましょう。
さて、話題は変わり、院入試です。
では卒業後の様々な進路について解説しましたが、この記事では大学院入試に焦点を当てていきたいと思います。
また、次回の記事では個人的な院入試結果と、その経験を踏まえたアドバイスも書く予定です。
まず、学科に依り受験に必要な書類や試験、受験時期などが異なりますが、概ね似通っている
・数学
・物理
・化学
の学科を中心に、また、少し異なる生物学科についても言及したいと思います。
ちなみに、この概要は2020年春現在の情報なので、実際に受験する際には各自最新の情報を探してください。
また、私は日本国籍で海外大学在籍のため、アメリカや日本の奨学金には出願しません(できません)でした。
そのため、奨学金についても各自調べてみてください。
【出願まで(〜8月)】
まず、院入試に関して有名なのは Graduate Record Examinations (GRE) という試験です。
学部受験でいう SAT に相当し、GRE にも General Test と Subjet Test があります。
General GRE は、以下の三単元に分かれています(括弧は得点範囲)。
・ Verbal (130-170)
・ Mathematics (130-170)
・ Writing (0-6、0.5単位)
理系、特に日本人なら170点満点を目指すことは容易いでしょう。
Verbal に関しては、日本人だと結構語彙を自主的に覚えないと高得点は狙いづらいと思います。
Writing もぶっつけ本番だと厳しいと思います。
ただ、理系の場合、Verbal や Writing はそこまで重視されないと言われています(私の入試結果からしても言える)。
しかし、高得点をとっておくに越したことはないのと、再度試験を受けるのは財布に負担がかかるので、きちんと対策をしてから挑みましょう。
続いて、Subject GRE はその名の通り科目ごとの試験です。
Mathematics, Physics, Chemistry などに分かれていて、受験する大学院から指定された科目の試験を受けます。
General GRE より Subject GRE の方が受験において比率は高いです。
Subject GREはなるべく高得点を出すようにしましょう。
ところで、General GRE と Subject GRE の両方において重要視して欲しいのは percentile です。
Percentile はその数値が高いほど成績がいいという仕組みになっています。
重要な科目(例えば Subject GRE や General GRE の Math)では 90 percentile を目指すようにしましょう。
実際のところ、例えば物理科の入試でトップ50に入る大学院では Subject GRE の 80 percentile が足切りとなっているという噂があります。
他に受験した友達にも Subject GRE でおそらく落とされたんじゃないかという感じの人を見かけるので、たかが試験、されど試験、気を抜かずに頑張りましょう。
最後に、ここ数年は GRE の試験結果提出を任意にする動きが広まっています。
特に今年は新型コロナウイルスで試験が開催しにくい影響もあるので、今後もこの動きが加速する可能性があります。
各自受ける大学院の入試要項をよく読んで、GRE受験が必要かどうかを見極めてください。
また、英語圏外から受験する際にはTOEFLが必要な場合があります。
ここらへんの点数事情は把握していませんが、120点中100点以上あれば英語力には問題ないと思われるでしょう。
【出願準備(9月〜12月)】
さて、試験の結果が出揃ったところで出願です(ちなみにGREは10月くらいまでなら受けても出願に間に合います)。
出願に必要な基本的な書類として
・推薦書2〜4本
・大学の成績
・エッセイ
・GRE/TOEFL の成績
があります。
ちなみに出願はほぼ全てオンラインです。
試験の成績を除き、重要度のランク付けすることは出来ないほどに全てが重要なのですが、あえて言えば推薦書が一番重要視される確率が高いです。
そのため、推薦書は①著名で②濃い内容を書いてくれる教授に頼みましょう。
まずは研究室の教授、次に授業をとった教授、そして個人的に仲の良かった教授、といった優先順位で決めていくといいです。
