フェルメール The Greatest Exhibition -アート・オン・スクリーン特別編- | akaneの鑑賞記録

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2023年2~6月にオランダ・アムステルダム国立美術館で開催された「フェルメール展」の様子を収めたアートドキュメンタリー。

日本でもファンの多い、オランダを代表する17世紀の画家ヨハネス・フェルメール。2023年の2月から6月にかけて、オランダ・アムステルダム国立美術館で、現存する28のフェルメール作品が世界中から集められた史上最大規模の「フェルメール展」が開催され、65万人を動員した。本作では、その「フェルメール展」に展示された作品の数々を、美術館館長やキュレーターらによる作品解説を交えてひも解き、最新の研究によって明らかになったフェルメールの手法などから、より深く作品を知り、ディテールまで堪能することができる。

世界の優れた美術展を高画質の映像に収め、映画館のスクリーンで上映するドキュメンタリー「アート・オン・スクリーン」シリーズの特別編として劇場公開。

 

 

 



ヨハネス・フェルメール(1632 - 1675)は、17世紀オランダ黄金時代の代表画家で、レンブラント、イタリアのカラヴァッジョ、フランドルのルーベンス、スペインのベラスケスなどとともに、バロック期を代表する画家の1人です。
映像のような写実的な手法と綿密な空間構成、そして光による巧みな質感表現を特徴としています。



生涯のほとんどを故郷デルフトで過ごし、

 

 

現存する作品点数は、研究者によって異同はあるものの、32から37点と少ない画家です。

 


フェルメールの絵に使用される鮮やかな青は「フェルメール・ブルー」と呼ばれています。(天然ではラピスラズリに含まれるウルトラマリンという顔料に由来)。

 

デルフトの醸造業者で投資家でもある大富豪のパトロンに恵まれたこと、また妻の母が大変裕福だったおかげで、当時純金と同じほど高価だったラピスラズリをを惜しげもなく絵に使用できたと言われています。

 

そして仕事をじっくり丁寧にこなすことができ、年間2、3作という寡作でも生活に支障はなかったようです。

しかし1670年代になると、第3次英蘭戦争が勃発したことでオランダの国土は荒れ、経済が低迷していったことや、彼とは違った画風をとる若手画家の台頭によって彼自身の人気が低迷していき、困窮した生活のなか、40代で没しました。



以前鑑賞したこの映画。

 

 



まるで写真のように細かいディティールまで精緻に書き込む様や、布の質感や皮膚の柔らかさ、光と影を描く巧みさなど、同時代に活躍したレンブラントとフェルメーヌなので、その時代としての絵の雰囲気や技法はなどは似ているところもあるように思われます。
 

 


この映画では、2023年、オランダ・アムステルダム国立美術館で開催された史上最大規模の「フェルメール展」と連動し、数少ないフェルメーヌの絵画を、1点1点詳しく紹介し、書き込まれている題材の説明、意図、技法などが語られていきます。

 

 

 

 

 

 


フェルメーヌといえば、まずこの絵ですね。

 

「真珠の耳飾りの少女」

 

 

 

真珠の耳飾りに書き込まれた輝く1点が象徴的ですけれど、この時代、「口元が開いている」というのは非常に稀なことらしく、この絵の焦点は口元なのだそうです。


そして、彼の絵の最も大きな特徴は…

★必ず左側に窓があり、自然光がふんだんに差し込んでいる

 

 

 

 


★後ろの壁には、絵画や地図が掛けられている

 

 

 

 

 

 


★手前にはカーテンがあり、外から部屋をのぞき込む構図になっている

 

 

 

 

 

 

言われてみれば、ほとんどこの構図です!

机に掛けられているゴブラン織りのような重厚な織物も特徴的ですね。


そして、全てを精緻に書き込むのではなく、中心点となる場所、視点を集めるポイント(焦点)があり、それ以外の部分は、多少あっさりした描写になっていること。
それが遠近法とも繋がっていること。

 

 


フェルメーヌは天文学や数学にも精通していて、絵の中に地球儀や世界地図を描いたりしているのも特徴なのだそうです。

 

 


どのくらいの頻度で補修しているのかわかりませんが、今もなお、フェルメーヌ・ブルー、赤、黄色などの色合いがとても鮮やかに残っているのが印象的でした。

 

 

 

 


レンブラントの映画の時も感じたのですが、かなり科学的に絵画を分析しているはずなのに、それはあまり紹介されないんですよね。
やっぱり企業秘密なんでしょうか。
芸術的な視点だけでなく、化学的、物理的な見解も、もっと教えてほしいかったなと思いました。


それでもフェルメーヌの絵を、じっくりと細部にわたって鑑賞できるのはなかなか眼福ですよ!