相合い傘に
小雨に霞む町並みは
まるで
パステル画のようで
心まで淡く優しく
しっとりと包み込む
そんな中
小さな女の子が
母の右手に引かれて
歩いている
お話ししながら
何度も母の顔を
見上げながら
雨音で
話し声は
聞こえないけど
楽しげに
いつものように
女の子の右手には
傘が行ったり来たり
差すことも
忘れて
たくさん喋っている
母は
左手に持った
大きな花柄の傘を
女の子を包むように
傾けながら
笑顔で
お話ししている
肩が濡れても
幸せそうに
そのまま二人は
雨に霞む
小さな小道に
姿を消した
相合い傘
みんな帰っちゃった…
今朝
『夕方から雨が降るから傘持っていきな』
ってママに言われたけど
聞かないで
当校しちゃったから
雨の神様が
怒って泣き出しちゃった
小雨だけど
お家は遠いから
傘がないと濡れちゃうな
校舎の入り口に
ぽつんとしゃがんで
重たい空を見上げている
雨の匂いは
嫌いじゃないけど
どうしょうかな…
色々考えてたら
淋しくなってきた
みんな帰っちゃったし
僕だけこのまま
雨の中だし
『あめあめふれふれ』
って歌ってみたけど
つまんないや
ママ来ないかな
僕の傘
持ってきてくれないかな
雨に霞む校門に
目をやると…
花柄の大きな傘が
潤んで見えた
『あっ!ママだ!!』
『僕、あの傘知ってる』
『ママの傘だ』
潤んで雨に溶け込んだ
花柄の傘は
どんどん近づいて
雨を押し退けて
僕の前で止まった
僕の大好きな
ヒーローが描いてある
青い傘と
飽きれ顔のママと一緒に
『だから傘持って行きなさいって言ったでしょ』
『まったくもー』
怒りながら
傘をくれた
『ごめんねママ』
って
ママの顔を見上げると
『しょうがないねぇ』
『夕飯のお買いものしてから帰るわよ』
『今日は何が食べたい?』って
同じ目線で言われたから
『ミートソース』
って元気一杯に言った
『じゃ、挽き肉とケチャップと…玉ねぎもね』
『たくさん作っちゃおう!』
『うん!いっばい!!』
小雨の中
僕の歩幅で
ママと一緒に
歩き始めた
ママの左手には
大きな花柄の傘が
雨と遊んでいる
ママの右手は
僕の左手と繋がって
いる
僕の右手には
大好きなヒーローが
青い傘を揺らして
笑っている
開かれないまま
嬉しい僕の右手と一緒に
嬉しそうに
笑っている