ただ、もし教授が推薦書を書くのに躊躇していそうな雰囲気だったら、潔く他の先生に頼むことにしましょう。
次に、大学の成績はアメリカではとても重要です。
たとえばトップ校を目指すならGPAが3.6以上ないと勝率はとても低いです。
また、同じGPAでも学年が上がるごとに成績も上がっていく方が好感度が高いので、3、4年生は特に成績に気をつけてください。
そして、自分と他の受験生を特に差別化することができるのがエッセイです。
各学校によって条件が違いますが、ほとんどがsingle spacedで1-2ページほどのエッセイを書くように指示してくると思います。
ここは、自分の強さや興味、そして研究について院にアピールできる場所なので、特に時間をかけてください。
個人的には、エッセイは私が受験する中で結構審査員に響いたのではないかなと思います(後日の記事で詳述)。
一緒に受験する友達と読み合いっこして質を高めていくのもおすすめです。
最後に、出願には出願費用が必要です。
大学院にもよりますが、概ね平均100ドルくらいかかります。
GREの試験成績を送るのにもお金がかかるので、何校受けるかはお財布と相談してください。
ちなみに、私は12校ほど受けましたが、これは東大の大学院に出願・合格して入学するまでの入学金を含めたとした費用よりも低い出費で済みました。
【出願・面接(12〜1月)】
Stanford University のKnight Hennessy のように特殊なものもありますが、普通は出願の期限は12月から翌年の1月に定められています。
私が見た印象だと、生物や化学は11月下旬から12月上旬、物理は12月中旬から下旬、数学は12月中旬から1月中旬に出願期限があるものが多いです。
そして、特に生物や化学科では面接が12月から2月の間に行われます。
友達の話を聞いている感じだと、面接が選考の一部として大きく扱われているところ(つまり面接で落とされることもある)と、面接は単なる教授との顔合わせとして使われているところ(つまりほぼ受かる)の二パターンがあるそうです。
面接も、オンラインでやるところや、わざわざキャンパスに赴いてやるところもあるらしく、大学・学科によって様々です。
対して物理や数学科には面接はほとんどありません。
これはやはり生物や化学は実験がメインでチームワークが重要視される一方で、物理や数学はどちらかというとソロプレイという性質が反映されてるのかなと思います。
そして、物理や数学で面接される場合には、受かるか受からないかのギリギリのラインにいる場合が大半です。
便りがないのはいい便りとして構えておきましょう。
【合否通知(1〜3月)】
アメリカの大学院受験で特にストレス要因になるのは、合否通知がほぼ受かった順から来ることです。
(ちなみに、本当に勝算がないような場合にもすぐに不合格通知が届きます。)
生物や化学だと1月に合否が決まり始め、2月下旬にはほぼ全ての通知が届いていることが多いそうです。
物理や数学では2月下旬に決まり始め、3月上旬にほぼ全ての合否が決まります。
それ以降に結果が来ない場合は、受からなかったと思っておいた方がいいでしょう。
実際に、私の受けた大学院の中ではいまだに合否通知を出してくれていないところがあります笑😠
合否を待つ際のアドバイスとして、「受験仲間とは結果を共有しない・受かっても誰にも言わない」ことです。
同じ大学院を受けて他の友達が受かっているのに自分は受かっていないと、結構鬱になります。
お互いのために、静かに合否を待ちましょう。
また、原則4月15日までに全ての大学院に入学・辞退の意思表示を行います。
もし4月15日までにどの院にも受からなかった場合、もし空きがあればウェイトリストに載せてくれる大学院もあるので、辛抱強く待ちましょう。
【オープンハウス(3〜4月)】
通常、合格した生徒のためにオープンハウスが開かれます。
アメリカからの旅費・滞在費はほぼ全て大学院持ちなので(日本から来る場合はまた違うと思いますが)、気楽にキャンパス訪問ができます。
私は新型コロナウイルスの影響で全てのオープンハウスがオンラインとなってしまいましたが、普通ならこのオープンハウスで学科の雰囲気とか土地の過ごしやすさ、同期となる人達との相性を見ることができます。
