葉桜の季節に君を想うということ//歌野晶午 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)/文藝春秋

¥700
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 「葉桜の季節に君を想うということ」


 歌野晶午、著。 2003年

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内容(「BOOK」データベースより)
「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。

             ※

mokkoさんに頂いた本です♪
mokkoさんのブログ→
mokkoの現実逃避ブログ「葉桜の季節に君を想うということ」

 さて、歌野晶午さん。
実は以前に『ブードゥ・チャイルド』を読んで、途中でブン投げたという思い出がある。
なんか、クドくてウザい感じで、こんなもん読んでられるかあ!
と。

 だが、評価の高い作品もある。
気には……なる。
いつか再チャレンジしてみようかという気はあった。

 ならば本作だなと、漠然と思っていたらmokkoさんが先に読まれてレヴューを書いておられた。
とりあえず、彼女的には好みではない作品だったようですが……。

 で、読了本を譲り受けしばらく熟成させていたのを今回読了。
という次第です。

 花の盛りは過ぎ、緑が生い茂る。
花のみが咲き誇る満開の季節より、葉桜のころにこそ風情を感じる。

 30になったら私死にます

 綺麗なままで死にます

 などという歌がちょっと流行った時代もあったが、その歌手がどんだけ綺麗だったのか私は知らない。
なんとなく気持ちは解るが、花の盛りのみに執着するってのは浅はかお馬鹿であろう。

 汚れつちまつた悲しみ

 まあ、そんなものも呑みこんでみれば、ホロ苦くて結構いける。
醸造されたから人間が練れたみたいな、わが身顧みぬ説教はせんけどね。
10代は10代を楽しみ、20代は20代を楽しむ。
いや、楽しまんでもいいさ。
苦しもうが切なかろうが、まあ、抱えてゆくさね。

 で、まあ、その果てに。
いやさ、果てなんてないのさね。
ありゃせんよそんなもの。

 お化けの学校にゃ 試験もなんにもない

 らしいが、果てだとか悟るとか、人間が出来るとか、枯れるとかさ。
ありゃせんのだよそんなもの。
悲しけりゃ泣くし、嬉しけりゃ笑う。
変わりゃせんのだ。

 進歩なんかせんのだ、人間は。
ぐるぐるぐるぐる螺旋を巡るのだ。
巡ればいいのだ。

 ときめいてもいいのだ。
煩悩に焼かれてもいいのだ。
見苦しくていいのだ。

 全て抱きしめてゆけばいいのだ。
もちろん、やせ我慢もいい。
ストイックに脂汗を垂らしてもいい。

 生きていよう。
今日も明日も生きよう。
心も体も生きよう。

 生き残りたい 生き残りたい

 まだ生きてたくなる
 
 そんで、今日も明日も生きて。
なにひとつ諦める必要なし。

 と、まあ、なんかそんな感じの作品でした。
叙述トリックにはやられたけれど、ミステリー云々というより、なんか直球勝負の作品だなと。

 『葉桜の季節に君を想うということ』。
確かに、ビジュアル的には映えないラストかもしれないけれど、これはこれでカッコイイと思う。
私的には絶賛!
面白かったです♪♪♪