レンブラントは誰の手に | akaneの鑑賞記録

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オランダ黄金時代に活躍した巨匠レンブラントの絵画をめぐり、アートに魅せられた人々の愛と欲が交錯する様子をドラマティックに描いたドキュメンタリー。

レンブラントの肖像画を所有するオランダ貴族の家に生まれた若き画商ヤン・シックスは、ロンドンで競売にかけられた肖像画がレンブラントの作品だと直感し、安値で落札する。本物であればレンブラントの作品が発見されるのは44年ぶりとなるが、思わぬ横やりが入ってしまう。

一方、富豪ロスチャイルド家が所有するレンブラントの絵画2点が売りに出されることになり、フランスのルーブル美術館とオランダのアムステルダム国立美術館が獲得に動き出す。事態はいつしか、両国の政治家たちまで巻き込んだ大騒動へと発展していく。
 

 

 




レンブラント(1606~1669年)はオランダの画家。

同じくオランダのフェルメール、イタリアのカラヴァッジョ、フランドルのルーベンス、スペインのベラスケスなどと共に、バロック絵画を代表する画家の一人であり、ヨーロッパ美術史における重要人物の一人です「光と影の魔術師」とも称され、陰影を表現する技巧に優れています。




この映画の主人公となるヤン・シックス。


初代のヤン・シックス(1618-1700)は貿易商人であり、劇作家であり、美術蒐集家であり、レンブラントのパトロンでもありました。
レンブラントによって1654年頃描かれた初代の肖像画『ヤン・シックスの肖像』は、17世紀オランダ絵画の傑作のひとつとして現代に伝わっています。

 

 

今も、ヤン・シックス家に飾られています。

 

 

 

当代のヤン・シックスは11代目。
美術史を学び、ザザビーなどで修行を積んだ後に独立、画商として活躍しており、自身も繋がりの深いレンブラントの絵画には特に注目していました。


2018年、ある肖像画がこれまで知られていなかったレンブラントの作品だったと、ヤンが公表したことから始まります。レンブラント作品の発見は40年以上ぶりで、大きなニュースとなりました。

 

 

それは1634年頃に描かれた「若い紳士の肖像」と呼ばれる作品で、2016年末にロンドンで開かれたクリスティーズの競売において、ヤンはこれをたった約13万ポンド(約1900万円)で落札したのです。
彼は、実物を見て即座にレンブラントの作品だと見抜いたとそうですが、約2年かけてレンブラントの専門家エルンスト・ファン・デ・ウェテリンク氏を含め、ほかの美術史家らによって鑑定され、本物と証明されました。
 

 

 

 


また別のストーリーとして、フランスの富豪ロスチャイルド家が何世代にもわたって所有していたレンブラントの2枚1組の絵画『マールテン・ソールマンとオープイェ・コピットの肖像』が、税金支払いのために1億6000万ユーロ(約200億円)という高値で売りに出された件。

 


めったに市場に出回らないこの絵画の獲得に名乗りをあげたのは、フランスのルーヴル美術館と、レンブラントの作品を多数収蔵するアムステルダム国立美術館。
しかし、美術館といえども簡単に出せる金額ではないので、オランダとフランスが共同出資で購入することになったのですが、貴重な絵画を国外に出したくないフランスと、レンブラントの故郷に絵画を迎え入れたいオランダとの駆け引きはヒートアップし、国家の要人まで乗り出してフランス側が出し抜いてしまいます。両国で展示会を開くことになりましたが、オランダ側はかなりご立腹の様子。


代々飾られてきたこの一対の絵画。


最後はロスチャイルド家当主のベッドルームに飾られていたそうです。






レンブラントの絵画を巡るドキュメンタリーですから、さほどドラマティックな展開はありません。
本物かどうかの鑑定手段、例えばX線撮影とか、顔料分析とかそういう科学的なアプローチを期待していたのですが、そういう手の内は明かせないのか全く描かれておらず、おじさんたちがあーだこーだ言ってるシーンばかりで少々退屈しました。

 

 


ただ、絵画は素晴らしかったです。
レンブラントの絵、多分美術館で見たりしたこともあると思うのですが、そんなに近くから凝視することはできません。
でもこの映画では、本当に舐めるがごとく接写で細かいディティールまで映し出してくれます。

 

 

肌の陰影はともかく、洋服の質感が素晴らしかった。
ベルベットの濃厚な手触り、襟元のレースの細かい編目、薄物のフリル、オーガンジーの透き通る柔らかさ、極細の金糸で編まれたリボン。
そういった細かい装飾までもが、はっきりと描き出されていて、こんな繊細で柔らかい素材をどうやって油絵で描いたんだろうと驚愕しました。
このように細部まで手の込んだ衣装を着ていることにも感動ですし、それだけの職人技が存在していたことも。

 

 

 


あとは、映画のセット(ロケ地)かと思うほどの館?お城?

 


今もなお、純然たる貴族の末裔が、こんなお部屋に暮らしているってことがね。

 

 

 


投資として絵画を何百枚も購入し、美術館と協力して保管している大富豪とか


まぁ庶民の想像をはるかに超えています。


こんな絵画が何百点も家の中に飾られているんですから。

 

 

いやー怖くないですか??

こんな肖像画に囲まれて生活できんわ~~。