現役大学院生の雰囲気や経験談などを聞いて、自分がその大学院に合うかどうか見極めましょう。
こんな感じで、大学院受験が終わります。
学部受験と比べて思ったことは、
👍運もあるが、学部と比べて能力が結果につながりやすい
👎合否通知が合格順に来るので、1−2ヶ月は精神状態が不安定になる
です。
特に合否を待つ間は、メールをチェックする時間帯を決めて1日の行動を制限しないと、どんどん負のスパイラルに落ちます。
個人的な院受験の様子や詳しいアドバイスは次の記事にでも書きたいと思います。
さて、帰国後の二週間の自主隔離を経て、自宅に戻った後の話です。
たしかその頃は自分のいたコミュニティを失わないようにとほぼ毎日友達とZoom通話をしていました。
また、Nintendo Switchを買ってオンライン通信でみんなで遊んだりもしてました。
そして、三月下旬にはオンラインになった院のオープンハウスに参加したりしていました。
(院入試については後日別の記事にします。)
そして3月31日、授業が再開しました。
一応授業は原則録画されることになっているのですが、ライブで授業を聞いている方が質問ができるし集中できること、そして自分の居場所であるMITとその仲間達に触れていたいこともあり、なるべくライブ授業に参加することにしました。
しかし、その時差13時間。
日本時間で夜21時に起き、22時頃から授業を開始、遅い時には朝の5時に授業が終わり、その後友達と宿題をすること数時間、そして昼の13時に寝付ければいいな、といった生活をすることになりました。
正直、めちゃくちゃきつかったです。
何がきつかったかと言うと、まず寝れない。
起きれない。
私の朝ご飯がみんなの夜ご飯。親に朝っぱら(夜っぱら?)から重たいものを食べさせられた時には2時間トイレで唸ったりしてました。
コロナが流行り出す前は1日10時間以上勉強していた模範的生徒だったのですが、昼夜逆転生活はもう生きているだけでヘトヘトって感じでした。
さて、話題は変わり授業体制についてです。
授業はZoomで行われ、先生がタブレットなどに書いたりパワポを使って講義をしたりします。
先生方もそういった授業に慣れていないので、最初のうちはノートが見えづらかったり何を書いているのかわからなかったりしました。
他にも録画だけの授業があったりしましたが、1.5倍速にして聞いてました。
そして気になる成績評価ですが、ありがたいことにPE/NEという、簡単に言えば「合格(Pass)か、何も記録に残らないか(No Record)」な優しい成績評価になりました。
実際、家だと集中できない人が多いので、まあ妥当な判断だとは思います。
しかし、PE/NEになったことで、課題に手を抜く人も多く出てきました。
100人が集まるはずの講義に参加者が10人しか来ず、しかも質問しているのは私だけ、みたいな状況も度々ありました。
私はなんだかんだいって真面目なので(自分で言う)、結果的に全教科Aをもらえる程には頑張りましたが。
一方、課題自体にはそこまで変化はなく、中間・期末もオンライン、または持ち帰り(24時間制限など)で行われました。
MITは友達がいてこそ課題を乗り越えられるようなものなのに、ほぼ一人で課題に取り組むのはきつかったですね。
最後に、期末も終わり、本来ならその後一週間は「Senior Week」という、卒業する4年生が集まってパーティーを開いたり遊んだりする4年間で一番楽しいイベント週間があったはずなのですが、もちろんイベントは一切行われず、ただオンラインで開催される3時間きりの卒業式までの時間をひたすら各自潰す一週間となりました。
卒業式も、本来なら卒業ガウンを着て一人一人が名前を呼ばれるのを待ち、帽子を投げ、写真を撮ってもらう、そんな卒業式になるはずだったのですが、今回はオンラインで、名前さえ呼ばれず、ただアルファベット順に並んで流れてくるパワポの卒業者名から自分の名前を探し出す、そんな味気ない卒業式となりました。
ただ、MIT曰く、私たちの学年は後日対面でまた卒業式をやるらしいので、いつになるかわかりませんがその時に友達と会えるのを楽しみに待とうと思います。
ご無沙汰してます。前回、これから記事を書いていくと意気込んでおきながら忘れていました。
今回は、現在も流行している新型コロナウイルスへのMITがとった措置について記録したいと思います。
時は2020年3月。
その頃は武漢でコロナウイルスが流行っているというニュースを日本のYahooニュースを通じて聞いていました。
日本ではお隣の韓国で集団感染したことやクルーズ船内での流行などがあったため、アメリカよりもニュースに取り上げられる頻度が高かった印象があります。
私の寮のフロアでは中国系の人がほとんどだったので話題に上がることもたびたびありましたが、非アジア系の友達とは全くと言っていいほど話になることはありませんでした。
2月下旬では、イリノイ州やカリフォルニア州で感染が広まっていましたが、アメリカ全体としては危機感はなかったです。
しかし、3月上旬。
ボストンで行われた生物関係の会議に参加したイタリア人が3人コロナウイルスに感染していると判明。
すぐその会議に参加した人達や会社関係の人に検査をしたところ、芋づる式に陽性者がでてきました。
その勢いは指数関数的。
個人的な記録によれば、5、13、28、41、92とどんどん感染者数が増えていきました。
3月9日。
150人以上が集う授業は原則オンラインに移行することが決まりました。
この頃は、まだ皆「授業はオンラインになって寮から授業を受けることになる」と思っていました。
そして、本来なら院のオープンハウスにいくはずでしたが、この頃からオープンハウスも次々とオンラインに移行していきました。
そして3月10日。
その週の授業は全てオンライン、翌週の授業は全てキャンセル。
そして、全ての寮から一週間以内に退去しろといった通知が出されました。
構内はもうお祭り騒ぎ。
学科ごとに仮卒業式をやったり、疎遠になっていた友達と最後の挨拶をしたりと、めちゃくちゃでした。
3月11日。
実は強制退去の通知と同時に、一応「許可された生徒はキャンパス内に残れる」と言われていましたが、その選別がめちゃくちゃ厳しく、本当に誰一人許可が下りたものがいないレベルでした。
これを受けて、生徒達はオフィスの前に座って平和的デモ。
これが効いたのかはわかりませんが、退去前日にいくらかの生徒の滞在許可が下りることになりました。
この頃、私はまだアメリカに残る気で、外のアパートを探していたりしました。
しかし、交通費をMITが負担してくれることや日本ではコロナが指定感染症となり医療費が安くなること、そして卒業式が行われなさそうなことから、退去二日前に日本に帰ることを決断しました。
寮にある荷物はほとんど友達の家に預かってもらうことになりました。
3月15日、日本に帰国。
日本行きの便はほとんどがMIT、ハーバード、タフツなどの大学生達でいっぱいでした。
帰国後は感染していたときの場合を考え、タクシーでホテルに行き10日間ほど自主隔離しました。
本来なら院のオープンハウス周りをしていた3月でしたが、実際は寮からの退去、帰国、自主隔離など、めちゃくちゃ忙しく精神的にも疲れる一月となりました。
今まで4年間ずっと住んできた部屋をこうもあっけなく追い出されたのは、悲しいという感情よりは喪失感といった方が的確でしょうか。
友達も散り散り、次にMITに帰ってくる時には私はもう部外者。
本当に自分の居場所が一瞬にして無くなった騒動となりました。
次の記事では、オンラインとなった春学期の後半について書いていきたいと思います。
2020年に入って半年も経っていないですが、色々なことがありすぎてブログ更新を滞らせていました(普段からもっと投稿するべきではあるんですが)。
今まで起きたことを時系列的に順を追って記事を書いていきたいと思います。
具体的には、Senior Springの授業の様子、そしてCOVID19に関する授業・環境の変化、院入試と結果、現在の状況、と言った順番で書いていきたいと思います。
まず、結構昔のSenior Fall まとめの記事で意気込んだように、Senior Springはたくさんの授業を取りました。
はじめに、大学の文系必修のために、以下の二つの文系の授業を取りました。
もっとも、文系か理系か区別が曖昧な分野ですが。
3.985 Archaeological Science 考古学
週に一回、夜3時間に講義を聞くオムニバス形式の授業です。
文系科目というくくりなので、課題はミニテストとまとめレポートが複数といった緩めの設定となっています。
教授陣は、Center for Materials Research in Archaeology and Ethnology (CMRAE)といった研究所の教授らで、MIT、ハーバード、ボストン大学など、ボストン圏内の様々な大学から集められています。
講義の内容としては、教授によって研究分野が違ったので一概には言えませんが、中南米の研究が多く、特にスペインによる侵略前の時代の文明を対象とした研究が多かったです。
他にも死海文書の研究や南米の宗教などがあり、とても興味深かったです。
14.01 Principles of Microeconomics ミクロ経済理論
経済で一番基礎的な授業です。
他の文系の授業と違い、理系科目のように毎週の宿題と試験で成績が評価されます。
内容としては基本的な経済の概念を数式化していく感じでした。
BerstrandとMonopoly、そしてその間のCournot modelなど、様々な市場のモデルを学びました。
高校の政治経済の授業でしか経済を学んだことがないので、新鮮で新しい知識を増やすことができました。
次に、文系の必修の他に、副専攻の必修も二コマ取りました。
5.03 Inorganic Chemistry I 無機化学I
化学科の生徒が典型的には2年生で受講する無機化学の授業です。
昨年に取ろうと思いましたが、課題量の都合上今年に回しました。
IAPの間に先取りして勉強していたので、授業や課題は楽々こなせました。
扱った内容は、対称性から議論する分子軌道論、遷移元素の錯体、生化学での遷移元素の役割などです。
ただやはり抽象的すぎて、厳密な議論を好む私には向かないかなといった印象でした。
6.006 Introduction to Algorithms アルゴリズム入門
コンピュータサイエンス科の生徒が2年生で受講する授業です。
これも昨年度から今年に回しました。
内容としては新しい概念ばかりで、課題も多く(週16時間ほど)、舐めてかかったら危ない授業でした。
Linked ListやSet AVL Treeなどのデータ構造、ソート、グラフ理論、Dynamic programming (動的計画法)などを学びました。
直接的に有用になることは咲き数年ではないと思いますが、新しい頭の使い方を学ぶことができてよかったです。
また、以上の準必修以外に、2つ数学の授業を取りました。
18.755 Lie Groups and Lie Algebras リー群とリー代数 (院)
院レベルのリー理論の授業です。
基本的な定義から始め、covering mapを使ったリー群とリー代数の互換性の議論 (cf. simply connected)、root systemsの定義からCoxeter-Dynkin diagram、そしてSU(2)を使ったcompact connected Lie groupの分類まで、議論を授業で扱いました。
今まで聞いたことがない論理の展開でしたが、非常に興味深かったです。
ただ、院の授業なので課題量がめちゃくちゃ多く苦労しました。
18.966 Geometry II 幾何学 II (院)
前学期に取った 18.965 Geometry I の続きです。
といっても、教える先生は違うので、内容も全く違いました。
今学期は、Professor Minicozzi が minimal surface (極小曲面)について授業をしました。
正直存在さえ知らなかった分野なので(そもそもリーマン幾何はあまりやってない)、どうなることかと思いましたが、教えるのがとても上手く、確固たる前提知識がない私でも議論についていくことができました。
また、課題は一切なく授業への参加で評価される授業でしたが、逆に先生への質問をすることで深く学ぶことができたのでよかったと思っています。
今後も色々な幾何の分野を触っていきたいと思いました。
また、上の6科目以外にもう一つ数学の代数幾何学の授業を取ろうとしたのですが、途中で内容についていけなくなったので履修削除しました。
総合的にみて、今までで一番盛り沢山且つ課題が多い学期だったと思います。
ですが、一緒に宿題する友達がいたのでそこまで苦痛には感じませんでした。
成績的にも有終の美を飾ることができたと思います。
さてさて、数年間MITに通い続けてきた当方でございますが、そんなMIT生活も残すところわずか一学期になりました。
MITを卒業した後生徒がどのような道を歩むのか、興味深いところであると思います。
そんなわけで、この記事では軽く卒業後の進路選択について書こうと思います。
まず大きく分かれるのは、卒業後就職するか、それとも進学するか、です。
どのくらいの割合の人が就職するのか分かりませんが、日本よりは学部就職率が遥かに多いです。
特に工学系では大手企業からスタートアップまで様々なところに就職しています。
MITでの就活に関しては、秋辺りにMIT構内でキャリアフェアがあり、そこで面接をしたり説明会に行く人が多いです。
その波に乗り遅れた人は、冬場から春にかけて個人で就活をしたりします。
海外留学生の就活事情は、GoogleやFacebook、コンサルなどの大手でないかぎり結構厳しいです。
というわけで、私の周りのMIT日本人学生はほとんどが進学しています。
進学についてもいろいろな種類があります。
例えば、工学系だとMEngという1−2年の修士が就活に有利です。
もっと研究したい人は普通にPhDを取りにいったりもします。
一方で、理学系では9割型皆5年制PhDに出願します。
ここで注意しておきたいのは、米国で言うPhDは日本で言う修士と博士が一緒くたになったものということです。
つまり、例えば日本の修士を出てアメリカでPhDに行くとすると、アメリカでもう一度修士の内容をやる羽目になります。
といっても、経験できる事柄は全く異なるので損といったことはないです。
数学科でコンサルや外資に行きたい人は、統計など専門修士を取ることもできます。
また、アメリカのPhDは日本の修士・博士課程と異なり、ちゃんと給料が出ます。
場所にもよりますが、TAなどをする代わりに授業料免除、かつ年200−300万円ほど給料をもらえるところが多いです。
更に、優秀な合格者には現金の奨学金や、TA免除などもあります。
出願のスケジュール的には、秋あたりに出願開始、12−1月に出願締切で、1−4月に合否通知が来るのが一般的です。
なお、学部・学科によって出願時期など色々と異なるので、リサーチが必要です。
また、合格するとOpen Houseなどに呼ばれ、交通費も(アメリカ国内ならほとんど必ず)出ます。
こんな感じで、アメリカ学部生の就活・進学事情をさらっと説明しました。
実際、私も進学のために出願・合否通知待ちなどをしているところなので、もう少し落ち着いたら院入試について新しい記事を書きたいと思います。
ご無沙汰しております。
もはや学期が終わった事後報告となるくらい更新が滞ってて申し訳ありません。
色々とバタバタしてたのですが、やっと落ち着いてきたので先一週間くらいかけて記事を書いていきたいと思います。
Senior Fallは、学部史上一番コマ数を減らしました。
また、大学院受験で忙しくなることを想定して研究もお休みしました。
ただ、院の授業を2つ取っていたので、全体として少し時間が余るけどちょうどよかったといった感じになりました。
院受験については、後ほどコーナーを作って色々と説明したいと思います(後まだ全部結果が出ていない)。
7.012 Introduction to Biology 生物入門
必修を最後の最後まで引き伸ばしたツケが回ってきました。
遺伝、代謝、細胞、免疫機構など、幅広い生物の内容を学ぶ基礎的な授業です。
全く興味がない授業を取るのは初めてと言っても過言ではなく、最初はモチベを上げるのに苦労しました。
宿題も前日に友達と詰め込んだり、試験もとりあえず過去問から傾向把握など、ちょっとやる気のない大学生のように過ごしていました。
結果としては楽勝でしたが、昔はそこまで興味のないことでも取り組めたのに、今は全然集中できなくて、老化を感じました。
逆に、興味のないことを他人に教えるには強制的に学ばせるのが一番なのかもしれませんね。
11.124 Introduction to Education 教育入門 (CI-H)
文系のconcentrationで取らなければいけない授業です。
先生は違いますが、前回の11.125と形式はほとんど同じでした。
内容としては、アメリカの教育の歴史や制度を学び、授業の後半でグループを作って新しい学校を設計するといった感じです。
文科省が色々と教育内容を定める日本とは違い、アメリカは各州が教育に対して大きな権限を持っていて、政府方針の違いが教育に与える影響を詳しく学ぶことができました。
個人的な感想としては、やっぱり日本の教育は世界的に見ても優れていると思いました。
友達も数人作れたので、全体として楽しい授業でした。
8.511 Theory of Solids I 固体理論I (院)
Solid state physicsの授業です。
この授業ではtight-binding theory, bloch theory, crystals, quantum Hall effectなどを学びました。
院の授業は学部の授業に比べて比較的課題の量が多く、この授業も例外ではありませんでした。
ただ、課題の問題は教育的で意味のある問題構成になっていて、解いていてとてもためになりました。
最初は学部生5人ほどで取っていたのですが、だんだんと周りが脱落していったのが悲しかったです。
来学期にはこの授業の続きの授業を取る予定です。
18.965 Geometry of Manifolds I 多様体の幾何学 (院)
初めての院レベルの数学の授業です。
周りは3分の2くらいが院生で、残りが学部生と言った感じでした。
教授は板書の字が綺麗で教えるのがとてもうまく、数学以外にも教え方のテクニックなどを学ぶことができました。
宿題は隔週に20問くらいで、一緒に授業を取っていた友達と一緒に取り組みました。
まだ数学になれきっていませんが、楽しかったです。
この授業でも続きの授業を来学期に取る予定です。
また、研究していない分時間に余裕があったので、他に8.05の採点、8.03 & 8.033のチューターなどをしていました。
ですがやはりちょっと息抜きしすぎた感じがあるので、来学期はもうちょっと授業コマ数を増やして頑張りたいと思います。
Earlyの時期には、主に2つの受験システムがあります。
Early decisionとearly actionです。
主な違いとしては、「合格したら入学しなければいけないかどうか」です。
Ivy leagueやトップ校はほぼearly actionで、early decisionを行う大学は比較的中堅校が多い気がします。
Early decisionの大学は、絶対に行きたい大学の場合にのみ出願しましょう。
アメリカの受験には主に二種類の受験時期があります。
まず、Earlyはその名の通り出願時期が早めで、10月末頃に期限があります。
結果が出るのはだいたい12月中旬です。
対してRegularは12月中旬から1月中旬に出願締め切りです。
結果が出るのは3月から4月で、5月1日には必ず通知が来ます。
Earlyとregularは両方に出しても全く問題ないです。
Earlyに出すメリットとして、早く結果が出ることと、競争率が場合によって低くなることです(詳しくは他の記事を参考にしてください)。
特に日本人にとっては、センター前に結果が分かるのはとてもありがたいですね。
またEarlyでは、結果の種類が3つあります。
合格(acceptance)、不合格(rejection)、そして延期(deferral)です。
ここで重要なのは3つ目のdeferralです。
これは、earlyで合格にするには物足りないので、regularでもう一度選考するといった内容の結果です。
おそらく受験者の6〜8割がdeferralになります。
Deferされたからといって落ちたというわけでもないので、そこまでパニックにならなくて大丈夫です。
ちなみに、early/regularの両方において、合格をもらったすべての大学に5月1日までに入学・辞退の回答を出さなければいけません。
これは、一旦入学者の数を整理することによって、waitlistにされた人に合格のチャンスを与えるためです。
なお、waitlistで合格するためにはどの大学にも入学の意思を示していないことが必要です。
例えば、MITに入学すると答えたのに後にHarvardにwaitlistから合格に昇格したからMITを取り消してHarvardに行く、というのは無理です。
万が一このルールを破った場合、おそらく十年くらいは貴方の高校、もしくは日本から誰一人として相手方の大学に入れてもらえないでしょう。
他者への信用にも関わる規則なので、必ず守ってください。